暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜 作:さんめん軍曹
いつもご覧になっている方、初めて見た方、誠にありがとうございます…!
なかなか書き進める機会が作れないのですが、ご感想や評価をいただき大変恐縮です!
獠の提督就任直前に軽く短編を書こうと思ったら、いつのまにかシリーズ化してしまいました…w
彼はいつになったら提督になるのやら(おい)
でも、書いたからにはシリーズを完結させます!むしろこの話は必要かなあ、なんてw
では、本編行きましょう!!
「えっ?もう一度聞いても?」
それぞれの視点から話を聞いた2人は、甘味処間宮に叢雲と吹雪を呼んである話をしていた。
「獠と俺、そしてお前らでペアを組んで海の上で勝負をする。単純な話だ」
「アホ!それじゃ伝わんねえだろうが!」
「夫婦漫才はいいから、さっさと内容を話しなさいな」
「「誰が夫婦だ!!」」
「うるっさい!いい加減にしないと香と睦月たちを呼ぶわよ!!」
途端に、男性陣の顔がサーっと青くなる。
実は海坊主、見かけに反して猫に非常に弱い。本人曰く、その弱々しい姿と鳴き声によって全身の力が抜けて行くのだという。
しかし悲しいかな、本人の元々の性格を読んでいるのか猫達には非常に懐かれやすいのである。
それは、ここの鎮守府とて例外ではない。
ここにきてからというもの、話し方や性格が非常に猫に近い睦月や多摩に懐かれているのである。
椅子に座っていると、どこから現れたかいつの間に海坊主の膝の上や肩に乗っかってくる。
今朝なんか、起きたら多摩が布団の上で丸まって寝ていたのである。彼女曰く、
「うみぼーずはちょうどいい大きさにゃ。気持ちよく寝れるにゃ」
だそうである。そんなもんだから、彼女が起きるまでの間海坊主は動けないでいたのだ。
「呼んだかにゃーん?」
「多摩達はさっきからずっといたにゃ。背後を取られるとは、プロとしてまだまだ甘いにゃ」
後ろを振り向くと、多摩たちが鯛焼きを食べていた。中身はバニラだろうか。彼女らはよくここに来ては黙々とバニラ入りの鯛焼きを食べるので、周りからは猫の集会と呼ばれている。
その猫の集会を見た瞬間、海坊主の機関は停止した。
「海坊主ー?おーい…。ダメだ、気絶してる」
彼が再起動するのを待って、詳しい内容を話していく。
要約すると、先ほど述べた二手に分かれて艦娘対ジェットスキーで、海上にて戦うというもの。
勝負は3回、ペイント弾でどちらかの轟沈判定が多く出れば負けとなる。
審判は鎮守府側から提督と鈴谷、そして天龍が。
獠サイドからはパーティーのために来ていた香と美樹、そして冴子が付く事になった。
「吹雪ちゃん、大丈夫かしらね?」
「どうした?香の姐御」
「ほら、自分より強い相手に当たった時、過去のことがフラッシュバックして立ちすくむんじゃないかと思ってさ…」
「そのために出撃を繰り返して改までになったんじゃねえのかな?あいつも一応、どうにかしたい気持ちはあんだろう」
軽巡洋艦の天龍は、その性格から駆逐艦の艦娘達に人気がある。そして艤装の燃費が良いためによく遠征に出るが、それもあってだろうか自然と駆逐艦をまとめるリーダー役になっていた。
本人は前線で戦わせろといっているが、それでも
「オレがよく遠征に回されるのはどうせ元々が旧型のオンボロだからだろ?でもよ、それでも提督は適材適所と言って仕事を回してくれんだ。だったらその期待に応えなくちゃならねえし、なによりも俺がこの仕事に誇りを持ってるのと同じ気持ちを駆逐艦の奴らにも味わってほしいからな」
と、頭をボリボリ掻きながら語るのである。それを聞いた獠は、そりゃあ艦種問わず人気があるわけだ、と思った。
天龍は色々な艦娘をよく見ており、なおかつ自他の戦い方を研究している。そんな彼女だからこそ、審判をお願いしたわけであるが。
「だーーーっ、しかしなーんで俺が審判なんぞやらなきゃいけねえんだよ、めんどくせぇ」
「それは自分の胸に聞いてみたほうが早いんじゃないかしら?それに、本当に嫌なら貴女の場合意地でも断るでしょ?」
「ぐっ…うるせー!暇だったから来ただけだよ!」
「あらあら、素直じゃないのね」
「シッ!始まるみたいよ」
美樹の声に全員が海を見やると、それぞれの位置に着いた4人が見えた。
「4人ともー、準備はいいかー?」
「はいっ!吹雪、いつでも出れます!」
「いつでもどーぞ」
「よーっし、じゃ、開戦だ!」
天龍の一声とともに、それぞれが一斉に動き出した。
「なあ鈴谷。あれ、俺のセリフじゃなかったか?」
「提督ー、細かいことは気にしちゃいけないじゃん?」
「そうか」
審判組の気楽な会話とは裏腹に、海の上では猛烈な戦いが繰り広げられていた。
「撃ち方はじめ!いっけーー!!」
「沈みなさいッ!!」
吹雪達が先制攻撃を仕掛けるが、ボートは軽々と避けてしまう。ちなみに操縦しているのは海坊主である。
「甘い!先読み攻撃がなってないぞ!そんなんじゃ日が暮れる!」
「くっ…見てなさい!」
言われた仕返しとばかりに、叢雲は4連装魚雷をお見舞いした。そして避けた先には吹雪の砲弾が迫っている。だが、それでもギリギリのところで避けられてしまう。そんな戦闘がしばらく続いていた。
「獠…吹雪ちゃん…」
「今は信じるしかないな。奴が吹雪にどう影響を与えるのか。そして彼女らはどんな成長が出来るのかを」
「…!!」
「さえちんどったの?」
「気づいたかしら?獠はまだ1発も撃っていないわ」
「え?うっそ」
「ああ、冴羽はまだ手を出していない。いつ終わらせるかを考えているんだな」
「現実を見せよう、ってわけ?」
「そうかもしれないが、そうでないとも言える」
「てーとく、鈴谷にはむつかしすぎるよ」
「まあ見てりゃわかるさ。ほら」
提督に促され、海を見れば丁度獠達が吹雪と叢雲の間を通り抜ける所だった。そして、彼は2人の艤装に向けて発砲。弱点と思われる場所へ見事命中し決着を付けた。
一旦休憩ということで、陸に上がった4人は審判の元へ集まった。
「結果は…言わなくてもわかるな?」
「はい…」
「勝てなかったら解体するってわけじゃないんだ。そこまで落ち込むなよ」
「わかってます。でも…」
「冴羽達は海で戦い慣れているはずの私達ですらも軽く潰すことができる。こんなに強い相手は初めてだわ」
「だってよ、獠。お前はどうだった?」
「動きは悪くないし、後半はこっちがやられそうだったな。避けるので手一杯だ」
「だが、俺らが攻撃できたって事はそれだけの隙を作ったって事だ。それが命取りになる事を忘れるな」
海坊主の一言に各々が反応を示すと、天龍の後ろで控えていた龍田が口を挟んだ。
「あら〜、気にする事ないわよ〜。私だって外す時はあるのよ〜?ほら〜、こんな風に〜」
「ほわっ!?」
猿も木から落ちると、彼女は獠を使って示した。愛用の武器である槍を一瞬で彼に向かって振り下ろしたのである。間一髪で白刃どりをした獠の顔は青ざめていた。
「ほらね〜?言った通りでしょ〜?」
「たっ、龍田さん!これはその、僕の命に危険がっ!!」
「あなたなら大丈夫よ〜。吹雪ちゃん達もここまでとは言わないけど、自分の身はしっかり守れるようにしましょうね〜?」
「はっ、ひゃい!」
彼女が2人を案じて言ってくれているのはわかるが、あまりの怖さゆえに吹雪達は震え上がってしまった。
そんなとばっちりを受けた獠であるが、ふと空を見れば黒い物体が飛んでいることに気がつく。見たことのないそれに、彼は不安を覚えるのであった。
さて、今回の話はいかがでしたか?
開戦と言っても、今回はそれぞれの艦娘の人間性に注目してみました。
うまく描けていたらなあと思っています。
黒い飛翔体…はて、知らない子ですね?()
ここは読者様のご想像にお任せしますので、次回予告は省略という事で!
…どんな予告をしようかネタが思いつかなかったわけではないです!決して!!(ごめんなさい)