無職転生ールーデウス来たら本気だすー   作:つーふー

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前回のあらすじ。

パウロ「息子と冒険出来て超満足。次は治療が完了したゼニスと行きたいな」
ルーデウス「パウロが浮かれてて駆け出しみたいになったりしたけど、父さんとの冒険は楽しかったな」

勉強しなきゃ…。
次の日曜に試験だ…家の中だと勉強出来ない…。
話は変わりますが、次かその次の話でこの章は終わる予定です。仮に7話までなら、6話は短い内容になるかもです。


5話 『胃袋を掴みし者』

 

 

 

 空中城塞ケイオスブレイカー。

 謁見の間にて、2人の人物が向かい合っていた。

 リベラルとペルギウスだ。

 特に険悪な様子も見られず、談笑していた。

 魔大陸に行った際の出来事を、改めて話していたのである。

 

「ふん、アトーフェの奴などそのまま滅してしまえば良かったものを」

「そんなことしませんよ。戦争での恨みを引っ張るようなことはしませんから」

 

 実際にアトーフェラトーフェと戦った時に、完全に滅することを彼女は出来た。

 しかしそうせず、外部からの干渉で解除出来る聖級結界魔術で閉じ込めるだけだった。

 そのことについてペルギウスは不満を見せていたが、リベラルは苦笑しながら否定する。

 

「それは我への当てつけか?」

「違いますよ。私が恨むのは1人だけで十分ということです」

 

 そもそもラプラス戦役が起きてしまったのも、ヒトガミが原因だ。

 ヒトガミがいなければ戦争は起きなかったし、ペルギウスも魔族を恨むこともなかった。

 極端な考えであるものの、そう考える方が楽なのだ。

 アトーフェラトーフェやバーディガーディといった魔王たちを恨んでしまえば、それこそ魔族が滅亡するまで戦いが終わらなくなる。

 実際にどうなのか分からないが、ヒトガミの手のひらで転がされたくないのならば、許すことは大切になると考えていた。

 

「ヒトガミ、か」

「どうせなら、ペルギウス様も一緒に戦いますか?」

「断る。我の使命はラプラスを殺すこと。今更変えたりせぬ」

「……そうですか。そうですよね」

 

 提案したものの、リベラルもそれを受け入れられるとは思っていなかった。

 どのみち受け入れたとしても、ヒトガミの元に行くには『五龍将の秘宝』が必要となる。

 オルステッドは反対するだろうし、彼女もペルギウスと争いたいとは思わない。

 

(五龍将の秘宝の代用品……作れるものなのですかね)

 

 最善は犠牲なくヒトガミの元に至ることだが、それは非常に困難なことだ。

 リベラルの持つ龍神の神玉の破片は、五龍将の秘宝とは違いヒトガミの力に対抗するために調節されている。

 それに、リベラル自身も無の世界に至るための結界をしっかり調べられていない状態だ。

 オルステッドに関する様々な発明をしようとしている現状、そちらまで手が回せるかは何とも言えなかった。

 

 当たり前だがペルギウスに死んで欲しくない気持ちがあるのだから。

 可能であるのならば、五龍将の秘宝の代用品も作りたかった。

 

「でも魔神に関しては、ペルギウス様が関わることなく解決する予定なんですけどね?」

「ほう、それはどういう意味だ?」

「転生先を調節することが出来るんですよ。だから赤子の魔神をパパッと仕留めるつもりです」

「……そんなことが可能なのか?」

 

 リベラルの言葉に、彼は興味深そうに目を細める。

 

「可能だからこそ、ヒトガミが邪魔してきてます」

「……ふん、だから我に手伝って欲しいと、そう言いたいのか?」

「出来る範囲で」

「よかろう。赤子の状態で確保出来るのであれば、それは我にとっても重要なこと」

 

 ペルギウスとて、態々戦争をしたいという訳ではない。

 もちろん真正面から打ち破りたい気持ちがあるものの、戦わずに済むのであればそちらを選ぶ。

 

「あ、オルステッド様には秘密ですよ?」

「何故だ?」

「五龍将は心情的に仲間に出来ない理由があるので」

「具体的には何だ?」

「まあ、色々です」

 

 詳しく尋ねてきたものの、リベラルは適当にはぐらかす。

 ペルギウスは何か考える仕草を見せるものの、追及することはなかった。

 

「貴様が言わぬのであれば、それ相応の理由があるのだろう」

「すみませんね」

「構わぬ。我との仲であろう」

「…………ありがとうございます」

 

 何だかんだ言いつつ、2人は長い付き合いだ。

 再び共に戦えるかも知れないことに、彼はどこか嬉しそうな様子だった。

 そうして笑みを溢していたペルギウスに、彼女は何とも言えない気持ちとなる。こればかりは笑って流すことが出来なかった。

 

 オルステッドが五龍将の手助けを必要としない気持ちが良く分かるだろう。五龍将の秘宝を取り出すことは、その者の命を奪うことに直結する。

 笑みを向けられることが、これほど心抉られる行為になるとは思いもしなかった。

 これは本格的に秘宝の代用品を作らなければならないな、とリベラルは思うのであった。

 

「そう言えば、静香の様子はどうですか?」

 

 そのことばかり考えても暗い気持ちになってしまうため、彼女は話題を変える。

 ペルギウスは特に気にした様子も見せず答えた。

 

「研究に掛かりっきりである」

「今はここで過ごしてるんですよね」

「そうだ。時おり助言を貰いに来るが、それ以外は部屋に籠もりっきりだ」

 

 まあ、娯楽もないし外に出てもやることがないので、出てこないのは仕方ないだろう。

 あったとしても、外の景色を眺めたりするくらいしかない。芸術品もあるのだが、ナナホシはそちら方面には興味もないのだ。

 リベラルは何か息抜きが出来る物でも作ってあげようかな、と考える。

 研究に支障が出ない程度の物であれば、ルービックキューブだろうか。ちゃんと睡眠を取れるように特製の安眠枕をプレゼントするのも悪くない。

 

 そんな風に考えていた彼女を、ペルギウスは呆れた表情で見つめていた。

 

「本当に、ナナホシのことを大切にしているのだな」

「当たり前じゃないですか。私の今の優先順位は静香が1番高いんですから」

 

 発言通り、ナナホシを帰すことがリベラルの1番の目的である。その次にヒトガミ関係であり、3番目にエリナリーゼを守ることになっていた。

 そのナナホシの帰還に関しても、今のところは順調に進んいる。

 

「貴様は転移が失敗した原因を見つけることを目的としていたが、見当はついているのか?」

「何個かは」

「ほう、どう考えている?」

 

 ペルギウスもそれは気になるのだろう。

 彼も作成途中の状況を確認したのだが、今のところ失敗する要素がなかった。

 そのため、本当に失敗するのかと猜疑的でもあるのだ。

 

「1つは、単純な設計ミスによる失敗。私たちも人間ですから、見落としをする可能性もあるでしょう。

 2つは、転移先の座標を間違えていたことによる失敗。転移先が本当に正しいかは、転移しなければ分かりませんからね。

 3つは、既に未来が決められていることによる失敗。タイムパラドックスが起きるから帰れない可能性です」

 

 3つ目の台詞を聞いたペルギウスは、不機嫌そうに眉をひそめていた。以前にもやり取りしたように、彼は未来によって今が形作られていると思っていないのだ。

 未来を作るのは現在であって、自分たちの行動が決定付けられているとは思っていなかった。もちろんそれは、リベラルも同じ考えである。

 

 しかし、現段階ではペルギウスも考えたように、失敗するような要因は何もなかった。

 この調子で完成まで行き着けば、3つ目のタイムパラドックスによるものとしか考えることが出来ないだろう。

 少なくとも、リベラル自身は転移に成功しているのだから。

 

「相変わらず、つまらんことを言うな」

「そうですね、私もつまらないことを言ったと思ってます。ですが、備えておく必要はあるでしょう」

「どう備えるつもりだ」

 

 本当にタイムパラドックスによって失敗するのであれば、最早どうすることも出来ないだろう。

 ペルギウスも考えてみたのだが、そもそも時間関係には疎いため方法は何も思い付かなかった。

 

 リベラルは迷うことなく口を開く。

 

「まあ、自分で言っておきながら何ですが、備えることは無理ですね」

「ほう、おかしなことを言う」

「いや、だって無理でしょう。何をどう備えろと言うんですか」

「ふむ……」

 

 彼も思い付かないため、その返答を馬鹿にすることは出来ない。

 だったらどうするのだとリベラルへと視線を向ける。

 

「どうしましょうか」

「考えていなかったのか?」

「考えていることはありますが、それが駄目だった時は手詰まりです」

 

 困ったような表情を浮かべるリベラルだが、ペルギウスとて手助けすることが出来ない。

 それでも考えていることが1つでもあるのならば上等だろう。

 

「静香の話をしていると、様子を見たくなりました。そろそろお暇しますね」

「そうか、後で我も向かおう」

「分かりました。先に行って待ってます」

 

 挨拶をし、退室するリベラル。

 宣言通り、ナナホシのいる部屋へと向かっていった。

 シルヴァリルが案内しようとしたが、何度も行ったことがあるため一人で向かう。

 付き合いも長いため変な悪さをするつもりはないし、ペルギウスもその辺りは信用しているだろう。

 甲龍王の紋章を借りパクしていたが、それは考えないでおく。

 

 部屋へと辿り着いた彼女はノックし、返事を待ってから入る。

 

「お邪魔します静香」

「今日は何の用事?」

 

 リベラルが普段ナナホシの元に向かうのは、転移装置の進捗状況と制作方法の確認のためである。

 前回の確認からあまり制作が進んでいなかった彼女は、一体何の用事で来たのか疑問に思いつつ尋ねた。

 

「様子を見に来ただけですよ」

「……そう。邪魔はしないでね」

「将棋作ったんで将棋しませんか?」

「ふざけてるの?」

 

 思いっ切り作業を中断させられる提案をしてきたリベラルに、ナナホシはじっとりした目で見つめる。

 脈絡がなさすぎるし、そんなものを作る暇があるならもっと開発しなければならないものがあるだろう。

 本当に何をしに来たんだという話だ。

 

「息抜きですよ息抜き。ずっと作業してたら集中力も切れてくるでしょう」

「たまにストレッチとかしてるし、休憩も取ってるから余計なお世話よ」

「まあまあ、お茶でも飲んで落ち着いて下さい」

 

 ササッとソーカス茶を用意したリベラルは、それを差し出す。

 ナナホシはそのお茶を無言で見つめた。

 

「……あなたが持ってきたソーカス茶だけど、何かあるの?」

 

 以前から何度も渡されたそれに、彼女は特に違和感なく飲んでいた。

 別に毒が入っているとかそんな訳でもないし、むしろ便通も良くなったので良いものなのだろうと思っている。

 しかし、何となくソーカス茶を飲ませたいような、そんな思いがあるように感じたのだ。

 

「……ふふ、何もありませんよ。静香は健康面に気を使ってないように見えたので、健康に良いお茶を持ってきただけです」

 

 リベラルは優しく微笑みながらそう告げた。

 

 本来の歴史では、ナナホシは魔力が体内に溜まることでドライン病になってしまう。

 不治の病となり、転移装置の開発も思うように進まなかった彼女は、心の奥底に積もり積もった感情を決壊させ慟哭した。

 

 

 ――私、もともと、あんまり体強い方じゃなかったのよね。

 

 ――背も伸びてない、髪もそのまんま! お腹は減るし、ご飯も食べてうんちもするのに、爪も伸びなきゃ、生理もこない!

 

 ――なんで病気にだけ掛かるの!

 

 ――お父さん、今日は早く帰ってくるって言ってた。お母さん、今晩は秋刀魚を焼くって言ってた。

 

 ――ヒッ……ヒック……。

 

 ――誰か、助けてよ……。

 

 

「…………」

「リベラル?」

「ああ、いえ、何でもないですよ」

 

 リベラルは実際にその慟哭の場面を見た訳ではない。それでも長年の付き合いがあり、実際に絶望に沈んだ彼女の姿を目の当たりにしたこともある。

 だからこそ、想像するのは難しくなかった。

 ナナホシがドライン病であることは、知る必要のない情報だ。

 

 

(静香、貴方は十分すぎるほどの苦しみと絶望を味わっている)

 

 

 どういう理由でこの世界に転移してきたのかは分からない。

 だが、どんな理由であろうと彼女が悲しむ理由にはならないだろう。

 ましてや、既に一度経験したことだ。

 未来の話であろうと、リベラルがその出来事を観測した以上、それは“実際に起きた出来事”である。

 同じ苦しみを繰り返す必要なんてない。

 

 

(――貴方は報われるべき人です。救われるべきです。だからもう、二度と悲しませるつもりはありません)

 

 

 ソーカス草は体内に蓄積された魔力を排泄する効能があるものの、そのことを教えるつもりはなかった。

 教えた結果、余計な不安を呼び込むだけだからだ。

 そんな苦しみを、再び味わう必要はない。

 日本へと送り返すことが出来れば、魔力もなくなりドライン病になることもないだろう。

 ソーカス草を摂取し続ければ、体内に魔力が蓄積することなく数年間は健康に過ごすことが出来る。

 日本にさえ帰れれば、これ以上この世界の事情に巻き込まれることもない。

 

 そうして思いに耽っていたリベラルだが、ナナホシがそのことに気付くこともない。

 不思議そうな表情を浮かべつつ、自身の健康に対する行いを口にするのだった。

 

「ていうか、あなたから見ると不健康に見えたかもしれないけど、一応、部屋の中で運動もしてるし、自分なりに気をつけてるつもりよ」

「どんなことをしてるんですか?」

「ストレッチとか腹筋よ。筋肉痛になるからそこまで多くはしてないけど」

 

 ストレッチはともかく筋トレに関しては、そこまでやっていないのだろう。

 ナナホシの体格を見れば一目瞭然だ。筋肉は全然ついてないのだ。むしろ痩せ細っているようにすら見える。

 

「ご飯はちゃんと食べてますか? バランスに気を使ってますか?」

「……たまに1食抜いてるわ」

「駄目じゃないですか! ちゃんと食べないと大きくなれないわよ!」

「なにその口調」

「仕方ないので私がたまに作ってあげます。勘違いしないで下さい。貴方のためじゃないんですからね」

「私のためじゃないなら誰のためなのよ」

 

 とはいえ、リベラルの料理の腕前を知っている彼女としては、その提案はとても魅力的だった。

 現在は空中城塞で過ごしているため、ペルギウスの精霊たちが食事を用意してくれる。中でもアルマンフィの料理は非常に美味しいものの、やはり和食を食べたい思いがあった。

 

 そんな彼女の気持ちを察したのだろう。

 リベラルはニヤニヤしながらナナホシを見つめていた。

 

「前回で静香の胃袋を掴んでいることは分かっています。大人しく了承することです」

「…………」

「ふふ、こんなこともあろうかと既につまめるものを用意してました」

 

 懐から取り出されるのは1つの容器だ。

 リベラルがそれに手を当てて、数秒ほどじっとする。

 それから蓋を開けると、湯気が出てくるのであった。魔術にて温めたのである。

 中身を見れば、沢山の唐揚げが入っていた。

 

「唐揚げ……本当に何でも作れるのね」

「そもそも難しいものでもないですよ。卵と小麦粉でモモ肉を揚げるだけですし」

「それもそうね」

 

 作り置きしたのであれば、あまり美味しくなさそうなイメージもある。

 しかし漂ってくる匂いは、ナナホシのお腹を強く刺激した。口の中に唾が溜まり、思わず喉を鳴らしてしまう。

 ニンニクや醤油といった香ばしい香りに、思わずお腹まで鳴ってしまった。

 

「さ、どうぞ」

 

 スッとお箸を渡すリベラル。

 ナナホシはそれを無言で受け取った。

 

「……いただきます」

 

 手を合わせて一礼し、唐揚げを1つ口の中へと運んだ。

 作り置きのものだったためサクッとした食感ではなかったものの、そのマイナスを帳消しにするかのように濃厚な味わいが脳天に広がる。

 食感が悪くなることは分かっていたため、そのことを踏まえた味付けにしたのだろう。

 気が付けば嚥下し、後味だけが残っていた。

 

 物足りなかったナナホシは、自然と別の唐揚げに箸を伸ばして「ハフッハフッ」と言いながら食べる。

 リベラルはそれを微笑ましく見守るのであった。

 

「レモン……に似た柑橘系の汁もかけますか?」

「かける」

「はい、どうぞ」

 

 元々容器に入れていたのか、ディスペンサーを取り出した彼女はそれを唐揚げにかけた。

 匂いは確かにレモンであり、その酸っぱい香りがまた嗅覚から脳内を刺激する。

 無意識の内に箸を伸ばし、口の中へと放り込んでいた。

 

「ちゃんと噛んで食べて下さいね」

「んっ……」

 

 醤油やニンニクといった匂いの強いものであったが、レモンによってその重たい味が中和される。

 味に変化が加わることで飽きにくくなり、更に後味もスッキリしたものとなった。

 日本に帰ってからも食べたいと思えるような味だ。

 

「静香、食べながらでいいんですけど」

「ん?」

「さっき言ってた運動、私も一緒にやっていいですか?」

 

 口の中に入っていた唐揚げを飲み込み、ナナホシはその発言についての意図を考える。

 別に参加するのはいいのだが、リベラルは忙しいのでそこまでの余裕はなかった記憶があるのだ。

 多忙の身で何故そんなことを言ったのか不思議だろう。

 

「いいけど、そっちこそ大丈夫なの?」

「毎日来るわけじゃないので大丈夫ですよ。今日みたいにご飯を持ってきた時に一緒にやりましょう」

「あ、ご飯の話は本気だったのね」

 

 それならば、断る理由もないだろう。

 1人で黙々とやってるのも大変なので、話し相手がいるのはありがたいことだ。

 それにリベラルも日本のことを知っている人物なため、ルーデウスのように心を許しているということもある。

 

「ついでに格闘術も教えますよ」

「それは遠慮します」

「えー、良いじゃないですか。覚えておいて損はありませんよ」

「それはそうだけど……」

 

 この世界ではナナホシはほぼ無力だ。

 オルステッドやルーデウス、ペルギウスにリベラルといった者たちに囲まれてるため安全に過ごせている。

 しかし彼らの庇護下から離れることがあれば、すぐにでも死んでしまうだろ。

 そういう意味でも、自衛手段があった方がいいのは確かだ。

 あったところでどうにかなるとも思えないが。

 

「まあまあ、技術は日本に帰ってからも使えますし、不審者とか痴漢に襲われても対応出来るようにしましょう」

「ルーデウスからは相手をせず助けを呼べって言われたけど」

「それが最善ですけど、周りの人が助けてくれるとは限りませんからね」

「……それもそうね」

 

 何故か知らないが、日本人は面倒事を避ける傾向がある。

 見て見ぬ振りをする人が多い印象は、確かにあった。

 ニュースでもそれが原因で亡くなった人がいるということを見たことがあるような気もするため、その発言に反対することはなかった。

 

 

「ふん、異世界は人情に欠けているのだな」

 

 

 そんなやり取りをしていると、一人の男が部屋に入ってきた。

 白をベースにした豪華な衣装に身を包んだ、銀髪の男。

 ペルギウスだ。

 背後には、シルヴァリルの姿もある。

 

 美食家で芸術家の彼は、新しい料理に目が無いのだ。

 リベラルと話していた際に、態々ナナホシの元に後で向かうと告げたのも、彼女が料理を持ってきていることを知っていたからである。

 

「我も貰おうか」

「えー、どうしましょう」

「くだらん駆け引きをするな。さっさと寄越せ」

「はいはい」

 

 そこまで大量にあった訳ではないが、それでも分けられる程度の量はあった。

 ペルギウスはシルヴァリルからフォークを受け取ると、唐揚げを1つ頬張る。

 

「ほう……なるほど、安い味だな」

「じゃあもう食べないで下さい」

「……否、不味くはないぞ。美味である」

 

 辛辣なコメントをしたペルギウスであるが、リベラルの言葉に反応して率直な感想を述べるのであった。

 ナナホシとしては唐揚げを貶されたことは面白くなかったが、すぐに手の平返しするその姿にクスッと笑ってしまう。

 そのことにつまらなさそうな表情を浮かべるペルギウスだったが、唐揚げに伸ばす手は止めないのであった。

 

「おやおや、美食家たるペルギウス様の胃まで掴んでしまうとは、私も罪な女ですねぇ。オホホ」

「黙れ。気色悪い笑い方をするな」

「プークスクス」

 

 ペルギウスは否定しなかった。

 背後からシルヴァリルが射殺さんばかりに睨み付けていたが、当のリベラルはどこ吹く風である。

 そもそもラプラス戦役でも、こうしてたまにご飯を振る舞っていたのだろう。

 戦時中に美味いご飯を食べられるのであれば、士気も高まることも想像に難しくない。

 そんな昔から彼女のご飯を食べていたのであれば、その発言も確かに間違っていないのだろう。

 

 そんなやり取りを眺めつつ、ナナホシは唐揚げを食べていくのであった。

 

「ごちそうさまでした」

 

 唐揚げを完食した後、手を合わせてお辞儀する。

 途中でペルギウスも食べていたため、満腹という程ではない。

 唐揚げだけだったので、食べすぎても胃もたれするだろう。

 小腹を満たせる程度の量だったが、丁度いい量だった。

 

「お粗末です」

「……美味しかったわ」

「ふふ、それは良かったです」

 

 唐揚げの味について彼女は言ってなかったため、最後にそのことを伝える。

 リベラルは嬉しそうに笑っていた。

 

「こうしてたまに来ますので、研究の方も滅気ずに頑張って下さいね」

「……もちろんよ」

「大丈夫です、静香はちゃんと帰れますよ」

 

 その発言に絶対の根拠がないことは分かっている。

 それでもナナホシは、その言葉に少しばかりの安心感を覚えるのであった。




見直しは後から。オンラインゲームのアップデートと同じ方式になりつつある。

Q.ヒトガミ討伐にペルギウスも協力するの?
A.しますが、大々的にはしません。転移陣利用の無料サービスにアルマンフィ無料貸し出しのサービスが行われます。原作よりちょっとだけ協力的なだけです。

Q.リベラルとナナホシ。
A.ナナホシガチ勢によるお母さんムーブとか親友ムーブとか様々なものがごちゃ混ぜになってます。取りあえず、ナナホシが笑顔でいて欲しいと願っていることは共通している。

Q.ナナホシのグルメ。
A.ナナホシのグルメを参考に書きました。もちろん、将来的にルーデウスもご飯持ってきてくれます。

Q.護身術。
A.日本に帰ってからも変質者とか何か事件に巻き込まれても何とかなるように、気持ち程度の護身術を教える予定。当たり前だが異世界帰りの勇者のように現代でチートになることは一切ない。
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