東方激闘魂(バトルスピリッツ×東方project)   作:ガリアムス

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第16話ですだ!

駿太「仕事で忙しかったみたいだけど、大丈夫か?」

まぁ、何とかね?大変だったが、ある程度は落ち着きました故。

※今回もルールやコア数、手札枚数ミス、誤字や脱字を含んでいるかもしれません。

もし見つけた場合には、御指摘御願い致します。


東方激闘魂 第16話 蒼き獣神の暴走!止めろ、オレは蒼天 龍虎(そうてん りゅうこ)

青娥による暴動から2日が経った頃の深夜。此処は博麗神社…

 

駿太「…zzz」

 

ヨク「すぅ…すぅ…」

 

ツルギ「かー…かー…」

 

ハジメ「くかぁ…」

 

バシン「がぁ~…ごぉ~…」

 

畳部屋に敷かれた布団の中で、年少組が寝息を立てて眠る最中、居間では霊夢達が何やら御話中の様子で…

 

龍虎「私達を5つのチームに分ける?」

 

霊夢「そうよ。あと一時間で、BSMJSのサバイバルガンスリンガーが開幕する。弾達なら心配は要らないとは思うけれど、やっぱりこの前の事もあるから…ね」

 

弾「…俺も霊夢の意見に賛成だ。数は少なくとも、数人で行動した方が何か有った時に対応しやすい。多人数に切り分ける事で範囲を広げ、それぞれのカードを取り戻す事も大分楽になる」

 

霊夢は此方の事態を組んだ上で提案してくれた為、龍虎もこれを承認し、彼女は事前に見た主人公's組の性格やバトルスタイル等から、次の5チームに分ける事となった。

 

* * *

 

バシン&龍虎

 

ツルギ&レイ

 

駿太&ハジメ

 

幸村&霊夢

 

ヨク&弾

 

* * *

 

幸村「なぁ、何で俺と霊夢が組むんだ?」

 

霊夢「此方のバトルスタイルが貴方としか噛み合わないからよ。何?文句ある?」

 

幸村「いや…無いけど」

 

霊夢「よし、決まりね♪明日の朝から各自出発するわよ~!気合入れて勝ちましょう!」

 

まるで入学式前日の子供の様なドッキドキのワックワクな表情の霊夢に、やれやれといったポーズを取るマグナ。いよいよ始まるのだ…!

半年を費やし、本選出場を懸けた、サバイバルガンスリンガーが…!

 

* * *

 

深夜、幻想郷上空…

 

藍「紫様、1分前になりました。…御願い致します」

 

紫「よくってよ…」

 

普段のだらけきった姿は何処にもない、背筋を伸ばし、シャキッとした表情と身構えで彼女は隙間の境目に座り、天を見上げる。

 

紫「(もうすぐ満月…か。絶好とは言い難いけれど、十分な開始宣言が出来そう…)

 

…起きている方も、寝ている方も。人間、妖怪の皆々様。私八雲 紫は今この時、この瞬間を以て、第1回バトルスピリッツミラージュシップスの開催を此処に宣言致します。

 

半年間の長い戦いの果てに64人の枠に果たして誰が着く事になるか…期待しております」

 

* * *

 

龍虎「…むにゃ…朝、かな…?」

 

足裏に少しばかり走るのむず痒さで、龍虎は目を覚ました。肩から少しずれた寝間着を元に戻し、大きな欠伸と背筋と背骨が伸ばす。外は少し明るく、どうやら夜明けが近いらしい。

 

マグナ「よぉ、相棒。昨日は眠れたか?」

 

寝間着姿の龍虎の隣、小さな薄手の掛け布団からひょっこっと顔を出し、ふとつむりしているのはマグナである。大きく空いた口はデッキケースが丸々1つ入って仕舞うかのよう。

 

龍虎「うん、おかげさまでね。…今日から始まるのね。半年間のサバイバルガンスリンガーが」

 

マグナ「おうよ。目指すのは最強、それだけさ」

 

龍虎「最強になるのも有るけど、私は(楽しんで勝つ)…それが目標」

 

マグナ「…だな」

 

1人と1匹は互いに拳を合わせ、勝利を誓い合い、握手を交わす。

目指すのは優勝、そして誰よりもバトスピを楽しむ事だ。

 

* * *

 

日が昇り、朝がやって来る。この日、主人公'sは1番に龍虎が、2番目からレイ→ヨク→弾→幸村→ツルギ→駿太→ハジメ→バシンの順に起きて、各自霊夢が作った朝食で腹ごしらえし、着替えと持ち物をチェック。

 

霊夢「さて…と。博麗神社を離れたら、これからは敵同士。全員本選出場してきなさいね!」

 

駿太「ヨクはゲイル・フェニックスを取り戻した。俺もエクゼシードを探さなきゃな…」

 

ツルギ「ソードブレイブが見掛けたら教えてくれよ!」

 

レイ「後はザンドの仲間を探しながら、三龍神探しだ!」

 

ヨク「他の十二神皇と弾さんの十二宮Xレア探しもしないとな」

 

ハジメ「俺はバトスピを楽しんで闘うだけだ!」

 

バシン「ガンスリンガー突破で本選トォォタル!!!」

 

霊夢「じゃあ…頑張りましょ!!」

 

「おうっ!!!」と手の甲を合わせてから、皆それぞれの場所を目指し、歩き、飛び立ち、走り出す…!

 

サバイバルガンスリンガーが始まりを告げたのだ!!!!!!

 

* * *

 

同時刻、某湖の畔…

 

チルノ「ロッキー・ジョーの(獄連撃)と(獄強襲)発揮!相手のデッキを合計38枚破壊でトドメだ!!」

 

妖精「きゃああああ!!!」

 

チルノ「しゃあ!これで9勝目!」

 

赤々と際立つ大きな屋敷の目の前にある湖。その近くでは氷の妖精たるチルノが、同族の妖精達とバトスピをしていた。無論、彼女はサバイバルガンスリンガーに挑戦中であり、次で10勝が懸かった試合である。

 

大妖精「チルノちゃん、少し休んだら?」

 

チルノ「大ちゃん、あたいはまだまだやれるよ!それに…10勝目は(アイツ)から勝ち取らなきゃ、意味が無いんだ」

 

チルノが言う(アイツ)とは…虹色 龍虎の事である。交流戦時に彼女は自身のキースピリットで龍虎のデッキを破壊し、あと一歩という所まで追い込んだ。

だがしかし、龍虎は自分の全力を耐えて、凌ぎきり、逆転勝利。その時に宣言した。

 

「次は自分が勝つから」…と。

 

チルノ「あの時から、あたいは強くなった。勝つ為の修行もやった。後は其れをぶつけるだけだよ」

 

???「ほぉ…勝ちたいヤツが居るのか。小娘」

 

チルノ「そうそう。あたいはそいつに勝って、自分の力を証明…って誰だ、…よ!?」

 

振り返った瞬間、彼女の顔が恐怖と絶望でみるみる青ざめ、凍り付いてゆく…。

 

金色の左右非対称の巨大で強靭無類の牙、纏う青の鎧、頭部に乗せ固定している(亥)の刻印が刻まれし宝玉。

蒼き巨体、血走った瞳、そして荒々しい鼻息。

 

彼女がこれまで観たことのない、対面時点で格の差がハッキリと思い知らされたのも、今回が初めてだった。

 

???「貴様の身体…少々借りるぞ」

 

* * *

 

龍虎&バシンside…

 

龍虎「さてと…私達はこれから(紅魔館(こうまかん))と呼ばれる場所に向かおうと思います」

 

マグナ「紅魔館ってあの時間停止女とカンフー女の居る場所か、何で向かうん?」

 

龍虎「博麗神社から一番近い、緊急時に引き返し易くて、何より宿泊能力は幻想郷一番だって霊夢さんが言ってたわ」

 

バシン「成程な~。確かに休める場所は必須だよな」

 

アイボウ「とか言って、本当は野宿すんのが怖いだけじゃねーのか?」

 

2人と2匹が紅魔館を目指して歩みを進めていた所…

 

ガササ…!と、茂みが不意に揺れた。

 

バシン「な、なんだ…!?」

 

アイボウ「生き物…いや、まさか妖怪!?」

 

龍虎「ど、どどど、どうしよう!?」

 

「焦るな、騒ぐな、そして落ち着け」とマグナが2人と1匹を宥め、落ち着かせ、静める。そして…

 

マグナ「ふんす!」

 

何と事も有ろうか、茂みに火炎弾をぶち当てようという前代未聞の予想だにしない、行動を取ろうとしているのだ!

 

龍虎「ちょ!?マグナ、ストップ!」

 

マグナ「驚かすつもりなら、逆に驚かせるだけじゃあ!!」

 

バシン「おいおいおいおい!?これヤベーだろ!?火事になるって!?」

 

ギャーギャー騒ぎ立て、火炎弾が膨張し続ける。まるでクイズ番組の頭上風船の如し。このままでは数分しない内に、爆裂し辺り一面が火の海と化す!!!

 

???「うう…っ!!」

 

そんな状況の中、茂みから姿を現したのは、緑のロングヘアで水色のワンピースの少女。幸村達が出会ったと話していた大妖精だ。しかしその姿は全身に打撲傷を負い、内出血で身体が青くなっていたのだ…!

 

アイボウ「おい!?しっかりしろ!?」

 

姿を見た彼女達。マグナは直ぐ様、火炎弾を納めて、龍虎が少女を起こす。

 

龍虎「貴女、大丈夫!?意識はある!?」

 

大ちゃん「う、う…誰か…チルノちゃ、…んを…助け…て、…ください…!お、ね…」

 

がくり…と、彼女の胸の中で静かに力尽きて目を閉じた大妖精。その瞼から零れ落ちる一筋の涙。

その涙が、龍虎の中に眠っていた何かを。静かに、確実に目覚めさせた…!!!

 

同時に鳴り響くのは、幾多の木がへし折れる撃音!!!尋常ならざる事態に混乱する一行。1人と1匹を除いては…!

 

龍虎「マグナ、行こう」

 

マグナ「だな…相棒。ちょいとばかし懲らしめてやるか!」

 

互いにやりたい事が分かっているからこそ、2人は動く事が出来た。その後ろを、大ちゃんをおぶりながらバシンが追う…!

 

* * *

 

森を中を駆けて、やがて開けた大きな湖の畔に辿り着く。だが、その湖は酷い惨状を晒していた。

 

水面には折れた木々の葉と枝が浮かび、根っこを掘り返され露にされた土達。そして何よりも、彼方此方に倒れた妖精達の傷だらけで痛々しい姿。

目を反らすには十分過ぎた。

 

バシン「ひでぇ…!」

 

マグナ「こんだけぶっ壊して、今尚動いてる辺り猪だなまるで」

 

アイボウ「猪?」

 

マグナ「ああ、猪だ。しかも俺はそいつの名前も知ってる…。なぁ…(カラミティ・ボア)。テメェの仕業だろ」

 

???「オレの名前を知ってるたぁ…何処のどいつだ?」

 

湖の中央からドスの効いた一声響き、皆が注目すると其処にはチルノが仁王立ちで浮いていた。しかし其の眼は真っ赤に純血し、呼吸は荒々しく、表情は硬い。

 

龍虎「お前か…大ちゃん達を見境なく傷付けた奴は」

 

ボア「…いかにも。オレの名は、カラミティ・ボア!グラン・ロロの守護者にして十二神皇の一角、亥の称号を持つ者也!!!」

 

放たれる覇気はバトラーの直感を揺さぶる。酉の十二神皇(ゲイル・フェニックス)と同じ称号を持つスピリット。既に臨戦体勢を取っている以上、此方との話し合いが通じる相手ではない。

 

ボア「オレは障害物が嫌いでな。だから薙ぎ倒した。理由はそれだけで十分だ」

 

ブチンと何かが切れる音。バシン達の怒りが、カラミティ・ボアの発言で頂点に達しかけた時、龍虎だけは深呼吸をして(青のデッキケース)に手を置いた…。

 

バシン「許さねぇ…!俺が」

 

???「待て」

 

低く、静かで落ち着きのある声にバシンが振り向くと、其処には龍虎が居た。ただ違うのは…(髪が青空のように透き通る水色で、目が満月のように淡い黄色)である事か。

 

蒼天「如何にも猪らしい、頭の硬い考え方だな」

 

ボア「…あ"?」

 

彼女の一言は、カラミティ・ボアの額に無数の青筋が浮かび上がらせる。チルノの鼻で息を荒げ、チルノの足で水を引き上げると、龍虎を威嚇した。

 

ボア「口に気を付けろよ、女。オレは(猪)呼ばわりされるのが大っ嫌いなんだ。それも、女に言われると無性にぶっ殺したくなる。死にたくなきゃ今すぐ土下座しな」

 

マグナ「で?誰がお前を恐れると?寝言は寝ていえや、猪坊主」

 

臨戦体勢のボアという炎に、貶しの油を投下したマグナ。遂に亥の堪忍袋の尾を切断した瞬間だった。

 

ボア「ぶっ殺してやるぅわあ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!」

 

巨大スピーカーのような大音量の憤怒纏う咆哮が、湖の水を吹き飛ばし、魔法の森の残された木々を薙ぎ倒す。

バシン達がマグナの創った結界と言う名の安全地帯に移動する中、彼女は青のデッキケースをカラミティ・ボアの前に突き付け言った。

 

蒼天「お前は危険な存在だ。放ったままのさばらせておけば、幻想郷の自然が潰され尽くす。バトスピで貴様を黙らせる。オレが勝ったのなら、憑依しているチルノからすぐに離れ、私のデッキに入ると約束しろ」

 

ボア「フン!良いだろう、だがオレが勝ったのなら貴様は真っ先に死ぬ事になる!!!」

 

蒼天「マグナ!!!」

 

マグナ「任せな!バトルスフィアフィールド、展開!!!」

 

合掌し手の内に産み出した光球を空へと打ち上げるマグナ。高く昇り、ある高さまで到達すると、球が形状変化を起こしながら、龍虎とチルノに憑依したボアを半ドーム状の結界内部に閉じ込める…!

 

両者「「ゲートオープン、界放!!!」」

 

チルノの体に纏うバトルアーマーは彼女が普段使っている物とは大きく異なり、肩パッドには角が生えた蛮属の着る蒼の鎧。口をマスクで覆い、全身から放熱し蒸気に包まれたのを振り払って、姿を見せる。

 

一方の龍虎は着ていた衣服が光の粒子に変わると、右掌に収束しつつ胸にぶつける。水の持つ変化自在と、空の持つ多面性の2つの青が交じり合いながら、タンクトップとミニスパッツへ構成、装着し、手足に指出し蒼のグローブが付いた。そして5つの光が龍虎のタンクトップの真中にある5つの空間に収まり淡い光を放つ。

 

蒼天「喩え迷いの壁に阻まれようと、その先に広がる青空の如き答えを目指す。涅槃(ねはん)に至る為、俺達の道は邪魔させぬ!見せてやる、これが蒼天伝説(そうてんでんせつ)だ!」

 

ボア「邪魔する奴はぶっ飛ばす!邪魔する物はぶっ壊す!纏めて全て破壊するだけ!亥皇爆走(ししおうばくそう)!」

 

互いにデッキ名をコール、その余波がバトルスフィアフィールド全体を揺らし、衝撃が結界内のバシンとアイボウの肌を逆立たせる。

 

このバトル、どちらが勝っても只では済まない…!

 

蒼天「先行は俺が貰う。スタートステップ、ドローステップ(手札4→5)、メインステップ。

 

ソウルコアを乗せて、緑鳥童子(りょくちょうどうじ)を。さらに小波童子(さざなみどうじ)よ、前へ(手札5→4→3・リザーブ4→3→2)!」

 

サファイアの結晶を砕き、現れるのは、緑の鳥の仮面を着けた白布を纏う、青い肌の小さな少年。そして黄色のヒラヒラと金色の両短刃刀を手に持ち、琉球衣装に似た装飾を付けた青年。

 

小波「蒼天殿、おはようございます」

 

緑鳥「おはようございます!」

 

蒼天「おはよう。今日の相手は巨大猪だ、一筋縄ではいかない。注意しろ」

 

二人「はっ!」

 

合掌と御辞儀をし、童子達はボアの方へと向き直る。表情こそ見えないが、どちらも覚悟完了している…訳では無いようだ。

 

緑鳥「あ、あのぅ…帰って良いですか?」

 

小波「馬鹿を言うな!いつまでも頼ってばかりでは、明王の座には着けぬぞ!」

 

緑鳥「だって怖いんだもん!」

 

小波「じゃあかしい!」

 

ボアと龍虎をそっちのけに、怖いから逃げ出したい緑鳥と、それを阻止する小波の漫才が始まった。その様子に唖然とするバシンとアイボウ、呆れる龍虎。

 

ボア「チビ共ぉ!てめぇら、いい加減にしやがれ!此処は戦場!無駄口叩くな!ピーピー騒ぐんじゃねぇ!うるせえんだ!!!」

 

名状しがたい空気に、青筋がさらに浮かび上がったボアの激が飛んで、空気が静まりかえる。

 

蒼天「二人共、気は済んだか?」

 

二人「はい…見苦しい姿を」

 

蒼天「許そう。…最後にバーストセットし(手札3→2)、俺はターンを終了する」

 

蒼天 ライフ5 手札2 リザーブ2 トラッシュ0 バースト有

 

緑鳥童子 レベル1(SC)1000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

ボア「スタートステップ!コアステップ(リザーブ4→5)、ドローステップ…ふん(手札4→5)!」

 

ボアのドローは、なんと自身の鼻息でカードを飛ばして手にしたのである。

 

バシン「あんなんありか!?」

 

アイボウ「ぎょぇ…」

 

蒼天「成程…猪だな」

 

ボア「猪じゃねぇ…、オレはカラミティ・ボアだ!メインステップ!

 

こい、ウリマジロ!戦闘獣バビルーザ(手札5→4→3・リザーブ5→4→3)!」

 

サファイアの結晶を砕き、まんまるで可愛い尻尾の生えた豚らしき生物と、全身を白の牙のようなトゲで纏う、猪が現れる。

 

ボア「さらに、アクセル発揮!オレは手札の癸亥坊(きがいぼう)カラミティ・ウリを使う(手札3→2・リザーブ3→1・トラッシュ0→2)!こいつはデッキの上から3枚確認して、そん中の系統:(神皇)/(十冠)を持つスピリットカードと異魔神ブレイブを1枚ずつ手札に出来る優れもん…よ!」

 

またしても鼻息でデッキトップ3枚を吹き飛ばし、その内容を確認するボア。3枚のカードは左から、癸の爆獣グリズクラッシュ、巨顔石の森、戦闘獣ライノ・セーラスであった。

 

ボア「グリズクラッシュを手札に、残りは破棄。ターンエンドだ」

 

ボア ライフ5 手札3 リザーブ1 トラッシュ2

 

ウリマジロ レベル1(SC)2000

 

戦闘獣バビルーザ レベル1(1)1000

 

(手元:癸亥坊カラミティ・ウリ)

 

* * *

 

???「合体(ブレイブ)スピリットでアタック」

 

男「うわあああああ!」

 

幻想郷とは違う世界の、とある場所で天に現れた純白の球体から、1人の男が吹き飛ばされ、地面を転がる。

収縮し、消えて行く球体から、不思議な形をした透明な乗り物がその頭上を越えて行った。

 

???「…………渇く」

 

彼は渇いていた。いや…あの時からずっと、だろう。満たされてはいない…(あのバトル)から。

何度ライフを砕かれても、何度アタックしようとも、決して己の心は満たされない。虚しさが渇きをより加速させるだけに過ぎない。

 

???「…………もう一度、奴とバトルがしたい」

 

???(フフ…その願い、叶えましょう)

 

???「な…に、…!?」

 

刹那、彼の頭に響いた声。そして乗り物ごと、彼の身体と意識は暗闇に溶け落ちた。

コントロールを失い、墜落する機体。その落下先に広がる、大きな穴に吸い込まれ、彼は(この世界から)忽然と姿を消した…。

 

* * *

 

蒼天 龍虎とカラミティ・ボアに憑依されたチルノの青デッキ同士のバトルは、お互いが堅実に、かつ牽制し合う戦いとなった。

 

第3ターン…龍虎は一連のステップを経由し、メインステップで青のマジック・マントラドローを2枚を使用。手札を合計で3枚増やしながら、トラッシュにマントラドローの効果で、阿弥陀如来像と光灯る三叉灯台を破棄し、ターンを終える。

 

(手札:2→3→2→5→4・4→3→6→5)。

 

(リザーブ:2→3→2・2→1)

 

(トラッシュ:0→1・1→2)

 

ライフ5 手札5 リザーブ1 トラッシュ2 バースト有

 

緑鳥童子 レベル1(SC)1000

 

小波童子 レベル1(1)2000

 

第4ターン…ボアはメインステップ時、青のマジック・ストロングドローを使い、3枚ドローの後に手札から癸の爆獣グリズクラッシュ2枚を破棄する…と同時に、その2体がフィールドに召喚された。

 

(手札:3→4→3→6→4)

 

(リザーブ:1→2→4→3→2→1)

 

(トラッシュ:2→0→1)

 

本来ならば手札破棄等でトラッシュに送られる筈のカードだが、グリズクラッシュは手札破棄でトラッシュに送られる時のみ、ノーコストでの召喚が可能になるという、トリッキーな能力を持ったスピリットなのだ。

 

蒼天 龍虎はボアの性格からアタックをしてくると踏んでいたのだが、ボア自身はアタックする事なく、ターンを龍虎に渡す。

 

ボア ライフ5 手札4 リザーブ1 トラッシュ1 手元:カラミティ・ウリ

 

癸の爆獣グリズクラッシュ レベル1(1)7000 ×2

 

ウリマジロ レベル1(SC)2000

 

戦闘獣バビルーザ レベル1(1)1000

 

* * *

 

そして第5ターン…静寂の中、遂にバトルが動き出す。

 

蒼天「スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札5→6)、リフレッシュステップ(リザーブ2→4・トラッシュ2→0)、メインステップ。

 

では、行こうか…。緑鳥童子のソウルコアをリザーブのコアと入れ換える。そして、ソウルコアをコストとして、深海の起導士(きどうし)ウナトを呼ぶ(手札6→5・リザーブ4→0・トラッシュ0→3(SC))!」

 

サファイアの結晶を砕き現れたのは、平安時代を繁栄を極めた貴族の男性が着ていたような、蒼の衣服に袖を通し、髭を生やす麒麟の顔をした人の姿。

その手には僧侶が魔を祓う際に使う、数珠の杖が握られている。

 

ウナト「今日は随分と早い呼び出しだな、龍の児よ」

 

蒼天「まぁな。ウナトは召喚時に(起導:青)の効果を持っている!よって…(Sバースト)を発動っ!それが…これだ!!!」

 

ウナトが杖をバトルフィールドの大地に刺し、両手で印を結び、難しい言葉を詠唱。

「破っ!!」と右手を叩き着けた時、がんじがらめにされていた鎖が弾け飛び、バーストの封印が解かれた!

 

直後、何処から溢れた水…否海水が湯水の如く沸き出しながら、大波となり、戦闘獣バビルーザを飲み込み、破壊する!

それだけではない、ウナトの上空から2つのコアが飛来し、彼の体に吸い込まれたではないか!

 

ボア「何しやがった、てめぇ!」

 

蒼天「オレが発動したのは、芙蓉(ふよう)の五重塔。Sバーストを内蔵したネクサスの1枚、そのバースト効果で、お前のコスト4以下のスピリット1体を破壊し、その時に、このネクサスが(起導)によって発動していれば、ボイドからコア2つを自分のスピリット1体に追加出来る。

 

其れ故にバビルーザは破壊され、ウナトにはコアが2つ乗ったのだ。そしてウナトは(起導)を発動させた時、1枚ドロー出来る(手札5→6)」

 

海水が盛り上がり、やがて姿現すそれは仏教の繁栄たる都市・奈良の五重塔と酷似した、蒼の美しい塔であった。悩みなど些細な事だと思わせてしまうほどに。

 

蒼天「ウナトのコア1つを小波童子に移動し、レベル2に。そしてアタックステップ。ウナトで攻撃する!」

 

「任せておけ」と小さく頷き、持つ杖をシャランと鳴らし、地面を衝く。すると彼女の手札の中に有った、1枚のカードがバーストゾーンにセットされた(手札6→5)。

 

ボア「その獣野郎の効果か…!」

 

ウナト「如何にも。儂がバトルする時、龍の児の手札からバーストカード1枚をバーストゾーンにセット出来る。儂の一撃はどう受けるかい!?」

 

ボア「ライフで受けてやらぁ(ライフ5→4・リザーブ2→3)!!!」

 

ウナトが振るう杖、その鋒に煌めく金の刺は三つの閃を刻みて、ボアの守るライフを穿ち貫いた!

 

ボア「ちぃい…!」

 

蒼天「緑鳥童子、小波童子!ウナトに続け!」

 

「承りました!」と二人の声が響き、低く体勢を下げながら童子達は走り出した!

 

ボア「ライフにこいやぁ(ライフ4→3→2・リザーブ3→4→5)!」

 

ボアの周り二重に展開される青のバリア、其処に童子達の八卦が炸裂。亀裂を生み出し、破壊された破片が、チルノの体を衣服を掠め、切り裂く…!

 

緑鳥「どんなもんだい!」

 

小波「調子に乗るんじゃない」

 

蒼天「ターン終了だ」

 

蒼天 ライフ5 手札5 リザーブ0 トラッシュ3(SC) バースト有

 

深海の起導士ウナト レベル2(2)5000 疲労

 

緑鳥童子 レベル1(1)1000 疲労

 

小波童子 レベル2(2)4000 疲労

 

バシン「よし!龍虎が押してる!」

 

アイボウ「このまま押しきれー!!!」

 

ボア『じゃあかしいわぁ!!!』

 

バシン達の龍虎を応援に、ただでさえ沸点が低いボアの怒りをより高める結果となる。鼓膜が破れる程の大声に、耳を塞ぐバシンだが、対面する彼女は動じる事無く、静かに仁王立ちをしていた。

 

蒼天「…ボアよ。一つ聞きたいのだが」

 

ボア「ああ"?」

 

彼女を睨む視線は冷たく、鋭いものであった。しかし龍虎は退く事はせず、怒りに震える獣に問う。

 

蒼天「何故チルノに憑依した?お前程の力を持つ存在ならば、実体化すら容易だろう」

 

その問いに、ボアは我々の耳を疑わせる驚くべき言葉を口にした。

 

ボア「何故ってか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コ イ ツ が 扱 い や す い 馬 鹿 だ

か ら に 決 ま っ て る だ ろ ?

 

 

 

 

その瞬間、この場に居た者達の怒りが爆発した。バシンとアイボウ、そしてマグナさえも。今まで覚えた事がない、本当の意味の怒りを感じたのだ。

 

ボア「コイツは強くなりたいと、俺に頼んできた。其所の青髪の女と戦い、勝ちたいと。故に力が欲しいとな。だからオレはコイツを乗っ取り、心の底に封じ込め続けていた、闘争本能を引き出しただけに過ぎない。

 

だが此の結果はどうだ?自制心を失い、大切な仲間を傷付け、コイツが意識を取り戻せば、待っているのは…『絶望』だけ。

 

居場所を失い、友を失い、軈ては…」

 

蒼天「それがどうした」

 

一言、龍虎の声がボアの言葉を断ち切る。驚く事に彼女の顔や雰囲気からは一切の『怒り』が感じ取れない。

 

蒼天「どうであるにせよ、今回のチルノは利用され、力の使い方を過った。それはまごうことなき事実であり、自業自得に過ぎん。

 

正気に戻って泣き叫ぼうが、オレの知った事ではない」

 

バシン「おい、龍虎!お前」

 

蒼天「だがな」

 

刹那、バトルスフィアフィールドがけたたましく揺れ始め、スピリット達の足元に海水が沸き始めた。同時にそれまでは雲一つない晴天の空には、雲が幾重にも重なり、積み上がり、やがて稲妻が迸り大雨を降らし始めたのである…!!!

 

蒼天「彼女はオレが幻想郷(このせかい)に辿り着いて、初めてバトルをした戦友(カードバトラー)だ。彼女のバトルはまっすぐで、曲がる事の無い信念を持っている。

 

扱いやすい馬鹿だと?お前にこの娘のバトルの何が分かる?

 

自らの信念を貫き通し、最後の一瞬さえも諦めなかった彼女を、馬鹿と決め付けた貴様を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オ レ は 絶 対 に 許 さ な い

 

マグナ「…!」

 

マグナの全身に鳥肌が立つ…。バトルスフィアフィールドには、スピリット/アルティメット達に意思を宿す以外にも、バトラーの心情によって空気や天候がフィードバックする力が宿っている。

 

白鋼の時に吹いた猛吹雪は、幻想郷の人々を唆した青我に対する『断罪』を。

紅蓮の時の大爆発は、自分を再び立ち上がらせ、バトスピに向き合う気持ちを思い出させてくれた、幸村に対する心からの『喜び』を。

 

そして蒼天の時に起きた嵐は、チルノを馬鹿にしたボアに対する、顔には顕せない無尽蔵からなる『怒り』が反映されていたのである。

 

蒼天「覚悟しろ、カラミティ・ボア。お前のライフ、後一時の内に全て打ち砕く…!」

 

ボア「やれるもんならぁ…!!!やってみやがれぇえ!!!!!!

 

スタートステップ!コアステップ(リザーブ5→6)、ドローステップ…きやがったぜ(手札4→5)!

 

リフレッシュステップ(リザーブ6→7・トラッシュ1→0)、メインステップ!!!

 

さぁ…ぶっ殺される覚悟は出来たか、女ぁ!!!」

 

ボアの鬪気が増幅する。放たれ、満ちる強大な気が、バトルスフィアフィールドを支配する。荒れ狂う嵐と、蹂躙する威圧が激突し、火花を散らし合う…!

 

そしてボアは、先のドローステップの際に手にしたカードを高く掲げ、チルノの体から蒼のオーラを濁流の如く放出させ、叫ぶ…!!

 

バシン「何かくる…!?」

 

マグナ「オメェら、気ぃ引き締めろ!でけぇのがくるぞ!!」

 

ボア「きやがれ!!全てを蹴散らす、蒼の砲弾!!!全てを壊して、更地に還ろ!!!

 

召喚!亥(いのしし)の十二神皇(じゅうにしんおう)カラミティ・ボア!!!レベル2でぇ!突・貫(手札→・リザーブ7→0・トラッシュ0→3)!!!」

 

チルノの手から離れ、フィールドの最果てまで飛んで行った瞬間、(亥)の紋章が浮かび、青い光が地平線を染め、同時に鳴り出す、五月蝿い程けたたましい地響き。その正体は軈て、フィールド内のバトラー達の視界にハッキリと映る。

 

蒼のオーラを纏い、巨体にも関わらずソニックムーブを起こせるだけの速さで此方に接近してくる、1匹の獣の姿を。

 

金色の鎧と刺を纏い、雄々しき2本の牙が風を穿つ。深紅に純血した眼が、蒼天を捉えた時、獣は前脚の蹄を地面に食い込ませ急ブレーキを掛けつつ、チルノの真横で止まった。

 

そして鼻から大きく息を吸い込むと、かつて黒船が放った空砲のような、全ての弱き命を千切り取る程の大きな咆哮を放ったのだ!!!

 

ボア『バォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』

 

アイボウ「ぎょええええ!!!!」

 

バシン「うわああああああああああああああ!?」

 

マグナ「くそが!一切自重しやがらねぇ、この猪坊主は!!!」

 

ボア「ウリマジロのソウルコアをカラミティ・ボアに乗せ換え、消滅!さぁアタックステップだ!

 

オレ自身のアタック…受けてみやがれ!!!」

 

吼え猛り、カラミティ・ボアがバトルスフィアフィールドを爆進する。そして、ボアは自身の持つ力を解放した!!!

 

ボア「オレ自身のアタック時効果!(封印)!

 

それによりオレのソウルコアを、オレのライフに加える(ライフ2→3)!!!」

 

赤い粒子に変換され、ソウルコアの輝きがボアの憑依するチルノのバトルアーマーの真ん中へと収まり、淡い虹色の神秘の光を放つ!

 

ボア「封印を行った事で、オレのアタック時効果が解禁!その名は(突進)!

 

この効果でオレは、相手の最もコストの低いスピリットへ指定アタックが出来る!」

 

バシン「…あれ?ショボくないか?」

 

マグナ「いや…よく見とけ、奴は仮にも十二神皇の座を得ている。奴の突進が、(1体)のスピリット如きで止まる事はあり得ない」

 

アイボウ「どゆこった?」

 

ボア「まずは小波童子からだぁ!」

 

小波「ぬ!!!」

 

ボアの走る速度がさらに早くなり、蒼のオーラがソニックムーブとなりて、彼を包む!小波童子は両手の双刃刀を構えたが、ボアの突進を前には紙屑同然のように吹き飛ばされ、爆散した!

 

同時に龍虎のデッキトップから、ボアが起こした衝撃波を受けて、8枚のカードが吹き飛ばされる(リザーブ0→2)!

 

蒼天「何…」

 

ボア「オレのレベル2のアタック時効果!オレのアタックをブロックしたスピリットが、破壊もしくは消滅したならば相手のデッキから8枚カードを破壊する!

 

そしてぇ!オレの突進は相手にスピリットがいる限り、何度でも続く!!!緑鳥童子を指定アタックだ!!!」

 

蒼のオーラ纏うボアの突撃は止まらない…!速度はさらに増し、大きくUターンしつつ、緑鳥童子を狙い撃つ!

 

ボア「オオオオオオオオオオオ!!!」

 

緑鳥「うわああああ!!!」

 

抵抗する暇さえ与えられず、緑鳥童子もまたボアに牽き殺され、蒼天のデッキからカードが8枚トラッシュへ落ちて行く…(リザーブ2→3)!!

 

ボア「最後ぉ!この海産物ジジィがぁ!!!」

 

ウナト「ジジィとは何だ!ジジィとアベシ!!!」

 

角に弾かれ、天を舞い、地面に叩き付けられたウナトが爆散する。それは同時に、蒼天のデッキがまた8枚カードを失う合図でもあった…(リザーブ3→5)。

 

ボアが吼える。龍虎のスピリットは全滅し、デッキはこのターンで24枚も消えた。形勢はたった一発のアタックで逆転したのである…!

 

バシン「うそだろ…」

 

ボア「はっはぁ!!これがオレの力!オレ自身のまごうことなき力ぁ!

 

グリズクラッシュ、やれぇ!」

 

スピリットを全滅させ、勢いそのままにグリズクラッシュで追撃するボア。防げるスピリットの居ない龍虎は、無言で左手を翳し腰を少しだけ落とす。

蒼熊の爪が彼女を守るべく展開されたバリアを切り裂き、破壊する。衝撃と破片が龍虎を襲うが、静かに、落ち着いた表情で其れを耐え凌いだ…(ライフ5→4・リザーブ5→6)!

 

ボア「まだだぁ!もう1体のグリズクラッシュでアタック!同時にフラッシュ、白のマジック、リブートコード!コストはオレ自身のコア3つを使う(トラッシュ3→6)!

 

効果でオレのスピリット全てを回復!そら食らえやぁ!!!」

 

再び襲う痛みに龍虎は耐えた(ライフ4→3・リザーブ6→7)。身体を破片が切り裂き血が流れても、衝撃が胸を押し潰そうとも、彼女は耐える…!!!

たった一度の勝機を掴む為…!!!

 

そして、時は遂に満ちた…!!!!2体目のグリズクラッシュが彼女のライフを破壊した事で、バーストゾーンにセットされたカードを封じ込めていた鎖が音と共に弾け飛ぶ!

 

ボア「ん?!」

 

蒼天「オレのライフが減少した事で、オレのバーストカードの発動条件は整った!カードの名は鉄拳明王(てっけんみょうおう)!!!

 

ライフ減少を引き金として発動時、自分の手札とトラッシュにあるネクサスカードを3枚まで、コストを支払わずに配置する事が出来る!」

 

龍虎のトラッシュへ沈んだカード達が、静かに浮遊し、彼女の前で止まった。その中から彼女は阿弥陀如来像、光灯る三叉灯台、鉄壁なる巨人城塞の3枚を選択、フィールドに置いた。

 

同時に彼女の後ろには神々しき光を放ち鎮座する青銅の巨大な大仏像、吹き荒ぶる豪雨に迷う船人を救う三叉の窓から海と空を照らす高き灯台、一切の外敵を拒み退ける偉大さを誇る巨大な城壁が展開されたのである。

 

龍虎「阿弥陀如来像の配置時効果で、オレのネクサス光灯る三叉灯台に1コア追加。光灯る三叉灯台の配置時効果で、手札から雷神砲カノンアームズをノーコストで召喚!

存在維持の為、三叉灯台に追加されたコアをカノンアームズに置く(手札5→4)!」

 

サファイアの結晶を砕き現れる、顔と腕がくっ付いた青鋼の戦車。砲口には金色の龍のアギトがあり、中々派手である。

 

蒼天「この効果発揮後、鉄拳明王はノーコスト召喚出来る!

今こそ出でよ!我が蒼天伝説の大いなる存在!邪なる敵を打ち倒す、青の皇!降臨せよ!!鉄拳明王!レベル3だ(手札4→3・リザーブ7→1)!」

 

荒れ狂う豪風雨の中、サファイアの結晶が現れる。刹那天から落ちた雷が結晶を真っ二つに割ると、煌美やかな光を瞬きの内に放って爆散。

 

軈て現れたのは、青の肌に四腕を持つ赤髪でポニーテールのように束ねる1体の巨人。六肢には金の防具を纏い、背に歯車を彷彿とさせる円輪。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」と天に叫ぶ声が、それまでバトルスフィアフィールドに広がっていた雷雲と荒れ狂う水を一瞬の内に吹き払ったのである!!!

 

バシン「ボアにも負けねぇでけぇ声だああああ!?」

 

アイボウ「此処は大合唱中のホールか何かかぁあああああ!?」

 

バトルスフィアフィールドが揺れていた。カラミティ・ボアの本能赴くままの咆哮、そして鉄拳明王の有り余るパワーを発散する凄まじい咆哮で、1人と1匹の鼓膜は限界を迎えつつあった。

 

ボア「でけぇ声出しやがって!ターンエンドだ!!!

 

(オレの手札にはブレイブを破壊出来る秘剣燕返し、そしてブロッカーは3枚…何も問題ねぇ。次のターンを確実に凌ぎ、奴は血祭りだ。せいぜい最後のバトルを楽しみやがれ…くっくっく)」

 

ボア ライフ3(SC) 手札3 リザーブ0 トラッシュ6

 

カラミティ・ボア レベル1(1)10000

 

グリズクラッシュ レベル1(1)7000 ×2

 

蒼天「(確実に凌ぎ切れる…と、そんな所か。生憎オレはそんな簡単に勝たせる程、甘いバトラーでは無い。それに言った…後一刻で貴様のライフを全て砕くと!)

 

スタートステップ、コアステップ(リザーブ1→2)、ドローステップ(手札3→4)、リフレッシュステップ(リザーブ2→5(SC)・トラッシュ3→0)、メインステップ。

 

行くぞ。雷神砲カノンアームズを鉄拳明王に合体(ブレイブ)する!」

 

カノンアームズにスパークが迸り、キャタピラと砲門が分離する。砲門は鉄拳明王の背部の輪に合体し、キャタピラは脚へと移動。4つの腕を交差させた青の王は、溢れる力を闘気として解き放つ!

 

蒼天「鉄拳明王の2コアをリザーブに戻し、リザーブのソウルコアを鉄拳明王に乗せ、さらに鉄壁なる巨人城塞のレベルを2上げる(リザーブ5→7→6→5)。そして…仕上げだ。このカードが、お前を倒す1枚となる!

 

ネクサス、千間観音堂(せんげんかんのんどう)をレベル2で配置(手札4→3・リザーブ5→2・トラッシュ0→2)!」

 

彼女の後ろに顕現するのは、雛壇の如く各段に所狭しと並ぶ黄金の仏像達。その数は千体は下らない。少しの光を当てたなら、何倍にも輝き帰ってくるのは明確だ。

 

ボア「ちぃ…!くっそ眩しいな!」

 

蒼天「ボア、このターンでオレは勝負を決める!受けてみろ!オレの全力を!

 

アタックステップ!鉄拳明王よ、合体アタックだ!!!!」

 

「承った…!」と鉄拳明王(かれ)は頷き、そして走り出す!同時に彼女のネクサスである、鉄壁なる巨人城塞と千間観音堂が青のオーラを放ち、さらには合体中の雷神砲が輝き始めた!!!

 

ボア「な!?何だ!?!」

 

蒼天「鉄壁なる巨人城塞のレベル2の効果で、鉄拳明王には現在、(粉砕)の効果が与えられている。鉄拳明王のレベルは3、よって3枚が破壊。

 

次に千間観音堂のレベル2効果が発揮され、ソウルコアを乗せた自分のスピリットが相手のデッキを破壊した場合、相手のデッキからカードを5枚破壊する。

 

さらに、カノンアームズの合体アタック時効果、相手のデッキから1枚カードを破棄して、このターンの間、破棄されたカードと同じ色のカードを相手は使用不可能になる。

 

つまりボア。お前はこのアタックステップで鉄拳明王のアタックの度に9枚のカードを失い、同時にその9枚の中にある同じ色のカードが使えなくなった訳だ。

 

最後に1つ。オレの鉄拳明王はレベル2から(強襲:3)を持ってる」

 

(粉砕)とは、デッキ破壊を得意とする青が持つ能力の1つで、自身のレベルに応じた数のカードを相手のデッキから破壊出来るもの。破壊出来る枚数こそ少なくとも、積み重なれば軈ては大きな差となる効果。

粉砕にはこの能力をより強力な物へと進化させた(大粉砕)が存在し、その破壊枚数は粉砕の5倍にも及ぶ。

 

そして(強襲)は、強力な効果を内蔵した青のネクサスと、粉砕・大粉砕と噛み合った効果だ。強襲はアタックステップ中、自身のスピリットの強襲の横にある数まで、ネクサスを疲労させる事により、そのスピリットが回復するというもの。

 

青のスピリットは赤ほどでは無いものの、高いBPを誇るスピリット達が多く、複数シンボルを持つ者やデッキ破壊に特化したカードが沢山あり、攻撃回数の増加はこれ等の効果を何倍にも押し上げる。

 

…其れを踏まえた上で、龍虎の鉄拳明王の状況を確認すると、彼は(強襲:3)を持つ為、計4回のアタックが可能となっており、1回のアタック度にボアのデッキを9枚破壊。その合計枚数…36枚。

 

そう。鉄拳明王はこのターンでボアのデッキを全て破壊出来る状況になっていたのだ。

 

ボア「なん…だと…」

 

蒼天「鉄拳明王よ。奴のデッキを破壊せよ!」

 

鉄拳明王が拳を合わせた時、その衝撃が雷神砲の砲撃と共にボアのデッキを9枚破壊した!そして落ちるカードの中には青と白、そして緑が見える…!

 

蒼天「…これで、お前は青・白・緑のカードを使用出来ない。同時に鉄拳明王の(強襲:3)を発揮!ネクサス、芙蓉の五重塔を疲労させ、鉄拳明王は回復する!」

 

ボア「くそが!だが、オレのスピリットには手出しは!!!」

 

ボアは例えライフが吹き飛ばされようが、デッキが破壊されようが、何としてもバトルスフィアフィールドの自身を守るつもりのようだ。

だが、それさえも彼女には見えていた…ボアが腐っても、自分だけは守ると。

 

故に…彼女は叩き付ける。

 

蒼天「残念だが、お前のスピリットは1体たりとも残すつもりは無い…!フラッシュタイミング!

 

鉄拳明王をレベル2へダウン!その3コアを使用してマジック、アグレッシブレイジを使用(手札3→2・トラッシュ2→5)!!!」

 

ボア「んな…!?」

 

アグレッシブレイジの名前を聞いた瞬間、ボアの顔が絶望に染まる。何故ならば、アグレッシブレイジは自分のスピリット1体に(激突)の効果を与える赤のマジックカードであり、(激突)は可能なら相手のスピリットにブロックを強要させる能力を秘めている。

 

既にお分かりの方はいるだろうか?龍虎の真の狙いが。

 

蒼天「アグレッシブレイジの効果で、鉄拳明王は(激突)を得た。さぁ…ブロックして貰おうか!!」

 

ボア「ぐ、グリズクラッシュでブロック!」

 

青の闘気と赤のオーラが融合し、グリズクラッシュへと鉄拳明王はぶつかった!グリズクラッシュは後ろ脚で立ち上がり、前脚の爪をぶつけんと振るが、鉄拳明王は2本の腕を滑り込ませて押さえると、残す2本で、腹部に力を籠めた拳を叩き付け、吹き飛ばし破壊する(リザーブ0→1)!

 

蒼天「鉄拳明王でアタック。粉砕で3枚、千間観音堂で5枚、カノンアームズで1枚。計9枚破壊…同時に(強襲)の効果で鉄拳明王は再び回復!」

 

ボアのデッキが次々に破壊され、迫る鉄拳明王にグリズクラッシュが迎え撃ち、4つ腕に頭部を撲り潰され爆散する…(リザーブ1→2)。

 

蒼天「再びアタック。粉砕、観音堂、カノンアームズ。そして強襲並びに…激突」

 

ボアのデッキが鉄壁なる巨人城塞によって与えられた(粉砕)の効果で、遂にデッキが尽きる。だが龍虎は。鉄拳明王は止まらない。

最後の回復状態のスピリット、カラミティ・ボアに激突する。

 

ボア「う、うあ…アアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

半ば発狂したかの様な脅えた声を上げ、ボアは青のオーラを纏いつつ、鉄拳明王へとぶつかった。

一心不乱に、自分を守る為に、鉄拳明王を排除するために。

 

だが、排除する事は叶わなかった。

 

カラミティ・ボアのBPが10000であるのに対して、鉄拳明王のBPは千間観音堂のレベル1効果で+2000とカノンアームズの合体で+5000の合計17000。

 

牙を押さえられた結果、ボアの突進は鉄拳明王に止められ、空いた2本の腕は手刀になり、牙を砕き、獣の体勢が崩れた。其処に4つの腕の乱打が飛んでくる。

巨体はバランスを立て直しで腹が疎かに、防御も回避も出来ない所に乱打がクリティカルヒットするっ!!!

 

ボア「ぐあわぁああああああああああああ!?」

 

鉄拳「成敗!!!」

 

顎へアッパーが炸裂し、ボアの巨体が宙を3度舞い、巨大な花火となって爆ぜた!!!

バトルスフィアフィールドにたった1体、王は立ち上がり、カラミティ・ボアへと歩み寄る…!!!

 

蒼天「鉄拳明王、4回目のアタック。そして最後…フラッシュタイミング、青のマジック。全てを砕く一撃、爆砕轟神掌(ばくさいごうじんしょう)!!!

 

コストは鉄拳明王の2コアと千間観音堂の1コアで確保。鉄拳明王を回復させ、レベルを1つ上の物として扱う(トラッシュ5→8)。さぁ…」

 

 

 

 

 

死 ぬ が 良 い

 

 

 

 

 

バキン!ボキン!と鳴り響き、龍虎と鉄拳明王の獰猛な笑み。そしてその後にボアの悲鳴がバトルスフィアフィールドに木霊した。チルノの体からカラミティ・ボアの気配が分離して、彼女はゆっくりと大地に伏す。

 

蒼天「勧善懲悪、因果応報。蒼の拳が悪を砕く!」

 

* * *

 

バシン「龍虎、大丈夫か!?」

 

蒼天「オレは問題ない、それよりも妖精の皆が不味い。チルノもだが。でも、何でか…な、…少し、眠く…な…」

 

バトルスフィアフィールドと言う名の戦場から解放された反動か、龍虎の瞼は段々と重くなり、視界が暗転し、数秒の内に彼女の髪は、青から元の虹色へと戻る。

 

そして…彼女は倒れてしまった。

 

バシン「龍虎!?おい、龍虎!龍虎!!!」

 

マグナ(龍虎…まさか、お前…)

 

倒れた龍虎、傷付いた妖精達、そして残されたバシンとアイボウとマグナ…!

 

バトスピミラージュサバイバルシップス予選、サバイバルガンスリンガーは、こうして波乱の幕開けとなった…!!!

 

彼女達の運命や如何に!?




第16話、お疲れ様でした!

龍虎「私、倒れたんだけど」

チルノ「あたいの扱い酷くない?」

はい、すいませんでした…

マグナ「それよりも宣言する事があんだろうが、はよ言えや作者」

はい…読者の感想にも有りました通り、ちょくちょく書くと読みづらいとの指摘を頂きました。対策としては完全に出来上がるまでは投稿せず、途中保存をする事が考えられます。

更新ペースは大分落ちますが、失踪する予定はありません。最後まで書き上げます。

マグナ「こんなダメダメな作者だが、読んでくれる皆からの感想や指摘がとんでもなく力になるし、学べる事が多いんだ。長い目で見てくれると助かるぜ」

最後にはなりましたが、前話で登場したオリカを紹介して終わりたいと思います。
次回予告は今回は無いです、ごめんなさい!

スネークレイブ コスト6(紫3)

メイン:自分の手札にある系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚と、自分のデッキを上から6枚破棄し、破棄したカードの中の系統:妖蛇を持つスピリットカード1枚につき、自分はデッキから1枚ドローする。

フラッシュ:自分のトラッシュにある系統:妖蛇を持つスピリットカードを2枚まで手札に戻す事で、相手スピリット/アルティメットのコア2個を、相手のリザーブに置く
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