聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい!   作:みおん/あるあじふ

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(・3・)まみ~ん。
アットノベルス様から引っ越ししてきました。
駄文ですが見て頂けると幸いです。


プロローグ

アトス総本山本部。

 

天井から神々しい光がステンドグラスを通し、巨大な聖堂内を色鮮やかに包んでいる。

 

聖堂の奥には大きな教壇。その教壇の前には右目に眼帯を着けた男……ユーリ=野田がいた。

 

そして、ユーリの前には銀髪の少年“致命者”サーシャ。

 

隣にはサーシャのパートナー“剣の生神女(マリア)”織部まふゆ。

 

赤銅(しゃくどう)の人形遣い”エカテリーナ=クラエと、パートナー“雷の携香女(マグダラ)”桂木華。

 

彼らはユーリからの連絡を受け、アトスの総本部に招集をかけられていた。

 

「―――――今日お集まり頂いた理由は他でもありません」

 

ユーリの声が反響して聖堂内に響く。

 

「任務だな」

 

サーシャの問いに、ユーリは躊躇いもなくええと頷いた。

 

「川神市に詳細不明の元素回路が流出し、被害が出ているとの情報が入りました」

 

元素回路(エレメンタル・サーキット)

 

紋章屋(クレストメーカー)が元素番号0の「賢者の石」を使って編み出された、力を持った紋様の事で、身に着ければ様々な力を得ることができる代物である。

 

その元素回路が川神市内で流出し、所有した人間が悪事に利用して暴行や窃盗が頻繁に行われていると、アトスの調査部隊から一報が入ったという。

 

「調査の結果、元素回路の流出先が川神学園周辺にある可能性が極めて高いと判断しました」

 

『川神学園』。

 

 

川神市内を代表する大規模な学校で、特徴的な行事・授業が行われている有名校である。

 

調査部隊の報告によると、元素回路の流出が学園周辺に集中していることが判明した。しかし、出所は一切不明。

 

川神院の人間や学園関係者にも協力を依頼しているが、危険な代物であるため、知っている人間は極一部のみ。調査は難航していた。

 

「あなた方は川神学園に生徒として潜入し、元素回路の調査に当たってもらいます」

 

大事にならないよう速やかに処理をする、それがアトスの決定だった。

 

「―――致命者サーシャ、織部まふゆ。エカテリーナ=クラエ、桂木華。川神学園に潜入し、元素回路の流出先を捜索、及び破壊するのです」

 

サーシャ達の、新たな任務が始まる。

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

関東の南に位置する政令指定都市、川神市。季節は夏。

 

 

江戸時代から栄え、武士の屋敷等、歴史的建造物がとても多い。

 

そんな歴史ある街の中に……『川神学園』はある。

 

その川神学園を繋ぐ、大きな橋が多馬大橋。橋の下には多馬川が流れ、喉かな風景が続いている。

 

また個性豊かな生徒が多いことから、通称“変態の橋”と呼ばれていた。

 

その橋を渡り、川神学園へと向かう生徒たち一行、風間ファミリー。

 

ファミリーのリーダー、キャップ。参謀役の直江大和。

 

島津岳人、師岡卓也。川神一子、川神百代、椎名京に黛由紀江。そして、クリスティアーネ=フリードリヒ。

 

仲の良いグループで、何をするにも一緒。新しく参入したクリスもすっかり溶け込んでいた。

 

「ああ……突然空から美少女でも降ってこないだろうか」

 

と、唐突に空を仰ぎながら幻想を抱く百代。向かう所敵なし。百戦錬磨の武神。

 

「何言ってんだよモモ先輩は。美少女なんて周りにいくらでもいるじゃねーか。俺にも分けてほしいくらいだぜ……」

 

恨めしそうに溜息をつく岳人。現在告白連敗中である。

 

「ダメだやらんぞ。あれは全部私のものだ。悔しかったら奪い取ってみろ。はっはっは」

 

勝ち誇ったように、高らかに笑う百代。当然それは自殺行為なので手を出せるわけがない。

 

「くっそ~……ああ、突然可憐な美少女(年上限定)が告白してこねぇかな~」

 

「大丈夫。それは天と地が引っくり返ってもあり得ない」

 

岳人にとどめの一言を入れる京。岳人はしゅんと肩を落とすのだった。

 

 

何気ない会話に花を咲かせる風間ファミリー一行。いつもの光景。いつもの日常。

 

そして――――。

 

「……あれ?みんな、前見て」

 

卓也が指差した先に………奴らはいた。

 

風間ファミリーに立ちはだかる柄の悪い、黒の革ジャンとジーパンに身を包んだ輩が4人。

 

そう、百代に挑む挑戦者達だ。この橋では、百代に挑む者達が後を絶たない。

 

「川神百代。俺たちに出会った不幸を嘆くがいい!」

 

不気味に笑う、スキンヘッドにサングラスをかけた男。その背後に金髪に染めた不良が3人。

 

「何だお前。ハゲの兄弟か?道理で似てると思った」

 

「それ、似てる所は頭だけだからね」

 

すかさず突っ込みを入れる卓也。ちなみにハゲというのは2−Sの井上準の事である。

 

「呑気な顔をしているのも今のうちだぜ。俺たちはそこいらの人間とは訳が違う!」

 

不良Bが気味の悪い笑みを浮かべる。

 

「俺たちは“クェイサー”。元素を操る力を持つ能力者だ。俺は元素番号113番、俺の元素はウンウントリウム!」

 

不良Aがダガーを手に構える。

 

「俺は元素番号114番。俺の元素はウンウンクアジウム!」

 

不良Bがメリケンサックをはめた拳を振るう。

 

「俺は元素番号115番、俺の元素はウンウンペンチウム!」

 

不良Cが鉈を振りかざす。

 

「「「俺たち、化学のイケメン貴公子“ウンウン☆マイスリー”!!」」」

 

不良A・B・Cがそれぞれポーズを取って、呼び名を叫んだ。

 

「そして俺はヘリウム3兄弟、5番目の弟!」

 

脇にいたスキンヘッドが、おまけのように自らの名前を誇示する。

 

 

…………………。

 

風間ファミリー全員、沈黙していた。

 

「おおっ!何かかっけえな!」

 

ただ1人、キャップを除いて。キャップは目を輝かせながら感動していた。

 

「どうした。恐怖で何も言えなくなったか?それは当――――」

 

「いや、知らん」

 

不良達の渾身の自己紹介も虚しく、百代はあっさりと言い切ったのだった。

 

「な、何だと!?俺たちクェイサーを前にして驚きもしないとは………貴様、何者!?」

 

「知らんものは知らん。そもそもなんだ“くぇいさー”って。新しい芸人グループか何かか?おい大和、知ってるか?」

 

百代の側にいた大和に尋ねる。大和は悩む様子もなく首を振った。

 

「いや、全然。聞いたこともないね。みんな知ってる?」

 

後ろにいるメンバーに聞いてみるも、全員首を横に振るだけだった。

 

「みんな知らないそうです。それと、もう少しセンスのいい芸人名にした方がいいですよ。ウンウンなんとかはちょっとね……」

 

と、大和。その返答にウンウン☆マイスリー一同の表情が歪む。

 

「何か一発屋芸人にいそうだよね。それに、3兄弟なのに5番目の弟って……」

 

「それにイケメンってほど美系でもねぇよな。ちなみにイケメンってのは、俺様みたいな人間の事を言うんだぜ!」

 

「ガクトに言われたらおしまいだね」

 

卓也・岳人・京の連携突っ込みが炸裂する。スキンヘッドの頭に血管が浮き上がった。

 

「貴様ら、さっきから聞いていればごちゃごちゃと!……まあいい、俺たちの力を見れば、そんな口は叩けなくなるだろうからな!」

 

スキンヘッドがファイティングポーズを取った。

 

「ここをお前の墓場にしてやるぜ、川神百代!」

 

「貴様を倒した後は、まずはそのけしからんおっぱいを晒してもらおう!」

 

「そして聖乳(ソーマ)をたっぷりと吸わせてもらうぜ!」

 

不良3人組+スキンヘッドが一斉に飛びかかり、百代に向かって突進する。

 

「“そーま”?何だそりゃ……まあいいか、軽く遊んでやろう」

 

彼らの挑戦を受ける百代。だが百代は構えない。ただ向かってくる敵を待つのみ。

 

「「「「沈めぇーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」

 

挑戦者達は勝利を確信していた。勝てる、と。だが彼らは知らない。百代の圧倒的な強さを。

 

そして次の瞬間。

 

 

―――――――――――――――――――――――。

 

 

戦いは、既に終わっていた。

 

スキンヘッドと不良3人組は、ボロ雑巾のように転がっている。百代は傷一つ負っていない。

 

勝負は、百代の圧勝で終わった。

 

「ば……バカな……俺たちが、負けるはず……」

 

スキンヘッドが朦朧とする意識の中、今起きた現実を受け入れられずにいた。たった一人の小娘相手に一瞬にして全滅するなど、信じられる筈がない。

 

「意外だ。私の攻撃を受けたヤツは大抵意識を失うんだが……お前、結構タフだな」

 

感心する百代だったが、突然ニヤッと笑みを浮かべた。スキンヘッドの背筋が凍りつく。本能が逃げろと警告しているが、戦闘によるダメージで身体が動かない。

 

「褒美だ。眺めのいい場所に連れて行ってやる」

 

百代がニヤニヤしながら手をボキボキと鳴らし、スキンヘッドの胸倉を掴む。

 

「ひっ……ま、待て悪かった。今日の所は見逃しておいてやってもいい。だから……」

 

「ん~、聞こえないなぁ」

 

「だ、だから悪か」

 

「あ、そういや私のおっぱいがどうとかって言ってたよな」

 

「え、それは俺じゃ――――」

 

「問答無用!そーーーら、飛んでいけ!」

 

命乞いも虚しく、百代はそのままスキンヘッドを空に向かって投げ飛ばした。スキンヘッドは断末魔と共に、空の彼方へと消えた。

 

「ほら、お前たちも置いていかれるぞ。そーーーれ!」

 

続いて不良3人組も投げ飛ばした。3人+1人とも星になった。

 

「……こうしてモモ先輩に挑んだ芸人たちは、空へ旅立ちましたとさ」

 

めでたしめでたし、と最後に締めくくる京。しかも彼らは最後まで芸人扱いだった。

 

「このやり取りもすっかり見慣れてしまったな」

 

「そうですね……」

 

『いやあ、慣れってのはコワいぜー』

 

クリスと由紀江、そして由紀江の掌にいる馬のストラップ・松風。

 

最初は驚いていたが、今では日常の光景の一つとなっていた。百代に挑戦しては敗れ、空を飛ぶ者もいれば、川へ落ちる者もいる。

 

正式な試合であれば川神院へ運ばれ手当てを受けるのだが、最近は非公式で挑む者たちが多い。

 

「流石はお姉さま!あたしも頑張らなくちゃ!」

 

熱心にダンベルでトレーニングをするのは一子。百代を目標に日々鍛錬に明け暮れている。

 

「そうかそうか。可愛いやつだな、お前は。なでなでしてやろう」

 

百代は一子を抱き締め、頭を撫でる。一子は気持ちよさそうに甘えていた。

 

「それにしても、ここ最近変な人増えてない?」

 

この橋には変な人間が多いのは元々だが、日に日に増えている気がする、と卓也。メンバー全員も薄々と感じていた。

 

「しかも、姉さんを倒そうとする輩ばかり。命知らずだよな、可哀想に」

 

大和はやれやれと肩を落とす。

 

「おまけにどいつもこいつも弱過ぎて退屈凌ぎにもならないから困る。今日の連中も“くぇいさー”だの“そーま”だの訳が分からん」

 

百代は自分と対等に戦える人間と出会えず、満たされないでいた。

 

「こんな時は、弟を弄るに限るな♪」

 

咄嗟に大和を捕獲し、大和の頭を自分の胸に埋めさせる百代。

 

「ね、ねえさん苦しい……」

 

「ほ~ら大和。私の“そーま”を吸え。なーんてな。はっはっは」

 

百代と大和はいつもこんな感じでじゃれ合っていた。一方的に弄られているのは大和なのだが。

 

「……おっ、そろそろ急がねぇと遅刻するぜ?みんな」

 

キャップが腕時計を見ながらメンバー全員に伝える。

 

「珍しいね。いつもならそんなこと言わないのに」

 

いつもは時間を気にせず、常にフリーダムなキャップには珍しい発言だ、と大和。

 

「なんか今日は、すっげぇ面白い事が起きそうな気がしてウズウズしてるんだよな!」

 

キャップは今日に限って異様にテンションが高かった。

 

当然根拠はないが、こういう時のキャップの勘は良く当たる。というより外れた試しがない。

 

本人曰く、“風の知らせ”だとか何とか。

 

「こうしちゃいられねぇぜ!早速教室までダッシュだ!ひゃっほーーー!」

 

言って、キャップは風のように走り出した。こうなるとキャップは誰にも止められない。

 

「あ、待てキャップ!」

 

クリスが続いてキャップを追いかける。

 

「む、クリに先を越されるわ!クリ、どっちが先に着くか勝負~!」

 

一子が勝負勝負と連呼しながら走り出す。

 

「なんだかよく分かんねぇけど、俺たちも行こうぜ!」

 

「あ、待ってよ岳人!」

 

「皆さん、待ってください~!」

 

『オラもいくぜ~!』

 

岳人、卓也、由紀江、松風も後に続く。

 

「はっはっは。キャップは相変わらずだな~、私も混ぜろ~!」

 

百代もキャップ達を追いかけていく。

 

「みんな子供みたいに……しょーもない」

 

京はキャップ達には着いていかず、あくまでマイペースだった。

 

「私たちは大人だから、こうしてイチャイチャしながら愛を育む……ね、大和♪」

 

そしてあくまで大和に一途だった。大和の腕に絡み、身体を密着させてセックスアピール。

 

「おっと、遅刻したらやばいから俺も行かないと」

 

大和は京から逃げるように走り去っていく。

 

「……ち、逃げられた。照れなくてもいいのに~。もう、大和ったら可愛い♪」

 

京も大和の後を着いていく。どこまでも一途だった。

 

こうして、彼ら風間ファミリーのいつも通りの日常は、穏やかに始まりを告げた。

 

 

しかし、彼らはまだ知らない。これから起こる数多の出会いと、決して忘れることのできない………サーシャ達との物語を。




文章の修正、若干のリメイクが入る予定です!
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