この素晴らしい武器マニアに祝福を!   作:大根の刺身

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だいぶ飛びます


第2話

この世界に転生?してから約1年がたった。最初は苦労したこの世界だが、慣れてくるとなかなか楽しい物である。

最近は活動の拠点を王都にしていた俺は今はたまに一緒にクエストに行く盗賊の子に呼ばれ拠点を初心者の集まる街、アクセルに戻す事になった。

他のパーティーメンバーは各々のやりたい事をやってるみたいだ、魔法使いの奴は難攻不落指定されていたダンジョンに籠り古代の魔法の研究を弓使いの男はもう一人の引きこもりの仲間の世話と自分の家族サービスをしているらしい。

俺はアクセル行きの馬車の中で武器の整備をしながら時間を潰していた。

 

「ファルシオンにダガー2本、ブーツナイフに籠手のブレードも問題なしっとあれは……あれ?無い?」

 

――――――――――――――――――――――

 

俺は佐藤和真、日本で死んでこのろくでもない世界に来てしまった普通の高校生。

俺は突っ掛かってきた同じ日本人の……あれ、なんだったっけ?マツラギ?いや、違う……そう!ムツルギだ!そのムツルギから盗ん……巻き上げ……いや!勝負で勝って貰ったこの魔剣グラムを売る為に武器屋の前に来ていた。

この魔剣はあの男専用らしく、俺が使ってもそこらの剣よりよく切れる程度らしいからそれならいっそのこと売って金にしてやろうと思っていた時だった。

 

「き、君!」

「はい?何ですか?」

 

突然声をかけてきたのは背中に片刃の大きな剣を担いだ男だった。

黒い髪に黒い目、年齢は俺と同じぐらいか少し上か武器を見る限り前衛のはずなのだが着ている防具は最低限の場所だけを鉄製の装甲が覆い、ポケットやポーチが少し多いが動き安さを重視しているみたいだった。

その人は妙に興奮しているような声で俺に言ってきた。

 

「よ、よかったらその剣……俺に売ってはくれないだろうか!?」

「はぁ?……いいですけど」

「本当か!?本当にいいんだな!?」

「は、はい。大丈夫ですよ」

「ありがとう!あ、今これだけしかないけど渡しておくよ!明日ギルドに来てくれればもう少しあげるよ!」

「うわ!重!」

 

そう言って手渡された袋は俺の財布と比べる事事態がおこがましいほどずっしりとした重みがあった。

『こんなに貰っていいのか?』そう聞こうとして視線を戻して……後悔した。

 

「あぁ!あぁぁ!この手触り!質感!重み!色艶!全てが!全てがいい!」

「やだなにこの人怖い」

 

魔剣に頬擦りしながらクネクネしている変態がいた。

あ、あまり関わらない方が良いだろう……なぜだろうあのポンコツ上級職共(アクア達)と同じような感じがする……

 

「そ、それじゃ俺は人待たせてるからもう行くよ」

「ん、そうかい?なら明日ギルドに来るといい。さっきやった奴は精々400万程度しか入ってないからな、明日もう100万程度渡そう」

「400万!?マジですか!これそんなに入ってるんですか!通りで重いわけだよ!」

「そんなに重いか?……まぁいいか。じゃ俺は帰るから明日なー」

「え?お、おい!……聞いてない」

 

俺の声を聞いてないのか無視したのかわからないが男は魔剣を抱えて行ってしまった。

 

「何だったんだ?……まぁ、いいか」

 

――――――――――――――――――――――

 

「次は誰だ?」

 

その一言に居合わせた冒険者が怯む。

あの魔剣を売った後、ギルドでゆっくりしようとしていたら突然、緊急クエストで正門前へと来たのだが、そこにいたのはいつかの魔王軍幹部のデュラハン『ベルディア』だった。

次々と切り捨てられる冒険者達、そんな中で一人の女の子が叫びを上げた。

 

「あ、あんたなんか……あんたなんかミツルギさんが来たら一撃で切られちゃうんだから!」

 

……ミツルギって魔剣取り上げて売り払った奴?

 

「そうだぜ、あの兄ちゃんが来れば魔王幹部だって楽勝さ!」

「この街にも高レベルで凄腕の冒険者がいるんだよ!」

 

ヤバいヤバい!マジでヤバい!

真っ青になりながらアクアを見るとアクアは死体をペタペタと触っていた。

どうしよう!マジでどうしよう!

そんな絶望しそうな時だった。ガシャガシャっと音を発てながら街の中から一人の男が出てきたのは。

 

「部屋に魔剣を置いて来たら遅くなっちまったが……随分と懐かしい奴がいるじゃないか。なぁベルディアさんよ」

「ななな……!何故貴様がこの街にいるんだ!」

 

あの悠然としていたデュラハンが後退りしながらそう叫んでいる。

気になってそちらを見るとそこにいたのは先ほど魔剣を売った男がいた。さっきとは違い、装備が変わっているがその背中に背負った剣が変わらずにあった。

周りの冒険者は突然の展開に着いていけずに全員ポカーンっとしている。中には期待していたミツルギではなく、知らない奴がいきなり出てきて落ち込んでいる奴もいる。

そんな中でデュラハンがそいつに指を向けて叫びだした。

 

「ど…どどどど……!泥棒ぅぅぅ!!」

 

は?

 

「貴様!よくその顔を俺の前に出せたな!貴様の背負っているその剣は俺の武器だ!いや!それだけではない!今まで俺から盗んだ剣を全て返せぇぇぇぇ!!!」

「ふふふ……知らんなそんな事。それよりまた新しい剣を持っているではないか……どうだ?その剣を置いて帰るなら見逃さない訳ではないぞ?」

「ふざけるな!!貴様親から人の物を盗んだらいけません!って習わなかったのか!?」

「人の物を盗んだらいけないのは知ってるが……別にデュラハンの物を強奪してはいけないってのは聞いたこと無いなぁ……」

「黙れ!貴様が俺の武器を盗っていく度に魔王様から武器を貰っていたが、最近は俺を疑うような目で見られたのだぞ!そればかりか調査と称してこんな城から一番離れた街に飛ばされたのだ!?どうしてくれる!?」

 

このデュラハン左遷されてきたのかよ……それにさっきの本当ならこのデュラハン来たのは半分この男のせいって事だよな……

 

「うっわー魔王軍にも左遷とかあるんだーねぇねぇ!どんな気持ち!武器を盗られまくったあげく田舎に飛ばされるってどんな気持ちぃ!!僕教えてほしいなぁ!!左遷された魔王軍幹部(笑)のベルディアくぅぅん!!」

「ムキー!!」

 

煽る煽る煽る。この人、相手が魔王軍の幹部だとか関係ない、徹底的に煽ってるよ!

地団駄を踏むベルディアはチラッと男の方を見て何かに気づいたようだ。

 

「む?お前、他のメンバーはどうした?」

「休業中」

 

そんな答えが帰ってくるとベルディアは笑い始めた。

 

「ハーハハハハ!あのイカれた紅魔族と鬼畜グラップラーがいない貴様など恐るるに足りんわ!」

 

そう強がるデュラハンの足は小鹿のように震えている事は見なかったことにしよう……うん。

 

「おいおーい。一人、一人忘れてるぞーうちの使えない男No.1を忘れてないであげてー!」

「……他に誰かいたか?」

「おう……ファート可愛そうに……まぁ事実戦闘してるとき俺も忘れるけど……」

 

そんな事を言いながらもベルディアの前に立ち、背中の剣を抜き構えた。

 

「まぁ、大剣製造機(ベルディアくん)がいなくなるのはちと思うところがあるが……討伐させてもらうかな」

「ん?今ちょっとおかしくなかったか?」

「気のせいじゃない?。さて、後ろの初心者共に死なれたら困るし……さっさとぶっ転ばして帰ろうかな」

「そ、そそそそ……!そんな簡単に殺れると思うなよ!」

 

さっきまでの威勢が嘘のようにガクブルなデュラハンに男はニヤニヤと笑ったまま駆け出して、そいつの叫びを聞いて俺は……

 

「ひゃっはー!!奪え奪え!!またコレクションが増えるぜぇ!!!」

「貴様やっぱりそれが目的かぁ!!!」

 

こいつの方を倒した方がいいかなって。




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