聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい!   作:みおん/あるあじふ

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サブエピソード4「女帝の来校」

サーシャ達がFクラスに転入した同時刻。

 

 

カーチャも学園に到着し、転入先のクラスは1-Cに決定した。

 

 

サーシャと同様、飛び級で学園に転入してきたという手筈になっている。

 

「初めまして。エカテリーナ=クラエといいます。“カーチャ”って、呼んで下さい♪」

 

カーチャはスカートを広げ、とびきりの笑顔でクラス全員に一礼する。まるで妖精のようなその容姿は、1-Cの男子生徒全員の目を釘付けにした。

 

女子生徒達もカーチャのあまりの可愛らしさに、思わず抱き締めたいという生徒もいれば、いけない妄想に走ろうとする生徒もいる。

 

転入して早々、カーチャは1-Cのアイドルの座を獲得した。

 

「凄いですね……あんなに小さいのに、飛び級で留学だなんて」

 

感心し、カーチャに尊敬の念を抱く由紀江。

 

『何言ってんだよ。まゆっちだって成績優秀で、色々と頑張ってるじゃんかー』

 

松風が由紀江に励ましのエールを送る。と言っても、実際に喋っているのは由紀江なのだが。

 

そんな中、カーチャは松風と喋っている由紀江に視線を注いでいた。

 

(……ふーん)

 

ニヤリとカーチャの口元が吊り上がる。この瞬間、由紀江が奴隷候補にあがった。

 

 

 

そして昼休みの時間。

 

昼食を食べ終えた由紀江は、友人である大和田伊予と一緒にいた。

 

「というわけでイヨちゃん。私、カーチャさんに声をかけてみたいと思います!」

 

カーチャと友達になるきっかけを作る為に意気込む由紀江。まだ声すらかけていないのに、まゆっちは緊張して顔を強張らせていた。

 

ちなみに由紀江の友達100人計画は、まだ続いている。

 

「落ち着いてまゆっち。ほら、深呼吸深呼吸」

 

『そうだぜー、まゆっち。ここで挫けたら前に進めねぇー』

 

私も一緒に声をかけてあげるから、と伊予や松風も応援してくれていた。

 

「すー、はー、すー、はー……で、では、参ります!」

 

深呼吸して息を整え、由紀江はカーチャのいる席へと足を運ぶ。

 

「――――こんにちは、お姉さま方♪」

 

由紀江の視線の先には、無垢な笑顔を浮かべたカーチャの姿があった。

 

突然のカーチャの訪問に、由紀江の心臓が飛び跳ね、バクン、バクンと音を立てる。

 

「あ、あああ、えええっと、あのその……こここここここんにちは!!」

 

先に挨拶をされ、緊張が極限までに達したまゆっち。辛うじて挨拶は返せたが、顔は緊張して強張ったままであった。

 

そんな由紀江を見兼ねて、伊予が助け船を出す。

 

「こんにちはカーチャちゃん。私は大和田伊予。こっちは黛由紀江と松風。よろしくね」

 

『おう、よろしくなー』

 

「はい、よろしくお願いします。伊予お姉さま、由紀江お姉さま、松風♪」

 

カーチャは自己紹介の時のように、礼儀正しく一礼する。

 

(ほら、まゆっち)

 

伊予が肘で由紀江の脇を突く。本当ならば伊予が伝えてしまえば済む話だが、それではまゆっちの為にならない。

 

『いけー、チャンスだまゆっち。やるなら今しかねぇ。大人の階段を登るんだ!』

 

松風に後押しをされる。由紀江は意を決して大きく息を吸い込み、カーチャに伝えた。

 

「あ……ああああの、わ、わわわわたしとお友達に――――」

 

「聞いてくれ!転入してきたFクラスの留学生と、Sクラスの不死川先輩が決闘だってよ!」

 

同じクラスの男子生徒が声を張り上げる。クラス全員が一斉に教室を飛び出し、決闘の場である校庭へと向かう。おかげで、由紀江は言いそびれてしまった。

 

2-Fの留学生……それはサーシャの事だとカーチャはすぐに分かった。

 

(決闘……?はっ。(ジェレーザ)の奴、目立った行動はしないって言ったくせに、ほんとお子ちゃまね。ま、いいわ)

 

決闘のシステムはカーチャも知っている。いい退屈凌ぎになりそうだわと、心の中で笑った。

 

「カーチャ様、校庭へお連れ致します。行きましょう」

 

カーチャの前に現れたのは、男子生徒と女子生徒が数名。腕を後ろに組み、頭に『カーチャ様☆LOVE』と書かれた鉢巻きを巻いている。

 

カーチャのファンが増え、ついには親衛隊まで結成されていた。カーチャにとっては迷惑な話だが、今後役に立ちそうなので好きにやらせておく事にしている。

 

「ごめんなさい。カーチャ、呼ばれてるみたいだから行かなくちゃ」

 

カーチャはもう一度だけ由紀江達に一礼し、

 

до свидания(またね)

 

ロシア語で言う、「またね」と言って、親衛隊と一緒に教室を出て行った。

 

「うう……言いそびれてしまいました」

 

せっかく勇気を出したのに……由紀江はガックリと肩を落とす。

 

『うわー……今のはさすがに切ねーよ、まゆっち』

 

同情する松風。

 

「だ、大丈夫だよまゆっち。まだチャンスはあるから」

 

元気を出して、と由紀江の肩を叩く伊予。しかし由紀江のショックは大きかった。

 

「ほら、私達も決闘を見に行こうよ。何か面白そうだよ!」

 

由紀江の手を引っ張る伊予。落ち込んでいても仕方ない……由紀江は気持ちを切り替える。

 

(そうです……ここで諦めてはダメ。よし、頑張れ私!)

 

決闘が終わったら、もう一度カーチャに声をかけよう。その決意を胸に、由紀江は伊予と共に教室を出て行くのだった。

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