超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene43 救助劇~GreenLittleSister~

 

【リーンボックス:教会】

 

「………。」

 

目を覚ますと、長椅子に寝転がっている俺がいる。上体を起こし周囲を見渡すと、教会のような場所にいるのが分かる。外はまだ明るいのだが、教会には人一人いない状況だ。…兎に角、今までの事を整理しよう。

 

リーンボックス行きの飛空艇で、リーンボックスに着いた途端に爆発が起こり、それと同時に何者かに捕まれて何かをされた…。その間の記憶が妙にうろ覚えだが、謎の空間で会ったアイツによって、今の所救われたに近い。

 

「…犯罪組織相手に借りを作られるとはな。笑えねぇぜ。」

 

そんな事を思いつつ、体を弄っている…愛用の鞭とサブウェポンのサイドバッグ、左手に付けていた籠手が無い。後ろの長椅子を見ると、俺が持っていた諸々の荷物が置いてあった。それと、右手用の白い長手袋、見覚えのない携帯端末、その横にSDカードある。良く見ると、その携帯は“マジコン”に似ている。だが、肝心な籠手が見当たらない…。

 

「まさか、アイツに取られたか?…戦う理由が出来たって訳か。」

 

とりあえず、サイドバッグを取ろうと考え、手を伸ばして右手が視野に入った時だった。

 

「なんだ…この模様は…!?」

 

右手に紋章のようなものが刻まれており、思わず長袖を捲り上げる。模様は肘まで伸びている。模様は掌にもあり、これが呪いなのか?と一瞬思ってしまう。しかし、良く見ると模様は“ゲイム語”のような模様もある。そしてご都合がいいように、マジコンのような携帯機がバイブレーションモードのように震えている。画面には“メッセージ有”と表示されている。普通ならまず取らねぇだろうが、俺はどういう訳か、そのメッセージを見なければならないという使命感に駆られていた。…その前に、誰かが来た時にこの手を見られないよう、置いてあった手袋を身に付けてからメッセージを見る。

 

「ん?日本語?」

 

そのメッセージの内容に使われていた文字は、ゲイム語でなく日本語だった。まるで、俺にだけ伝えたいのか…それともスミレに伝えたいのか…。兎に角メッセージを読んでみなければ分からねぇ。

 

【親愛なるジンへ】

 

これを読んでいるなら、記憶が戻ったという事を前提に話を進める。

右腕を見て違和感がある事は気付いているだろう。お前は、悪魔の契約(ディアボロス・アグレメント)の“封”を受けていた。嘗て、リーンボックスの女神候補生が受けていた“操”とは別物だが、呪印としては同じ部類だと分かっている。呪印を解くには、膨大なシェアエナジー又は強靭な精神力が必要だ。だが、女神なら兎も角常人が受けてしまった場合は、この呪印に打ち勝つのはほぼ不可能と言っていい。後者は耐えているだけであって、根本的に解決とはなっていない。現実的でない上に、呪印の束縛に負けてしまうのは時間の問題となる。人々の闇はそれほど根強い。しかし、研究の末に一つだけゲイムギョウ界の物で打開策を見出した。その呪術を打ち消すにあたり、お前の右手に術式“ハードグリフ”を施した。ゲイムギョウ界の魔術の一つで“ルーン文字”のような物と言っていい。その力は大戦時に使われていた魔術の一つで、印を描く事で様々な術式を放つ事が出来る。魔導器があれば、他の魔法も扱える。詳しくは、置いてあるSDカードをこの端末に差して調べてくれ。

 

 

このメッセージから、残した相手が誰なのか察する事が出来る。そして、長い改行の最後に“お前に、女神救出という重荷を背負わせてしまって悪いとは思うが、女神候補生と共に女神達を救ってくれ。…俺は、俺のやり方で、ゲイムギョウ界を救う。若し、俺のやり方気に入らないのなら、俺を殺してみろ。”と書いてあった。

 

「獨斗…ゲイムギョウ界を救うって、犯罪組織に手を染めているじゃねぇか…。」

 

既に俺の中じゃ“ハーミット=獨斗”という方程式が完成している。犯罪組織内部から崩していくというのならまだ分かるが、今までの行動からして犯罪組織の手助けをしているようにも見えてしまう。だからこそ、何をしたいのかが全く見えてこない。それに、不思議なのは、行動をしている自らを殺めてみろとも書いてある。“止めてみろ”や“倒してみろ”なら分かるが、殺してみろ…物騒じゃねぇかよ。俺は立ち上がり、持っている端末に置いてあったSDカードを、端末に付けて中を見る。中身はハードグリフに関する資料が載ってある。どうやら、ハードグリフ自体は、俺が知っているゲームに登場したのと同じらしい。古の籠手の封印球が4つ揃った時、この籠手はプロセッサユニットの鍵となるらしく、その鍵を解除すると籠手は無くなると、ゲイムキャラから聞いている。魔法のようなのが使えなくなる俺にとっては有難いプレゼントだ。今の所使えるのは、“フルスタ()”、“ラーマ()”、“ルーチェ()”の3種類…左手に愛用の鞭、右手にフルスタで両手に鞭という戦法も出来そうだ。

 

 

 

ガチャリ―――――

 

 

 

そんな事を考えていると、教会入り口の扉が開き誰かが入ってくる。

 

「ジンさん…!?」

 

入って来たのは、女神候補生のスミレ、特命課のケイブさん。そして、ネプギア達も一緒にいた。

 

「随分と賑やかじゃねぇか…何処で落ち合ったんだ、スミレ。」

 

そう俺が言うと、スミレが俺に向かって走り出し、急に抱き着いてきた。

 

「おお…!?な、なんだ…!」

「良かった…僕の知ってるジンさんだ…!」

「…何言ってんだ。記憶がなくたって、俺は俺だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、感動の再開みたいな事をしたのはいいが、その後アイエフにこっ酷く怒られました上に正座させられてます。ネプギア達は、ユニの手配によって修理中の船を直し、無償でリーンボックスまで来たと言う。そして、情緒不安定な教祖のチカさんに話を聞き、クエストの最中にスミレとケイブさんに会い、俺の事を伝えたそうだ。まぁ普通何も伝えず飛び出した上に、記憶喪失みたいなのになっていたのだから、そら怒られるわな常識的に考えて…と、思いきや、怒られる理由は更に有った。

 

「…は?1日行方不明だった?」

「そうよ。リーンボックス中を探したのよ。」

 

それで、スミレがあんな行動に出てきたのか。因みに、あの後更に日本一からも抱き着かれてめっちゃ苦しかった…。

 

とりあえず、俺が行方不明になっていた間の件を話しつつ、ネプギア達の行動聞く。なんでも、リーンボックス中を探してた最中に、5pb.のライブに下っ端ことリンダが現れたと言う。妨害は阻止したものの逃げられたらしく。その夜に教会に戻っても教祖はいなかったと言う。それから翌日の朝に俺を探してたところ、ルウィーのロムとラム、保護者として同行しているブロッコリーと会ったり、ユニと同行している日本一と会い、教祖のチカが怪しいから手伝ってほしいと言い今に至ると言う。俺が居ない間にも結構な事があったんだな…。

 

「それにしても、教祖が居ないんじゃ、調べようがないわね。」

「うん…そうだね…。」

 

確かに、偽物かどうかを見極める為に来たのに、肝心な本人が居ないから、どうしようもない積み状態とも言える。…この際だ、下っ端の愚痴でも言ってみるか…何となく。

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

 

「ま、まさか、女神候補生が2人もいるなんて…それに、リーンボックスにも女神候補生が居るなんて聞いてねぇぞ…。」

 

絶賛、裏方で表を覗いている人物が一人いる。教祖チカに変装したリンダである。今日も今日とて、この格好でいなきゃいけねぇのかと愚痴を言っていたら、長椅子に寝ているジンを見て驚き、更に起きた為に思わず隠れてしまったのだった。そして、暫く様子見をしており、不意打ちでも仕掛けようと企てていたが、女神一行が来てしまい出ようにも出れない状況になってしまった。

 

「くっそ…どうして今日はこんなついてねぇんだよ。」

 

チラチラと、ネプギア達を影から覗き見して様子を伺っている。

 

「しかし、あの下っ端というバカは、よくも諦めずに俺達に挑んでくるな。一体何処に勝機を見出しているんだ?」

「…あ?」

 

突如、ジンが自分の事を馬鹿にするかのように口を開く。その暴言とも言える愚痴は鳴りやまない。

 

「プラネテューヌでは二度も負けてるんだよなアイツ。なぁ、ネプギア。」

「ふぇ?あ、は、はい。」

「ユニは、下っ端と戦ったことはあるのか?」

「え?あ~…まぁ、うん。」

 

「…あーーー!聞いていりゃアタイの事馬鹿にしやがって!それにラステイションの話は捏造だろうが!!」

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

『あ…。』

 

…愚痴を零してたら案の定出てきたよ、下っ端さんが。しかも、教祖のチカの恰好のまま出てきたからボロ出しすぎて、逆に笑えてくる。

 

「どうして、最初に会った時分からなかったんだろ私…諜報部失格だわ…。」

「クソっアタイの馬鹿!なんで出てきちまうんだよ!!」

「チカ姉さんじゃない…!」

「…本当にすり替わってたのね。貴女、本物のチカ何処にやったの!」

 

ケイブさんが、教祖チカを演じていたリンダに武器を構え、本当のチカさんが何処にいるか聞き出そうとする。

 

「ケっ!教える訳ねぇだろ!バレちゃしょうがねぇし、ノルマは果たしたんだ。ここはトンズラこかせてもらうぜぇ!」

 

そう言いつつ、来ていた服と変装を捨てて教会の裏口から出ていく。

 

「ああ!また逃げたぁ!!」

「逃げ足だけは一級品だな。」

「関心している場合じゃないわ。追いかけましょう。何としてもチカの居場所を聞き出さないと…。」

 

そして俺達は、下っ端を追いかける事になった。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

【リーンボックス:アンダーインヴァース】

 

リーンボックスの南にある山岳地帯の中にある施設。話によれば、嘗ては熱帯地帯という事もあり、溶岩の熱をエネルギーに転換して使っていたのだが、現在は犯罪組織の件もあり、施設自体は直せばまだ使えるものの、炎系モンスターの住処と化している。突然の行動だった溜に、ユニと日本一は出遅れて付いて来れてなく、この場にはいない。ここに逃げ込んだのは見えたものの、入り口付近には見当たらねぇ。

 

「いない…。何処に行ったんだろ。」

「もー!下っ端の癖にすばしっこい!」

「もう見失ったのか…。」

「大丈夫よ。この施設は一本道だから、追いかければ必ず追いつくわ。」

 

ケイブさんの言う事が正しければ、このまま道を辿ればリンダの元まで行けるようだ。俺達は道なりに進む。そして、天井の高い施設と、右に溶岩の間が見える所に出てくる。

 

そんな時だった。

 

べちゃぁ―――――

 

『!?』

「ヌラー。」

「スライヌ…?」

 

突如上からスライヌが一体降ってきたように地面に落ちてくる。俺も含め全員が上を見上げる。

 

「ヌララー。」

「ヌラララー。」

「す、凄い数ですぅ!」

「天井にビッシリといやがる…。」

「まずいわね…いくらスライヌでもこの数相手は、数年前の二の前になるわ。」

「ヌラ!」「ヌララ!」「ヌラララ!」

「やっべぇ…!」

「わぁ!!」

 

そのスライヌの声を聞いた瞬間、俺は近くに居たスミレの手を無理矢理掴んで走っていた。このイベントの存在自体は分かっていたし、落ちてきた時点で察したが…こんな行動して、他が遅れると…

 

「うわぁ!何なのよ此奴等!服にへばり付いて!」

「ふぇええ、服がべちょべちょに…。」

「あははは!や、やめ…そこくすぐった…あははは!」

「く…!何という屈辱的攻撃…!」

「わぁ!そ、そんな所入ってきちゃだめぇ!」

 

後ろを振り向くと、そこは祝h…大惨事な光景になっていた。

 

「見ちゃダメ!!」

「おう!!」

 

スミレに感謝されるかと思ったら、目を隠されるように手を覆い被さってくる。…目つぶしじゃないだけマシか。

 

「スミレ…!先に奥まで行って頂戴!」

「ひ、一人で行かせるつもりですか…!」

 

スミレがネプギア達を助けようと寄ろうとした時、ケイブさんがリンダを追えと言うのだった。当然アイエフは反対のようだ。

 

「ここで犯罪組織の構成員を見失うわけにはいかないわ…!ジン、スミレの事を頼むわ…!」

「お、俺…!?」

「で、でも…。」

「大丈夫、私達がここでやられはしないわ…!さぁ、行って…!」

「…行くぞ、スミレ。」

「え、ちょっと…!」

 

多分、ケイブさんのお墨付きだから、アイエフに叱られる事はないだろう。一本道を辿るように、モンスターを捌きながら奥へと進んでいく。

 

「何だかあそこだけ光ってる?」

「行くしかねぇな。」

 

暫く先へ進むと、何やら四角い青白く光る空間のようなのが見える。近づいてみると、ぼやけて中が見えないが、誰かが居るのが分かる。「何、これ…。」とスミレが言うが、俺もこれを見るのは初めてだ。足下当たりに落ちている小石を、その結界のような所の端っこへ投げてみる。

 

「…おう…。」

「石の動きが、遅くなってる…?」

 

投げ入れた小石は、まるでスローモーになっているかのように、ゆっくりと動いている。少なくとも、中に入ったら何か攻撃を受けるような事は無いのだろう。

 

「まさか、入るの?」

「少なくとも、直ぐ死ぬ事はねぇだろう。中に人が居るかもしれねぇし。」

「それは、そうだけど…。」

「俺は一人でも入るぜ。」

 

一瞬スミレが“むっ”となったが、一緒に入ることとなる。中に入ると、予想通り肉体的、精神的なダメージはない。更に、自分たちの動きもスローモーのようになる。そして、空間内に入ることで、中に居た人物がはっきりと分かる。

 

「ち、チカさんだ…!」「チカ姉さん…!!」

 

その空間内に倒れていたのは、紛れもなくリーンボックスの教祖である“箱崎チカ”だった。何でこんな空間内にいるのか分からないが、極限に襲い動きでチカさんを空間外へ運び出す。空間外へチカさんを運ぶと、その青白い空間が消えて無くなった。どうやら、中に人か何かがいないと自動的に消えてしまう仕組みらしい。

 

「チカ姉さん、しっかりして!」

「…うぅん…。」

「ふぅ…生きているな。」

「う…す、スミレ…?貴女…なの…?」

「うん、僕だよ…!本物のチカ姉さん…だよね…?」

「恐らくそうだろ。偽物がこんな中に入る訳がねぇ。」

 

しかし、次の瞬間チカさんがスミレの支えからがっくりと倒れ込む。

 

「ち、チカ姉さん…!」

「うぅん…御免なさい。アタクシはもうダメ…。ああ…最後にもう一度、ベールお姉様にお会いしたかった…。」

「そんな、ダメだよ!折角、希望が見えたのに…。」

 

 

 

 

 

「スミレをからかうのはその辺にしときなさい、チカ。」

 

こんな状況の中、後ろから声が聞こえ振り向くと、ケイブさんや、ネプギア達がそこにいた。何やらヌメヌメしているが…。

 

「え…そうなの、チカ姉さん…?」

「ひ、ひどい…。アタクシ、本当に死にかけて…うぅ…チラ…。」

 

誰がどう見ても、自演にしか見えない形で此方をチラチラと見ている。それを見たコンパが診察するように見定める。

 

「うん…確かに死にそうって感じはしないわね。」

「そーだね。まだ何処かぴんぴんしてる感じがするよ?」

「…チカさんらしいっちゃそうかもな。」

「でも、体の方は本当に弱ってるです。安静に出来る場所に運んだ方がいいです。」

「ええ、一度教会に戻りましょう。」

 

スミレ以外には完全に見破られているようで、俺も既に察していた。

 

「…もう、つれないんだから…。」

「…はぁ…もう、チカ姉さん…。」

 

観念したのか、チカさんはスミレの支えはあるのものの、立ち上がりダンジョンから出て教会に戻る事になった。

 

 

 

 

 

 





ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


これで、今年最後の投稿となります。
来年も変わらず読んで頂けて、尚且つ面白く出来るように精進していきたい所ですので、また読んで頂けるよう宜しくお願い致します。
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