オルカについていき、街の大きな門をくぐるとそこは、
「わぁーー、大草原じゃないか!」
そこには一面に草原が広がっていた。寝転んだらさぞ気持ちがいいのだろう。そんなことを考えてしまう。
「ねぇ!オルカ!すごいねこれ!ゲームじゃないみたい!」
無邪気にはしゃぐカイト。そんなカイトを見ているせいか、なぜかオルカもテンションが上がってくる。
「そうだろう!そうだろう!これがこの世界!ソードアートオンラインなんだよ!」
そして右手でメインメニューを開き片手剣を取り出す。
「さて、始めるか。」
片手剣をブンブンと振りながら楽しそうに歩き始める。
「始めるって何を?」
オルカは思いっきりずっこけた。ほんとうにカイトの頭の上には疑問符が乗っている。
「なにをって、戦いに決まってるだろ。」
「え!?戦い!?ここで!?」
「そうだよ!学校で説明しただろ!SAOは敵を倒して上の階層に行ってラスボスを倒すゲームなんだ。敵を倒さなきゃ意味ないだろ!」
「そ、そうだった。こんなに景色がいいから、すっかり忘れてたよ。」
「おいおい頼むぜ。これから俺のギルドメンバーになる予定の男がこんなんでどうするんだよ。」
オルカは呆れているがどこか嬉しそうだ。こんなにもこのゲームを楽しんでもらえているんだ。このゲームを紹介した身としては気分が悪いわけがない。
「さて、気を取り直してカイト。武器を持て!」
「えーーと、武器ってどうやって持つの?」
あぁ、こんなんで大丈夫だろうか。心の底からオルかは不安に思うのだった。
〜数分後〜
「よし、武器は持ったな?」
説明になかなか手間がかかってしまったが、ようやくこれで戦える。
「ばっちりだよ!ヤスヒコ!」
カイトは持った片手剣を掲げる。やる気は高い。が、
「カイト、今の俺は、オルカだ。ヤスヒコじゃない。」
「あぁ、ごめん。どうしても慣れてなくて。」
申し訳なさそうにするカイト。まぁ、悪気があったわけじゃないんだ。仕方ない。
「まぁ、なんだ。こっちはカイトって名前がそのままだからわかりやすいが、そっちは違うもんな。」
「うん、正直わかりにくい。どうせならヤスヒコって名前にしてよ。」
「それはなんか嫌だ。リアルとゲームは一緒にしたくないし、ヤスヒコってなんか微妙だろ?勇者ヤスヒコ。なんかヨから始まるあの勇者みたいで嫌じゃないか。」
「そうかな。僕はいいと思うけど。あれ面白いし。」
「俺は面白さを求めてるんじゃない。かっこよくなりたいんだ。強い自分。理想の自分。それがこの俺。オルカだ。ヤスヒコなんてダサい名前なんかじゃない!」
「自分の名前ダサいっていっちゃったよ。お母さん傷つくと思うよ?」
「さっきっからダメ出しばっかりしやがってこの野郎!」
その後カイトは武器を持ったオルカに追い回されることとなった。
〜数分後〜
「はぁ、はぁ、はぁ、あのさ、オルカ。」
「ぜぇ、ぜぇ、なんだ、カイト。」
「僕この世界に来てまだ戦闘してないね。」
「そうだな、次から次へと色々と起きるからまだやってないな。」
すこし落ち着いた2人はここでようやく自分たちのすべきことを思い出す。
「さ、さて、ウォーミングアップも終わったことだし、早速モンスターを倒すか!」
「え、今のってウォーミングアップだったの?」
「あ、当たり前じゃないか!他になんだと思っていたんだ!」
「まぁいいや。で、何を倒せばいいんだっけ?」
「そうだな。手軽にイノシシだな。」
「イノシシ?こういうのって最初はスライムとかコウモリとかズッキーニじゃないの?」
「おまえ、それは俺と一緒にやったドOクエ9の話だろ。」
「そういえば、あのゲームは結局ヤスヒ、ごほん、オルカが勝手に進めてて、気がついたらシナリオ終わっててパーティーは僕だけレベル99だったよね。」
「そ、そうだったな。わかってる。だから今回は俺は隣から見るだけ。お前の教育係だと思えばいい。」
あの後シナリオを見ることができなかったカイトにかなり恨まれたことを思い出した。そう言えばこいつ、設定とか好きなんだよな。ちゃんとした設定あるからあとで教えてあげよう。
「そっか。じゃぁ頑張って倒してみようかな!」
片手剣を振り上げるカイト
「やばくなったら助けに入るから、ちゃんと頑張れ!」
こうして大草原を歩き、敵とエンカウントして戦うことになった。
〜数分後〜
「わぁぁぁ!?!?」
「大丈夫かカイト!?!?」
襲ってきたブレンジーボアに突進されて吹っ飛ぶカイト。見るに見かねてオルカは剣で敵の頭を叩き割り倒し、急いでカイトの方に駆け寄る。
「大丈夫か?カイト。」
「うーん、無理かも。あのイノシシ強すぎる。中ボスくらいあるんじゃない?ブOドーガくらい。」
カイトの体力がオレンジまで減っている。オルカの所持品からポーションを取り出しカイトに使い回復させる。
「あ、ありがとう。いやでも、本当に強かったね。あのイノシシ。」
「すまんカイト、あいつその設定でいくとスラOム程度なんだ。」
「なっ!?!?」
信じられないという顔をするカイト。はぁ、とため息をつくオルカ。
「まぁ、なんだ。誰でも始めはあんな感じだ。コツさえつかめばどうとでもなるから気にするな。これから上手くなればいい。」
「そ、そうだね。ハハハ」
この時カイトは心の中で思った。ぼくはこのゲームに向いていない気がする。