戦姫絶唱シンフォギアDigitalize 作:ジャン=Pハブナレフ
「僕と一緒に鍛えないかい?」
突然の言葉に全員首を傾げていた。
「ええっと…どういうことデスか?」
「ああ!つまり今からデジモンたちの世界に来て強くなろうってことさ!
すまないが今の君たちだけではデーモンやベルゼブモンには勝てない…」
「てめえ!いきなり出て来て生意気言ってんじゃねえぞ!」
クリスがアルフォースブイドラモンを怒鳴りつけた。
「すまない…悪気はないんだ。
僕、いや私にはベルゼブモンはともかくデーモンの力はわかる。奴ははっきり言ってまだ腹に何かを抱え込んでいる。
だから僕、いや私は不安で仕方がないんだ。だから来て欲しい。君たちは今、力を使えずともパートナーがいる。今回は君達とパートナーの修行を行いたいんだ。」
「しかし!いきなりそんなことを言っても奴らが攻めてくるかもしれないのだぞアルフォースブイドラモン!」
クダモンが反論するとマリア、切歌、調が手を挙げた。
「やるわ。もっと強くなりたいもの」
「先輩たちが行かなくたって私たちは行くデス!」
「同じく」
「じゃあ、僕も行くよ。プログラムよりも実戦を通してスピリットを使いこなす」
爽谷も包帯を巻いたままだったが手を挙げた。
「気をつけてね爽谷」
アケミが爽谷をじっと見た。
「大丈夫、ちゃんと戻るから」
爽谷がアケミと抱擁を交わす中、拓実も手を挙げた。
「俺も一応参加しよう。幸いなことにひょいひょいと動けるしな」
周囲が次々と修行を希望する中、
「なあ、デジタルワールドとこっちの時間差ってどんくらいなんだ?」
「あっちでの数日がこの世界の1日になる。」
「じゃあ、あたしらも行くか?」
「うむ、日々精進あるのみだ!奴らを倒す手段はいくつもあったほうがいい!」
クリスに対して翼も首を縦に振った。
「じゃあ、全員今からここに飛び込んで!」
アルフォースブイドラモンがゲートを作った。
「ゲートができるなら最初から作れ!」
「ごめん、本当は作りたかったんだけどネットワークが狭くて引っかかって作れなかったんだよ!」
クダモンがアルフォースブイドラモンを叱るのをよそにマリアたちが飛び込んだ。
「行ってきます!」
響以外の翼、クリス、拓実、マリア、切歌、調、爽谷たちがアルフォースブイドラモンの生み出したゲートに入り込んだ。
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すると一行は辺りが海で囲まれた島に立っていた。
「ここは?」
「ようこそ、デジタルワールドへ」
「ここが、デジモンたちの住処…」
すると森からアルフォースブイドラモンが現れた。翼たちがアルフォースブイドラモンを見た。
「ここで日が沈むまでみっちり行くよ。準備はいいかい?」
全員首を縦に振るとアルフォースブイドラモンは背を向けた。
「ついて来て。ここから修行を始めるよ。森の中は昆虫型のデジモンがいるけど下手に刺激しないでね。」
一行は森の中心を歩いていった。
「なあ先輩。あのアルフォースブイドラモンっていまいち威圧的な感じがしないよな」
「うむ、なんというか穏やかと言うかなんと言うか…」
「けど緊張感がいまいち伝わらないような気がするのよね。」
後方でクリス、翼、マリアがヒソヒソ話し、前方では調たちが雑談をしながら歩いていた。
「でだ、海の中にもロマンはあるわけだよ。フロンティアはそれを気付かせてくれたんだって。」
「ロマンデスか…」
「私のロマンは切ちゃんと美味しいごはんだよ。」
「ありがとうなのデス調!まあ、爽谷はシスコンだからアケミなんデスけどね!」
切歌が爽谷の横に立って彼を茶化した。爽谷も一応シスコンとは認めているが人前だと赤面してしまうらしい。
「ちょ!プライベートを公開しないでよ!
だいたいそういう切歌だってなんか渡された時にデス!デス!デーーーーース!!って言ってたからあのときこっそり中身見たんだよ?ピーカンn…」
「デーーーーーーーーーーーース!!!!」
全員がはしゃいでる中で、森を抜けて広い平野に出た。
「さあ、ここで君達を鍛えよう。まず僕が君たちに教えるのは新たな進化についてだ。」
「新たな進化?ジョグレスとスピリットレボリューション、フュージョンレボリューション以外にもあったんですか!?」
爽谷が驚くと、アルフォースブイドラモンが首を縦に振って、ホログラムを表示した。
「これは先の大戦の様子だ。七大魔王"強欲"のバルバモンが辺境の村を襲ったんだ。その時、奴はエンシャントスフィンクモンを難なく倒し村の蹂躙を開始したんだ。しかも奴はデスモンという強力なデジモンの大軍で村を焼き払ったんだ。」
その凄惨な映像を一行はただ見ているだけだった。
「で、それと修行になんの関連があんだよ?」
クリスが映像を指差した。
「本題はここからさ。実はその村のデジモンたちが予想外の進化をしたんだ。その名も"デジクロス"。」
「デジクロス?」
「ああ、基となるデジモンに他のデジモンの要素が加わる進化なのさ。
ジョグレス進化と異なるのは種や世代に関係なく合体できるんだ。
それにより僕、いや私たちロイヤルナイツは彼らデジクロスを可能にしたデジモンを"クロスウォーズ体"と呼んでるんだ。彼らが持ちこたえたからマグナモンとクレニアムモンがバルバモンに勝利したんだ。で、君たちにはこの特訓を行なってもらう」
「でも、この特訓に一体どんな意味が?」
拓実が首をかしげた。
「七大魔王ははっきり言って未知数な実力を持ち、究極体を超えた"超究極体"へと進化するデジモンがいる。デジクロスは膨大な闇の力でより強大になったデジモンを倒すのにはうってつけなんだ。」
「究極体の上なんかあったのかよ…」
拓実が苦笑いを浮かべていた。
「デジクロスは原則デジメモリから行うといいよ。デジクロス用にいちいちデジモンを捕まえてもデジヴァイス自体の容量が危ない。もし、デジモンを新しく仲間にしたいならパートナーを除いて2体までだ。それより多いとデジメモリ自体の使える容量がなくなってしまうからね。」
「わかった!2体までだな?」
クリスが首を縦に振って辺りを見回した。
「しっかし、特に良さそうなデジモンがいねえな…」
「まあ、ここはメモリを使えばいいだろう」
「さてと、じゃあパートナーとともにここから修行を始めるよ。さあ、頼むよ!」
すると、山からデジモンが現れた。
「デジモン!?」
「初めまして。私はアルフォースブイドラモン様の訓練サポーター___サーベルレオモンでございます」
サーベルレオモンが一礼するとアルフォースブイドラモンは全員を一通り見回してサーベルレオモンを見た。
「さてと、じゃあそうだな…赤、黄緑、桔梗、水色のデジヴァイスの人は僕が担当しよう。サーベルレオモンは残りの人たちの訓練をお願い」
「はっ!では行きますよ!」
サーベルレオモンに誘導され翼たちは別の場所へと向かった。
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「そうだな。まず君たちに問うことは一つ____"パートナーってなんだい"?
自分なりの答えをこの特訓が終わるまでに見つけるんだ。」
アルフォースブイドラモンが空を飛んだ。
「パートナーについて?」
「あたしにとってのパートナー…」
「みんな各々で考えなきゃいけないのか」
マリアたちが頭を抱える中、特訓は始まった。
「まずはこの的の真ん中をパートナーとほぼ同時に撃ち抜くんだ。この小型の槍を使ってね。」
順番はマリア、拓実、クリス、爽谷の順だった。
「行くわよアグモン!」
「うん!」
「「せーの!」」
2人は槍を投げたが、マリアは的の隅にアグモンは的にさえ触れなかった。
続いて拓実とクリスがそれぞれ挑戦したが、2人とも失敗してしまった。
「うーん、微妙だね…」
「なんで上手くいかねえんだ!?」
「ワカラナイヨ。ボクモクリスニアワセテルツモリナンダケド…」
「はは!そういう時もある。
けどね、ピンチだからこそ心の余裕を崩さないのさ。崩れそうになったら深呼吸!それで気分が落ち着くと思うよ」
「シンコキュウ…クリス!モウイッカイヤロウヨ!」
「ったりめーだ!んなとこで終われねえんだよ!」
2人が意気投合する中マリアは思い悩んでいた。
「私は強くなりたい…けど、心を鍛えていいのかしら?」
「何をやってるんだマリア?」
「いいえ、何でもないわ。行きましょう」
「マリア、きっとこの特訓は心の持ちようを鍛えてるのかもしれないぞ。たぶんな」
アグモンがマリアと並んで歩いたが、マリアは黙ったままだった。
爽谷と拓実もあまり地上での体力があるとは言えない自分のパートナーをどう動かすか互いに頭をひねっていた。
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一方、翼たちは精神統一を行なっていた。サーベルレオモン曰く精神統一は心を安定させ深く考えられ、より身近なものを知ることが出来ると言うことだ。翼とファルコモンは難なくできてしまうが、調と切歌は苦戦していた。
「はうっ!足が痺れたデス!」
「大丈夫?切ちゃん?」
調が心配そうに肩をポンポンと叩いたが切歌はデエエエエエエエエスと叫び声をあげた。
「やっぱ、俺らにはインポッシブルなんだよ。俺なんてロウソクだぞ?目を瞑るくらいしかできねえよ。あーあ、あっちはいいよなあ…」
キャンドモンが羨ましそうに翼とファルコモンを見た。
(防人として精神統一をするのは久しいな。思えばオートスコアラーが現れ、またこうして友たちと戦場を駆け抜けるわけだが、皆大きくなってきていた。立花に雪音に水琴もより頼もしくなっていったな。)
翼は精神統一の最中でも常在戦場とつぶやき続けていた。
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数時間後、山のような場所で2つのチームは合流した。
「じゃあ、次は動体視力だね。君たちは戦い慣れていると思うが、時速160キロで放たれる技には0〜9までの数字が記されているからそれをパッと見で読み解くんだ。頼むよ!」
すると、遠くにインセキモンが立っていた。
「コズモフラッシュ!」
インセキモンにより隕石がその場から時速160kmで落ちてきた。
「3!」
アルフォースブイドラモンが指差すとインセキモンが回答パネルを見せた。そこには先ほどアルフォースブイドラモンが答えた数字が記載されていた。
「すごい…」
「アンビリーバボ…!」
一行はただ拍手するだけだった。
「じゃあ、まず青のデジヴァイス所有者から行こうか」
「大丈夫なの翼?」
「フッ、困難など苦ではない!」
「じゃあ、行くよ!」
アルフォースブイドラモンが合図を送った。
「コズモフラッシュ!」
「8!」
インセキモンが回答パネルを見せた。答えは2だった。
「くっ、けわしい!」
続いて何人か攻略に励むが、結局全員が達成するのには何時間もかかった。日が西に傾く頃には全員息切れを起こしていた。
「たいして運動もしてねえのに何でこんなに苦しいんだ?」
「君たちは今まで肉体だけでの戦いしか経験しているが、戦いに大切なのは心さ。」
「心…」
「デジクロスの極意っていうのは"繋がること"なんだ。世代に問わずデジモンの心を通わせることが本質なんだ。だから今回は君たちの精神面を鍛えてもらったんだ。」
「というかさっきの訓練はなんだったの?今のと関係ないんじゃない?」
マリアがアルフォースブイドラモンに反論した。確かに先ほどの訓練はほとんどアルフォースブイドラモンの言ったことと関係はない。
「まあ、さっきの訓練は技が速すぎて見えない時でも心を冷静にさせる特訓なんだ。
戦いでは時に心を冷静に振舞わなければならない時がある。冷静になってよーく相手を見るんだ。そうしたら、少ない勝機にも僅かな希望が生まれるんだ。」
「僅かな…希望…」
「さあ!今日はここまで!
あとは自分でデジクロスの組み合わせを見つけるんだ。自分とパートナーの心を通わせればきっとメモリのデジモンたちは応えてくれるさ。」
そういうとアルフォースブイドラモンがゲートを開け、翼たちはゲートに入った。
ゲートを抜け翼たちは、SONG本部に出てその日は帰宅した。
「クダモン、僕、いや私が訓練を済ませたからシンフォギア装者たちを帰したよ。」
「うむ、ところでデーモンに関してだが奴の狙いは分かったか?」
「いや、どうやらデーモンは人間界に対してリヴァイアモンより前に侵攻を企ていたんだ。
奴は手始めに部下を送り、錬金術師と接触を計ったんだ。
その後リヴァイアモンが現実世界に現れたのを見て、密かに奴もそれに紛れ現実世界に現れた。まったく七大魔王のすることは分からないね。」
「ああ、ベルゼブモンは今の所中立だが何をしでかすか分からん。お前もイグドラシルの命で今後の調査を行うのだろう?」
「うん、それじゃあ行くね。人間たちには自分の心の持ちように気を配るよう伝えてくれ。明日にはデジクロス用のデジモンを探して実践に役立てる必要があるからね」
アルフォースブイドラモンはデジタルワールドに戻った。