暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜 作:さんめん軍曹
こんばんは、さんめん軍曹です。
現在転職活動中ですが、なかなかうまく行かずにちょっとだけしょげています。
早いとこ無職を脱出したいです。
それでは本編をお送りします!
大本営・大規模作戦本部会議室。
一般市民からの緊急通報の後、深海棲艦による大攻勢を阻止すべく中枢を担う幹部たちがここへと招集されてる。その中には当然元帥の姿も秘書艦の大和と共にあった。
「駒場大将。現在の状況を」
「はい。東京湾沖から突如出現した深海棲艦の群れは横須賀鎮守府へと侵攻中。現地及び周辺の市民の避難は完了済です。速度は低速ですがその間にも規模は膨れ上がっており確認されているだけでも500は超えています」
室内がどよめく。
今までは彼らの拠点を狙い、各鎮守府が作戦を立て艦娘を送り込んでいた。
だが今回は状況が違う。深海棲艦の群れーーしかも大規模な部隊ーーがこちらへ向かっている。
もしも彼らが一斉に攻撃を仕掛けてくれば、甚大な被害が発生することは明白だ。
それだけはなんとしても避けなければならない。
「現在主要な高速及び国道・地方道は全て通行止め。要人たちはシェルターに避難しています」
「うむ。よろしい」
「元帥閣下、いまひとつ質問があります」
幹部の1人が挙手をする。
「許可する」
「深海棲艦達は何故、このような行動に出たのでしょうか。横須賀鎮守府となにか関係が…」
「生憎だがまだ分かっておらん。目下調査中だ」
「それでは閣下、大本営連合艦隊を出撃させるのですか」
「やむを得んな。艦娘を直ぐに招集し、担当の武官は防衛作戦を立てるのだ。黒澤大佐は特別艦隊と共に横須賀へ出向しているので不在だ」
そこで会議は一旦終了。各自が持ち場へ戻る中、大和は元帥に囁いた。
「元帥。これは…」
「そうじゃよ大和。どうやら港湾棲姫と北方棲姫の弔い合戦のようだ」
「特別艦隊によって彼女らの部隊は壊滅させられました。これでは…」
「心配せんでええ。彼らがそんなヘマをすると思うかね?」
大和は驚く。
「彼女らは生きていると…?」
「今にわかる」
「ハ、ックシュン!」
港湾棲姫はくしゃみをした。
「見た目の割に可愛いくしゃみじゃん。深海棲艦も風邪引くんだ?」
北上がハンカチを差し出しながら茶化すと、港湾は少し困惑する。
「ナゼカシラ?私ニモワカラナイ」
渡されたハンカチで鼻をかんで北上へ返そうとするが、彼女は拒否した。
「おいおい状態じゃあないよ。それは洗ってから返しとくれ」
「ソ、ソウカ、スマナイ」
「いいってこと…ん?」
人の気配を感じた北上。味方がどうかわからないその気配を警戒した彼女は扉の横へ張り付く。
その直後、勢いよく扉が開かれた。
「オ姉チャン!!」
「ソノ声ハ…我ガ妹ノ北方…!!」
2人はほんの少しだけ見つめ合うと、直ぐに互いを抱きしめた。
「オ姉チャン。生キテテ良カッタ…!」
「モウ離サナイワ…!カワイイ妹ヨ…」
その様子を香と陸奥、美樹達が微笑みながら見ている。
「あら?」
「どうしたの陸奥さん」
「北上ちゃんはどこへ行ったのかしら…」
「そういえばそうだわ。変ねえ、さっきまで港湾さんと一緒にいたんだけど…」
彼女らは辺りを見回すが、北上はどこにもいなかった。
しかし、扉が閉まる方へ少しだけ動けば、壁に挟まれた北上が無言で床へと倒れ込んだ。
「あ、あらあら北上ちゃん。そんなとこに…」
「…」
身体のあちこちから謎の煙が上がっている彼女を起こそうとするが、そこへ血相を変えた松浦が駆け込んできた。
「皆さん、はよテレビをつけてください。今すぐに!!」
『現在沿岸部では、避難活動が行われておりーー』
『市民の皆様、できるだけ内陸部へ…』
『絶対に海へは近づかないでください。最寄りのシェルターへ避難してください。不可能な場合は屋内または地下へーー』
「な、なにこれ…」
テレビのテロップには〈緊急避難警報〉とそれに続く情報が繰り返し流されている。右下に表示されている日本列島の沿岸部は全て赤いラインで囲ってあった。
「こ、港湾さん…」
「私ハ死ンダト思ッテイルママノ同胞達ガ、ドウヤラヨコスカへト集結シテイルヨウダ」
「で、でも今までの作戦じゃそんなこと」
「恐ラク中枢棲姫ダ。彼女ハ我々ノ中デモ特ニ過激ナンダ」
「コノ周辺ハ私トオ姉チャンニ任サレテイタ。ダケド、ソレガ無クナッタカラ…」
「…………行かないと」
北上が立ち上がる。香と松浦は慌てて止めようとした。
「待って北上ちゃん!」
「1人じゃ無理やで!命は無駄にしたらアカン!」
「それでもあたしゃ行かないと。艦娘として生まれたなら、その使命を果たすまでだよ」
テーブルの上に置いてある単装砲を手に取り、そのまま玄関へと向かう北上。だが彼女の前に潮がたち、その歩みを止めさせた。
「どきな駆逐艦。さもないと力ずくででも…」
「わ、私も…」
「何さ」
潮は一度息を吸うと、意を決したような眼差しを彼女へ向けた。
「私も連れて行って、ください…!」
北上は相手の足元へ目線を落とす。潮は生まれたての子鹿のように脚をガタガタと震えさせていた。
「そんなんじゃかえって足手纏いだよ。あんたは大人しくして…」
「私も行きます!!!」
力強く答える。
「たっ、確かに…怖いです。でも、艦娘は北上さんだけじゃありません…。そっ、それに…」
「…」
「それに、鎮守府のみんなが危ないかもしれない…!だって、ほっぽちゃんを実験台にするような人たちです。きっと裏が…」
北上は大きくため息をついた。
「このまま、黙って見てるだけなんて…」
「潮」
「…?」
「駆逐艦がいっちょ前なこと言ってんじゃないよ」
彼女は潮の頭をガシガシと撫でる。
「あたしから離れるなよ。沈んでも知らないからね」
「は、はい…!!」
今度は2人で歩き出そうとする。その肩に陸奥が手を乗せた。
「あらあら。私を除け者にするつもり?これでも戦艦なんだけどなー」
「陸奥さん…」
「ビッグ7のひとりがここに居るのを忘れられちゃあ困るわね。ねえ香さん」
「?」
「あなたは獠のパートナーよね。それなら彼はどう動くと思う?」
香は少しだけ考える素振りを見せるが、答えは決まっているようだった。
「あいつなら…この騒ぎに乗じて脱走を仕掛けるわね」
「冴羽っちならやりかねないね。多分そのまま鎮守府に戻るっしょ」
「それなら彼の心配は要らないわね。私達も鎮守府へ行くわよ」
「うへ、また戻るの?」
「当たり前よ。さもないと…」
「さもないと?」
陸奥は腕を組んだ。
「篠原くんが暴れ回るわ」
陸奥の心配をよそに、当の本人は手下の一人をナイフで刺し殺していた。
「おやすみ」
陰から海坊主と長門が出てくる。
「いつまでネズミみたいな真似をするんだ」
「今んとここいつで最後だよ。…さて」
提督はポケットからスイッチを取り出した。
「これがなんだかわかるか?」
「提督よ。勿体ぶらずに教えてくれ」
「じゃあ押してみっか。ポチッとな」
提督は迷いなくボタンを押した。
そこから電波が発信され、とある場所に仕掛けられている爆弾の受信機へと送られる。そのまま信管に電流が流れてC-4爆薬が起爆した。
直後、ドックとその建物が派手に吹っ飛んだ。
「ハッハァ!こりゃ観音様もびっくりだぜ!!」
「火薬の量が多過ぎでは…」
「そうだな神通。ワンチャン多かった。だが結果オーライだ」
「これでしばらくは出撃不能だな」
海坊主は満足げにうなづく。
「そういうこった。どれ…あとはレジスタンス達に武器をばら撒くか」
「こちら長門。艦娘は全員武器庫に集合だ。追っ手はどんな手を使ってでも振り切れ」
「中枢棲姫サマ」
「アア。何カガ変ダ」
「ドックガ爆発…。ドウシマスカ?」
「全軍、一旦停止ダ。少シ様子ヲ窺ウ」
大本営拘置所。
「さて。ここにいるのも飽きたことだし、鎮守府へ帰るとしますかね」
「そういうと思った。はい、あなたのコート」
大きく伸びをする獠へ、川内はコートを渡す。
「君達はそういう物をどこにしまっているのか、本当に不思議だ」
「装備スロットが空いてる限りどこでも仕舞えるよ。…それから、これは元帥からのプレゼント」
彼の手へもうひとつ、包み紙にくるまれた物を渡した。それを開けば、中からS&W M19 4インチモデルと、ひと箱分の弾薬が現れた。
「銃がないと寂しいだろうから、パイソンが戻ってくるまでそれで遊んでろってさ」
いかがでしたか?
深海姉妹の再会に潮の決断、そしてようやく動き出す獠たち。
見どころ満載かと思います…!
いよいよ大どんでん返しが始まりますが、果たして…
それでは次回、よろしくお願いします!!