暁のスイーパー 〜もっこり提督と艦娘たち〜 作:さんめん軍曹
こんばんはざいます、さんめん軍曹です。
就活用の鞄を整理してたら、20歳になって速攻で発行したtaspoが出てきました。無くしたと思っていたんですがね(というか忘却の彼方へw)
顔写真を見て、あまりの若さにビビってしまいました。ほぼ8年前です(((
この小説を書き始めたのはtaspo発行のおよそ半年前になります。
その半分ちょっとの期間が凍結状態でしたが、こうしてまた書けるようになったのも読者の皆様が忘れずにいて下さったお陰かと思います。本当にありがとうございます。
さて、それでは本編どうぞ!!
神通が出ていった後の黒澤は、しばし窓の外を眺めていた。
遠かった深海棲艦の群れは今や肉眼で影を確認できるほどに近づいている。
「これでようやく、目障りな横須賀を潰す事ができる…」
独り言を呟く。
彼は表向きはキャリアを積み上げ大本営特別艦隊を任されているが、その裏ではブラック提督として長い間艦娘やその周辺を虐げてきた。
だが、横須賀に冴羽獠がやって来てからはことごとく邪魔をされ、このままでは自身の化けの皮が大本営に知られるのも時間の問題だった。
そこで、
「冴羽獠…忌々しい男め。いずれ奴も始末せねば」
まもなく黒澤の計画は遂行される。
証拠は全て闇へと葬り、自分が火種を撒いた戦争を自分の手で終わらせて、その手柄で次期元帥を狙っているのだ。
そのうちあの老いぼれも始末することになるだろう。
黒澤はそんなことを考えているうちに、沈める艦娘を集める為に向かわせた神通がいつまで経っても戻って来ないことに気がついた。
「…遅い!!何をしているんだ、あの愚図め!」
彼が苛立ちを見せた瞬間、外のドックが派手に吹っ飛んだ。それが何を意味するかを悟った黒澤は歯軋りをする。
「おのれ!またしても…!」
その少し後。
武器の配布は長門に任せ、提督と海坊主は敵の高機動車が留め置かれている場所へと向かった。
そこへ辿り着くと予想通りに兵士が何人か立っていた。
「どうする」
「まあ任せとけって」
そういうなり提督はそばの木箱に被さっていたOD色のシートカバーを剥がして身に纏うと、そのままつかつかと歩いて声をかけに行った。
「ようおたくら!鎮守府警備の三木 真臼だ。おかしな報告があってな」
呼びかけられた兵士たちは懐中の銃に手を伸ばす。
「近づいたら撃て…」
「両手いっぱいにハチミツを持った幸せそうな…」
彼らが振り向く途中で、提督は容赦なく9mmの雨をお見舞いした。
ボルトが後退しきった特注の
「赤いシャツを着た黄色いクマだが…おたくらもしかして見かけなかったか?」
新しいマガジンを挿入して、ボルトを引っ張り前進させた。
その流れでハンマーをデコックして木製のホルスターに収めると、両手に唾を吐きかけパチンと合わせ、目の前の光景を見た。
「パロディも悪くはないな。…さて、敵の武器は壊すより乗っ取るに限る。海坊主、手伝ってくれ」
「ム…!」
「どうした?長門」
「摩耶。提督が暴れ始めたようだ」
「いいねぇ。獠の野郎が帰ってくるまでに、アタシも秘書艦として鎮守府を掃除しなくっちゃな」
摩耶は艦娘としての装備の他に、ステアーAUGライフルを手に持っていた。
他の艦娘達も似たようなもので、それぞれの武器は提督の指示によって対人戦闘に重きを置いたものとなっている。
ただし、いずれにも共通しているのは全て彼の趣味が全開になっているということだ。
「ここの提督さんは何者なの?なんでこんな物まであるのよ」
呆れた様子の瑞鶴が手に取ったのは、旧日本軍の二式テラ銃だ。
「よく分からないけど、大東亜戦争の武器が好きって言ってたわね。連合枢軸関係なしに集めてるとか」
彼女の疑問に回答した叢雲はイングラムMAC-10にサプレッサーを取り付け、
「その割には時代の幅が広いのね。ほんと、なんでもアリなの」
伊19はM1カービンを構えて空撃ちしていた。
「さてさて、やっちゃうよ!」
ブローニングM1918自動小銃、通称BARを手にした鈴谷が先陣を切り、艦娘達が組んだ部隊が出撃していった。
大本営では様々な役職の人間が慌ただしく駆け回っていた。そんな中、川内の侵入経路を辿り脱獄を図った獠たちは通気口の中を這っていく。
「なあ川内」
「どうしたの?」
「ここから逃げ出す前に、ちょっと寄りたい所があるんだが…」
数分後、2人の姿は大本営の資料室にあった。
「早くしないと見つかっちゃうわよ」
「別に発見されようが、俺らを止められるやつはいないさ。どれどれ…」
デスクの上に数束の資料を置いた獠は、さらにパソコンを起動する。そして立ち上がった後、コートのポケットから取り出したUSBメモリをポートに差し込んだ。
「あいつを追い詰める証拠がいるんだ。川内、何か知らないか?」
「沢山あるわよ。…特に伊勢さんの事とかね」
「ほう?」
「撃ったのは私」
「…なんだって?」
突然といえばあまりに突然の告白に、流石の獠も動揺を隠しきれなかった。
「どういう事か説明してもらおう」
「分かったわ。…だけどその前に」
「ああ、そうだな」
「ドアの向こうに3人」
直後、ドアが開け放たれる。
「動くな!そこで何をしている」
兵士たちが銃を向けるが、獠はすぐにコンバットマグナムで全員の銃を叩き落とした。
そして川内が勢いよく3人の前へと素早く移動すると、格闘術でまとめて気絶させた。
彼らをまとめて縛り上げた川内は改めて獠に向き直る。
「まずはファイルを開いてくれる?パスコードは…」
東京湾、若洲海浜公園。
堤防のほとりには、海へ降りた北上と潮、港湾姉妹が。
堤防の上には、陸奥や美樹に香、そして八戒組の組長らが立っていた。
「んじゃ、ちょっくら深海の奴らと話をつけに行ってくるね〜。バックアップよろしくぅ」
「そ、その…行ってきます」
4人は横須賀沖を目指して海を駆けていく。
「ねえ陸奥さん」
「ん?何かしら香さん」
「なぜあなたは、ここへ残ったの?」
「ん〜、そうねえ…」
陸奥は人差し指を顎に当て、少しだけ考える素振りを見せると香へウィンクした。
「だって、怒りに任せて暴れてる同期を止められるのは…私しかいないもの♪」
そして横須賀鎮守府・医療棟。
先程から外で重機関銃の発砲音やタイヤのスキール音、時折聞こえる爆発音を耳にしながらも日向はずっと伊勢の傍にいた。
「伊勢…」
日向は伊勢の手を優しく、だがしっかりと握る。大半の艦娘が大攻勢を仕掛けている今、彼女のそばにいて守ることができるのは自分自身しかいないと考えて攻撃には参加しなかった。
そんな日向は手を握ったまま額へとくっつけると、語りかけるように呟いた。
「伊勢、頑張れ…。目を覚ましたら、また一緒に大海原を駆けるんだ…!」
そのまま彼女は祈る。周りの音が聞こえなくなり、時を忘れるほどに。すると、握っている伊勢の手が微かに動いたように感じた。
「伊勢…、伊勢!」
「ひ、ひゅ…が…」
伊勢は目を覚ました。
いかがでしたか?
今回はちょっとだけ少なめでしたが、お伊勢さんがお目覚めになるところまで書けました。
そして、8話目でようやくタイトル回収……長かった……
提督がパロったのは、左手にベレッタをもちニューヨークで大暴れしたツルツルの刑事さんですね()
では次回予告。
まんまと大本営から脱出したこの俺、冴羽獠は横須賀鎮守府へ向かう途中に川内からある話を聞いた!それはなんと、彼女が伊勢ちゃんを背後から撃ったってんだから驚きだよな。だがなんと訳アリなようで、だんだんとこの事件のカラクリも分かってきたぞ…!
次回もおたのしみに!