無職転生ールーデウス来たら本気だすー   作:つーふー

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前回のあらすじ。

ルーデウス「披露宴しますんで来てね」
参加者「おk」
リベラル「みんなと会話もしました」

書きたい描写を思いついた時ほど書けない状況という悲しみ。そのせいで書こうと思っていたのと違う感じになっていく。あると思います。
あと余裕ぶっこき過ぎて国家試験の模試がヤバいめぅ。勉強も頑張ります。


11話 『祝言』

 

 

 

 我先にと肉に群がるリニアとプルセナに呆れつつ、リベラルも食事に手を付け始める。

 今回は調理を何も手伝っていないため、シルフィエットとロキシーがメインで食事を用意したのだろう。

 リーリャとアイシャは補助に回っただけのようだが、本来の歴史と違い人が増えたことで豪華なものになっていた。

 

 参加者がルーデウスたちに挨拶を順番に行っているのを眺めていると、エリナリーゼの番の際に離れていく姿を確認する。

 恐らくシルフィエットがエリナリーゼの孫かも知れない、という話をするのだろう。

 リベラルが関わる必要もないため、気にせず料理へと視線を向けた。

 

「中々、見た目もいいですね……と?」

「にゃ?」

 

 ご飯に手を伸ばすと、同じものを食べようとしていたリニアの手と重なる。

 彼女は相手がリベラルであることに気付くとギョッとした表情を見せるが、すぐに牙を剥き出しにして威嚇し始める。

 背後でプルセナも「ファックなの」と口にしていた。

 どうやら以前にパンツを取られたことがトラウマになっているようだ。

 それでも舐められないように虚勢を張っている姿は微笑ましくもあるだろう。

 

「ふ、ふん、あちしのの方が早かったにゃ! だからこれはあちしのにゃ!」

「そうなの。これはリニアのであって私のじゃないの。だから私は関係ないの」

「ちょっ!? プルセナも欲しいって言ってたじゃにゃい!」

「知らないの」

 

 勝手に潰し合いをし始めたふたりを放置し、リベラルは狙っていた食事を口にする。

 普段から食べている自身の料理とは違うものの、それでも十分過ぎるほどの美味しさだった。

 彼女は頬を緩ませながら他のものも食べる。

 

「んー、おいしっ」

「プルセナのせいで取られたにゃ!」

「美味しいの」

「にゃんでお前も食べてるにゃ!」

 

 再びご飯を取ろうとしたリニアの手を、リベラルはブロックする。

 今日の彼女は酒も入り、気分が良かったのだ。

 少しばかり猫とじゃれたい気分だった。

 

「邪魔にゃ!」

「無駄です」

「美味しいの」

 

 パクパク食べているプルセナを他所に、リベラルはひたすら彼女の邪魔を続ける。

 龍神流の技術を駆使しているリベラルに対し、素人同然のリニアが勝てる筈もなかった。

 どんどん減っていくお目当ての肉を前にして、彼女は焦りを見せ始める。

 

「ちょ、ほんとやめろにゃ!!」

「そうなの。やめるの。あ、これも美味しいの」

 

 楽しくなってきたリベラルはしばらく続けていたが、料理を運んで来たリーリャによって止められてしまうのであった。

 

「リベラル様、そろそろお戯れは……」

「あ、はい。すみません」

 

 今の彼女は客という立場である。

 あまりやり過ぎてグレイラット家に迷惑を掛けるわけにいかない。

 本来の歴史ではバーディガーディが好き勝手やっていたのだが、彼とリベラルでは関わっている時間が違う。

 彼女は魔王とは違い、分別のある淑女なのである。

 

 背中を見せて離れていくリベラルに対し、リニアが中指を立てていたが見なかったことにしておく。

 最終的に自分を一切助けてくれなかったプルセナと喧嘩をし始めたが、彼女には関係のない話だろう。

 そこにルークが仲裁しに行き、ついでに口説き始めたのでカオスな空間となってしまっていた。

 

「リーリャ様、挨拶が遅れて申し訳ございませんね」

「いえ、謝る必要はありません」

「何言ってるんですか。ブエナ村からの仲じゃないですか」

「はぁ」

 

 気安く肩を叩くリベラルに、呆れた表情を浮かべるリーリャ。

 最近は真面目な様子だったが、昔はノルンやアイシャに自分の母乳をどうにか飲ませようとしていた変人なのだ。更に言えば、絶対に採用されると豪語していたボレアス家のメイドに不採用される始末。

 当時のことを思えば、かなりマシになっているのかも知れない。

 

 近くを通り掛かったアイシャもリベラルに気付き、隣へとやって来るのであった。

 

「あっ、リベ姉! ご飯の味どうだった? 今回は補助だったけど、教わったことは活かしてみたんだよ!」

「アイシャ、お客様の前です」

「リベラル様に教わった味付けをしました。お口に合いましたか?」

「グッドでした」

 

 本日は無礼講のためか、お客様モードではなく砕け気味のアイシャ。そのことに彼女は感動を覚えつつ、親指を立ててサムズアップするのであった。

 リベラルも満足するほどの十分な料理を作ることの出来た彼女は「やったー」と喜ぶ。

 そんなふたりのやり取りに、リーリャは小さく溜め息を溢すのであった。

 

「まあ、他のも色々と食べさせてもらいますよ」

「期待してていいからね!」

「それじゃあ期待してます」

 

 片付けや飲み物の補充があるため、アイシャは一言挨拶をして離れていく。

 その後を追うように、リーリャもお辞儀をして離れるのであった。

 そのふたりに手を振りながら見送ったリベラルは、再び料理に手を付け始める。

 地球で食べたことのあるようなものもあるため、他の参加者も満足気だった。

 

 周りの様子を窺えば、ナナホシはジュリと共にポテトチップスを貪っている。本来の歴史と違いバーディガーディがいないため、邪魔されることなく味わえてるようだ。

 他の誰かがナナホシに話し掛ける姿も見られるが、意外にも柔らかく応対していた。

 恐らく転移装置の開発がある程度上手く進む保証があるため、心に余裕があるのだろう。

 余裕があるのはいいことなので、リベラルはソッと見守ることにした。

 

「リベラル、終わりましたわよ」

 

 そんな風に黄昏れていた彼女へと、エリナリーゼが声を掛けた。隣にはクリフも付いてきている。

 どうやらルーデウスたちへの挨拶は終わったようだ。

 本来の歴史通り、シルフィエットに祖母であることを告げたのか、目元が少しだけ赤い。

 態々そのことを指摘する必要もないため、

 

「……分かりました。少し、離れましょうか」

「ええ」

 

 3人で隣の部屋へと移動し、向かい合う。

 まだ口を開いてはいないが、クリフが緊張した表情で見守っていた。

 

「それで、何の話ですの?」

「……色々と世間話を交えつつ、と思いましたが告白と言ったので素直にお伝えします」

 

 まわりくどくしてしまうと、ちゃんと伝えられずに有耶無耶にしてしまいそうだったのだ。

 リベラルは少しばかり怖かった。

 拒絶されるかもしれないだとか、そういうことではない。

 自分の告白が原因で、今の幸せな時間を壊してしまうんじゃないかという不安があったのだ。

 もちろん、考えすぎであることは分かっている。

 それでもエリナリーゼは大切な存在だから、僅かでも不安要素があるのが嫌だった。

 

「かなり前……フィットア領で私と出会った時のことを覚えてますか?」

「覚えていますわ」

「あの時にいなくなった妹と貴方が似ているという話をしたかと思います」

「しましたわね」

「いなくなった妹というのは、貴方のことなんです。エリナリーゼ」

「……え?」

 

 エリナリーゼはキョトンとした表情をする。

 思っていた告白内容と違ったのだろう。

 

「……どういうことですの?」

「記憶を失う前の貴方を知っているということです」

「それは……本当ですの?」

「本当ですよ」

 

 態々そのような嘘を吐く意味はない。

 リベラルの言葉が真実である理解した彼女は、神妙な面持ちとなる。

 

「どうしてこのタイミングで言おうとしましたの?」

 

 エリナリーゼの疑問も当然だろう。

 伝えるタイミングはいつでもあった。

 最初に出会った時はともかく、大学に通っていたのだから言えた筈だ。

 

「……どうしてなのかは、分かりません。ただまあ、これはエゴです。過去から離れられない私のエゴです」

 

 そう。

 リベラルは自分本位だった。

 龍鳴山でエリナリーゼの眠りを見届けた時、そのまま記憶を失うことを知っていた。

 けれどそれを放置したのはリベラルだ。

 今の状況を作り出すために、彼女は不干渉を貫いた。

 助け出せるタイミングがあったのに、それも放置した。

 ルーデウスやナナホシの誕生に必要なことだっからだ。

 こうして告げようとするのも、罪の意識があるからなのかも知れない。

 

「……昔の話、聞きますか?」

「…………」

 

 エリナリーゼは逡巡する。

 しかしすぐに口を開いた。

 

「いいえ、今はいいですわ」

 

 彼女はリベラルの内心を見抜いたかのように、アッサリとそう告げるのであった。

 

「……どうしてですか?」

「なんとなくですわ」

「なんとなく、ですか」

 

 先程の意趣返しと言わんばかりに、ウインクをするエリナリーゼ。

 

「そんな顔で告げようとしても怖いですもの」

 

 確かに彼女は自身の過去を知りたいと思っている。取り戻したいと思っている。

 けれど、リベラルはどこか怯えている様な表情だったのだ。

 自分は許されるのだろうか、という気持ちが透けていた。

 

 それに、と続ける。

 

「今はルーデウスを祝う場。長話するものではありませんでしてよ」

 

 その言葉に唖然とした表情を浮かべるリベラル。しかしすぐにふっ、と笑みを見せた。

 エリナリーゼの言う通りである。

 ここは暗い話をする場ではないし、そもそもエリナリーゼにとっては朗報でもあるのだ。

 それならば、明るく話すべきだろう。

 

「そうですね……その通りです」

「あと、これはまだ誰にも告げてないことですけれど……私とクリフも、近々結婚する予定ですの」

「へ?」

「ああ、リーゼの言う通りだよ」

 

 ふたりの言葉に、今度はリベラルがキョトンとする番だった。

 結ばれることは未来の知識によって知っていたものの、まさかこのタイミングで告げられるとは思わなかったのだ。

 

 エリナリーゼは彼女の両肩に手を乗せ、顔を向き合わせる。

 

「わたくしはリベラルの義妹……ですのね?」

「少なくとも、私はそう思ってます」

「でしたら、良いじゃありませんこと?」

 

 どういう意味か、そう言葉にする前に彼女が口を開く。

 

 

「――わたくしは今、幸せですわ」

 

 

 かつて龍鳴山で見たことのある笑顔を浮かべ、エリナリーゼは告げた。

 

「記憶がありませんので、リベラルがどうしてそのような表情を見せていたのかは分かりませんわ」

「――――」

「でも今は……恋人は出来て、友人の晴れ姿を見て、孫の結ばれる場面も見れて……とても、幸せですの」

 

 確かに苦労してた過去もある。

 自らであるが、盗賊の慰み者になったこともある。

 呪いが原因で、同胞たちから追い出されたこともある。

 それでもエリナリーゼは、ここで笑って過ごすことが出来たのだ。

 

「リベラルが何に思い悩んでいるのかは分かりませんわ。でも……今この場で思い悩んでる人は居ませんわよ」

 

 その言葉に思い返せば、暗い表情を浮かべている者は誰もいなかった。

 

「ほら、しゃんとしなさいな――貴方は銀緑なのでしょう?」

「――――」

 

 エリナリーゼの言葉は、スッとリベラルの胸の中を透き通っていった。

 彼女のことで思い悩んでいたことが、バカバカしくなるかのようだった。

 

 リベラルは銀緑だ。

 自分のエゴで様々なものを見捨ててきた。

 今までも、そしてこれからもそれは変わらないだろう。

 ヒトガミの打倒と、ナナホシの帰還のために取捨選択していく。

 

 目の前にいるエリナリーゼは、その最初の被害者だった。

 それでも彼女は笑ってくれてるのだ。

 それならいいじゃないか。

 今はその事実を喜ぼう。

 

「ふふ、本当は昔の記憶戻ってるんじゃないですか?」

「あらあら、わたくしはいつも説教じみた事ばかり言ってましたの?」

「……いいえ、そんなことはありませんでしたね」

 

 見つめ合うふたりは、静かに笑った。

 

 

――――

 

 

 会場に戻ったリベラルは、お酒を飲みながら周りを見渡す。

 エリナリーゼに言われたことを脳内で反芻していた。

 

「幸せ、ですか」

 

 勝手に保護者づらをしていたが、そんなことをする必要はなかった。

 もしも龍鳴山でエリナリーゼの先に助けていれば、どうなっていたのだろうかと考えてしまう。

 今のように笑って過ごしてくれるのか。それとも嫌なことが起きてしまうのか。

 しかしそれは結局なところ、タラレバでしかない。

 オルステッドのように時間を回帰しない限り、起こり得ない世界だ。

 リベラルには関係のない世界である。

 

 お酒をもう一杯飲み込み、全員の表情を眺めていく。

 

 アリエルはあまりお酒を飲んでないようだったが、普段よりも柔らかく見えた。護衛たちも緊張している様子はない。

 ザノバやジンジャーも変わらず元気そうだ。

 リニアとプルセナは言うまでもないだろう。美味しいご飯に夢中だ。

 クリフとエリナリーゼはイチャイチャしつつ過ごしている。

 ナナホシはジュリとひたすらポテトチップスを頬張っていた。何だかんだで仲良くしているようだ。

 リーリャは忙しそうにしながらも満足気だし、ノルンとアイシャは喧嘩なく過ごしている。

 

 そしてリベラルの介入で一番変わったのは、パウロとゼニスだろう。

 パウロはお酒が入った影響か分からないが、いつの間にか泣いていた。

 そのパウロに手を添えながら、ゼニスは微笑んでいる。

 あのふたりは結婚式を見ることも出来ず、結局パウロは亡くなってしまう。

 そう考えると、今の方がとても幸せそうだ。

 

 泣いているパウロをおちょくるルーデウス。

 そんな起こり得なかった世界を見れて、良かったと彼女は思う。

 

「よぉリベラル〜! ルディのよ、こんな姿見れるなんて思わなかったんだよ〜!」

「そうですね……私も、思いませんでした」

 

 いつしか酔っ払ったパウロが傍へと近付き、肩を組みながら話しかけてくる。

 リベラルはお酒を再度飲みながら静かに頷く。

 そこにノルンが「もうっ」なんて言いつつやって来る。

 

「ちょっとお父さん、お酒飲み過ぎ!」

「こんな日くらいいいじゃねぇかよノルン! でも、ルディだけじゃなくてお前もいつかは結婚するのか……良い相手はいるのかよ〜?」

「酔いすぎてるみたいだから、ほらっお水飲んで!」

「おお、ありがとうよ〜」

「リベ姉さんも、お父さんがいきなりごめんなさい!」

「構いませんよ。こんな日なのですから、無礼講です」

 

 介抱しながら離れていくふたりを傍目に、リベラルは心地良く過ごしていく。

 

 転移事件後のブエナ村を見て、彼女は罪悪感に苛まれた。

 他者が原因ならともかく、自分が原因で起こしたようなものだから、それは当たり前の話だろう。

 防ぎようがなかったものの、もっとやりようがあったのだから。

 

 けれど、エリナリーゼの話を聞いて、そして皆の顔を見て、その罪悪感は和らいだ。

 彼女の言う通りである。

 幸せに過ごせているなら、それで十分だろう。

 

 いいじゃないか、エゴでも。

 自分が居なければ、この光景を見ることは出来なかった。

 失敗もあったし、失ったものもあった。

 けれど、助けられた人は増えた。

 それはきっと、素晴らしいことなのだ。

 失ったものばかり見ず、残ったものを見るべきだろう。

 

「…………」

 

 お酒を飲み干したリベラルは、ほろ酔いしてきた思考のままルーデウスを視界に入れる。

 エリナリーゼとのやり取りや、転移事件のことを考えていたため挨拶するのを忘れていたのだ。

 空になったグラスをリーリャへと渡した後、彼の元へと近付いていく。

 

「ルディ様」

「あ、リベラルさん。席を外してたみたいだったけど大丈夫でしたか?」

「ええ、大丈夫でしたよ。むしろ外してしまって申し訳ないです」

 

 せっかくの祝いの場なのに、私的な理由で外すのは頂けないだろう。

 今日以外のタイミングでも良かったなと、彼女は反省する。

 

「リベラルさん、今日は機嫌良さそうですね」

「うん、ちょっと酔ってる? 珍しいよね」

 

 隣に居たロキシーとシルフィエットの言葉に、彼女は苦笑しつつ答えた。

 

「それだけ私の気が緩んでるということですよ」

「そっか。それなら良かった」

 

 そう言いつつ、リベラルは改めてルーデウスへと向き直る。

 小さい頃から見てきたが、今では立派な青年だ。

 五千年という時間を掛けてようやく成長している自分とは違い、数十年という短期間で心身ともに大きく成長していた。

 元々は日記越しでしか知らなかったが、それでもリベラルはその時から彼のファンだったのだ。

 そう考えると、今のルーデウスの姿は感慨深いものがあった。

 

「ルディ様、貴方は今幸せですか?」

 

 唐突に投げかけられた質問に、ルーデウスたちはキョトンとする。

 けれど、シルフィエットとロキシーのふたりと視線を合わせたルーデウスは、頷き合うと口を開く。

 

「もちろんですよ。俺は今――幸せです」

「それなら良かったです」

 

 色々とウジウジ悩んでいたが、その答えにリベラルは安心する。

 

 

 これからもきっと、思い悩むことは沢山あるだろう。

 だけど、それが失敗だったのかは分からないのだ。

 エリナリーゼのことや、転移事件の件然り。

 リベラルは被害の少ない人にしか聞いてないのだから、良い言葉が出てくるのは当然なのだ。

 もしも沢山のものを失った人に聞けば、反対の言葉が飛び出るだろう。

 

 だが、彼女は銀緑だ。

 今更止まるつもりなんてない。

 屍を乗り越えた先に、目指すべき未来があるのだ。

 

 それでも――今くらい思ってもいいだろう。

 

 

「ああ、そう言えば言い忘れてましたね」

 

 

 ――私の選択は間違ってなかったと。

 

 

「結婚、おめでとうございます――貴方たちが幸せを歩んでいく姿を、これからも見守らせてもらいます」

 

 

 だからこそ、胸を張って彼らにこの言葉を送ることが出来る。

 

 

 

 

 六章 “結ばれし友人に祝言を” 完

 

 

――――

 

 

 ナナホシが帰るため、リベラルも一緒に帰ることにした。

 日本とは違い、安全とは程遠い世界だ。

 危ないのでひとりで行かせる訳にいかないだろう。

 

 そういうことでふたりで並んで帰っていたのだが、ポツリとナナホシが言葉を溢す。

 

「結婚、ね」

「羨ましいですか?」

「……分からないわ。そんなこと考える余裕もなかったから」

 

 溜め息を吐きながらそう告げる彼女に、リベラルは酔いながらあくどい顔を見せる。

 

「でも、私は静香の好きな人を知ってますからね」

「……何で知ってるのよ」

「ふふふ、未来の貴方から聞いたからですよ」

 

 年寄りになるまで共に過ごしたのだ。

 恋バナのひとつやふたつくらい普通にするだろう。

 ナナホシのことは、ナナホシよりも知っている自信が彼女にあった。

 

「篠原 秋斗……でしたっけ? たくさんのお話を聞きましたからね」

「ハァ……私はまだまだ帰れないんだから、その話は止めてくれる?」

「むぅ、仕方ないですね」

 

 無理にその話をしても傷付けてしまうだけだろう。

 大人しく引き下がったリベラルだったが、そのタイミングで物陰から気配を察知する。

 すぐにナナホシを手で制して立ち止まった。

 

「な、なに? どうしたの?」

「これは……暴漢ではなさそうですね」

 

 物陰からした気配の動きを待つ。

 すると、オルステッドが現れるのであった。

 内心恐怖を感じていたものの、その姿を認めたナナホシは安心するかのように溜め息を吐く。

 

「オルステッド? どうしたの?」

「楽しめたか?」

「……はい。楽しめました」

「そうか。ならば良かった」

 

 それだけ聞くと、立ち去ろうとするオルステッド。

 それをリベラルが呼び止める。

 

「何だ?」

「あの、私にも何かないんですか?」

「……楽しめたか?」

「めっちゃ楽しめました」

「そうか。報告は後で聞こう」

 

 端的な会話だけをし、オルステッドは立ち去っていった。

 その様子にリベラルはやれやれと言わんばかりの仕草をし、ナナホシへと向き直る。

 

「オルステッド様はコミュニケーション能力が足りないと思いません?」

「貴方も大概足りないわ」

「…………」

「ほら、帰るわよ」

「あ、はい」

 

 こうして、披露宴は終了した。




推敲どころか見直しすら無しです。色々ミスってたらすみません。

Q.エリナリーゼ。
A.記憶は戻ってませんが、それでも満足して過ごしてます。くりふらぶ。

Q.オルステッド。
A.普通に披露宴を外から見てました。ナナホシが帰ったので彼も帰りました。
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