戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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今回、2回戦の後半戦になります。拓実くん VS 切歌ちゃん、未来さん VS 宮間さん、響 VS 樹里の対戦カードになります。
樹里のパートナーは最初ゴマモンにしようかと検討してたのですが、ガブモンにそろそろパートナーを作っておかないとどんどんアグモンとの差が広がるなと今更ながらに感じたのでガブモンにしました。

さて、樹里のプロフィールになります。

氷室 樹里

性別:女
年齢:不明
性格:無表情な性格で相手との交流が薄いため謎が多い
好きなもの:占い
苦手なもの:干渉
誕生日:不明

この樹里はこのシリーズが思いついた頃にデジモンテイマーズの加藤樹里さんを見て思いつきました。終盤の彼女は怖い以外の何者でもありませんね…今でもデジモンシリーズ屈指のトラウマなんじゃないかなって思います。


第175話 加速する本戦!(後編)

「さあ、準決勝の切符も残り3枚!果たしてこの切符を掴む3人は誰になるのか!?」

 

 会場に入場すると選手たちは互いに睨み合った。

 

「もはや言葉は不要デス…!」

 

「奇遇だな、俺もだよ。」

 

 切歌と拓実が火花を散らしてデジヴァイスを構えた。

 

「負けない!これに勝てれば…!」

 

「随分肩に力入ってるわね、リラックスしたら?」

 

「えーっと…よろしくね!」

 

「…」

 

 全員デジヴァイスを構え2回戦後半が始まった。

 

____________________

 

「ジュエルビーモン!遠慮なく攻めるデス!」

 

 開始早々に切歌は調が見守る中、一気に超進化させて拓実相手に奮戦していたがことごとくシードラモンに防がれてしまった。

 

「シードラモン、進化だ!」

 

「ああ、シードラモン進化!メガシードラモン!!」

 

 シードラモンは攻撃をかわしながら進化してジュエルビーモンを尻尾で叩き落とした。

 

「まだデス!ジュエルビーモン立つんデス!!」

 

「くっ…強い!」

 

 ジュエルビーモンは起き上がろうとしたがメガシードラモンにより試合開始わずか3分で苦戦していた。

 

「終わりだ。サンダージャベリン!」

 

「こっちも受けて立つんデスよ!」

 

「スパイクバスター!!」

 

 ジュエルビーモンも対抗して必殺技を放ったがあっという間にサンダージャベリンに競り負けてしまった。

 

「え?」

 

「決まった!なんと試合開始わずか3分25秒で水琴 拓実がいち早く準決勝の切符を手に入れたわ!」

 

「そんな…どうして!?」

 

「焦り過ぎたみたいだな。」

 

 拓実と切歌が会場の歓声をよそに向かい合っていた。

 

「焦ってなんか…「本当にそうかな?」」

 

 切歌の反論に対し尋ねられた言葉で拓実は落ち込む切歌に背を向けて他の試合を眺めていた。

 

「分からないか?みんな勝つことに一生懸命だ。ある人は約束のためって感じで目標がある。けど、その為にはある程度感情を抑える必要だってあるんだ。

切歌ちゃんは少し焦り過ぎたんだ。俺は自慢じゃないが装者全員の力を知っている。けどさっきのはいつもの20%の実力に過ぎないと俺は思う。」

 

 落ち込む切歌にワームモンが駆け寄った。

 

「僕、切ちゃんが焦ってるのが分かった。でも言えなかった。きっとその気持ちは切ちゃんのしらちゃんへの優しさと誠実さなんだよ。だからこそ今度戦う時はそれを武器に戦おうよ。」

 

「ワームモン…」

 

「別に、訓練中なら拓実さんも戦えるんだ。デジモン同士は負けてもシンフォギアならいけるでしょ?あんまり落ち込んじゃダメだよ。」

 

 涙目になった切歌は立ち上がった。

 

「拓実さん、今度全力のあたしと勝負してくださいデス!この悔しさを今度は拓実さん自身にぶつけてやるデス!!」

 

 それを見た拓実は笑顔を浮かべてうなづいた。

 

「ああ、楽しみにしている!」

 

(ってカッコつけたけど、あんま落ち込ませると調ちゃんの殺気がなあ…SONGのメンバーってマジで殺気を発してる時の様子が分かりやすいから色々慎重になんないといけないんだよなあ…)

 

____________________

 

「メテオウイング!」

 

「ヘブンズナックル!」

 

 未来の対戦相手である宮間 莉嘉のエンジェモンのヘブンズナックルがバードラモンに命中したがすぐにガルダモンに進化した為、人型と獣人型のデジモン同士の格闘戦が繰り広げられていた。

 

「負けないでガルダモン!」

 

「オラオラ、エンジェモン気合い入れな!世代関係なくあんたはやれば出来る子なんだから!」

 

 未来と莉嘉の声援のもと2体は熾烈な殴り合いを繰り広げていた。

 

 そして、響は樹里のガブモンが進化したガルルモンにグレイモンで対抗していた。

 

「フォックスファイヤー!」

 

「メガフレイム!」

 

 火球を炎が覆い尽くし相殺されるとガルルモンは素早くグレイモンの腕に噛み付いた。

 

「かかった…!そのまま噛み付いて。」

 

 樹里は無表情のままガルルモンに命令を出していた。

 

「グレイモン、そのまま!」

 

「うん!叩きつける!!」

 

 グレイモンは痛みを堪えてガルルモンをそのまま地面に叩きつけた。

 

「ピンチは最大のチャンス!」

 

 グレイモンは足でガルルモンを踏みつけた。

 

「食いつかれたら普通は払いのけようとする中で、グレイモンは敢えて攻める為に反撃した!これぞ肉を切らせて骨を断つ!さあ、ガルルモンはどうするのかしら!?」

 

 しかし、樹里は依然として表情を変えずじっとガルルモンを見つめ指で星の形を描いた。

 

「何をやってるんだ!?」

 

 観客は樹里の不可解な動きに首を傾げていた。

 

(そうか…!星型が来たということは相手の裏をかけということだ!!)

 

「フリーズファング!」

 

 ガルルモンの牙が冷気を纏い、グレイモンの足の裏に噛み付いた。

 

「ええ!?」

 

 響も予想外だったのかグレイモンはあっという間に体勢を崩した。

 

「負けたら許さないから。」

 

 淡々と樹里はデジヴァイスを構えた。

 

「ガルルモン超進化、ワーガルルモン!」

 

 ワーガルルモンが光とともにグレイモンに馬乗りになった。

 

「一瞬の隙であっという間に優勢はガルルモンに傾いた!」

 

「あの氷室というやつ、できる!」

 

「ええ翼さん。俺もそう思います。あいつとは戦ったことがないけど必要以上に命令せずにあそこまでデジモンを動かせるテイマーはそういません。」

 

「そうだな。しかし、立花はこんなものでは終わらん!」

 

 ワーガルルモンがひたすらグレイモンを殴りつけていた。

 

「グレイモン!尻尾で薙ぎ払うんだ!」

 

「ああ!!」

 

「遅い、カイザーネイル!!」

 

 グレイモンに攻撃させるタイミングを与えずにワーガルルモンは必殺技のカイザーネイルでダメージを与えた。

 

「だとしても!こんなところで負けられないんだ!!」

 

 デジヴァイスを構えた響によってグレイモンが光を発して一気にウォーグレイモンへと進化した。

 

「そう来たならこっちもこうするまで…」

 

 樹里もデジヴァイスを構えた。

 

「ワーガルルモン究極進化!メタルガルルモン!!」

 

「ここでまさかの究極体!果たして勝機はあるのかしら!?」

 

 ウォーグレイモンが腕の装備でメタルガルルモンを狙うが、ミサイル攻撃であるガルルトマホークを受け膝をついてしまった。

 

 それを好機と捉えた樹里は指で三角の形を描いた。

 

(一気にトドメだな!分かった!!)

 

「コキュートスブレス!」

 

「もう時間もない!行くよ、ウォーグレイモン!!」

 

「ああ!!」

 

 ウォーグレイモンも最後の賭けとして空中に飛び上がって高速回転を始めた。

 

「ブレイブトルネード!負けるかああああ!!!」

 

 二つの技が重なって互角の勝負が繰り広げられたがウォーグレイモンの執念でさらに回転数が増したため、メタルガルルモンに技が直撃した。

 

「やった!技が入った。」

 

 そしてメタルガルルモンはガブモンへと戻りもう戦えずにいた。

 

「決まったわ、準決勝2枚目の切符を獲得したのは立花響!これで残るはたった一人!!さてどうなる?」

 

「…」

 

 樹里はただ苦虫を噛み潰した表情で敗れたガブモンを見ていた。

 

____________________

 

「帰る…」

 

「ええ!?ちょっと待ってよ!もっと話そうよ〜!」

 

「あんた、熱苦しい。でも、嫌いじゃない…」

 

 樹里は顔を見せずにせっせと会場から去って行った。

 

「おっとぉ!?」

 

 会場のざわめきで響は向かうとガルダモンがエンジェモンをすでに制していたが突然倒れてしまった。

 

「どうやら、この試合は両者ダウンの引き分け!これには会場からも待ったをかけられたわ!しばらく待って頂戴!!」

 

「おい、またかよ!?」「大丈夫?」

 

 突如として起こってしまった両者引き分けのアクシデント…これを運営はどう対処するのか?


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