EXPRESS LOVE   作:五瀬尊

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 #1を投稿した時、ご指摘を受けたので、タグを一時的に外しました。必要だと感じれば警告タグで追加しようと思います。


#2 高校生と「恋」

 登校時間。慌ただしく本日の課題を終わらせようとする生徒もいれば、朝から友人と他愛もない会話を交わしたり、部活動の朝練に勤しんだり・・・と、出鼻からデジャヴ気味だが、それはさておき朝からグループで何やらおしゃべりをしている女子が数人。

「―で、北城君とは上手く行ったの?」おしゃべりと言うより、問い詰められている(尋問?)様な状況だが・・・。

「え?ええっと、それは・・・その・・・。」問い詰められた女子生徒―小柏 彩葉―は、答えにくそうに口ごもり、そのまま俯いて黙り込んでしまった。

「・・・はあ、折角お膳立てしてあげたのに、彩葉は奥手なんだから。」呆れ返るとはこういう状況だろうか、だが、言われた方も黙ってはいなかった。

「むぅ、2人とも面白がって煽ってただけじゃない。それに、奥手って言われても、振られたらって思うと怖くてもう1歩が踏み込めないのよ。」彩葉という女子生徒は恥ずかしげに顔を赤らめ、そっぽを向いてしまう。

「あはは、良いね。青春じゃん青春じゃん。もっと、悩んで恥ずかしがって。ウチらを楽しませてよ。」前半は本音だろうが後半は明らかに面白がって茶化している(しかも、内容が中年のおじさんがするような話になっている)。まあ、何にしても「言ってみたかっただけ」な感じが否めないが。

「もう!からかわないでよ。」遂に彩葉が怒鳴り声を上げかけた所で、会話に加わって居なかった女子がある事に気付いた。

「ん?ああ、彩ちゃん。愛しの王子様のご登場だよ。」その女子生徒が彩葉の肩を叩きながら指を指した先には、

「へ?」男子には勿体ないほどの艶やかな綺麗な黒髪に、鋭い切れ目に優しげな光を称えた瞳、口元に柔らかく浮かぶ微笑み。校内の女子からの人気も高く、同時に彩葉の想い人である北城 (なお)()がいた。

「おはよー。北城君。彩葉に用事?」グループの女子の1人が早々と声を掛ける。

「ああ、おはよう。まあ、用事って程の事じゃないんだけど。」修也が愛想笑いをしながら頭に手を当て、目だけで「良いかな?」という様な表情を作り出す。

「あー、遠慮しなくて良いよ。はい、彩葉、行ってらっしゃーい。」修也に応答した女子は彩葉を無理矢理押し出した。

「ちょ、ちょっと。」彩葉は抗議の声を上げているが、その表情は満更でも無さそうだった。

「えーと、小柏さん?」修也に声を掛けられ、彩葉がビクリと肩を振るわせる。

「な、何?」世の中の男子は、女子のこういった何気ない、可愛らしい挙動に引かれるのかも知れない。

「あのさ、今日の帰り空いてる?」

「え?あ、うん。予定は無いけど・・・。」修也の言葉の意図を掴めず、目を泳がせる。

「じゃあさ、今日の帰りに駅の傍の喫茶店でちょっと勉強して帰らない?」恐らくコレは北城にしては頑張った誘い文句だろう。これまでを見れば分かる通り、2人はそろいも揃って奥手である。同級生目線から見れば、うじうじしてて鬱陶しい。大人から見れば青春らしくて大いに結構。高校生の恋とはおおよそそんなモノだが、この2人の場合、何時になったらくっつくんだよと言いたくなるのは仕方の無い事だろう。

「・・・うん。北城君が良いなら。」少し考えた後、彩葉が頷く。

「じゃ、また帰りに。」それだけを言って、僅かに手を挙げて修也が踵を返す。

「うん。」それを見送る彩葉も何処か幸せそうな顔をしていた。早速、誰もが羨むカップルの様相を(てい)しているが、まだこの2人は付き合っていない。付き合ってなどいないのだ。

「良かったじゃーん。相手からお誘い貰えて。」会話が終わったのを見計らってグループの女子が彩葉の背中をパシーン!と小気味の良い音を立てて叩く。

「あ、うん。でも、どうしよう。今日私お金持ってきてない。」その言葉を聞き、周りの女子が呆れ顔になる。

「彩葉?大丈夫よ?こういう時は男子が奢るって言うのが暗黙の了解だから。」それが今のご時世でも通用するのかは不明だが、一応は誘った方が奢るのは当たり前だろうか。

「でも、良いのかなあ・・・。」とは言うものの、彩葉はまだ迷っているようだ。

「ええい、もうそれは気にしない!それよりさぁ・・・」彩葉の迷いをぶった切り、女子生徒はいつものお喋りモードに切り換えて行った。

Side out

 

***

 

「それでさぁ?北城、お前小柏と付き合ってんのか?」時刻が8時15分を過ぎ、教室の中がかなり騒がしくなってきた頃、友人にそんな事を聞かれた。ソイツは、本を読んでいる俺の机の横にしゃがみ込み、机に肘を乗っけた気怠げな雰囲気を醸し出す体勢で話し掛けて来ている。

「別に、付き合ってはいねえよ。」そう、俺は好意を抱いてはいるが付き合っている訳ではない。何せ、相手も同じ様な好意を持っているとは限らないのだから。

「つってもよー、昨日お前が小柏と一緒に帰ってた所を見たって奴がいるんだよ。」誰だよ、そんな事をぺらぺら喋りやがるのは。

「一緒に帰ったからって“付き合ってる”に直結はしねえだろ。だったら、あれか?女友達と集団で連んで帰ってる奴はみんなハーレム持ちなのか?」少々、極論に近いかとも思ったが、結局コイツが言っている事を突き詰めて行けば、そういう事にもなるだろう。

「いや、そうは言ってねえけど・・・。まあ、いいや。」と、ソイツが言ったところで予鈴がなった。

「おら、予鈴なったぞ。さっさと席戻れ。邪魔くさい。」かなり面倒くさそうな声でそう言いながら、ソイツの足を足のサイドで蹴り飛ばす。

「ひでえな。まあ、良いや。」良いのかよ。何かコイツ気持ち悪いな。しかし、小柏さんには放課後喫茶店でとは言ったが、どうしたモノかな・・・。あんまりがっついて、入り込んだ話をすれば嫌われるだろうし・・・まあ、ちょっと探る程度に世間話ででも繋いで見るか。取り敢えず、今日1日を頑張ろう。

 

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