『アヴァロンから人理修復!』 作:口からシャイタン
反省はしている、でも後悔、もしているかもしれないけど敢えて無視をしておく。
草原には赤い衣服の少女、赤銅色の髪をした少年、そして私に瓜二つ、と言うより同一人物の少女が居る。
私と彼女の違いを述べるならば髪の長さに衣服くらい、後は体型も顔立ちも、DNAでさえ一緒です。
「本当に帰っちゃうのアーサー、居ようと思えば此処に留まれるんでしょう?」
赤い少女は私に問いかけます。
「えぇ、確かに私が此処に居ようとすれば問題なく、私はこの場所に定着出来るでしょう。 私はサーヴァントではありませんから」
「なら…」
「ですが」
私は赤い少女の言葉を遮り、言葉を紡ぎます。
別れはどんなに時間が流れようとも悲しいもの、ですが此処に居ては彼女の邪魔になってしまうでしょうし、私自身の使命さえも放棄する結果になってしまいます。
「私は王です。 国が滅びてしまおうとそれに違いは無い。 彼女が此処に少女として有るのならば私は王としてあの場所に戻らなくては」
赤い少女は私に留まって欲しいが、その結果私の志しを侮辱する事になると理解し、これ以上何も言わない。
「アーサー、今までありがとうな。 この闘いを無事終わらせることが出来たのもアーサーの協力があってこそだった…本当に最後まで世話になりっぱなしだ」
赤銅の少年は私に謝辞を述べてくれる。
褒められるのは嫌いではありませんが、それはやはり正しさを伴わなければどうもむず痒いものです。
「いえ、シロウ。 きっと私が居なくとも結果は変わりません。 私はそれを手助けしただけに過ぎない。 それに世話だと言うのならこちらも同じ事…また貴方の料理が食べられる事を切に願います」
本当に彼が作った食事は美味であった。
私も少しは出来るのですがやはりアレの味は再現できないでしょう。
今からでも円卓に誘いたいものです。
「アーサー、私は今でもあの選択が間違いだと言いきれません。 現に私は今まで行おうとしていた非道を是とし、自分自身正しいと信じてやまない程でした」
「アルトリア、貴女がその選択を是とし、私がそれを否とした。 その結果は対立でした。 その時の私の気持ちは貴女の思想を本当に否定していいのか?、でした。 つまり何が言いたいのかと言うと、自分の選択が正しいかなんて本当は自分自身でも気付けないものなんです」
間違いを自分で正すことが出来るのならば一番はそれがいいでしょう。
ですが、その考えに至る人は案外少ない、結果的に他人に正してもらわなければならない。
「貴女には既に居るでしょう? 正してくれる人達、一緒に歩んでくれる人達が」
赤い少女と赤銅の少年は彼女を見つめ一つ頷く。
「はい!」
彼女もまた私に顔を向けて頷く。
「では話はここまで、私は帰還します」
私の身体は光に包まれる。
これは帰還の光である。
「それでは、リン、シロウ、アルトリア。理想郷に至る時があるならばまた会うこともあるでしょう。 それまでおさらばです」
3人は笑って私を見送っていた。
頬に温かいものが伝っていた気がするがきっと気のせいでしょう。
私の視界は光で埋め尽くされる。
目を瞑り私は在るべき理想郷へと帰還する。
───────────────────────
場所は大きく変わり石造りの建物、少々埃っぽいのが難点だが十分に安定した工房だ。
私はその中心のサークルに居る。
「マーリン! マーリン何処ですか?」
私は自身の
彼は人で無しだが(そもそも真っ当な人ではない)、私の剣や魔術、あらゆる事を教えてくれた師である。
戦力にはならないが欠かせない存在だ。
「お帰りアーサー、今回は無事にハッピーエンドだったね」
「そうですね、まさか前回の失敗のツケが今回に回ってくるとは思いませんでしたが。 概ね何とかなりました」
前回とはFate/zeroのことで、あれはアルトリアが分からず屋でそのマスターも分からず屋と言う最低な状況で始まった私の苦労話だ。
この呼称を用いている事から推測出来るだろうが私には所謂原作知識があるらしい。
他にも無駄にいらない知識から便利な知識まであるが此処で披露しても意味の無い事だろうと割愛する。
私は最初から原作知識を持っていた訳では無い。
具体的には選定の剣に触れたその時からだ。
私には私のアーサー王伝説が存在するが結果的に国は滅びたし、何より面倒な為次の機会にしておく。
「所でマーリン。 私はお腹が空きました、ご飯はまだですか?」
「帰ってきて早々食事を要求なんて…偶に教育方針を間違えたんじゃないかって私らしくも無く涙が出そうだよ…出ないけどね」
「このケーキはなかなかどうして美味ですね。 こんな物、今まで何処に仕舞っていたんですか?」
「私の秘蔵のケーキ達が!?」
マーリンは柄にもなく落ち込んでいます。
普段は基本的に澄ました顔しかしない彼がここまで感情を放出するのを見るとどうにも可笑しく感じる。
しかしこのケーキは本当に美味しい。
「まぁいいさ。 ケーキ何てチョイチョイっとチョロまかせばいいしね…」
「聞き捨てならない事柄が聞こえましたがまぁいいでしょう。 それよりフォウくんは何処ですか? 何時もなら私の膝で丸まってくれるものを今回は顔すら見せてはくれません」
あのモコモコとした獣はどんなに求めても飽き足らない欲望が詰まっています。
愛らしい鳴き声を聞くとついつい時間を忘れる。
此処では私にとって欠かせない娯楽の一つ、本当は人間に対して絶対的な殺人権を所有する獣ですが、私はあのモフモフに埋もれて死ねるのなら本望。
いや絶対にそんな事にはなりませんが。
「あぁ、キャスパリーグならアヴァロンから出したよ。 その方がアイツにもいい影響が…我らが王よ、どうかその聖剣を下ろしてはくれないだろうか?」
「遺言はそれでいいのですねマーリン。 誓約によって汝を縛ろう! そこを動くなマーリン、動いても動かなくても撃つぞ!」
マーリンは完全に停止した、彼の神経が動くなと告げているのだからどうしようもないだろう。
「アーサー、落ち着いて。 話せば分かる、これには深い訳があってだね。 全世界の危機に対する布石で」
「なるほどそれは大変ですね」
「そうだろう? 分かったら早速話を」
「だが断ります!」
マーリンは顔を真っ青にします。
それは当然でしょう私の聖剣には十分な魔力が通されて居るんですから。
「それとこれとは話が異なるんですよ。 私から楽しみを奪った罪は大きい。 死して詫びなさいカリバー!!!」
石造りの工房は吹き飛ばされた。
見えたのは一面を埋め尽くす花々、燦々と太陽は降り注ぎ時に微風が花を揺らし笑っているようにも見える。
「
「自分を正当化するならその笑顔はないよ… まぁでも今回も派手にやったね…妖精達も過労で死んじゃうんじゃない?」
「どうやっても悪は栄えてしまう…結局第二第三のマーリンが現れる。 やはりギャラハッドから託された聖杯を使うしか…」
「それは本当に止めなさい! 洒落にならないからね…」
お遊びはここまでにしてマーリンの言う世界の危機について詳しく聞くために中心へと向かう。
そこには塔があり、マーリンはそこに投獄中の身。
いや言い方を間違えた…
──絶賛ヒキニート中である。
「その言い方は酷くないかな? 出ようと思えば出られるよ私は」
「ナチュラルに心を読まないで下さい」
塔へと飛び、近くにあった椅子に座る。
靴音が石に反響し耳に入ってくる。
マーリンは上の階に居たようだ。
「やぁ待たせたね。 キャスパリーグの事は相談せずに本当に悪いと思ってるよ」
「本当はそう思っていないのは分かっていますよ…キャメロットに居た頃はその顔によく騙されたものです」
マーリンは肩を竦めそれは残念と言葉を零す。
はっきり言ってまたカリバーしたい所ですがこれ以上は自重するとしましょう。
良かったですねマーリン!
「さて、今は亡き工房で話した通り今回の危機はこれまでの比ではないんだ。 規模がブリテンに留まらないからね、案の定君も呼ばれると思うよ」
私はブリテン島の危機を救う存在、マーリンが言うような事が本当に起こるならばきっと私も向かうことになるでしょう。
「それで一体誰がそんな事を? フォウくんのこともありますし目星は付いているんでしょう?」
「うん、その人理って言ってね、人の歩んできた道、所謂歴史を全て焼却する事を目的としているみたいでさ、現に外は既に無いものとして認識しておいて。 まぁ首魁については魔術王を名乗っているみたいだよ」
魔術王? また王様ですか…もう既に征服王とか英雄王とか、もう満腹です。
満腹なのはシロウの料理だけで十分だというのに……
「キャスパリーグは今回の主人公の元へ送っておいたのさ。 アーサーも心当たりあるだろう?」
まぁ散々誤魔化してきましたが、アレですねFGOですね。
第五次聖杯戦争が無事終了したので無いと思っていたのですが…やはりアレですか?
──平行世界と言うヤツですね!!
と言うことはフォウくんは無事、藤丸立香とマシュ・キリエライトと合流している、という事でしょうね。
毎度この様に原作に介入させられるのですが、私は思うんです…
何故解決すると運命付けられた物語に送り込まれるのかと。
結果は既に出ている、私は必要ない歯車。
しかし今回もまた同じ結論で終わるようですね。
「では次は、ブリテンを救うついでに世界を救ってきましょうか」
反対? いや、私にとってはこれが正方向です。
続きがあるなら読んで欲しいと思う。
でもあまり期待しないで、するとしても軽い感じでお願いします。