無職転生ールーデウス来たら本気だすー   作:つーふー

115 / 116
シルフィエットは相談することにしました。


蛇足 Liberalism
『シルフィエットの食卓』


 

 

 

 ある日、リベラルはルーデウスの自宅へと向かった。

 と言っても、遊びに行く訳ではない。

 シルフィエットに呼び出されて向かっていたのだ。

 もちろん、リベラルに呼び出されるような心当たりはない。ただ話したいことがある、ということで呼ばれたのである。

 

 家へと辿り着けば、アイシャが出迎えてくれた。

 中へと入れば、ルーデウスの子どもたちが元気にはしゃぎ回っている姿に出くわす。

 本来の歴史通り、生まれたのはシルフィエットの娘ルーシーと、ロキシーの娘ララ、そして最近生まれたエリスの息子アルスだ。

 

「ほらほら、お客さんが来たから、みんなこっちにおいで」

 

 そんな子どもたちは、ゼニスに連れて行かれるのだった。

 リーリャやアイシャもともに手伝い、リビングへと引っ張って行く。

 そんな中でも、アイシャがアルスのことを「可愛い可愛い」と言っていたのが、やけに印象に残る場面だった。

 そこまで重要な話だとは思ってないが、態々2人きりの環境を作るくらいにはしたいらしい。

 この時間帯はロキシーは教師の仕事をしているし、ルーデウスとエリスは布石潰しのために遠出している。

 文字通りの2人っきりと言うわけだ。

 

「あ、リベラルさんいらっしゃい」

 

 現れたシルフィエットは、第二子を授かりお腹が少しばかり膨らんで来ている様子だった。

 そのことを微笑ましく思いつつ、彼女は挨拶を返す。

 

「こんにちはシルフィ。望み通り1人で来ましたよ……女同士、密室、数時間。何も起きないはずがなく……」

「えっ? 何か言った?」

「ふふ、何も言ってませんよ」

「そ、そう? ならいいけど……」

 

 そうして客間へと向かうと、いつの間に現れたのか、アイシャがササッとお茶だけを用意して退室するのだった。

 アイシャのメイドとしての徹底振りに悲しみを覚えつつ、お茶を一口飲み込む。

 

「それで今日はどうされましたか? 態々呼び出しましたが……もしかして深刻なことだったりしますか?」 

「ううん、そんなに大したことじゃないんだけどね……最近のボク、家の中での役割があんまりなくって……」

「ふむふむ」

 

 確かに深刻ではないが、彼女にとっては大切な話だ。

 それをどうしてリベラルに相談するのかは分からないが、されたからにはしっかり話は聞いていく。

 

「家事は順番に役割分担してるんだけど、リーリャさんとアイシャちゃんが優秀過ぎてさ……ボクがフォローされてるような状況なんだよね」

 

 メイドとして教育された2人と比べるのは、酷かも知れない。しかし分担している以上、そこに差を感じることも当然だった。

 例えばゼニスなんかは治療が終わり、日常会話も問題なく出来るまで回復してる。そしたらいつの間にか治癒魔術を活かして働いていたのだ。

 シルフィエットは妊娠しているものの、まだまだ動ける段階だ。そんな状況で何もせずにゆっくりしているだけと言うのは心情的に嫌だった。

 

 なるほど、とリベラルは思いつつも、疑問に思ったことを口にする。

 

「事情は分かりましたが、どうして私に相談されたのですか? 家庭内で話し合った方が改善しそうな気もしますが……」

「えーとね、どうせならみんなに喜んでもらえる料理を頑張ろうかなって思っててね。料理を教わるならリベラルさんが一番だったから、かな」

 

 それに、と彼女は続ける。

 

「ルディが好きなご飯を知ってるのも、リベラルさんだったから」

 

 シルフィエットはルーデウスが異世界からの転生者であることをまだ知らない。

 何となく察するものはあるが、流石にそこまで把握出来る訳もないだろう。

 だが、ルーデウスは自身の知らない世界の料理を切望しており、それを作れるのがリベラルなのだ。

 現在アイシャが栽培しているお米に関しても、ブエナ村には存在しなかった食材である。

 冒険者生活である程度の見聞を広めたとは言え、お米に合う食材なんてものを知っている筈がなかった。

 

「そういうことですか」

 

 とにかく、シルフィエットは家事で足を引っ張っているなら、料理で不足分を補おうとしていた訳である。

 その考えはおかしくないし、リベラルもそういうことなら協力するのも吝かではない。

 別に秘伝だとか一家相伝みたいなこだわりもないため、レシピくらいなら幾らでも教えて構わないのだ。

 

「では、一緒にキッチンに行きましょう。実際に作りながらの方が覚えやすいでしょう」

 

 ということで、2人はご飯を作るための準備を始める。

 リベラルは家の中に揃っている調味料や、調理器具を確認していく。

 ふむふむと言いながら、シルフィエットへと彼女は向き直った。

 

「まずは食材や道具を揃えるところから始めましょう。家の中にあるもので十分美味しいご飯は作れますが、レパートリーを増やしていきましょうか」

 

 地球にもある料理……和食や世界三大料理といったものを作るには、少しばかり物足りない。

 そのため、まずは様々な物を集めるところから始める必要があった。

 そこまで大規模な料理をするつもりもないだろうが、持っていて損はない。特に調味料なんかは腐らないものもあるし、腐るにしても長期間の保存が出来る。

 かさばるという問題はあるが、この家はとても広いため問題にならないだろう。

 

 2人で街中を散策し、あーでもないこーでもないと話しながら買い物を楽しむ。

 

「リベラルさんって本当に色んな料理知ってるよね。全部独学で学んだの?」

「そんなまさか。独学ももちろんありますが、全部がそうなら私は今頃アスラ王国で料理屋さんでも開いてますよ」

「ってことは、昔からあった料理法?」

「当たらずとも遠からず、ですね」 

 

 前世で過ごした時の知識があるとは言え、当然ながら世界三大料理を食べ尽くしたことがある訳でもない。

 精々写真やネットで見たことある程度だが、それでも料理ごとに味の方向性はあるため、予想は出来る。

 そこから繋ぎ合わせて完成させたのだ。

 もちろん、本当の三大料理を食べたことがないため、実際の味とは異なるかも知れない。

 それでも美味しいなら問題ないだろう。

 

「それにルディは和食が好きでしょうからね。それなら私の得意分野ですよ」

「……………」

 

 ポロッと溢れ出た言葉。

 けれどそれは、結婚している女性がいる場では相応しくない言葉だろう。

 

「……前々から思ってたけど、リベラルさんはルディのことが好き、だったりするの?」

 

 不意に言われた言葉に、リベラルは僅かに動揺し、配慮が足りなかったことに気付く。

 彼女の発言はまさしくマウントを取っているかのようなものだった。

 シルフィエットよりも先にルーデウスと出会っている。謎の言語による会話も出来る。よく分からない故郷の話もする。その上料理の好みまで把握しており、それを作ることが出来る。

 もはや役満だろう。

 これがあまり関わりのない関係性だったらめちゃくちゃ嫌われていただろう。

 シルフィエットとはブエナ村からの付き合いであるため、今もうこうして友人関係でいられるのだ。

 

「んー……まあ、好きですけど、どちらかと言えば友愛や家族愛に近い感情ですね」

「…………」

 

 以前にも言ったように、リベラルはもしもルーデウスに強く求めれば断れないかも知れないだろう。

 けれどそこにひとつ付け足すとするならば、その後はルーデウスと距離を置くであろうということ。

 リベラルはルーデウスのことを信頼しているのだ。

 彼は決してシルフィエットたちを悲しませるようなことはしないし、周りにいる友人たちのことも大切にしていると。

 ルーデウスがその信頼を裏切るとは思っていなかった。

 

「それに、尊敬とかそっちの感情も大きいと思います」

 

 今まで口にはしなかったが、リベラルはルーデウスのことを尊敬している。

 彼はリベラルやオルステッドと違い、明確な目的や使命もなくこの世界に転生してきた。

 そしてしっかり目標を持って、本気で生きてきたのだ。

 最初から具体的な目的のあったリベラルは、その目的を果たすために行動すればいいだけだった。

 けれど目的がなければ、ここまで上手く事が進むことはなかっただろう。

 それに比べルーデウスは、ただ本気で生きるという漠然とした目標だけで、ここまで自身を磨いてきたのだ。

 それがどれほど難しいことなのか、言うまでもないだろう。

 人は具体的な何かを見付けなければ、堕落しやすい存在なのだ。

 リベラルも目的を持って転生してなければ、きっと怠惰な生活を送っていただろう。

 

「まあ、そもそもヒトガミを倒すまでは誰とも恋愛的な関係になるつもりはありませんからね」

「じゃあ……もしもヒトガミをすぐにでも倒せたとしたら?」

「……意地悪な上に難しい質問をしますね、シルフィ」

 

 もしもの話だが、あり得ない話でもない。

 例えば今すぐでなくても、ルーデウスが肉体変化の術を受けて長寿になったらあり得る話だ。

 そうなると話は難しくなるだろう。

 

「それは分かりませんよ。未来がどうなるかなんて誰にも分かりませんし。でも、今の私はルディとくっつく気はありませんよ」

「…………」

「それに、私は貴方がたの関係性が大好きですから」

 

 そう、リベラルは彼らの関係が好きなのだ。

 そこに割って入るなんて、百合の間に男が挟まるのと同じくらい許されない暴挙である。

 

「……そっか」

 

 シルフィエットは静かにそう呟いた。

 そこに安堵や嫉妬と言った感情は見られない。

 あるのは納得の表情だ。

 どこかスッキリした様子の彼女は、笑顔を浮かべた。

 

「ルディがどうしてもって言ったら、ボクもきっと受け入れたと思うの」

「私と結婚とかって話ですか?」

「うん。でも納得出来るのかって言われたら、それは別問題だからさ」

 

 シルフィエットはルーデウスを愛しているし、そして愛されてもいる。

 ロキシーもエリスも同じだ。互いに愛しているからこそ、多妻という形に納得出来た。

 けれど、リベラルがもしも結婚となったら、それは違うだろうという感覚があったのだ。

 

「ナナホシさんとか分かりやすいよね。他に好きな人がいるって明確な線引きをしてるから、ルディのことに好意はあっても愛情とまではいってなかったからさ」

「まあ、そうですね。どちらかと言えば恩人って感じに接してましたもんね」

「だから、ルディがもしナナホシさんと結婚したいって言ったら、ボクは反対してたよ」

「へえ、それは意外ですね」

 

 ナナホシにも嫉妬するポイントは数多くあった。

 ルーデウスのナナホシへの優しさはどこか特別な感じがあったのだ。

 リベラルと同じようによく分からない言語で会話するし、よく分からない故郷の話もする。サイレントではなく、何故かナナホシと呼ぶ。

 そのことを見せびらかすようにマウントを取られていたら、普通に嫌いになっていただろう。

 そこは配慮してくれてたので、問題なかったが。

 

「リベラルさんも同じだったの。確かに好意はあるけど、愛してるって感じじゃないし」

 

 ともかく、シルフィエットの明確なラインはそこにあった。 

 

「相手がルディのことを愛していて、そしてルディも愛してるならボクも文句は言わないよ」

 

 つまり、そういうことだ。

 確かに特別な関係性ではあるが、そこに愛が含まれてはいないのである。

 どちらか片方だけの愛情なのだとしたら、シルフィエットは結婚を反対するだろう。

 リベラルもナナホシも、そこの線引きは明確に引かれていたため、嫉妬はあれど信頼はしていたのだ。

 

「いやあ、シルフィが男女の友情は成立しないとか言わなくて良かったです」

「もう。流石にそんなこと言わないよ。それだとおばあちゃんと2人きりで居るのも許可出来ないもん」

「それもそうですか」

 

 エリナリーゼとルーデウスも、何だかんだで行動することが多い。というか普通に仲が良い。

 そのことにシルフィエットは特に嫉妬していないし、何なら特に思うこともなかった。

 肉体的な繋がりよりも、精神的な繋がりを重視しているようだった。

 

「じゃあ、愛してる旦那様のために腕によりをかけなきゃ、ですね」

 

 そうして2人は、買い物の続きを始める。

 地球にあった食材はないものの、似たようなものなら幾らでもあった。

 この世界に存在しないものも、別に作ることは出来るのだ。

 例えばタルタルソースなどだ。レシピが分かっていれば問題なく作れるだろう。

 売っていないし、代用品もない。そして作ることも出来ないものもあった。それは素直に諦めるしかないだろう。

 リベラルが冗談めかして「アルマンフィでも呼んで採ってきますか?」と言ったが、流石に断られた。

 

「圧力鍋とかもありませんし、まあ器具とかは魔術で作りましょうか」

「圧力鍋?」

「密封することで空気や蒸気を閉じ込めて、鍋の中の圧力を高めるんです。圧力が高まると沸点も高くなるので、普段よりも高い水温で食材を加熱出来るんですよ」

 

 なんてことを言ってるが、ルーデウスのために用意するご飯は和食メインとなる。

 その方が彼も喜ぶだろう。

 卵かけご飯は確かに美味しいが、それだけが和食ではないのだ。

 天ぷらとかうどんとか、それに肉じゃがなども良いだろう。

 

 一通りの材料を集めた2人は、家へと戻るのだった。

 

「お帰りなさいませ、奥様。それにリベラル様」

「お帰りシルフィ姉! リベラル姉のレシピ、今度あたしにも教えてね?」

「うーん、でも教えちゃったらボクの良いところなくなっちゃうよ」

「シルフィ姉は気にし過ぎだと思うよ。誰もそんなこと思わないのに」

「まあ、それは分かってるんだけどさ……」

 

 アイシャの言う通り、別に家事について誰も文句はないだろう。メイドが2人もいるのに、むしろ手伝ってくれてることに感謝しているくらいだ。

 けれどそれとこれとは話が違うのである。

 何もしないのはルーデウスの妻に相応しくないというか、なんというか。

 やっぱり役割というものが欲しいのだった。

 最終的にみんなにレシピは共有するだろうが、最初は自分でルーデウスのために用意出来るようになりたかったのである。

 

「まあまあ、今回はシルフィだけに教える予定ですからね。アイシャとリーリャは彼女からまた聞いて下さい」

「えー、もう仕方ないなぁ。シルフィ姉、約束だよ? あたしもリベラル姉のご飯作れるようになりたいし」

「うん、それは約束するよ」

 

 残念そうにはしているが、理由が理由なだけに仕方ないだろう。

 受け入れたアイシャは、踵を返して隣にいたリベラルに「今度あたしにも特別なレシピ教えてね」と言い、部屋から退室しようとする。

 

「それじゃあ、あたし残りの掃除してくるね!」

「私もまだ終わっておりませんので、ごゆっくりどうぞ」

 

 そうしてアイシャとリーリャは、その場から居なくなる。

 それを見送った後、リベラルたちはご飯の準備に取り掛かるのだった。

 

「今回レクチャーするのは……そうですね、肉じゃがにしましょうか」

 

 ふと昔のことを思い出し、リベラルはそれを作ることにする。

 

「肉じゃが?」

「ええ、名前の通り肉とじゃがいもがメインのおかずですよ」

 

 日本人なら誰もが食べたことのある料理だ。

 けれどその割に作るのに手間が掛かるため、いざ自分で作るときには母親の偉大さを思い知ることになるだろう。

 今回は変に龍神流の技術などを用いず、誰にでも作れる手法で料理していく予定である。

 

「では、先ずはエプロンを装着しましょう」

「あ、はい」

 

 シルフィエットに用意してもらったエプロンを身に着け、2人はまな板の前に向かう。

 

「それではじゃがいもと人参を乱切りにしましょう」

「分かった」

 

 トントンと、リズミカルに野菜たちを一口大に包丁で切り落としていく。

 流石に普段から料理もしているだけあって、シルフィエットの動きに淀みは見られない。

 

「お肉も一口大に切っておきましょうか」

「お肉の種類は何でもいいの?」

「特にこだわりがなければ、好みのもので構いませんよ」

 

 続いて玉ねぎを取り出す。

 

「くし切り……中心に向かって放射状に切っていきましょう」

「ボク、玉ねぎは目がしみるから切るの嫌いなんだよね……」

「確かに私も嫌いですが、龍神流の技術を用いれば玉ねぎなんて余裕になりますよ」

 

 龍神流の技術は使わないと言ったが、それは訂正する。

 と言っても、シルフィエットにも出来る簡単な内容を選択して伝授していく。

 

「玉ねぎは中にある成分を切ることで空気中に蒸発して、それが粘膜に付着することで痛みを誘発しますからね」

 

 そうして、リベラルは玉ねぎをひとつ手に取る。

 

「だから、細胞を壊さないように避けて切れば解決です」

 

 ヒョイッと空中に玉ねぎを放り投げたかと思えば、リベラルは目にも止まらぬ速度で包丁を振るう。

 そうして空中でくし切りとなった玉ねぎは、用意されていたボウルの中へと全て落ちて行くのだった。

 

 振り返った彼女は、笑顔で告げた。

 

「ねっ、簡単でしょ?」

「うん、全然簡単じゃないよ」

「ですよねー」

 

 剣術を修めてる者なら真似出来たかも知れないが、生憎シルフィエットは魔術師だ。

 そんな高度な技術を模倣出来る訳もなかった。

 仕方ないので、今度こそ誰にでも出来る方法をレクチャーしていく。

 

「繊維に沿って切ることを意識してみて下さい」

「こう?」

「そうです。そしてよく観察してみて下さい。繊維の流れがたまにおかしいものもあるので、それを切断しないように意識するんです」

「これ、凄い難しいよ……」

「ふふ、慣れればもっと早く切れるようになりますよ。それまで精進していきましょう」

 

 そうして何とか玉ねぎを切り終えたシルフィエット。

 確かに目が痛くなることもなく、今までより快適に料理をすることが出来ていた。

 

「玉ねぎの細胞を切らないことで、中身の旨味がより凝縮されて美味しくなるんです。他の野菜を切る時にも使えるので覚えといて損はないですよ」

「うん、ありがとう。頑張ってみるね」

「よろしい。次はお肉を炒めていきましょう」

 

 軽く油で熱し、肉に火を通していく。

 肉に火が通れば、次は野菜たちを投入していくのだ。

 

「全体に油がまわったら砂糖とお水を加えましょう」

 

 指示に従い投入した瞬間、跳ね上がった油がシルフィエットを襲う。

 けれどリベラルがお箸を動かし、それをガードするのだった。

 

「油が跳ねても私が守るので安心してください」

「あ、あはは……ありがとうリベラルさん」

 

 過剰な対応に僅かばかり引きつつ、取りあえずお礼だけはするのだった。

 

「後は残りの調味料を加えてから落し蓋をし、弱火で25分間煮込みましょう」

「やっぱり料理って時間掛かるよね」

「手間ひま掛けたその分、美味しくなりますよ。野菜たちにお箸が簡単に通るようになれば完成です」

 

 そうして肉じゃがが完成する。

 出来上がった料理の匂いを堪能しつつ、シルフィエットは味見をするのだった。

 

「食べたことない味だけど……なんだろ、ちょっとしょっぱい感じの味なのかな? でも美味しいよ」

「それが和食の特徴ですよ。あまりに塩気が強く感じるなら、薄めるのも全然ありです」

「ううん、これくらいで丁度いいかも」

「それなら良かったです」

 

 と言う訳で、料理完成だ。

 今回の1回で全て覚えろというのは酷なので、レシピも渡しておく。

 リーリャとアイシャにも完成した料理を振る舞い、味の感想を貰った。

 もちろん2人とも美味しいと言ってくれた。

 

「これ、お米とよく合うね」

「確かに……お汁を染み込ませた時の味は非常に良いですね。それに、温かい味です……」

「あ、それ思った。何ていうか、身に沁みるって感じだよね」

 

 好評なようで、リベラルも大満足である。

 アレンジも出来るため、本人たちの好みに合わせて更に改良していくともっと美味しくなるだろう。

 

 この日を境に、グレイラットの食卓に、料理の品物が増えることとなった。

 リベラルは定期的にシルフィエットに料理を教えるようになり、レパートリーも増えていった。

 そして色んなジャンルの料理を教えるが、やはりルーデウスに一番好評だったのは和食だった。

 肉じゃがを作った時のルーデウスは、「母さんありがとう」と泣き出してしまったらしい。

 

 罪な女である。

 因みにその日の夜は激しかったらしい。

 でも、その情報はいらないです。

 

「リベラルさん、今日もよろしくお願いします」

「ええ、任せて下さい」




地球の野菜とどれくらいの差があるか分かりませんので、独自解釈です。
六面世界に玉ねぎって存在するんでしょうか。
因みに玉ねぎの切り方は適当なので、真似しても意味はありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。