戦姫絶唱シンフォギアDigitalize   作:ジャン=Pハブナレフ

219 / 227
第218話 策謀の月!SONG本部襲撃

 東京湾___

 

 アルカノイズは倒され現場では後片付けなどの事後処理が行われていた。

 

「なんとか、勝てましたね。」

 

「ああ…だけど不可解な点がある。まず、同時に襲撃する箇所があまりにも限定されすぎている。前回は日本の各都市を狙ったんだろうが今回の場所はいずれも俺たちに関わりのある場所ばかりだ。」

 

「え?それってまさか…」

 

「ああ、敵は何かを狙っている。それも派手なやつをな。」

 

「じゃあ早く別のエリアに行きましょう!もしかしたら戦力はそっちに…」

 

 アグモンの提案で拓実たちは場所を移すべく本部に連絡を取った。

 

「本部?本部?本部!ダメだ…」

 

「ええ?通信ができないんですか!?」

 

「予定変更だ、本部に戻ろう!司令たちに限ってあり得ない話じゃないけど…なんだか嫌な予感がする!」

 

____________________________

 

 一方、本部には錬金術師たちが向かっていた。

 

「いいかお前たち!ここで風鳴弦十郎たちを皆殺しにして仕舞えば士気の低下となる!」

 

「おお!!」

 

「すでに闇討ちのプロが潜入した。我らも合流をするぞ!」

 

「おい見ろよ!シンフォギアと十闘士だ!」

 

「構うな行くぞ!」

 

 錬金術師たち5人は一気に本部に向かった。突如見えた光に弾かれるまでは…

 

「水琴拓実!?もう追いついたのか?」

 

「ああ、何か胸騒ぎがしたと思ったらまさか敵であるお前らと鉢合わせなんてね。」

 

「水琴拓実っていやぁ、シンフォギア装者以上のポテンシャルを秘めたSONGお抱えの十闘士か!」

 

「お前たち、これ以上先へ進むのは許さねえぞ。」

 

「抜かしやがれ!」

 

<コンバート!ティラノモン!>

 

 ティラノモンが拓実を襲おうとしたが地面からシードラモンが飛び出してきた。

 

「その程度か?」

 

「抜かしやがれえええええ!!」

 

 錬金術師たちがアルカノイズやギズモンを呼び出して一歩ずつ迫って来た。

 

「シードラモン!」

 

「ああ!」

 

「ヴォルフモン、シードラモン、デジクロス!!ヴォルフモンX2!!」

 

 武器にシードラモンの顔が浮かび出した。

 

「喰らえ光の斬撃、スターライトインフェクション!!」

 

 光とともにアルカノイズとギズモンは一撃で倒された。

 

「ば、バカな!あれだけの数をたった1人で瞬殺しただと!?」

 

「早く行け立花さん、これは罠だ。本部に連絡が取れないのはおかしい。一旦戻ってくれ!こいつらなら俺1人でも勝機はある!」

 

「抜かせ、フュージョンレボリューション!」

 

 錬金術師たちはサンダーバーモン、スピノモン、ワーガルルモン、キンカクモン、ギンカクモンへと変化して襲いかかった。それを1人で食い止めるヴォルフモンX2を見て響はグレイモンをメタルグレイモンに進化させた。

 

「はい、気をつけてください!」

 

 一方、突然の電波障害に本部も悪戦苦闘していた。

 

「どうなってるんだ!?こんな時に電波障害など…!」

 

「クッソ〜端末の中に異常は確認されなかったのかよ!」

 

 藤尭らオペレーターも突如発生したウイルスプログラムの撃退をしていた。

 

「やはりあの偽物が仕組んでいたんでしょうか!?」

 

 かつてSONGは水琴拓実のコピーにより装者たちが危うく本物の彼を殺そうとした時があった。その際偽物は何者かに情報を横流しにしていたが送信した端末を破壊された上にその痕跡は抹消されてしまい調査できずにいた。

 

「分からん、クダモン!テントモンたちと協力して対処を頼む!」

 

「ああ!!」

 

 修復作業に苦戦する中弦十郎もクダモンを端末に忍び込ませて作業を行っていた。

 

(さあて…邪魔者以外は眠っててもらおうかね)

 

 その時突然弦十郎以外眠りについた。あたりには緑のガスが充満していた。

 

「これは?」

 

 するとオペレーターたちが次々と眠り出した。しかし、弦十郎とクダモンは無事だった。

 

「藤尭!友里くん!アケミくん!みんなどうした!?」

 

「おやおや、眠らずですか…」

 

 司令室に現れたのは金髪の小柄な男だった。その眼差しは薄汚れており敵意が剥き出しだった。

 

「ケケッ、人類最強のてめえでも俺のヒュプノフレグランスは効かなかったみたいだな。さあて…獲物を…」

 

 イミラがあたりを見回しているといきなり弦十郎がイミラを殴り飛ばした。イミラの小柄な肉体が扉を突き破って廊下に弾き飛ばされた。

 

「御託はいい、だが堅気に手を出すんなら容赦はしねえ!!」

 

 弦十郎が拳を握った。

 

「ほざきやがれ…!毒殺の天才と言われた俺の技を見せてやる!タナトミスト!!」

 

「でえええええい!!」

 

 技を仕掛けたと同時に弦十郎を雷を握りしめた拳がイミラを吹き飛ばした。

 

「いってえよぉ〜!」

 

 痛みに悶絶するイミラをにらみながら一歩を退かない構えを弦十郎は見せていた。

 

「そんなもんか?漢の拳一発で倒れられるなんて鍛え方が足りないんじゃないのか?」

 

「バカが、お前は策にハマったんだよ。」

 

「どおおおおりゃあああああ!!」

 

 弦十郎が再び拳を構えようとしたが次の瞬間視界が歪み始めた。

 

「これは!?」

 

「こいつは一種の神経毒だ。お前みたいなやつでも呼吸はするだろう?この毒ガスは吸うだけで呼吸器官を害し、一気に全身の神経を蝕む!

 

 いくら人類最強とはいえ所詮お前は人、呼吸だってするし、病気で死ぬし、寿命もある。お前はバカみてえに遊んでた御山の大将だったんだよぉ〜!」

 

 イミラがなおも毒ガスを放ち、吸うまいと必死に息を殺す弦十郎の周りを包ませた。

 

「ったく吸わねえようにガードかよ…図にのんじゃねえよ、ギアがなければ何もできねえやつが!」

 

 イミラが息を吸うまいとし一方的に動けない弦十郎に攻撃を与えていた。反撃しそうな中でさらにガスを放出するため弦十郎はその場でじっと堪えるしかなかった。

 

(このままじゃいずれやられる。けど…動けるのは俺だけ、動けない大人ほどカッコ悪い奴はいねえ!俺の力はギアあるなしじゃない!)

 

 弦十郎は毒ガスを受けながらも駆け出した。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーー!!!!!!」

 

「ぐっぴゃああああああああああああ!!!」

 

 弦十郎の渾身の拳がイミラを壁に叩きつけて骨の砕ける音が響いた。

 

「ば、バカな…!なんなん…だよ」

 

「ハア、ハア…守れたな。グハッ!」

 

 弦十郎はタナトス・ミストを吸いすぎたため吐血し、倒れてしまった。

 

____________________________

 

「司令!司令!!」

 

 数分後、目を覚ました藤尭と友里が駆けつけて藤孝が脈を取った。

 

「まずい、今すぐ医療班を!!」

 

「ええ!!」

 

「しっかりしてくだs…」

 

 すると霧が立ち込め始めた。

 

「なんだよこの霧!?」

 

「落ち着いて!エルフナインちゃん?エルフナインちゃん?いるの、エルフナインちゃん!?」

 

 友里が呼びかけると霧が晴れ、エルフナインの姿は消えていた。

 

「エルフナインちゃんが…消えた!?」

 

「んん!!んんんーー!!」

 

「エルフナインは頂いたぞ!」

 

 エルフナインはテレポートジェムにより敵にさらわれてしまった。

 

「はあ…はあっ…」

 

 ようやく現場に到着した響だったが、後の祭り。救急車に弦十郎が運び込まれているのが見えた。

 

「師匠、しっかりしてください師匠!師匠ーーーーー!!」

 

 

 一方拓実は刺客の相手をしていた。

 

「はあっ!」

 

「カイザーネイル!」

 

「甘い!エリアアクセラレータ!!」

 

 自身を光の速さにまでスピードを高めて攻撃した一撃はワーガルルモンを撃破した。

 

「ぐっ、があああああ!!」

 

 すると倒されたデジモンたちが粒子となって跡形もなく消滅してしまった。

 

「こいつら、しぶといにもほどがあるだろ。けどなんで姿が…」

 

 消滅してしまったため目立つ痕跡もなく拓実はため息をついていた。

 

「大丈夫?」

 

「ああ…急ぐぞベタモン。」

 

「うん!」

 

 ベタモンと共に本部に到着した拓実が見たのはその場に立ち尽くす響の姿だった。

 

「師匠…エル!!」

 

 そんな彼らを見つめるかのように月が輝き怪しげな胎動をしていたことには誰も気づかなかった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。