唐突な始まり方で悪いが、今現在ゲイムギョウ界としては緊急な事らしく、呼び出しをされルウィーに訪れている。数日前のプール施設の精査が終わって、解散前にブランから口頭で報告したい事があると言われたが、詳細はメールで通知すると言い、後日ブランからメールが来ていた。メール自体は、他の女神にも通知されており、熟知はされている模様。しかし、その内容が他の女神には気に食わない…と言うより危険過ぎるという事で、ルウィーに訪れる前日に四女神と教祖達による緊急会議という名のTVチャットが行われた。これは、その前日に行われたTVチャットの内容となる。
「確かに、納得しないといけないかもしれませんが…、余りにも危険過ぎますわ。」
「そうよブラン。貴女一体何を考えてるの?」
「そーだそーだ!これじゃえい君が無事では済まないよ!!」
「貴女達の言っている事は分かっているわ。でも、今はこれしか方法がないのよ。」
今、ゲイムギョウ界のシェアがどういう訳か、4ヵ国以外の場所に流れているという情報が入っている。その流れているシェア率は微々たるモノだが、ゲイムギョウ界としては4ヵ国以外にシェアが流れる事は、異例でもあり異常な事でもある。新しく国が出来る事に関しても余り宜しくないとの考えだが、そのシェアが流れている場所が特に問題がある。
「………。確かに、資料を見る限りだが、元居た世界よりは危険かもしれない。この“ギョウカイ
ギョウカイ墓地…行き場を失った者、力尽きた者達の邪が集いし呪われた土地。現状は、このゲイムギョウ界の大陸中心部の下層に封印されている。だが、その封印されているギョウカイ墓場にシェアが流れているのを、ルウィーがキャッチしたと言う。そんな汚染されたような呪われた地に、女神が行くにはそれなりの対策をしてからではないと向かうのは厳しい。だが、発覚したのがプール視察後だった為にこんな状況になっている。
「悪いけど、貴方一人で行かせる気はないわよ?」
「そうですわ。永守さん一人で行くのはかなり危険過ぎますわ。ギョウカイ墓場自体何が起きているか予測不可能ですし…。」
「………。私からも、余りお勧めは出来ません。予測不可能な以上、万全な状態で行く事が良いかと。」
「ほら、いーすんも反対だよ。」
今回の件は、どうやらイストワールも反対の意志らしい。
「ふむ…。確かに君の能力は、女神に匹敵する…とまではいかないが、獨斗永守…万が一失敗して君を失う事は避けたい。」
「そうですわよ。気づいてないかもしれませんが、貴方はリーンボックスでも有名な人なのよ。」
反対とまではいかないが、単独で行くのは余り賛成ではない“神宮寺ケイ”と“箱崎チカ”が言う。これだけ反対意見があるというのは、相当危険だと言う警告なのかもしれない。
ルウィーの教会に着き、執務室でブランと教祖のミナと最後の打ち合わせをしている。そこで、ブランからあるデータを見せてくる。
「これを見て。」
「ギョウカイ墓地…?」
だが、ここ最近になって異常とまではならないが、そのギョウカイ墓地の様子に変化があると言う。何でも、微々たる程だがシェアエナジーがそのギョウカイ墓場に流れていると言う。今までこんなことは無かった為に、女神達全員には極秘に報告されている。
「ギョウカイ墓場に行く方法はあるのか?」
「ええ、一部の人以外は知らないわ。ギョウカイ墓場に繋がる転送装置が教会内にあるの。転送には若干のシェアエナジーを消費する事になるから、ホイホイと行く事は出来ないの。」
「なるほど…。」
そして何より、ギョウカイ墓場は負の力が溜まっている場所。本来であれば、ブランが行くはずだが、女神は愚か一般人ですら対策無しでは力を奪われてしまう場所だと言う。そんな中、俺はゾディアークと言う闇の力を秘めている為、抜擢された事になる。…半女神化も出来るから何とも言えないがな。
「では、今一度確認させて頂きます。獨斗さんにやっていただく事は3つ。1つ目は、ギョウカイ墓場の現状を視察。2つ目は、ギョウカイ墓場にもモンスターが確認されていますので、そのモンスターの詳細等の視察。そして3つ目は、そのギョウカイ墓場にあります“アンチクリスタル”を採取してくる事…。以上になります。」
元々は、アンチクリスタルの採取だけで終わるはずだった。しかし、現状ギョウカイ墓場で異常が発生している為、このようなことになってしまった。
「ごめんなさい。本当なら女神様が行くのに、また貴方の力を借りる事になってしまいます…。」
「気にするな。成功すれば、ゲイムギョウ界は安全になる…。」
教祖のミナが言った事に対し、問題ない的な事を言うと、それを聞いたブランは頷くが、何処となく不安はあるようで、ミナも不安げな様子だ。全員不安になるのも分からなくもない。人ではない存在になったとは言え、本来であれば人間が行くべき場所ではない。俺に与えられた
1:ギョウカイ墓場の現状及びモンスターの調査。
2:ギョウカイ墓地に流れるシェアエナジーの原因の調査。
3:アンチクリスタルの回収。
本来であれば、3番目のアンチクリスタルの回収をし、アンチクリスタルを本格的に研究するだけだったが、急遽1と2も行う事になった。俺は今一度、彼らに聞くことにする為、右手の指を側頭部に当てる。
「(………。今回の件、
≪確かに、俺は女神とは正反対の存在。いや、作られた存在が正しい。それでも、俺はアンチエナジー側にいる方が力を増す…。≫
≪対して、私は女神。それも、今はゼロと貴方と一心同体と言っても過言ではありません。一人一人であれば問題はないかと思いますが、3人一緒のような状況では、どのような影響を及ぼすか分かりません。ですが、事が大きくなる前に何とかした方がいいかと…。≫
≪危険な芽は早めに摘んで消し去った方がいい。そういう事だ。≫
二人共、早めに対策した方がいいという意見だった。恐らく、慎重に言った方がいいのかもしれないが、事が大きくなって自分達のような犠牲を出してはならないという忠告もあるのだろう。それに、単独行動は得意な方でもある。
「Who Dares Wins。」
『…え?』
「…英国のモットーで、“危険を冒すものが勝利する”という意味だ。それに、単独行動の方が、モンスターに悟られ難い事もある。」
「だけど、それじゃえい君が一人で行くってことでしょ?」
「心配するな。単独で敵の局地に侵入した経験なら幾らでもある。お前達は成功するよう祈ってればいい。それだけだ。」
という事で…と言って片付けるには納得してない部分もあったが、全員渋々承諾して現在に至る。ルウィーに向かっている理由は、アンチクリスタルの採掘用道具と特例でギョウカイ墓地への転送をする事になる。武器はサバイバルナイフにM500一丁。もう一丁は前の戦いで無茶な事をしてしまった為、壊れてしまい修理している。
そして、ルウィー教会内にある転送装置前に着く。そこで、ブランから採掘用の道具に無線機を渡される。
「これが貴方に支給される道具よ。」
「…ツルハシに水晶玉?」
手渡されたのは、青色のツルハシに紫色の手の平サイズの水晶玉だった。ツルハシはまるで某採掘ゲーに出て来た“ダイヤのツルハシ”に似ているが、水晶玉に関しては用途が分からない。
「そのツルハシには、希少なオリハルコンにシェアエナジーを付与した特別なツルハシです。それであれば、アンチクリスタルを砕くことが出来るはずです。また、その水晶玉は、全ての教会と連絡し合う事が出来ます。ただ、向こうの状況によっては、連絡をすることが出来ない可能性があります。」
道具の説明をミナが説明する。転送にはシェアを使うそうだが、一人であれば特に支障は出ないとの事。それを理解した上で、転送装置のある部屋へ入る。
「…これが、俺をギョウカイ墓場まで送る装置か。」
「戻る時は、此方から座標を捉えて行います。只、恐らくですが、通信として使う水晶が使えない場所では行えませんので、十分お気を付けて下さい。」
「分かった。」
「無茶だけはしないようにね。」
「ああ…。」
そして、俺は転送装置へ移動する。起動すると、俺の体が粒子のように少しずつなくなっていき、ルウィーの転送装置から居なくなるのだった。
――――――――――――――――――――
【ギョウカイ墓場】
「………。やはり、実際に見てみるのとは違うな。」
ニグーラによって崩壊しきった惑星“地球”に何処となく状況は似ているが、実際に来てみると、周囲から禍々しい気が感じる。俺は近くの岩場に隠れ水晶玉を取り出す。
≪永守さん、聞こえますか?≫
「ああ、聞こえてる。」
連絡に出てきたのは、ブランではなくイストワールだった。
≪連絡や行動は皆さんも見ておりますが、基本的なサポートは、私が行います。≫
「…分かった。今から、
水晶玉に向かってそう言い、武器を構えて進むことにした。
雰囲気は、まるでこの世の終わりとも思われる場所だ。周囲は岩壁で囲まれており、奥には溶岩のようなものが見える。
「此方、獨斗。モンスターは情報通りで変化は見られない。念の為写真を収めておく。只、奥の方はどうなってるか分からない。これから確認しに行く。」
≪分かりました。
「………。分かった。」
そうして、暫く歩んでみたが、特に変わり映えするところはない。狂暴化しているモンスターは今の所見られない。現状では、何が原因でシェアエナジーがこのギョウカイ墓場に流れているのかは分からない。そんな事を考えながら進んでいると、目の前に見覚えのある色をした結晶体を見つける。
「…アンチクリスタルだ。イストワール、アンチクリスタルを見つけた。これから回収をする。」
水晶玉に向かって言うが、返事が返ってこない。如何やら連絡可能範囲外に入ったのだろう。そう納得した上で、持っているツルハシを結晶体に振り下ろす。何度かぶつけると、その結晶外が欠け、アンチクリスタルの欠片が足元に転がってくる。これを無事持ち帰れば終わりだが、シェアエナジーが何故ここに流れ込んでいるかが分からない。
「………。奥へ行くしかあるまい。」
そうして、ギョウカイ墓場の更に奥地へと向かう。そして、俺はそこでシェアエナジーが流れているであろう原因を見つける。
「なんだ、こいつは…。」
そこには、まるで縄を捻ったかのような形をした、どす黒い巨大な岩があった。回りを見ても、その岩らしき物体だけ自然にできたとは思えない、明らかに人工物だと思えるように佇んでいる。そう思うのには、広間と言える程の広さがありながら、その中央にポツンとそれが立っているからだ。そして、その物体に向かって何かしらのエネルギーが流れ込んでいるように感じる。いや、流れているというよりは…吸収しているのか?
「(………。二人に聞く。これに見覚えはあるか?)」
≪いや…初めて見るな。≫
≪私も、ゼロと同じです。こんな物体…私が居た頃には見たことありません。≫
ゼロとセグゥに聞いてみるが、二人共この物体を見るのは初めてのようだ。この岩らしき物体を写真に収めておくことにする。そして、手を伸ばせば触れるような距離まで進んでみる事にする。
「それに近づくなッチュ!!」
「ッ…!?」
…が、近寄ろうとした時、後ろから聞き覚えのある声がしたと同時に、自分の体から何かが抜けていくような気がした為、後ろに飛び距離を取る。そして、声のした方へ顔を向ける。そこには、見おぼえるのある人…いや、鼠がいた。
「お前は、ワレチュー…。」
「ん、お前は………ああ!あの時の!どうして、お前がここに居るっチュか!」
「………。道に迷ってな、彷徨っていたらここに来てしまった。」
「彷徨ってここに来ることは出来ないッチュよ。」
奴の言っている事が正しければ、俺はここに居てはいけない存在なのだろう。
「(だが、居るところを見られてしまった…どうする。ここで始末するか?)」
そう思っていると、無意識に銃へ手が伸びており、殺気を出していた。
「ま、ま、ま、待つッチュ!オイラは、お、お前と戦う気は無いッチュよ!!」
「………。そう言って油断させる目論見か?」
「どうしてそうなるッチュか!だだだ、だったらそれに触れるなとは言わないッチュよ!」
完全にへっぴり腰になっているワレチューを見て、俺は銃から手を放す。念の為短剣は直ぐに抜けるようにはしておく。
「た、助かったっチュ…。」
「安心するには早いな…。質問によっては締め上げるぞ。」
「ヂュッ!」
その言葉を聞いたワレチューが一瞬ビクッとなる。
「先ず、あれは何だ。」
「………。言えないっチュ…って、ちょちょちょ!待つっチュ!オイラにも本当に分からないッチュ。本当と書いてッチュ!!」
言えないと聞いた瞬間に、短剣を首元に向けていたが、この怯え方としては本当に分からないという印象を受けた為、短剣を仕舞う。
「か、勘弁して欲しいッチュ…心臓がいくつあっても足りないッチュよ…。それに、こっちも助けて欲しいくらいッチュ…。」
「助けて欲しい…だと?」
「………。ここで巡り合ったのも何かの縁ッチュね。信じろとは言わないっチュ。それに、前は敵として巡り合った身…それでも、聞いて欲しいっチュ。」
「………。分かった。」
「…以上っチュ。」
「………。犯罪組織“マジェコンヌ”…」
ワレチューから、俺は様々な事を聞いた。新犯罪組織マジェコンヌの事、犯罪神ユニミテス、ワレチューの雇い主であるマジェコンヌが依り代になっている事、そしてワレチューは脅しのような事を吹きかけられ、新犯罪組織の為に暗勝つしなければならない事…。
「もう、このゲイムギョウ界は、既に犯罪組織マジェコンヌの闇が広がっているっチュ。」
「何故、俺にその事を言う。俺はその事を報告する義務がある。」
「同じような雰囲気を感じたからッチュ。それに、お前なら、何とかしてくれるんじゃないかと思ったッチュ。」
「同じ雰囲気…か…。」
悪には、何か俺の中にあるのを感じるのかもしれないな。俺も元の世界で道を外していれば、此奴らとなんら変わらない存在になっていたのかもしれないからな。兎に角、現状での目的は果たした為、長居は無用と判断しその場を後にする。
「イストワール、聞こえるか?」
≪ああ、良かった。連絡範囲から外れてしまったので、連絡出来ませんでしたので心配しましたよ。無事ですか?≫
「ああ、問題ない。目的は果たした。帰還を要請する。」
≪分かりました。それでは、座標を確認しますので少々お待ち下さい。≫
「分かった。」
そう言って、連絡を切ったと同時に、後ろから何か気配を感じた。俺はゆっくりとそっちの方へ顔を向ける。
「ほう、人間がこんな所にいるとは…。」
「何者だ?」
「名乗る程でも無い。何れ知る時が来る。」
そこには、ネプテューヌ達が女神化した時に身につけている、プロセッサユニットのような物を身に纏った赤髪の眼帯を付けた女が居る。
「それに、タダの人間がこの空間に長時間居るのもただ事では無い。どうだ。我々と共に、世界を変える気はあるか?」
「世界を変える…だと?」
「この世界に不満を覚えた事はないか?私は、そういう事を考える人間によって生み出された存在。それに、我々と同じ力を感じる。だからこそ、手を差し伸べているのだ。」
女神の加護は、この世界にとっては強大であり恩義は計り知れない。それでも、そんな女神に反発している人々がいる。そして、俺は今それによって生み出されてしまった存在を目のあたりにしている。それと同時に、右腕から感じるこの存在に対しての怒りや憎しみ…。
「断る。」
「そうか…。では、女神に伝えておけ。我々の活動は刻々と進んでいる。止めたければ、ギョウカイ墓場で決着を…と。あわよくば、貴様も我々と手を組んでくれる事を期待して居るぞ。」
そう言って、その女は消えてしまった。全く、エンデが言っていた事を言う奴がまだ居るとはな。それと同時にイストワールから連絡が来る。
≪お待たせしました。今からプラネテューヌに戻れる地点を展開します。出てきたらそこに乗って下さい。≫
「分かった。」
目の前に出てきた光り輝く空間に入る。
そして、またしてもゲイムギョウ界の運命に関わる事に巻き込まれる事となる。
【用語集】
○Who Dares Wins
イギリス陸軍の特殊部隊”特殊空挺部隊(通称:SAS)”のモットー。今回小説に書いた、「危険を冒す者が勝利する。」以外にも、「敢えて挑んだ者が勝つ。」「挑む者に勝利あり。」の意味もある。
○某採掘ゲーに出て来た“ダイヤのツルハシ”
言わずとも知れた”Minecraft”のMOD無しでは最上位のピッケル。数年前まではPCだけだったが、今は色々な機種で出回っている。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
ここから暫くはmk2及びRe;birth2要素となります。アニメの世界観が割と近いので、書くならこういう展開もやってみたいと思ってです。