戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

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いよいよ次回から最終章スタートです。今回はその前置きとしてリコリスの現状説明です。相手はオートスコアラー、一体なぜ蘇らせもとい修復させられたかを今後ご期待ください。最後に次回以降のあらすじも載せますよ。


最終章 明日への歌
第216話 終末の始まり


 前回の戦いの傷が少し癒えたリコリスは地下施設を歩いていた。

 

「計画は八分通り、あとはあいつらと話をつけるか。」

 

「リコリス様、4体とも起動成功です。」

 

「ご苦労。あいつらには俺一人で話をつける。誰も通すな。」

 

「はっ!」

 

 リコリスが扉を開けると暗闇に包まれる中4つの光へと足を進めた。そして起動スイッチを押すと中にいたモノが動き出し、騒いでいた。

 

 

 

「ここは?」

 

「あー!あんた達、どうしてこんなとこにいんのよ!?」

 

「ガリィだぞ。なあ、チューしてくれよ〜」

 

 冷たい部屋の中、4つのカプセルに何かが浮かんでいた。人のようなものを連想させる中首だけだったり首と胴体が危うく繋がれている人形がそこにあった。

 

「お目覚めのようだな、かつて世界崩壊を企てた破滅の錬金術師、キャロル・マールス=ディーンハイムの手駒たち___オートスコアラーよ。」

 

 カプセルの中にいたオートスコアラーたちが冷ややかな目でリコリスを眺めた。

 

「誰だ?私たちは確か派手に任務を全うして…」

 

「その通りさ、レイア・ダラーヒム。お前らは見事に無駄死にして俺に拾われたのさ。」

 

「あんた、あたしたちを呼んでおいてこんなにカプセルに閉じ込めるなんて一体どう言う要件よ?」

 

「なに、ただの偉い錬金術師と思えば結構だ。唐突かもしれないがこれからお前らは俺の駒に使わせてもらう。だがその前になんだ、昔話でもしてやろうと思ってな。」

 

「昔、話?」

 

「そうお前たちオートスコアラーが無駄死にした後のマスターと今世界におかれたこの状況をな。」

 

「で、あんたは何者なのよ?ふざけないで答えな。」

 

「おいおい!俺のことはどうでもいいだろう?ひとまず今世界がどうなってるかくらいは知りたいはずだ。」

 

「まずはここから出して欲しいゾ!」

 

「あー…そのカプセルは割れないように加工してっから無駄無駄。なんなら茶菓子くらい出してやろうか?」

 

 リコリスが4人を見つめるがいずれも胴体や脚部などが欠損しておりとても自分の足で立てるものではなかった。

 

「これを見てもよくそんな呑気なことが言えますわね。」

 

「ああ悪い、悪い。そう言えばそうだったな。実はな?ここだけの話、お前らの首と胴体を再構築させて再起動させるのには相当労力がかかったんだ。それなら犬みたいに茶をすすることにはなるがいいかな?」

 

「要らぬ。」

 

「そうか、じゃあ話すか。時系列はレイア、お前が倒された後でいいかな?」

 

「ちょい待ち、一番乗りはガリィちゃんだけどどう行った順番で全員倒れたのよ。」

 

「はーい、ガリィの次はミカだったぞ!」

 

「次いで私が剣ちゃんに。」

 

「私が最後だ。」

 

 全員笑みを浮かべ申告した。

 

「お前らを復元した際にあのチビども2人にミカはズタズタにされたがカケラが腐敗こそしてたが見つかって一番最初にしゅうふくができたんだよ。

 けど、ほか3人はバラバラになっちまってゴミなのかカケラなのか分かったもんじゃなかったな。

 特にファラ、お前粉々に爆散したから一番回収に手間取ったんだぜ?髪の毛っぽいのから運良く復元させてやったんだ。細かい塵になってたから何が何だかわかりゃしない。少しは直してやったこの俺に感謝しろよな。」

 

「そうですか。それでマスターはどうしたのですか?」

 

 恨み言を無視したファラの態度にリコリスはため息をついて近くにあったスライドを再生した。

 

「ああ、単刀直入に言うとキャロルは負けた。」

 

「!?」

 

 全員目を丸くして驚いた。

 

____________________________

 

「その原因は簡単だ、レイア。深淵の竜宮でヤントラ・サルヴァスパの回収に失敗してお前が連れていたあの白衣の男いたろ?」

 

「…」

 

「ウェル博士…だったかな?あいつはシャトーを起動させたんだ。そこは良かったんだがキャロルはあいつを用済みとして消した___それが敗因だ。」

 

「ちょい待ち、どう言うことなのよ?マスターに何が?」

 

 ガリィが尋ねてきた。レイアはむすっとした表情でリコリスを睨みそれ以上は話そうとしなかった。

 

「ガリィ、お前が一番手でやられた後ミカの奴がレイラインを嗅ぎつけてSONGは戦力を分散させたのさ。片方を風鳴邸に、もう片方を深淵の竜宮にな。

 けどまあ結果はさっき言った通りだ。レイア達は装者の嫌がらせが原因で目的だったヤントラ・サルヴァスパを破壊されたんだよ。

 ところが偶然にもフロンティア事変の一件で幽閉されていたドクターウェルという代価案を手に入れたのさ。」

 

「では質問を変えます。マスターは負けたと言いますがマスターは私たち同様に死んだのでしょうか?」

 

「ああ、安心しろ。キャロルの奴は戦いに負けて全て燃え尽きたよ。でもってエルフナインっていう奴がいたろ?あいつと一体化した。」

 

「そうですか…」

 

 少し安堵したような表情を浮かべるとリコリスは立ち上がって本らしきものをめくった。

 

「まあ、キャロルもエルフナインを好きな時に自爆させられるように仕掛けでも作っておけば楽だったかもな。

 事実あいつが邪魔したこともキャロルの敗北の遠因でもある。用済みになった時に消しときゃ後々良かっただろうしな。」

 

 全員黙っていた。しかしミカだけは眠っていた。

 

「そうそう、お前らの使ってたスピリットだが、所持して使ってるやつに目星はついてるだろう?」

 

「誰だそれは?」

 

「はあ…そいつも説明するか。まずガリィとファラの持ってた水と風のスピリットはあの光の水琴ってやつに渡されたよ。」

 

「ああ、彼ですか。」

 

「あいつにあたしのが使われてんのかよ…」

 

 ファラとガリィが憎らしそうにスライドに移った拓実をにらんだ。

 

「しかも使いこなせてるような顔…気に入りませんね。」

 

「で後のやつはみんなもう一人の冷泉とかいうやつに回収されたよ。」

 

「あの少年か。一人ボロボロになるまで戦っていたな。」

 

 ミカは興味がなさそうに眠っていた。

 

「それで?マスターが負けたらどうしたのよ、あんたがSONGと対立する理由がないんじゃない?」

 

「ああ、奴らはキャロルを倒した後に奴と手を組んでた結社に目をつけたのさ。」

 

「まさか…パヴァリアの連中とも奴ら戦ったというのか?」

 

「そう、そこには俺もいたんだよ。最も第三勢力として情報を提供したり妨害したりでの引っ掻き回しが中心だったがね。結社は当時お前らのリーダーを踏み台にして神の力を掌握しアヌンナキ抹殺を試みていた。」

 

 全員睨みつけてきたがリコリスはスライドの電源を切った。

 

「結果的には幹部3人と統制局長が奴らと戦ったり身内で共食いした結果、組織自体は解体され残党狩りが行われている。

 

 でだ、ここからが本題だ。実は近いうちにバラルの呪詛を仕込んだ張本人のアヌンナキ降臨することになっている。お前達には俺たちのために是非とも協力をお願いしたい。」

 

「断る!私たちの主人はマスターただ一人だ!!」

 

「同じく…」

 

「あなたに従う道理がありませんわ…」

 

「そうか即答か、まあそうだろうな。」

 

 オートスコアラー達全員が睨んできたがリコリスはスイッチを押した。

 

「な…に?」

 

 すると全員眠ってしまった。

 

「シャットダウンさせてもらった。お前らが拒否することはわかっていた。せめて都合よく利用する前に断りは入れておきたくてな。まあ墓荒らしした俺が言えないがな。」

 

「リコリス様、手はず整いましてございます。」

 

「そうか、では行くぞ!終焉の時__ラグナログが始まるんだ!!」

 

 そして月では黄色い光から赤い光が発せられた。そしてリコリスはそれを睨みながら笑みを浮かべた。

 

「リコリス様、Lプロジェクトはどうします?」

 

「プロジェクト…俺のDNAを持った人造人間を量産した計画か。悪いが今は一刻を争う、Rは経過観察だけに留めろ。」

 

「はっ!」

 

「さて、行くか!」




最終章 あらすじ
アダムとの戦いから数ヶ月、年が明けてリディアンは冬休みを迎えていた。クリスは自分の夢を叶える一歩として父と母の進学していた大学への推薦進学という目標を果たし、響は自分の夢をどうするかという悩みを抱えていた。

そんなある日、中国にてアルカノイズや錬金術師たちが首相官邸を破壊したという情報が入った。さらには各国の首相官邸も爆破されるという事件が発生し、そこには国連の旗が置かれていた。それに伴い日本や他の常任理事国は自らの追求を避けるべく非常事態宣言が張られることとなった。

そしてまたしても現れたリコリスたち錬金術師たちにはなんと風鳴訃堂がいた。さらに月から謎の波動が…

いよいよ最後の決戦が始まる!

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