聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい! 作:みおん/あるあじふ
同じく、3時限目の休み時間。
キャップ、大和、岳人、卓也の4人は、サーシャと心の決闘の話で持ちきりだった。
決闘まで後数時間を切っている。当人のサーシャはというと、
「………」
席に座り、静かに読書をしていた。
「アレクサンドル君、随分余裕だよね」
卓也はサーシャを見て思う……余程自信があるのか、読書で緊張を紛らわしているのか。
どちらかというと、前者に見えた。
「なあ、大和はどう思うよ?」
決闘でどちらが勝つか……キャップが大和に意見を求める。
「う~ん……今の時点では何とも言えないなぁ」
突然転入してきた留学生、サーシャ。大和はサーシャに興味を持っていた。
彼の事は未だ未知数。今の段階で結論は出せないが、今まで男子と女子の決闘では、男子の殆どが負けているのが現状である。
従って、統計学的に言えば勝利するのは心という事になる。
それに心は、意外にも全国区の実力を持つ程の柔道……主に関節技の使い手であり、並大抵の人間ではまず勝てないだろう。
決闘の形式は喧嘩だけでなく、スポーツ、論争等の様々なジャンルを選ぶ事が可能。にも関わらず、サーシャは直接対決を選んだ。という事は戦闘経験を積んでいると推測ができる。
「ま。考えても仕方ねぇし、決闘の時間になるまで待とうぜ」
と、岳人。しかし、サーシャは心の戦闘スキルを知らないはずだ。一応知らせておいた方がいいだろうと、大和は席から立ち上がった。
「俺、ちょっとアレクサンドル君と話してくるわ」
言って、大和はサーシャの席へと近づいた。
「決闘まで後少しだけど、緊張とかしてない?」
「ん?いや、別に緊張はしていない」
サーシャは読書を中断し、大和に顔を向ける。
「対戦相手の不死川心は柔道の使い手で、全国に通用する程の実力者だよ」
心について、知っている限りの情報を提供する大和。ただ教える為ではない。これはサーシャとのコミュニケーションを取る切っ掛けにする為である。
サーシャという人物を、より良く知る為に。
すると、話を聞いたサーシャは読んでいた本を閉じて立ち上がる。余計なお世話だっただろうか……しかし、サーシャから返ってきたのは意外な言葉だった。
「
ロシア語でいう「感謝」の意味であると大和は理解する。第一印象は無愛想だが、意外に話の分かる奴かもしれないと大和は思った。
それだけ大和に言って、サーシャはまふゆのいる席へと向かっていく。
「口より先に手が出るのは相変わらずだな」
「う、うっさいわねこのツンドラ坊主!」
サーシャにはまだ謎が多い。だからこそ、大和の好奇心がそそられる。
(アレクサンドル、か……)
面白い奴がやってきた……と、大和はサーシャという人物にさらなる興味を抱くのだった。