暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜 作:さんめん軍曹
こんばんは、さんめん軍曹です。
前回は吹雪視点、今回は裏で活躍していた艦娘達の視点でお送り致します。
では、本編どうぞ!!
「あ〜、見事にやられたクマ。なんで近海にあんなクッソ強いのがいるクマ、ありえないクマ」
球磨が愚痴るのも無理はない。周りを警戒している中、目の前にいきなり現れた深海棲艦に集中砲火を喰らい、全員が一瞬のうちに中破または大破に追い込まれてしまったのだ。
だが、近くにあった島に命からがら逃げ込んだ5人はその身に受けたダメージも気にせず愚痴るくらいには余裕を持っている。
「あたしと大井っちの魚雷攻撃も効かないなんてねぇ…チートすぎるよねえ」
「本当にその通りよね。それどころか、1発で大破に追い込まれるなんて…」
さほど離れていない場所から砲雷撃の音が聴こえてくる。
「熊野もすまない。多摩姉がエスケープしたばっかりに巻き込んじまって…」
「なあに、構いやしませんわ。それより、クソみたいに強いアイツらをどうやって捻り潰してやろうかしら…」
満面の笑みで物騒な発言をする熊野に、木曽はぞくりと悪寒を覚えるのだった。
「くまのん、その心配は無さそうだよ〜」
「?」
「信号弾上げてこっちの位置が分かってるし、冴羽っちの事だからたぶん高速戦艦を前に出すと思う。無線が壊れちゃったからわかんないけど、そんな気がするんだよねぇ」
海を見ながら北上は話す。その言葉とは裏腹に、彼女の目は確信に満ちていた。
「北上さんって、冴羽さんの事を本当に信頼してるのね」
「ん?そう…まぁ…そうねぇ」
「その通りだ。よく分かったな」
全員が声のした方向に砲を向けると、茂みから顔を出した摩耶の姿があった。
「なーんだ、摩耶っちか」
「砲を向けといてなんだはねえだろう。びびらせやがって」
「敵かと思ったわよ。この状況だから仕方がないでしょ?で、一体どうなってるの?」
大井が抗議しながらも摩耶に訊ねると、彼女は答えた。
「北上からの通信が途絶えた途端、鈴谷と多摩が提督殴り倒して飛び出してったんだよ」
「ぶっ飛び過ぎですわ…」
「お前だけには言われたくないクマ」
「まあまあ。それでよ、アタシらもたまたまそれを聞いてたからすぐに冴羽んとこに集合したら、鎮守府総出でお前らの救出と害虫駆除を頼まれたわけだ」
摩耶から大体の状況を聞いた5人は顔を見合わせる。
「なるほど。摩耶、一つ質問だ」
「なんだ?」
「鎮守府の奴ら、どんな感じだった?」
「金剛たちは戦う前からキラついてたし、冴羽を始めとした長門たちは鬼のような顔をしてたな」
「おぉう…」
「みんな情に厚いからねぇ。本気で怒らせたらレ級だって敵わないんじゃない?」
「それもあの提督と冴羽さんたちのおかげかもしれないわね」
「そうだな。とりあえず長門達が奴らの気を引いてる間に戻るぞ。動けない奴はいるか?」
「うおおおぉぉぉぉりゃあああ!!!!」
「シャーーーーーーッ!!」
敵の目の前に乗り込むなりいきなりカットイン攻撃をかまして不意をついた2人は、その勢いのまま砲撃を続けていた。
「ナッ、ナンダ?!」
「マダカンムスガイタノカ!」
「エエイ、ヒルムナ!ウテ!」
いくら初撃で不意をつかれたとはいえ、相手はエリート級だ。すぐに体勢を立て直して撃ち返してきた。
「オラァ!航改2が実装されたとか言ってるけどな!設計図がないから改造できないって提督に言われて悲しいじゃん!死ね!」
「ソレハメタハツゲンダ!」
「多摩はエスケープしたから無傷にゃ!元気一杯にゃ!だから沈むにゃ!」
「リフジンキワマリナイ!!」
色々とダメな発言が聞こえてくるが、敵が6人に対してこちらは2人である。そんな状況でも互角の戦いを繰り広げていた。
しかし、相手に空母がいることを忘れてはならない。
「ヲ…コレハドウ?」
ヲ級とヌ級から、一斉に艦載機が放たれる。鈴谷も航空機は持っているが、数では到底歯が立たない。
「それ無理いいいぃぃぃ!!ずるいっしょ!」
「酷いにゃ。数で攻めるとか、考え方が雑魚そのものにゃ」
「ソウ…ナラ、オモイシラセテアゲル」
そういうが否や、一斉に敵艦載機から無数の爆弾が降り注がれた。
「あーーーーやっばい!!多摩にゃんどーするよこれ?!」
「すずにゃ、うるさいにゃ。黙って気合いで避けるしかないにゃ!」
周りで爆弾が炸裂する中、2人は懸命に回避しようと試みていたが、遂に鈴谷が被弾してしまった。たまたま当たりどころが良かったのか、小破である事が不幸中の幸いである。
「ぎゃあっ?!いったいしぃ…」
「ほら言わんこっちゃないにゃ。黙るにゃ」
「あいたたた…服がボロボロじゃん…あっ、あれっ!やばっ!!」
鈴谷が指を指した方向を見ると、こちらに向かって急降下してくる機体がいた。
もうダメかと思った2人だったが、突如機体が爆発する。なんと、その一機だけじゃなく周辺もたちまち墜落して行ったのだ。
何事かと思ってあたりを見ると、黒に混じって緑色の戦闘機が飛んでいる。
突然のことで動揺する2人の無線機に、聴いたことのない声が聴こえてきた。
『2人とも!そのまま後退できる?私たちがなんとかするから!』
「誰?!」
『そんな事はあとあと。とりあえず言う通りにして』
「…わかったにゃ」
2人はそのまま後ろへ後退すると、緑とオレンジの着物が見えた。あれ?二航戦どころか、正規空母すらうちにはいなかった気がする…。
「助けてくれてありがと。鈴谷が知ってる限りだと2人とも二航戦だよね?どうしてこんなところにいるのさ」
「飛龍とふらふらしてたら、たまたま無線のやりとりが聴こえてきたのよ。それで駆けつけてきたんだけど…」
「5人だと思ったのに、見た所あなたたちだけだよね?」
「そうにゃ。その5人は多摩たちの姉妹で、助出しにきたところにゃ」
フンスとばかりに鼻を鳴らす多摩。しかし、二航戦の2人は驚いていた。
「え?難易度インフェルノな相手でしょ?鈴谷ちゃんでも小破なのに多摩ちゃんはなんで無傷なの?!」
「多摩を甘く見るにゃ。うちには頼りになる提督がいるにゃ」
「まあ、鈴谷たちも勢いで行ったようなもんだしねー…」
苦笑する鈴谷。と、そこへ砲撃の音と共に長門たちから通信が入った。
『2人とも無事か?』
「すずにゃが小破で、多摩は無傷にゃ」
『そうか、よかった。気持ちはわかるが、無理な突撃は控えろ』
「ゴメン長門さん。だけどこっちも心強い味方がきたよ」
『艦載機がいるようだが、いったい誰だ?』
「初めまして。私達は蒼龍と飛龍です。そちらの無線を傍受、救難信号を発見したので助太刀にきました」
『そうか、ご協力感謝する。出来ればこのまま制空権を確保して欲しいが、頼めるか?』
「私達では力が及ぶか分かりませんが、できる限りの事はします!」
『ありがたい。では、引き続きよろしく頼む』
「Burning、ラアァァァァブ!!!!」
「気合い!入れて!!行きます!!!!」
長門が通信を切った頃、金剛四姉妹が持ち前のスピードを活かしながら砲撃をしていた。
「オマエラ!アキラカニカズガチガウダロ!ソンナズルヲシテイイノカ?!」
「はい!榛名は大丈夫です!!」
「ヲ…カエリウチ…」
「主砲!敵を追尾して…撃てェッ!!」
実は長門や陸奥、金剛達の他にも時雨や夕立、初雪やら雪風など多数の艦娘が戦闘に参加していた。その中でもひときわ目立っていたのが、ドス黒いオーラを放つ龍田であった。
「あら〜、数ではこっちの方が上でも、強さで球磨ちゃんたちを袋叩きにした悪い子はどなたかしら〜〜?」
「ヌァッ?!」
実は龍田、相当頭に来ているらしい。頭の上で常に浮かんでいるリングは赤黒く光っている。彼女を知る艦娘たち曰く、本気で怒らせたら味方でも恐ろしいという。下手をすれば大和よりも強いとか。
最初に犠牲になったのはヌ級である。槍でひと突きにされた後、そのまま両断されてしまった。
「なんだかスッキリしたわ〜。手が足りなくなったら呼んでね〜」
と言うなり後ろに引いていった。
意外とアッサリしているのも彼女の特徴なのだ。
そして瞬く間に次々と沈んでいき、最後に残ったのはル級のみ。その頃には、鈴谷たちも合流していた。
「クソ…ワレワレガコンナニカンタンニヤラレルナンテ」
ギリリと歯をくいしばるル級に、金剛と鈴谷が近づいていった。
「ワタシたちは艦の娘。防衛の海上代行者。ワタシたちの使命は、ワタシたちの場所を奪おうとする愚者をその肉の最後の一片までも絶滅することデスーーーAmen」
「小便は済ませたか?神様にお祈りは?岩礁の隅でガタガタふるえて命乞いする心の準備はOK?」
どこかで聞いたことのある台詞を並べた2人は、同時にル級を殴り飛ばした。
すると、辺り一面が眩い光に包まれていく。
「なっ、なんだ…?!」
「眩しい…目が見えません!」
天龍と雪風が目を押さえ、他の艦娘たちも同じような反応をした。
光が止んで海面を見ると、かの有名な一航戦と大和の妹、そして速さを自慢とする艦娘が倒れていたのである。
さて、いかがでしたか?
前回はシリアスな雰囲気だったので、今回はあえてギャグ調にしてみました。
書いていてものすごく面白かったです(((
自分の持っている艦娘達のイメージと、それを活かしたような展開になるよう書きました。
そして、敵が強い分ドロップ艦娘もやばい方たちに…/(^o^)\
少しでも楽しめていただけたなら、筆者としても大変嬉しい限りでございます…!
では、また近いうちに…!!