暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜   作:さんめん軍曹

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こんばんちは、さんめん軍曹です。
前回からちょっと間が開いてしまいまして申し訳ないです…(汗)

さて、今回もむっちゃんが大活躍です。
クラウンが開発された経緯についてもちょっとだけ触れております…!

それでは本編どうぞ!!


大規模作戦の表と裏!ブラック提督のシナリオをぶち壊せ【その5】

 

「どうやらお喋りはここまでみたいね…!」

 

バックミラー越しの敵を視界の端で捉えながら陸奥が呟く。その間にも敵の車両はこちらに近づいており、窓から身を乗り出した1人が狙っていた。

この後の相手の行動を察した美樹が叫ぶ。

 

「伏せて!」

「きゃあっ!」

 

後ろの車が短機関銃を発砲すると同時に北方棲姫と潮が頭を伏せる。

だが、弾丸はガラスとボディに跳弾してどこかへ飛んで行ってしまった。

 

「…?」

「大丈夫。この車は防弾ガラスに防弾ボディよ」

 

ナビの液晶パネルを操作しながら陸奥が解説する。

 

「2年前、提督が殺されかけた事件を踏まえてね。明石ちゃん達が今度は何があってもいいようにってこの車を作ったの」

「…なぜ、陸奥さんはこのことを知っているのかしら?」

「彼女たちから解説を受けたのよ。…自分で言うのもなんだけど、私は車の運転には自信があるの。あの2人もそれを知ってて、私に話したってわけ」

「な、なるほど…」

「兵装は全て異常なし、弾薬も問題無いわね。…さて、今度はこっちが仕掛ける番」

 

兵装ボタンをタッチし、画面をスクロール。『caltrop』の単語が出た所で流れていた液晶を止めると、彼女は躊躇なく指を押し付けた。

コンピュータからの信号をキャッチした左右のテールランプが開き、まきびしが路上に散布される。

すぐ後ろまで迫ってきていた運の悪い数台の車は鋭い刃先をゴム製のタイヤで踏み抜き、勢いのままにスピンして散っていった。

頭数は減らしたものの、まだそれなりの車が追ってきている。

その様子をミラーで確認した陸奥は次なる装備を披露しようとするが、その寸前にけたたましい警告音と共にフロントガラスへWarningの文字が浮かび上がった。

 

「どうしたの?!」

「ミサイルでロックオンされたわ。美樹さん!」

「どうすればいいの?」

「ミサイルが飛んできたら斜め前に向かって発炎筒を投げて!」

「わかったわ!」

 

返事を言い終わらないうちに、美樹はグローブボックスに据え付けられていた赤い筒をもぎ取った。そのまま手回し式のハンドルで窓を開ける。すぐに点火できるよう側薬と頭薬をくっつけ、窓から顔を出して後ろを見た。

刹那、長い筒からミサイルが発射される。その時、美樹の脳内からアドレナリンが溢れ出したのか全ての動きが限りなくスローモーションになった。

ありったけの力で発炎筒の頭同士を擦り合わせて点火。間髪入れずに前へ力いっぱい放り投げる。

数秒後、風の抵抗で予想よりかなり上向きになりながらも赤い煙を吹き出してくるくると回転していた筒は小さく爆発し、路上には光のカーテンが降り注いだ。

高温のマグネシウムの中に突入したミサイルは瞬く間に爆発。その際に何台かを巻き込んでいった。

 

ーーー

 

『イギリス諜報部の資料を覗いて参考にしたはいいものの…この車の防弾性能は良しとして、あとは飛んできた砲弾をどうするか、よねえ…』

『そうだよねえ。単なる榴弾やロケット弾であればセンサー追尾式の自動ショットガンでも載せればなんとかなるけど、ミサイルがね……あ』

『どうしたの?夕張ちゃん』

『信号弾を応用して航空機と同じフレアをあの発炎筒に入れちゃえば良いんだよ!』

『グッドアイデア!だけど、足元につけたら運転手が使えなくならない?』

『うーん…グローブボックスのふたに取り付けるならギリギリ手が届く…かな?』

 

こうして夕張がハッキングした情報をもとに実験を担当し、明石の手腕によってこの車が。夕張の知恵で発炎筒型フレアが生まれたのである。

 

ーーー

 

そして現在。一連の流れが終わった頃、美樹の感覚は通常の速度に戻っていた。

 

「こんなの作るなんて…まともじゃないわね」

「あの2人が聞いたら喜ぶわよ。それ褒め言葉だもの」

「2人トモ、話シテイル暇ハナイヨ!」

「囲まれました!」

 

気がつくと、陸奥達の乗るクラウンの周りを数台のバンに囲まれていた。左側の車のパワーウインドウが開いてゆく。となると、相手が次に取る行動は明白だ。

 

「美樹さん避けて!」

 

陸奥が言い終わらないうちに、彼女は左手で素早くレバーを操作してシートを倒した。

そのすぐ後に発炎筒を投げて以降開けっ放しの窓から弾丸が飛び込んで、陸奥のカチューシャの飾りに命中してしまった。

 

「いっ、たぁっ…」

「陸奥さん!」

「大丈夫?!」

「このくらい…なんて事ないわ!」

 

弾丸が当たった衝撃で軽くふらついてしまったが、頭を振って持ち前の気力でなんとか気を取り直した。

 

「もう勘弁しないわ…!窓閉めて!!」

「は、はい!」

 

慌てて窓を閉める美樹。そして、普段は運のない陸奥ではあるが迫っていた危機から間一髪逃れた事で、この日いちばんの不運は前後左右にいる敵兵達に回ることとなった。

 

「私の大事なカチューシャを、よくも…」

 

再びナビの画面をスクロールする。今度は【Tesla coil】の単語で止めた。

 

「地獄で後悔しなさい!」

 

瞬間、左右のフェンダーミラーから計2本のアンテナが生え、そこを中心に車の周りから激烈な電撃が発生して半径数メートルにある、ありとあらゆるヒューズが爆発した。もちろん周りに引っ付いていた敵の車などひとたまりもなく、急激に中の人間もろとも制御不能になった結果、大クラッシュを起こして散っていった。

幸いなのは、人気のない道路なのでその他の被害がほぼ皆無だったことだろうか。

 

「美樹さん」

「はい」

「これから高速に入るわ。冴子さんに電話してくれるかしら?」

 

 

同時刻、警視庁にて。

本来なら自宅へ帰ってバスタイムを済ませているはずの冴子だが、退勤時間などとうに過ぎているのにも関わらずデスクに座っている。

理由はなぜか。それは、ブラック提督が動き出したとの情報をキャッチした彼女もまた獠と同様に、その時が来るのを待っていたからだ。

コーヒー・ルンバをBGMにモニター越しに中の様子が映る自販機で、濃いめのコーヒーを飲もうかと考えていた矢先に彼女の携帯が鳴る。

発信元は彼女もよく知っている人物だった。

 

「もしもし」

『冴子さん!大至急でお願いがあるの』

「どうしたの?美樹さん」

『今すぐ首都高を封鎖して!』

 

 

その頃、鎮守府地下の拘置所。

陸奥達の脱走を幇助した提督と海坊主、長門は黒澤の手によってここへ収監されていた。

 

「なあ海坊主」

「どうした」

「暇だから指相撲でもしねえか?」

「提督よ、こんな時に何を呑気なことを言っているんだ?」

「ダメ?ちぇっ」

 

残念そうにしながらも、提督は胸元をゴソゴソといじって小さな水筒を取り出し蓋を開けた。

 

「まあなんだ、心配せずともその時が来るまで俺らの出番はないさ。だからこうやって大人しく待つわけ」

 

そう言ってひと口煽ると、海坊主に手渡す。

彼も数回喉を鳴らすと、今度は長門に手渡した。

 

「ム…これは酒じゃないか!」

 

長門が振り向くと、提督はたばこに火をつけて空中に輪っかを作っていた。

 

「禁煙なんてクソ喰らえ」

「どこにそんなものを隠していたんだ」

「艤装を普段どうやって仕舞っているかわからんお前さんに言われたくないやい」

「まったく…」

 

摩耶の時に禁煙をやめたとはいえ駆逐艦達もいる手前、艦娘達の前でたばこはなるべく吸わないようにしている。それを含めてほとんど見せることはないが、提督は今回ばかりはいじけている事を隠さなかった。

 

 

「組長。どないしはったんです?外なんか見て」

「なんだかポリが騒がしいんや」

「新宿じゃ日常ちゃいますの?」

「いや、交機ばっかり動いとる。こらなんかあるで」

「ほな、調べましょか」

 

松浦は懐からスマホを取り出して、交通情報を検索する。

 

「な、なんやこれ…」

「どした」

「こいつ見たってください。えらいこっちゃでっせ」

 

組長が横から画面を覗くと、首都高が全て通行止めを示す黒一色に染まっていた。

 

「ほんまや。こっから鎮守府までの間にライブカメラはあるんか?」

「ちょっと待っとって下さい。………横横道路にあるようです」

「開いて見せてみい」

 

画面に指をタッチしてライブカメラを開く。

 

「やっぱりな…。緊急事態や、すぐに準備するで」

 

松浦のスマホの画面には、一台の黒色のセダンが残像のように写っていた。

 




いかがでしたか?

このブラ提シリーズも例に漏れず、今までの随所にパロディが散りばめてありますのでよければ探してみてくださいw

実は八戒組の松浦くんは、私の友人をモデルにしております()
組長も案外有能っぽそうですね。

さてさて、敵をなんとかかわしたむっちゃん達、目的地まで無事に辿り着けるのでしょうか…?
みんながその時を待つ中、事態は新たな展開になります。

※今回or次回から感想をログインユーザーだけでなく、一般にも開放しようかと検討しております。

それでは次回、お会いしましょう!!
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