無職転生ールーデウス来たら本気だすー   作:つーふー

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前回のあらすじ。

ルーデウス「聖獣召喚した」
パウロ「強くなるためリベラルに師事した」
リベラル「学校楽しんでね」

更新が早いのはたまたまです。
原作と同じような流れのためかな?
気が向いたら失踪します()


8話 『サイレント・セブンスター』

 

 

 

 ルーデウスたちが大学に入学し、しばらくの時間が経過した。

 その間、リベラルは変わりない生活を送っていた。

 ゼニスの治療、パウロの指南、魔術の開発。

 どれも順調に進んでいる。

 タルハンドとエリナリーゼも好きなように過ごし、警戒する必要のあるギースも時おりゼニスに語り掛けてるだけだ。

 何度か会話を交わしたものの、やはりヒトガミの使徒なのか判断はつかなかった。

 

 ルーデウスたちは大学の寮で過ごすことにしたらしい。

 冒険者としてある程度お金も稼いでいるし、この世界での成人間近の年齢なのだ。世話になりっぱなしは嫌だったのだろう。

 前世が引き籠もりであり、親にそれ関連の迷惑を掛けたくなかった思いもあったためかその選択に迷いはなかった。

 

 たまにリベラルの元へと遊びに来るため、その際に大学での話をした。

 

「ちゃんと青春してるじゃないですか」

「そうですかね? ……いえ、そうなんでしょうね。僕も驚くほど楽しめてると思います」

 

 ルーデウスから聞いた話は、本来の歴史と大体似たような流れだった。

 入学時期に違いはあるが、辿る運命はやはり変わらないようだ。

 

 シーローン王国で人形のことを伝えたため、ザノバ王子はルーデウスの弟子になり、

 リニアとプルセナも力の差を見せることで従順になり、

 クリフはミリス神聖国で神子の暗殺騒動があった影響で、こちらに留学しに来たがツンケンしてるとのこと。

 

 後は、よく分からないがアリエル一派の人間から接触を受けているらしい。政治争いに巻き込まれるのが嫌なルーデウスは、ゲンナリした様子で愚痴っていた。

 この様子だとどうやらエリスがアリエル陣営に所属し、剣客として暴れていることを知らないようだ。

 ロキシーは戸惑うことがありながらも順調に先生をすることが出来ているらしい。

 飲み込みの悪い生徒も沢山いるが、それでも教えることが楽しいと笑顔で語っていた。

 シルフィエットは周りから頼りにされているらしい。ブエナ村の頃のような気弱な姿を見せず、凛々しいお姉様のように認識されてるようだ。

 そして意外なことに、アリエル王女と仲良くなっていた。

 恐らくルーデウスと親しいから近付いたのだと思われるが、それでも運命を感じる話である。

 

「後、ザノバがリベラルさんにも会いたがってましたよ」

「ああ、人形製作ですか。別に構いませんよ。いつでもとは言えませんが、空いている時間は多いので」

「ありがとうございます。ところで、この人形ってリベラルさんが作ったのですか?」

 

 彼が見せたのは、ロキシーを象ったフィギュアだ。

 奴隷になっていたリーリャとアイシャを購入するため、資金調達用にリベラルが作製した人形。

 シーローン王国へ行く前にパウロへと渡したそれは、しっかりとザノバ王子に売り払われたらしい。

 こうして巡り巡って製作者に戻って来たのを目の当たりにすると、感慨深いものがあった。

 

「ええ、その通りですよ」

「おお……貴方も同志でしたか……!」

「貴方も、ということは?」

「フッフッフッ……僕も作ってみましたよ!」

 

 ドンっ! という擬音を出しながら、目を輝かせたルーデウスもロキシー人形を目の前に出す。

 そして、ロキシー人形の魅力について長々と語り出した。

 脇下のホクロのギミックや、細長い杖を作るのにどれほどの技術が必要だったのか。パンツも綺麗に作った。更には上着も取り外し可能にしたと。

 人形に込められた想いを熱く語っていた。

 リベラルはそれを「うんうん、頑張ったんですね」と聞き、微笑みながら見つめる。

 

 やがて、全てを語り終えたルーデウスは満足そうな笑顔を浮かべ、

 

「あなたもロキシー教に入信し、幸せになりませんか?」

 

 などとよく分からないことを言ってきた。

 ロキシーが可愛いことは認めるが、パンツを祀る趣味はない。

 というか何故祀っているのかは彼女にも理解出来ないことだった。

 そもそもフィギュアの話をしていたのに、どうしてその結論に至ったのか不思議だ。

 

「いえ、結構です」

「そうですか、残念です……」

 

 リベラルは即答で断る。

 しょんぼりしたルーデウスだが、流石に同情心は沸かなかった。

 そんな姿を見て、どこかのタイミングでパンツを回収しておこうかと考える。

 しかし、そんなことをしたらルーデウスが発狂し、最悪自殺するのではないかと思い止めることにした。

 そんな馬鹿な理由で彼を失いたくない。

 

 気を取り直すかのように咳払いをひとつしたルーデウスは、伝えようとしていたことを話す。

 

「そう言えば、サイレント・セブンスターとのアポが取れましたよ」

「そうですか。気負わず気楽に接して下さい。龍神を目的に近付いたなんて思われたら、嫌われちゃいそうですからね」

「そうですね。僕も気になることがあるのでサイレント先輩と会えるのは楽しみです」

 

 ルーデウスは今までの旅路で、サイレント・セブンスターの名前を何度か耳にする機会があった。

 それにラノア魔法大学でもその人物が発明したものが多数ある。

 イメージアップのための制服。授業を円滑に進めるための黒板。その他にも様々な聞き覚えのあるものが作られていた。

 この世界の住人が知らず、そして彼が知っている物。

 鈍感さに定評のあるルーデウスも、サイレント・セブンスターがどんな存在なのか想像出来た。

 

「気になることですか?」

「まあ、色々です」

 

 そして彼は自分が転生者であると告げていないため、リベラルに濁すように言ってしまう。

 彼女はルーデウスが転生者であることを知っているが、態々正体を突っ突く必要もないので特に何も言わずにいた。

 

「大丈夫ですよ。ルディ様なら仲良くやれますって」

「……リベラルさんってもしかしてサイレントさんのこと知ってるんですか?」

 

 以前から仲良くやれると何度か言われていたため、彼は思わず尋ねてしまう。

 彼女の言い方は、どこかサイレントのことを知っているかのような口振りに感じるのだ。

 

「面識はありませんが、よく知ってますよ。周りには冷たく接しますが……本当は寂しがりな子なんです」

「はぁ、何で知ってるんです?」

「未来の知識によるものですよ」

 

 そう言われれば、それ以上の追及も出来ないだろう。

 以前はそこまで気にしなかったが、リベラルの未来の知識とやらは都合の良い言い訳に使えそうである。

 とは言え、彼女のことは信用してるので誤魔化しにその台詞は使わないだろうと思っていた。

 

「いつ会われるのですか?」

「明日ですよ。ロキシーやシルフィも誘おうと思いましたけど、ひとりで会う予定です」

 

 態々ひとりで行く必要はないのだが、なんとなくひとりで行くべきという予感のようなものがあった。

 ルーデウスが思っているような存在であれば、恐らく他の人物がいても話についていけないだろう。

 とにかく、他の人たちは抜きで会ってみたいと思っていた。

 

「そうですか。じゃあ、適当にお菓子でも作ってあげますし明日持っていくといいですよ」

「本当ですか? リベラルさんの作るものは美味しいので嬉しいです!」

 

 その後、じゃが芋を薄くスライスし、油で揚げたお菓子。つまりポテトチップスを作ったリベラルは、それを渡したのであった。

 ルーデウスはとても喜んでいた。

 思わずツマんでしまい、全部食べてしまうほどに美味しかった。

 サイレントの分のお菓子がなくなってしまったため、リベラルがちょっと怒りながら作り直すことになった。

 ルーデウスはその隙にタンスからパンツを物色しようとしていたが、バレてしまったのはご愛嬌だろう。

 

 

――――

 

 

 翌日。

 研究棟の三階。

 その最奥。

 サイレントはそこにある三つの部屋を借りきっている。

 その三部屋をぶちぬいて研究室にし、ほとんどそこから出ずに生活しているという話は事前に聞いたものだ。

 

 部屋の前まで来たルーデウスは、一度深呼吸してからノックをする。

 

「……どうぞ」

 

 すると短く、やや苛ついた声による返事があった。

 彼はドアに手をかけ、ゆっくりと押し開いた。

 

 部屋の奥、大量の本や紙束が散乱し、各所に何に使うかわからない魔道具が放置され、

 そして、大量に置かれた魔力結晶や、魔石が山と積んである研究室。

 

 その奥に座っている人物。

 特徴的なのは、そののっぺりとした白い仮面。

 そしてこの世界ではあまり見かけない黒い髪。

 

「……それで、何の用なの?」

 

 仮面の彼女、サイレントはどこか嫌そうな声色でそう尋ねた。

 

 本来の歴史と違い、ふたりの邂逅はここが初めてである。

 ルーデウスが地球出身ということを予想すら出来ていない彼女は、どう見ても歓迎している様子ではなかった。

 それでも会おうと思ったのは、ルーデウスが魔術方面で有名だったからなのかも知れない。

 

「召喚魔術を専門に研究されてると聞きましたので、お話しをしたくて」

「ハァ……そう。別にそこまで詳しくないわよ」

 

 どこか落胆した様子のサイレント。

 そのことに疑問を感じつつも、ルーデウスは自身の知識を絞り出しながら話しをする。

 といっても、彼の知識量は初級程度である。

 質問をして、答えて、といったやり取りを繰り返すだけで、話題が一向に進展しない。

 ルーデウス自身も凄く退屈に感じでしまってるため、サイレントも退屈に感じてることだろう。

 

 召喚魔術以外に話題を変えてみても、「そうね」と「知らないわ」しか口にしない。

 俺はやはりコミュニケーション能力が低いのだろうか、と自虐気味になりつつあるルーデウス。

 相手が大した反応を返してくれないので仕方ないだろう。

 

「もういいかしら? 私も暇じゃないのよ」

 

 しまいにはこのように言われる始末だ。

 滅気そうになりながらも、彼はリベラルからもらったお菓子を差し出す。

 

「あ、これお土産です」

「…………ポテトチップス?」

 

 驚いたかのような声色を上げる彼女に、ルーデウスはやはり地球関連の話が一番興味を引くのではないかと判断する。

 

「これ、どこで手に入れたの?」

「俺の師匠の手作りですよ。じゃがいもをスライスして揚げるだけでしたから簡単に作れますし」

「…………」

 

 彼の返答に、サイレントはなにやら考える仕草を見せる。まだ何か迷うことがあるらしい。

 このまま相手の反応を待つだけでは進展しないかも知れない。

 そう思ったルーデウスは、更に地球だけの物の名前を出すことにした。

 

「まあこちらとしてはポテトチップスよりフライドポテトの方が好きなんですけどね」

「あなた……そう、そういうことね」

「ん? 何がですか?」

「それだけ露骨に言ってるのだから、流石に分かるわよ」

 

 彼女は懐から一枚の紙を取り出す。

 受け取って見れば、

 

『篠原秋人

 黒木誠司』

 

 と、日本語で書かれた名前が記されていた。

 もちろん、その名前に見覚えはない。

 

『この言葉は分かる?』

 

 そして、彼女は日本語で問い掛けた。

 やはりかという気持ちが湧き出る。

 ルーデウスの予想通り、サイレントは日本人だったのだ。

 

『日本語ですね、分かりますよ。けどその名前は知らない』

『言葉は分かるのね』

『元日本人だしそりゃね』

『元日本人……ということは、私とは少し違うのね』

 

 そう言いつつ、彼女は仮面を外した。

 その顔には見覚えがあった。

 ルーデウスが転生する直前、目の前で口喧嘩をしていた内のひとりだ。

 彼らを助けようとして、無様にトラックに跳ね飛ばされた訳だが……彼らも轢かれたのだろうかと考えてしまう。

 

『異世界転移……ですか』

『そういう貴方は異世界転生ね』

 

 彼女は納得したかのように呟き、少しだけ表情を緩ませる。

 

『私の名前はナナホシ・シズカ。日本人よ。

 最近はサイレント・セブンスターという偽名を名乗っているわ』

 

 それからふたりは互いのことを話し合った。

 ナナホシも先ほどまでの退屈そうな様子はなく、饒舌になり色々なことを語る。

 

 この世界には気付いたらいたこと。

 龍神に拾われて世界中を旅したこと。

 元の世界の知識を使い、お金を集めたこと。

 魔力がないため扱えないこと。

 

 そして――日本に帰りたいこと。

 

 そのためにずっと研究をしていると告げた。

 最後の言葉に、ルーデウスは共感は出来なかった。

 けれど、気持ちは分からないでもなかった。

 彼にだってやり直したいことは色々とある。

 パウロたちとの関係を築けば築くほどに、前世の家族に対しての罪悪感が大きくなっていくのだ。

 もっと親孝行していれば、なんてことも思うが、それはもう出来ない。

 親は亡くなり、その葬式にすら出なかったのだから。

 日本に戻ったとしても、ルーデウスにはもう兄弟たちからの恨みしかないのだ。

 

『そう……大往生だったのね』

 

 それからも話は続く。

 

 歳を取らないことや、魔法陣を習得したこと。

 この世界への不満や、ナナホシの研究に協力する約束なども交わした。

 そんな中で、彼女はひとつの疑問をこぼした。

 

『あなたがさっき言ってた師匠……もしかしてその人も転移者か転生者だったりするの? ポテトチップス作ってたのでしょう?』

『えっ?』

 

 それは思ってもない疑問だった。

 接してきた時間が長かったからこそ、特に不思議に思うことがなかった。

 お菓子に関しても簡単な内容であり、元々料理の腕前が高かったこともあり気にならなかったのだ。

 だが、よくよく思い返せば醤油のことを知っていたのもおかしい話だった。

 長生きしているからこそ知っているのかと思ったが、ナナホシに言われたことで疑問が湧き出る。

 

『どうだろ……気にしたことがなかったから分からないな』

『どんな人なの?』

『尊敬する人、かな。俺が魔術王なんて小っ恥ずかしい名前で呼ばれるようになったのもリベラルさんのお陰だし』

『へぇ、そうなのね魔術王さん』

 

 からかうかのような言葉に、ルーデウスは苦笑しながら「止めてくれ」と訂正させる。

 

『昔からの師匠だよ。あの人より強い人はいないんじゃないかって思ってる』

『そんなに強いのね』

『龍神の方が強いって言ってはいたけど、俺は龍神のことを知らないからな』

『オルステッドも確かに凄いわ。襲ってきたのはドラゴンだろうと全て一撃だったし』

『それは……想像できない世界だな』

『そうね。私も想像出来ないわ』

 

 ルーデウスもそれなりに強くなった自負はあるが、上を見上げれば切りがない。

 そもそも闘気とやらを纏えないので、超人みたいな身体能力で戦っているのは憧れたりする。

 

『それに、随分と昔から生きてきたみたいだし、知識の量が凄かったな』

『召喚魔術にも精通してるの?』

『自称全神級だよ』

 

 それが事実かどうかは分からない。

 だが、ルーデウスの知っていることの大半は知っているし、ルーデウスの知らないことの大半も知っているのは事実だ。

 出来ないこともあるだろうとは思っているが、何が出来ないかの想像は出てこなかった。

 

『それなら、是非とも手伝ってもらいたいわね』

『お願いしてみようか?』

『いいの?』

『優しい人だから引き受けてくれると思うよ。

 パウロ……父親の家の購入を肩代わりするくらいだし』

 

 その言葉に、ナナホシは微妙な表情を見せる。

 

『……大丈夫その人? すぐに騙されたりしてない?』

『用心するところは用心してるから大丈夫だと思う。多分』

 

 ルーデウスの脳裏に過ぎるのは、かつてボレアス家へ面接に行ったときのことだ。

 自信満々に使用人になれると言っておきながら、無様に不採用された時の四つん這いになった時の姿。

 時おり凄いうっかりというか、変な行動や言動があったりするような気がするのだ。

 

『まあ、パウロが金を返さないなら俺が回収するから大丈夫だ』

『あ、そう……』

 

 それでいいなら言うことはないが、突っ込みどころはあるだろう。

 しかし自分が態々介入する気にもならないので、ナナホシは軽く流した。

 

『そのリベラルって人、昔から生きてるって話だけれど、有名な人だったりするのかしら?』

『俺は詳しく知らないけど、ラプラス戦役では銀緑って呼ばれてたらしいな』

 

 

『――――銀緑、って今あなた言った?』

 

 

 ナナホシは驚きのような、焦りのような様々な感情を表れている表情でそう尋ねる。

 

『言ったけど……それがどうした?』

『…………』

 

 彼女は何か考えるかのように、難しい顔を見せる。

 すぐに表情を戻し、口を開いた。

 

『その人とすぐにでも会えるように調整出来る?』

『ええと、向こうの予定次第だから何とも……』

『その人の予定の合うタイミングならいつでも来ていいからお願いしてもいい?』

『まあ、それなら……』

『ありがとうルーデウス』

 

 難しい表情だと思ったが、何とか冷静さを保たせるためのものだと気付く。

 ルーデウスに事情は分からないが、ふたりの間に何かしらの関係があったと考えるのが自然だろう。

 だからこそ、彼も当然ながら尋ねる。

 

『どこかで会ったことあるのか?』

『ええ、会ったわ』

『何があったんだ?』

 

 彼の疑問に、ナナホシは答える。

 

 以前、旅の道中で遭遇したこと。

 その際に、初対面であるにも関わらず下の名前で呼ばれたのだと。

 明らかにナナホシのことを知っている様子だったが、龍神との戦闘中のため割って入ることは出来なかった。

 結局、オルステッドに殺されてしまったため話を聞くことが出来ず、今に至ったと彼女は語る。

 

 さらっとリベラルが殺されたという話が出たが、生きているため追及する必要もないだろう。

 そのような幾つかの疑問を飲み込み、ルーデウスはナナホシのことを考える。

 確かに気になるのも当然だ。

 彼女と同じ立場であれば、ここまで冷静にはなれないだろう。

 

『分かった。伝えておくよ』

『ええ、お願いするわ』

 

 その返答に、ナナホシはホッとした様子を見せる。

 日本からこの世界に来た原因の手掛かりをやっと掴めそうなのだ。

 一度取り零したと思ったからこそ、よりその安堵は深かった。

 

『それと、さっきのことだけど』

『どのことですか?』

『そのリベラルって人が異世界人かもって話よ』

 

 どういった理由でナナホシのことを知っていたのかは分からないため、その推測は絶対とは言えない。

 しかし、状況的にリベラルが異世界人である可能性は高いと考えていた。

 ルーデウスもその考えには同意する。

 とはいえ、異世界人であろうとなかろうとリベラルへの見方が変わることはないと考えていた。

 

『せっかくだし、あなたからそのことを聞いてみて欲しいのよ』

『あー……悪いけどそれは断るよ』

『どうして?』

『この前ちょっと罪悪感を感じることがあってさ。それでリベラルさんには誠意を見せるって伝えてるんだ』

 

 リベラルが異世界人であるかどうか、大いに興味はある。

 出来ることなら知りたいと思ってはいるが、今の台詞通りそのように伝えたばかりだ。

 今までリベラルがそのことを話していない以上、自分から調べるのは引け目を感じるのだった。

 

 そのことを説明すると、ナナホシは溜め息を吐きながら「まあいいわ」と口にする。

 

『それなら私が本人に直接確認するわ』

 

 その結論に彼は特に文句はないし、言う資格もないだろう。まあ頑張れという感じである。

 

 こうして、ナナホシからリベラルへとコンタクトを送ることになった。

 ルーデウスも伝言役となることに不服はないし、素直に伝えることにする。

 話も聞きたい気持ちはあるが、宣言したことをここで覆すのもどうだろうと言った感じだ。

 

 いつの日かちゃんとリベラルのことを聞こう。

 そう思うがそれは今ではない。

 

 

 そして、この場にいる誰もが想像出来なかっただろう。

 ルーデウスにも、リベラルにも、ヒトガミにもそれは分からなかった。

 

 話を聞かない。

 

 たったそれだけの選択。

 けれど、彼のその行動が後の運命に大きく影響するのであった。

 

 

――――

 

 

 後日、ナナホシの元へ一通の封筒が届く。

 差出人を見てみれば、そこにはリベラルと記載されていた。

 彼女はすぐさま中身を取り出し、手紙の内容に目を向ける。

 

 

『七星 静香へ

 お誘いは嬉しいのですが、オルステッド様にも事情を説明したいと思います。

 私の目的はオルステッド様にも関係があることなので、同時に説明したいためです。

 話が長くなり面倒……もとい大変なので、話し合いの場を設けて呼んでくださると幸いです。

 日程が決まり次第、返答をお願いします。

 

 p.s今夜の晩ご飯はお寿司です。

 好物なのでとても楽しみです。

 

 貴方の超絶大切な友人、リベラルより』

 

 

 色々と言いたいことはあるが、ナナホシはすぐさまオルステッドを呼ぶための指輪を起動させた。




Q.ルーデウス。
A.学校生活をエンジョイし、かつての青春を取り戻してます。

Q.学校生活なんで原作と同じになるんや…。
A.そのように誰かが調整したためです。まあヒトガミではないですけどヒトガミが悪いと考えておきましょう。

Q.ナナホシ。
A.転移した理由や原因を知りたいので必死になってます。

Q.ルーデウスの最後の不穏な文章なんや。
A.フラグです。ここで地味に重要な選択をしてるので強調しておきました。かなり先のことなので多分自分を含めてみんな忘れると思います。

Q.最後の手紙。
A.借金を笑顔で肩代わりする変人ですからね、仕方ないね。実は後々のためにわざとこう書いてます。そのときに見返したらきっと何か思うはず…。でもはかなり先のことなので多分自分を含めてみんな忘れると思います。
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