超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene22  衝突する2つの影~Despair~

 

 

 

 

「何だ、あれは…。」

 

ズーネ地区の廃棄物処理場。本来であればモンスターが出現しないエリアだが、何故か出現していた為、パーティーを中断しネプテューヌ達が向かっていった場所だ。俺は今、アイエフ達に一言もなく単独でそこに突撃している。何故か出現するモンスター達を、ラステイションで貰った突撃銃(アサルトライフル)で迎撃して突き進んでいると、目の前に青紫に輝く何かが見えてきた。そして、その現場に到着しエンジンを掛けたままのバイクを降り、その光の元を確認しサングラス越しに目を見開く。そこには、4人がピラミッド状の結界の中に閉じ込められており、電源コードのような物で拘束されている。…どうやら、黒幕と思われる魔女のような奴は、俺が来る事に驚いていたらしく、エンデに怒りをぶつけて居る。

 

「おい、誰だアイツは!!」

「彼は“獨斗永守”。僕が特別ゲストとして呼んだんだ。」

「貴様、何を勝手な行動を…!!」

「まぁまぁ、こっちも色々と説明しないといけないからね。」

 

エンデが立ち上がってこっちに向かってくる。吹っ飛ばして無くなったはずの右肩は、しっかり手まで修復されている。そして、結界が良く見えるようにか、正面からずれた立ち位置に留まる。

 

「やぁ、来てくれたんだね。」

「パーティーにしては随分と(ひで)ぇ場所だな。…腕を粉砕したはずだが?」

「僕には漆黒の石がある。本当の急所が消えない限りは、僕は何度でも修復される仕組みなのさ。君も体に穴を開けたけどね?」

「…俺のは、可愛いナースが治してくれたさ。」

「ふふ、面白い冗談だね。」

「そんな事はどうでもいい。貴様とそこの鼠、一体何者だ。」

 

そう言って俺は魔女のような格好をした女性と鼠の方に指をさして言う。

 

「良くぞ聞いてくれた。私の名は“マジェコンヌ”。四人の小娘が支配するこの世界に、混沌と言う副因を(もたら)s―――――」

「オイラは“ワレチュー”。ネズミ界でNo.3のマスコットっチュ。」

「…ネズミィ…いい所で、邪魔をするな…。」

「何を言うっチュか。ラステイションの洞窟と、リーンボックスの海底にあったアンチクリスタルを掘り出したのはオイラっチュよ!」

「ふん、私がプラネテューヌの森で1つ目を見つけた時から始まったのだ。それに、ルウィーの教会にあったのを盗むという大仕事をしたのも、私ではないか。」

「アンチクリスタル…。それが、あの結界の正体か。」

「そうだ。ここまで来た冥土の土産に教えてやろう。あれは女神の力を遮断し、力を失わせるのさ。」

 

閉じ込められているベールがブランに問いかけた所、確かに厳重に保管されてはいたが、誘拐事件の後消失しており、複数あるという事も知らなかったと返答する。次の瞬間、ネプテューヌの変身が解け、それに続いてノワール、ブラン、ベールも女神化が解けてしまう。

 

「ねぷぅ!変身が!」

「くくく、言ったはずだ。結界の中にいる間、お前たちは力を失うと…。」

「…本当に厄介な代物のようだな。」

 

持っている突撃銃(アサルトライフル)を結界に向けて数発撃つ。だが、銃弾は結界に弾かれているようで、効いている気配がしない。

 

「無駄だ。そんな兵器ではビクともしないぞ。」

「そのようだな。ならば…。」

 

そう言って俺は右手で短剣を抜きつつ横に振り抜き、鎌鼬を飛ばしつつ、左手から炎の弾(パイロキネシス)を放つ。だが、結界に触れる前に消滅してしまう。

 

「…着弾しない…だと!?」

「ほう、人間にしては面白いのを使う。だが、貴様は所詮人間。そんなものでも結界は破れはしない。」

「…普通の人間なら…ね?」

 

何か補足するかのように、エンデが口を開く。

 

「君は、人間である事を捨てたんだね。それも、女神と悪魔と契約…贅沢だねぇ。」

『!?』

「…貴様、何を言っている。」

「すっ呆けても無駄だよ。さっきの超能力が消滅した事と、その右手を隠すようにする手袋が、何よりも証拠だよ。もう、人の手じゃないよね?それに、まだ女神の力を隠しきれてない。だから、君の攻撃は衝突する前に消滅してしまった。」

 

思わず手袋をしている右手を後ろに隠す。信じられないが、俺の情報は此奴にとっては筒抜けだったらしい。女神の力、悪魔の力の両方を手に入れた事がバレている。

 

「永守さん、どういう事ですの…?」

「えい君、治ったって言ったよね…?」

「………。」

「おい…黙ってねぇでなんか言えよ!!」

「答えなさいよ、永守…!!」

 

嘘は言っていない。確かに傷は完治した。だが、右腕の事は言ってないから当然、4女神から質問攻めされる。バレる時が来るのは分かっていたが、こんな状況でバラされるとは思っていなかったな。

 

「折角女神も居る事だし、いい事を教えてあげるよ。彼は確かに、君たちの味方だけど、君達が思っている程、彼は綺麗じゃないよ。」

「ど、どういう事…?」

「彼は、恩師でもあり、自分の親父さんを殺した上、同胞を殺しまくった悪魔さ。」

「敵対関係であのクソ親父を()ったのは事実だ。だが、仲間殺しとはどういうことだ。」

「そーだねぇ、ヒントを上げよう。これなーんだ?」

「…深紅の石と漆黒の石…それがどうした。」

「この2つの石を作るには、膨大な魂が必要になるんだよ。人間と悪魔のね…。そこで、君達の部隊に仕向けた化け物は、悪魔の契約をした君達の同胞…分かるかな?」

「………。」

 

エンデの言っている事が正しいとするなら、俺達S.T.O.P.が戦っていた相手は、エンデによって化け物にされた人間って事になる。守るべきはずの仲間や市民が、化け物になってまたそれを殺すという悪循環だったってことになる。

 

「悲観はしないんだね。」

「悲観してないといえば嘘になる。だが、驚いたのは事実だし、答えは出ている。()らなければ、此方が()られ、守るべき仲間や他の市民が犠牲になる。それだけの事だ。」

 

そして、俺は手袋をしている右手を前に出し、握り拳を作る。

 

「それに、この力は貴様の仲間になる為ではない。約束を果たす為の…貴様を倒す為の力だ。そして、俺の魂が叫ぶ…。貴様を止め、女神を助けろと!」

「…全然仲間になりたそうな感じじゃないっチュね。」

「確かにそこの人間は、我々に似た生い立ちをしている。だが、仲間になりたそうな目は微塵もしてないぞ。」

「やっぱり、今回もダメだったね。まぁいいや、今はまだ決着をつける時じゃない。」

「どういう事だ?」

 

そんな時、俺の背後から悲痛のような叫び声が聞こえて来た。

 

「お姉ちゃあぁあああん!!!」

「ネプギア?」

「来ていたのか…!!」

 

ふと後ろを向くと、距離はあるがネプギアとアイエフがいるのが見えた。

 

「永守、前!!」

 

アイエフの叫び声で前を振り向くと、マジェコンヌによるエネルギー弾と金色の槍を振り下ろしていた。瞬時に半女神化し、籠手をコールしつつ、エネルギー弾と弾きクロスガードでギリギリ受け止める。何やら置いてあるバイクの方で嫌な音が聞こえつつ、金属音のぶつかり合う音が響く。

 

「ちっ、思ったより早いじゃないか。」

「…おい、エンデ。お前は見逃すと言ったよな。」

「僕はね、でもそっちのおばさんに関しては論外だよ。」

「ええい、おばさん言うな!だが、貴様は出来るようだな。」

「お前こそ、状況判断はいいようだ…。俺を危険と見て、ネプギアより優先して攻撃してきた。」

「そうだ。まだ変身も出来ぬ妹は兎も角、貴様の力は我々の計画にとって邪魔な存在だ。まさに正解のようだ。女神の妹は逃げていったが、貴様はここで潰しておく。」

「…悪いが、お断りだ。」

 

ネプギアとアイエフはどうやら上手く逃げ切ったようだ。今の現状で、ネプテューヌ達を助けるのは至難の業…。俺は一つの希望を試したいが為にここで死ぬわけにはいかない。クロスガードの裏拳で槍を挟み、振り回すかのように引っ張り結界側に投げ飛ばす。

 

「なぁにい!!」

 

振り回された事に驚いたようだが、マジェコンヌは不格好ながら地面に着地する。その隙にバイクの方に行き、バイクに乗ろうとする。…が、後輪がパンクだけでなく、後輪ホイールに見事な穴ができ外れ掛かっている。

 

「逃がすかぁ!!」

 

マジェコンヌが奇襲をするかのように、上から飛びかかってきていたが、瞬時にトラベルハットに瞬間移動(テレポート)を念じて来た道側へ投げ瞬間移動し、半女神化した状態のまま来た道を戻るように全力疾走する。どうやら、半女神化している状態だと、走る速さも増しているようで一気に廃棄物処理場を抜け出す。

 

しかし、まさかバイクが1年も持たず廃車になるとは…こんな時に嫌な事が起きるとか泣けるぜ。星占いでも見とけばよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数時間前:リーンボックス教会】

 

 

 

 

 

「教会に着たのはいいが…何処だよ、全く。」

 

兄貴(永守)にリーンボックス教会まで着てくれと言われて、パーティーやってるからそこで落ち合ってもいいかという連絡を受けたまではいい。だが、出迎えが誰も居ないなんてどういう状態だよ。

 

「…適当に館内をふらついて見るか。」

 

そう言いつつ俺は館内を回り始める。中に入るのは初めてだからなぁ。何所も似たような扉ばっかで、どの部屋が兄貴の言っていたパーティー会場なのかさっぱどわからねぇわ。キョロキョロしつつとある曲がり角に差し掛かった時だった。

 

「きゃあっ!!」「おふっ!」

 

曲がり角に差し当った所で、誰かとぶつかってしまったようで、曲がり掛かってきた女性を押し倒してしまったようだ。それと同時に持っていたものが散乱してしまった。

 

「あっと、悪い。大丈夫か?」

「す、すみません。こっちも前が見えなかったので…。」

『あ…。』

 

そう、そこに居た黄緑色の長いロングポニーに白パーカーを着ている女性は、以前ネプテューヌさんと兄貴がボコした女神だった。よく見ると結構可愛くて驚いた…。

 

「アンタは、あの時の…。」

「貴方は…。!? あ、あの時は大変申し訳ありませんでした!あの時は操られていたとはいえ、深手を負わせてしまって…。」

「ああ、あれは仕方ねぇさ。それに、左肩もこの通り動く。…で、今パーティーやってるって聞いて来たんだが、何処でやっているか案内してくれねぇか?」

 

恐らく俺よりは教会内に関して詳しいと思い尋ねるのだが――――――

 

「道順はお伝えしますが、道案内は…。」

「何か困る事でもあるのか?」

「…ベールさんやチカさん、職員の方々は許したとはいえ、パーティーに参加している他の方は、私を許してくれるかどうか…。」

 

なるほど、それを気にしているから少し険しい顔をしているんだな。

 

「“後悔後に絶たず”…てか?」

「はい。」

「ふぅん…。俺は女神さんや兄貴が、そう考えてるとは思ってないが?」

「どうして、そう思えるのですか…?」

「さぁな。俺はそういうのを言葉で表現するのは苦手なんでね。只、そんな小さな事を気にするような人達じゃねぇとは思う。それに、ベールさんはアンタを認めたんだろ?国のトップが認めたのなら、それで十分説得力あるだろ。何、俺も協力するさ。」

 

そう言うと、彼女は少し悩んだ後“分かりました。”と言い道案内と会場へ入る事を決意したようだ。ただ、その前に散らかしてしまったのを纏めて持っていくのを手伝う事にした。

 

「おっと、自己紹介が遅れたな。俺はジンってんだ。宜しく。」

「私は、スミレと申します。それでは、パーティー会場に案内しますね。」

 

しかし、こんな遅くまで仕事とは熱心なことだな。そう思いつつ指定された場所まで荷物を持っていくのを手伝い、パーティー会場へ案内される。それでパーティー会場の扉を開ける。

 

「あれ、職員さんですか?」

「ちょっと違うよな気がしますが…。」

 

パーティーをやっていると聞いたが、騒ぐには聊か人数が少ないように見える。確認できるのは、コンパさん、ロムちゃんにラムちゃん、あとはユニちゃん…ユニちゃん?

 

「………、うぉおおおおおおおおおおおユニちゃあああああああああああんんん!!」

「へ?ぎゃあああああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

パシーーーーンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…大変お見苦しい事をしてしまった…。」

「当たり前よ!急に飛びかかってくるなんでどうかしてるわ!!それに、アンタ前にも同じ事したのに懲りてないのね…。」

 

幾らゲームの時に好みだったキャラとはいえ、そりゃ行き成りル〇ンダイブしたらそういう反応するよな。初めてではないにしろ、以前クエストで出会った際も同じことをして、今現在俺の左頬には綺麗なビンタの跡が出来ている。あの時は、日本一が冷ややかな目をして此方を見ていたっけな。今はそれと同じ状況が広がっている。

 

「それよりも、そっちは誰?見た事ないんだけど。」

 

ユニちゃんがそう言ってきたので、俺はスミレの事を説明しつつ本人も事を説明し納得してくれた。それからスミレは、ロムちゃんとラムちゃんと話をしている。それと、現状を確認する為にユニちゃんとコンパさんから話を聞くことにした。まさか、兄貴が不在なんて呼んでおいてそりゃないよ全く。それに4女神さんに加え、アイエフさんとネプギアも居ないからどういうこったと思ったよ。

 

そんな時、驚愕している時、部屋の扉が開いた音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全力疾走で教会まで戻って来た俺は、教会前で待っていたアイエフとネプギアに驚かれた。あれだけの距離を走って来たのだから驚くのは当然か。流石に長距離を短距離走並で走ったからか息が上がってしまっているし、満ち潮の上を走って来たからか、靴の中にまで水が入ってきてしまっている。そして、パーティー会場へ戻ると、お客が2人増えていた。

 

 

 

 

 

≪アイエフさん…一体、どういう事なんですか?≫

「それが、此方でもよくは分からないんですが、アンチクリスタルがどうとか…。多分、それがネプ子達の力を奪っているんです。」

≪アンチクリスタル…?聞いたことがないですね…。≫

「イストワール様。此方でも調べますが、其方でも調べて貰えますか?」

≪勿論です。でも、三日掛かりますよ?≫

「3日…。」

「心持、巻きでお願いします。」

≪やってみます。では、ネプギアさん達は、プラネテューヌに戻ってきてください。ユニさん達も、お国へ帰った方がいいと思います。あ、それと、永守さん。≫

「何だ。」

≪以前言ってしました、“エンデ”や“ニグーラ”に関して調べましたが、断片的にしかわかりませんでした。一応調べて分かった事をNギアに送信しておきますね。≫

「分かった。」

≪それでは。≫

 

あの後、ズーネ地区の廃棄物処理場で何があったかを説明し、アイエフがイストワールにアンチクリスタルの事を調べて欲しいとお願いする。破壊しても良かったが、破壊した時に何が起こるか分からない代物を破壊する訳にもいかない…。そう思った上でアイエフはイストワールに聞くことになった。俺はNギアを確認する。だが、内容としては俺の知っている事と一致する程度で、どういう理由で生まれたのかは分からない。…国へ帰れと言われても、ユニ、ロム、ラムは納得できるとは思えない。

 

「そういう訳だから―――――」

「待って!帰れって言われて、大人しく帰れるわけないでしょ。お姉ちゃん達が捕まっただけじゃなくて、もっとちゃんと説明して!!」

「何時ものお姉ちゃんなら、悪者なんて一発なのに!」

「お姉ちゃん…死んじゃうの?」

 

思った通り納得していない様子…分かり切った反応だ。

 

「き、きっと大丈夫です。女神がそう簡単にやられる訳が―――――」

「でも!力が奪われたってさっき…。」

「ごめんなさい。」

 

会話を割り切るように、椅子に座っていたネプギアが突然謝る。

 

「ネプギア…何故お前が謝る。」

「そうです。ギアちゃんが悪い訳じゃ…。」

「ううん…買い物の時拾ったあの石が、きっとアンチクリスタルだったんです。」

 

あの時の石…あれを拾った時、ネプギアの様子が可笑しくなったと判断できる。そう答えられるのは、それを持って行ったのが、犯罪リストに載っている“ワレチュー”が持っていた事になるからだ。

 

「…やめましょ。そんな事、今考えたって―――――」

「どうして…どうして、あの時目眩がしたのかを、ちゃんと考えてれば…お姉ちゃん達に、知らせておけばこんな事には…。」

「ネプギア、それは違う―――――」

 

あの時はパーティーを楽しみにしてて浮かれていたのもあるだろう。だが、ネプギアは悪くない。そう思っていた時だった。

 

「ネプギアの馬鹿!お姉ちゃんは…アタシのお姉ちゃんは、凄く強いのに…。永守も…ネプギアの隣に居たのに、なんで気づかなかったのよ!」

「お、おい。ユニちゃん、それは…。」

「アンタ達二人が代わりに捕まってれば良かったのよ!!」

「!?」

 

衝撃的な事を叫び、ユニは泣きながら部屋を飛び出していく。

 

「ユニちゃん!!俺、追ってきます!!」

「わ、わたしも…!」

「わたしもユニちゃんの所、行ってくる!」

「私も、微力ながら協力します。」

 

ジン、ロム、ラム、スミレがそう言ってユニを追いかけるように、部屋を飛び出していく。そして、ネプギアも泣きながらベランダの方へと行ってしまう。室内には静寂が広がる。こんな時に言い争っている場合ではない。だが、まだまだ彼女達は何処か誰かに頼っている感があるのは否めないのだろう。

 

「ギアちゃん…ユニちゃん…大丈夫でしょうか。」

「全く、あの子達は…。」

「ネプギアの様子を見に行く。」

「どうする気?」

「…気が動転しているだけなんだろう。落ち着かせて仲直りさせなければな。」

 

そう言いつつ俺はベランダに向かうことにした。そこには案の定、黄昏れているネプギアがいた。足音に気づき此方に振り向くが、その顔は泣いていたのだろう、くしゃくしゃになっていた。

 

「永守さん…。」

「ユニに対して、反論はしないんだな。」

「ユニちゃんの言った事は…間違ってはないから…。私が、もっとしっかりしていれば…。」

 

ネプギアは良くも悪くも生真面目だ。その為か、あらゆる事に対して、ネプギア一人で自問自答してしまう。

 

「…済まなかった。」

「どうして、永守さんが謝るんですか…?」

「いや、一緒に行動をしていながら未然に防ぐことが出来なかった。俺も同罪さ。」

「そんな、永守さんは何も悪くは…。」

「ネプギア。一人で抱え込むな。考えれば考える程、本来の目的を見失う。それと、後悔より反省だ。後悔すればするほど自分を見失う。…この言葉は請け負いだがな。」

 

力はあるとは言え、俺一人で同等の力を持つ相手を二人同時に戦うのは難しい。だからこそ、女神候補生達に頼み事をしなければならない。

 

「ネプギア、お前はネプテューヌを…女神達を助けたいか?」

「当たり前です…!出来るなら、今すぐにでも行きたいです!!でも…。」

 

俺は質問に対しての答えに安心した。ならば、頼まなければならない。

 

「頼みたい事がある。あいつ等を助ける為、俺にネプギア達の力を貸してくれないか。」

「協力…ですか?でも、私はまだ女神化も出来ませんし…。」

「今は…だろ?」

「でも、私にはそんな事…。」

「出来ないと思うな。お前は“出来る”んだ。お前は、プラネテューヌの女神候補生であり、ネプテューヌの妹。そうだ、お前達は既に出来る…。後は気づくだけだ。」

「気づく…それは、どうすれば?」

「それは俺にも分からない。だが、出来ないと考えるな。余計な事を考えず、出来るという事一点に集中し自分を信じろ。真剣に考えれば、自ずと答えは出る。」

 

そうしていると、後ろから声がした。

 

「ネプギアちゃん、お兄ちゃん。」

「ほら、早く!」

「分かってるわよ…。」

 

そこには、ロムとラム。それに二人に後押しされながら、歩いているユニの姿があった。

 

「ユニ…ちゃん…?」

「ネプギアちゃん、仲直り、しよ?」

 

そう言って、ロムはネプギアの手を持ち、そこにラムに引っ張られるようにユニもそこに手を添える。

 

「言いすぎ…ちゃった…。ごめんね…。ネプギアのせいじゃ…永守のせいじゃ…ないのに…!」

「うん…気持ち、分かるから。」

「気にするな。誰も、悪くはない。」

 

そうして、ユニはネプギアに抱き着き再び泣き出す。…仲直りの印としていいだろう。

 

「日の出か…。」

 

ユニが、泣き止み落ち着いたところで、ユニの口から想った事を告げる。

 

「アタシ、お姉ちゃんより強い人なんて、居ないと思ってた。何があっても、きっとお姉ちゃんならって…。」

「同じだよ。私も、お姉ちゃんがいなきゃ何にも出来ない…。今も良く分からなくて、永守さんに対しての答えもまだ…。」

 

やはり、直ぐには答えは出ないか…。

 

「そんなの、簡単じゃない!わたし達が強くなって、助ければいいんだよ!!」

「わたしも…お姉ちゃん達、助けたい。」

「でも、私達はまだ変身も…。」

「出来るようになればいいのよ!!」

「変身のやり方、練習する。」

 

どうやら、ロムとラムは既に答えが出ているようだ。

 

「そういえば、お姉ちゃんが言ってた。アタシが、変身出来ないのは、自分の心にリミッターが掛かってるっからって…。」

「心の…リミッター…?」

 

心のリミッターか…。一番厄介な物でもあり、乗り越えるのは至難の業とも言える。

 

「一つ聞こう。お前たちは、何か“恐怖”というのはあるか?」

「わたし、モンスター、怖い。」

「うん、私も…。」

「じゃあ、モンスターが怖くなくなるよう、特訓しようよ!」

「でも、今からクエスト受けるって言っても…。」

 

確かに、クエスト…特に討伐クエストは実践寄りだから、いい経験になるだろう。だが、それでは受ける度に戻らなくてはならないし、今の候補生では高ランクのクエストは受けれない…。ならば、答えは出ている。

 

「俺にいい考えがある。」

「いい…考え?」

「VRだ。それも、今日のパーティーで使ったあのVRシステム。あれの実践モードを使う。それで模擬的とは言え経験を積める。」

「…うん、そうかも!」

「ふふん、そう思って、ジン兄とスミレちゃんに準備しといてって頼んでおいたよ。わたし、凄いでしょ!」

 

全員が見つめ合い、頷く。如何やら、目標は見えたらしく、全員が歩き出す。皆、少しだがいい目をしている。

 

 

 

 

ネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール…。今暫く待っていてくれ…必ず助けに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 




【用語集】

○後悔より反省だ。後悔すればするほど自分を見失う。
 元ネタは、MGSの主人公「ソリッド・スネーク」の”後悔するよりも反省する事だ。後悔は、人をネガティブにする。”のオマージュ。彼にはまだまだ名台詞がたくさんあります。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


色々と悩んで考えた結果のこの回。もう少し上手く書けないかなぁと思うが、今現在ではこれが限界です\(^o^)/

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