聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい! 作:みおん/あるあじふ
GNクッキーとの死闘を経て、由紀江と由香里は更なる死地へと赴く事となった。
サーシャ達が駆け付けた後、騒ぎを聞きつけた生徒達が押し寄せ、さらには警察とマスコミが来る始末となった。
あまり大事にするわけにはいかないので、九鬼財閥と辻堂財閥。そしてアトスが圧力をかけた事により、騒ぎはすぐに鎮圧した。
その後、発見された由紀江と由香里は立って歩ける程に回復した。しかし二人がここにいる時点で可笑しい……何故学園で授業を受けている筈の一年生がいる、という話である。
二人は説教部屋と言う梅子の部屋に正座させられ、そして現在に至っている。
梅子は笑いもしなければ怒りもしない。ただじっと、無表情で二人を交互に見ていた。
「弁解の余地を与えてやる」
静かに口を開いた梅子は鞭を手にしながら、二人の返答を待つ。
……空気が重い。今にも押し潰されてしまいそうな程に。早くこの場から逃げ出してしまいたいと二人は思った。
すると、先に口を開いたのは由紀江だった。
「……わ、私が悪いんです!私が由香里を止めていれば、済んだ話だったんです。ですから、由香里を責めないであげてください!」
この一件は、全て自身の責任であると由紀江。最初から旅行に行きたいという由香里の願望を止めれば事は済んでいた。
由香里の保護者は由紀江である。保護者としての責任を問われるのは当然であった。それを聞いた由香里は、
「何を言うんだゆっきー。もとあといえば、私のわがままから始まった事だ。私が悪い。先生、ゆっきーは悪くない。指導を受けるのは私だけでいい!」
由紀江を庇い始めた。由紀江の制止を振り切り、無理矢理旅行へと連れ出したのだ……自分の我儘に巻き込んだのだから、由紀江は無関係だと弁護する。
気持ちは嬉しい。だがやはり責任を問われるべきなのは私だと、由紀江は譲らない。
「由香里、悪いのは私です。由香里が気負う必要はありません!」
「違うゆっきー、悪いのは私だ。だから自分を責めなくていい!」
何度も自分の責任であると、互いに庇う事を繰り返す。
「いえいえ私が……」
「いやいや私が……」
そんなやり取りをしていると、次第に梅子が痺れを切らし、ついに、
「――――二人とも同罪だ、馬鹿者!!!」
とうとう鞭裁きで一蹴した。鞭の強烈な音と共に、二人の動きがピタリと止まる。
それだけ、梅子には制止力があるのだ……2−Fを纏める存在なだけあって、その迫力には思わず恐怖を覚える。
「学園を抜け出し、修学旅行に忍び込むなど言語道断!おまけに虚偽の理由で休暇を取るとは、呆れてものも言えん!!」
当然といえば当然だった。学園に提出した、アトスの協力要請……嘘っぱちもいい所である。返す言葉はおろか弁論の余地すらもない。
二人がした事は、校則違反どころでは済まされない重大なものである。罰則は停学、下手をすれば退学……二人はそう覚悟していたが、梅子からの解答は予想外だった。
「本来なら停学処分……と言いたい所だが、先程の一件については御苦労だった。したがって、今回は大目に見ようと学長から通達が入ったぞ。理由が虚偽とは言え、どうやら事実になりつつあるようだしな」
お前たちは運がいい、と梅子。停学もしくは退学処分は免れるようだった。嘘から出た誠とはこの事である。
学長曰く“結果オーライで何よりじゃわい”と連絡があったらしい。二人は安堵の息を漏らすのだった。
「それと、もう一つ通達がある。黛由香里。この一件で保護観察を解除すると、ユーリ殿から連絡があった」
保護観察の解除。つまり今後は自由、という事である。由紀江と由香里は目を丸くした。その表情を見て梅子はうむ、と笑う。
「どうやら完全に味方として認めてくれたようだな……これで晴れてお前は自由の身だ」
万乳研との一件。アトスは由香里がした行動で、味方として判断したのだ……もう危害を加える事はないだろうと。
「そ、そうか……」
由香里も嬉しかったのか、思わず照れ隠しをする。由紀江はよかった、と自分の事のように喜んでいた。
二人の戦いは終わりを迎える。これで無事に明日を迎えられると安堵しながら。
これで一件落着……と思っていた矢先、梅子がその空気を壊すように咳払いをする。話はまだ終わっていないらしい。
「しかし、だ。今回の一件と修学旅行の件については話が別だ。学長もああは言っていたが、処分に関しては任せるとの事。よって、学園に戻ったら一週間の奉仕活動だ。いいな?」
無事に終わる、訳がなかった。何事もなく……というのは甘い考えである。
ただ、奉仕活動で済んだのは幸いと言っていい。二人は処罰を受け入れるのだった。
「……ともかく、まずは怪我の手当をしないとな。隣の部屋に及川先生が待機している。怪我の具合を診てもらうといい」
長々とすまなかったなと梅子は付け足し、話は以上だと指導を終わらせた。今度こそ終わりだ……治療してもらった後、ゆっくりと身体を休めようと思った時、
「先生、奉仕活動について提案があります!」
突然由香里が手を上げた。奉仕活動の具体案を出すらしい。何故だろう、由紀江にはすごく嫌な予感がしていた。
「許可する。言ってみろ」
感心だな、と梅子。
「私は………梅子先生を奉仕したいと思います!」
由香里は梅子自身を奉仕するのだと言う。酷く嫌な予感がした。何故なら、由香里が言うと意味合いが酷く違ってくるからである。
「む、それはどう言う事だ?」
当然、梅子には分からない。分からない方がいい……由紀江はこの場から逃げ出したくなった。そして嫌な予感は、次の由香里の一言で確信へと変わる。
「毎晩私たち二人で、梅子先生を慰みます。どうでしょう?」
(あわわわわわわわわわわわわわわわ………)
要するに、梅子に
さすがの梅子も意味を理解したのか、鞭を持つ手を震わせながら、恥ずかしさと怒りで真っ赤になっていた。
そして、
「――――また傷を増やしたいか、この俗物がああぁ!!!!!」
由香里が余計な事を口走ったおかげで、二人は更なる教育的指導を受ける事になってしまった(身体的な意味で)。
こうして二人は死地という説教部屋から帰還し、麗の待つ部屋へと足を運ぶのだった。
「うぅ……何がいけなかったんだ………はっ!もしかして、私達が慰められる側の方がよかったのか!?」
「いやいやだから………」
「――――聞こえているぞ!!!」
「「ひぃ!?」」