暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜   作:さんめん軍曹

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休憩時間にお届けします、さんめん軍曹です。今研修でグループ会社に出向しているのですが、暑い中での立ち仕事は体にこたえます。
皆様もこまめに水分を取り、熱中症には十分気をつけてください。

では、本編参りましょう!





奪還せよ!助け合いの勇者たち【中編】

 

 

 

 

「海坊主!!なんでてめぇがここにいるんだよ!!」

「篠原に頼まれたに決まってるからだろうが!!お前のピンチを救ってやっただけありがたく思え!!!」

「冗談じゃねえ!こんな奴ら俺だけでもなんとかなったわ!!」

「聞いた話によると艦娘が1人連れてかれたそうじゃねえか!そんなんでなんとかなったと言えるのかこのウスラバカ!」

「なんだとタコ坊主!!」

 

その後鎮守府の敵を一掃し、ひと段落がついた。まだ残っている艦娘の建造が終わるまでの間に作戦会議をするということで再集合したのだが、この2人はいつの時代、どこまで行っても犬猿の仲である。

そんな2人の様子を見てオロオロと焦る艦娘もいれば、ドン引きする艦娘、面白がってヤジを飛ばす艦娘もいた。それを見かねた槇村が止めに入る。

 

「まあまあお二人さん。今は言い争ってる場合じゃあないだろう」

「だってこいつが!」

「なんだと?!」

 

そんな彼らの茶番に呆れた様子の摩耶は、側にいた提督に声をかける。

 

「なあ…あの2人っていつもああなのか?」

「ん?まあな。傭兵時代から変わらん」

「そうか…ってか、なんでアンタがそれを?」

「昔の話さ。何年か前、俺らは同じ戦場で共に戦う戦友だったのさ」

「へー。今度詳しく聞かしてくれよ」

「いずれな」

 

ここで話を終わらそうとする提督だったが、まだ何か言いたげの摩耶に訪ねてみた。

 

「どうした?まだ何か?」

「えっと…あの…その…」

 

彼女は恥ずかしいのだろうか、両手の人差し指でこちょこちょと弄っていた。

 

「なんだ?言いたい事があるならどうぞ?」

 

そして彼女は、意を決したように大声で叫んだ。

 

「頼む提督!アタシたちをアンタの艦隊に入れてくれ!」

 

彼女の声にしんと静まりかえる一同。しかし、提督は優しい目で摩耶を見ると、こう続けた。

 

「別に頼まれなくたってもう君達は俺の艦隊、いや娘同然だ。まさかとは思うが、本当に鈴谷をさらう気だったのか?」

「えっ?いや、それは…」

「多摩から聞いたんだろ?うちなら大丈夫だと。充分戦力になる君達があそこからあそこを離れれば、それだけで向こうの艦娘たちを奪還できる可能性が強まるもんな?」

「うっ…」

「お前さん、いいとこあるじゃないか」

 

そう言いながら、提督はおもむろに摩耶の頭をわしゃわしゃと撫でる。彼女は顔を真っ赤にすると、どこかへ走って行ってしまった。

 

「摩耶って言ったか?あの子」

「おう」

「素直になれないとこはうちの妹と一緒だな。…ちょっと行ってくる」

「気をつけろよ」

 

自身の妹となんとなく似ていると感じた槇村。そんな摩耶のことが心配なのか、提督に許可を求めると後を追って行く。周りが談笑を再開する中、その様子をただ1人、大井がじっと見つめていた。

 

 

 

ーーやべぇ!頭撫でられるなんて初めてだ!思わず逃げ出しちまった…

 

摩耶はふと足を止めると、先程の資材倉庫の付近まで来ていることに気がついた。辺りを見回すと、ボンベのようなものが見えるが、彼女は特に気にしなかった。

 

「うーん、褒められるのってなんだか慣れねぇなー…」

 

さっきまで提督に撫でられていた場所をさすってみる。

 

「しかし娘かぁ…案外悪くないかもな!へへへ…」

「摩耶はうちの妹にホントそっくりだな」

 

にへらと笑っていた摩耶だが、背後から声をかけられ即座に砲を向けた。その先には、よれよれのコートを着た男が1人。確かあいつは…

 

「そんな物騒な物向けないでくれ。俺は敵じゃない」

「な、なあ…」

「ん?」

「今の…見たか?」

「ああ、ガッツリと」

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

見られてしまった。しかもガッツリと!

彼女はその場で頭を抱えてうずくまる。

 

「お前さんを見ていると、まるで香だな」

「い、いいいいい今のぜぜぜ絶対言うなよ!誰にもいうなよ!」

「言わんよ」

「絶対だからな?!言ったらブッ殺すからな??!!」

「わかったって」

 

そう言いながら槇村は、摩耶の隣に座り込んだ。

 

「…そういえばさ」

「どうした?」

「アンタ、確か冴羽とかって奴の相棒だったよな?」

「うむ。それが一体?」

「いや、裏の世界?の人間にも妹っているんだなあ、ってさ」

「なんだ?おかしいのか?」

「おかしくはねえよ。アタシら艦娘だって姉妹はいる。性格も様々だしな」

「なるほど」

「ただ、自信が無いんだよ」

「ほう」

「姉妹っつっても、血の繋がりがあるのか無いのか。それに、アタシはこんな性格だからさ。周りに迷惑かけてないかなぁとかつい考えちまうんだ」

「何から何まで香だな」

「へ?」

 

きょとんとする彼女に、槇村は自分の身の上話をしてみた。

 

「嘘だろおい…」

「嘘なもんか。幸か不幸か、あいつは気づいてないが、20になったら本当のことを話してみるつもりだ」

「…それがいいと思う。アタシ、応援してるぜ」

 

そして摩耶はすくっと立ち上がると、

 

「よし決めたぞ!アタシ、もう少し自分に素直になろうと思う。それで、艦娘の名に恥じないよう努力するぜ!!」

 

と意気込んだ。

 

「頑張れ。お前さんは強い。血の繋がりは関係ないし、摩耶は摩耶なりにやってけばいいさ」

「おう!サンキューな、槇村のアニキ!」

『大変だ摩耶!すぐ戻れ!』

 

安心したのもつかの間、天龍から緊迫した様子の無線が入る。

 

 

 

「な、何だよあれは…」

 

埠頭から向こう、水平線上には黒い影がぽつぽつと見える。双眼鏡で覗いてみると、それは何と艦娘の連合艦隊だった。

 

「艦娘たちのようだが、見たところこちらの味方ってわけではなさそうだぜ」

「ああ。どうやら奴等の増援として来ているみたいだな」

『貴様らはすでに包囲されている。無駄な抵抗はよすんだ。死になくなければ、な』

 

もう一度双眼鏡で見回す。艦娘たちは扇状に等間隔で広がっており、海への逃げ道が完全に塞がれているのがわかる。真ん中で仁王立ちしているのは長い髪をサイドに纏めた、凛とした表情の艦娘だ。

 

「この分じゃ地上もダメかもねー」

「万事休す、にゃ」

 

 

 

その後、獠たちは上陸してきた艦娘たちに次々と縛られていった。次は摩耶の番になった時、彼女は急にもじもじし始めた。

 

「な、なあ、ちょっといいか」

「なんだ」

「あのよ…トイレに行きてえんだ」

「ダメだ!トイレなぞ我慢できるだろう!」

「ちっ…もう漏れそうなんだよ!」

 

と言うなり走り出す摩耶。妙高型2番艦の那智はすぐに砲を向け撃とうとしたが、思わぬ邪魔が入った。

 

「うわっ!?」

「行って摩耶さん!後は私たちが何とかするから!」

 

那智に体当たりをした大井は、2人して倒れこむと摩耶に呼びかける。

 

「…!…すまねぇ、恩にきるぜ!!」

 

憲兵達に引き剥がされ、袋叩きにあう大井を心配しながらも彼女は走り去っていく。

怒りの表情をたたえた那智は、血だらけの大井の髪を掴む。

 

「貴様…よくもやってくれたな…」

「上等よ。摩耶を逃したことをせいぜい後悔することね」

 

那智はふつふつと煮えたぎる怒りに耐えきれなくなったのか、さらにビンタを喰らわせる。

 

「大井っち!」

「大丈夫か!?」

「平気です…深海棲艦との戦いに比べればこれくらい、なんて事ないわよ」

「連れて行け!」

 

 

 

那智の指示と共に立たされ、車に乗せられる一同。艦娘達の不安げな表情をよそに、ただ1人だけの男は不敵な笑みを浮かべるのだった…

 

 

 

 







いかがでしたか?
個人的には摩耶様が可愛すぎてたまらないです(ぉぃ)
次回は後編、獠たちは一体どうなるのでしょうか?

乞うご期待です!!


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