超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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最近、UAが徐々に上がっていくなぁ…とぼけーっと眺めていたら、いつの間にか5,000を超えていた…とんでもねぇ…ありがたやありがたや。


Scene51 邪聖剣ゲハバーン~Goodbay~

 

 

「ここ…は…?」

 

気が付くと、プラネテューヌの墓地に、わたしは突っ立っている感じ…目の前には、えい君の戦友達が安心して眠れるように建てた墓石がある。夢…なのかな?頬を抓っても痛くないのに、奇妙な程に現実感がある。それに、周りを見る墓には合わないような花が一杯…チューリップ?そんな事よりも、気になるのは体が動くかどうか。よくこういう夢の中では、動けなかったり、特定の決められた行動しか出来ないってパターンもあるけどどうだろう?っと思いつつ動かすように意識すると、普通に動いた。…うん、こんな事してる場合じゃないね。動くと分かれば、こんなところからスタコラサッサだよ!きっと、ここから出れば、皆が待っている場所へ戻れる…はず。そう思いつつ、わたしは体を出口のある方へと向ける。

 

「…!?え…えい、くん…?」

 

後ろを振り向くと此方に向かってくる人がいた。それは、見間違えるはずもない、粉うことなきえい君だった。ただ、様子が可笑しい。墓参りだから花束を持っている。それは普通…でも、そのえい君はまるで戦争し終えた後の兵士のような…戦ってきた後のように、ボロボロだった。正直言って、夢でも目を反らしたくなるような光景…なのに、わたしはどうしてか、釘付けのように視線はえい君を追うように動き、体もえい君を追うように動いていた。それだけじゃない。まるで、わたしはそこに居ない存在なのか、わたしを平然と横切り、華麗にスルーしていく。

 

「待たせてしまって申し訳ない…。」

 

そう言って、えい君は墓に花束をそっと置く。少し間を入れ敬礼をしつつ、えい君が深呼吸をすると、腰あたりに手を伸ばしているのが分かる。そして、取り出したのは―――――

 

 

 

 

 

「(ぇ!?じゅ、銃…!?)」

「最後に課せられた罰を、受ける時が来た。全ての現況を消し去り、初めて平和が訪れる。残りは女神を信じる事になる。…1を増やす事に関わってしまったのならば、その罰を受けなければならない。」

「(だ、ダメ…!!)」

 

えい君が愛用しているリボルバーを、自分自身の首元に構えているのが見える。反射的に自分自身に撃とうとしているのが分かり、止めようと動こうとする。

 

「(な、なんで…からだが、うごかない。こえも、でない!)」

 

夢だから、きっと大丈夫だと思っても、とてもそうとは思えない程生々しく感じ、止めなくてはならないのに、体が動かない、声も出ない、最悪そんなえい君の後姿を見たくないと瞼も閉じたいのに、それすら許されない。

 

「俺も、あなた方の元へ…。」

「(だ、だめぇええええ…!?)」

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」

「わああああ!!」

「………。あ…あれ…?」

 

ここは…必死に叫ぼうと思っていたら一瞬、目の前が暗転して…今、よく見覚えのある部屋…プラネテューヌの、わたしの部屋だ。何もかもが突然すぎて、ちょっと頭がついて行けてない感じがするよう…。

 

「ね、ねぷねぷが…ねぷねぷが、目を覚ましだですぅ!」

「こんぱ…ノワール…?」

 

意識がまだはっきりとしない中、誰かに抱き着かれる。凄い抱擁感と柔らかい何かが、わたしの顔を覆っている!意識がはっきりとして、コンパがわたしを泣きながら抱いているのが分かった…そして、苦しい…!!

 

「よかった…よかったですぅ…!」

「あ、あの…コン、パ、さん…クルチイ。」

「あ…ああ!!」

 

わたしが苦しくなっているのを察して、ネプギアは抱くのをやめて謝ってくる。うーん、まだまだこういうところは甘えん坊だなぁ。…おっと、浸ってる場合じゃない。

 

「ご、ごめんなさいですぅ!また、ねぷねぷと一緒に色々と出来ると思ったら…。」

「だいじょーV!開いた穴はこれからの事で埋めていけばいいじゃない。」

「はいです…!」

「………。輪を乱すようで悪いんだけど、まだ犯罪組織の件は終わってないわよ。」

 

直ぐ近くには、足を組んで椅子に座っているノワールが…

 

「べ、別に貴女の事が心配だから、看護してたわけじゃないからね!」

「…心配してたんだね。」

「そ、そんな訳…。」

「ま、まぁまぁノワールさん。心配しているのは、皆さん同じですよ。」

 

その後、わたしが眠っている間の話を聞く事に…女神が帰ってきたという朗報は直ぐ各地に流れたみたいで、歓迎ムードが凄かったとか。それから、コンパ含め医療チームがわたし達の治療に当たり、体内のシェアエナジー以外は問題ないらしい。わたしばバリバリ元気なんだけどなぁ?それで、今は犯罪神の確認、確認出来次第、今後の作戦とえい君の救出の計画をする為、いーすんが演算中だとか―――――そーだ!いーすんにただいま言ってこなきゃ!そう考えると同時に、体はベッドから跳ね上がるように起き上がる。

 

「わわ、ねぷねぷ!何処へ行くですか?」

「いーすんにただいま言ってくる!!」

「………。相変わらず元気ね。」

「でも、何時ものねぷねぷで安心したです。」

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

「………。わかりました。今、此方に向かっているのですね。」

 

プラネテューヌのシェアクリスタルがある広間に、僕はジンやアイエフさん、ネプギアちゃん、ユニちゃん、それと教祖様と数人のプラネテューヌ教会職員の人達と一緒にいる。…僕一人じゃ心配だからってベール姉さんとチカ姉さんがいるのはいいし恋しかったってのも分かるのだけど、何故僕を二人でギュウギュウする程抱きしめる必要があるのか…。本題に戻ると、僕がここにいるのかは、転生者というのは何かしらの理由で呼ばれている。つまりは、場合によっては勇者でもあり危険視されることもあるとか。その為か、犯罪神を倒すための斬り込み隊長の役割をする可能性も視野に入れていると教祖のケイさん達は言う。それと、最も重要じゃ事は、ジン君と永守さんはグル…と言うと言い方は悪いかな。互いに情報を交換し合って、女神側を有利に進めるように仕組んでいたという。また、ジン君もその情報を密かにイストワール様に伝えていたみたい。それを仲間内に広めてしまい、動機を探られない為に少人数のみの情報網に留めて起きたい…と言えば、綺麗に収まるけど、永守さんも犯罪組織に貢献しないと情報網がバレてしまうからか、手加減は出来なかったらしい。それでも、予想外の出来事が多すぎる為か本来の路線とは違う道に進まざるを得ないと…。それから、犯罪神のエネルギーが

そして今、永守さんからの連絡を、イストワール様が行っている。犯罪神の体を乗っ取った奴は倒したものの、魂までは倒せず一旦退くこととなったと言う。でも、話を進めていくうちに、イストワール様の顔が険しくなる。

 

「待ってください!それでは、貴方は…永守さん、永守さん!!」

 

何かイストワール様と揉めているようだけど、向こうから連絡を切られてしまった模様。恐らく、永守さんから何か提案があったのだろう。ただ、イストワール様の顔が険しくなったということは、あまり受け入れ難い内容だったのかもしれない…のかな?

 

「い、いーすんさん?」

「イストワール様、一体何が?」

「………。あの人は、プラネテューヌの墓場で女神全員を待っているそうです…。」

 

イストワール様は、恐らく永守さんが指定した場所に待っているということを言うものの、何処か暗い表情をしている。

 

「何故ですか…あの人は…怖くないのですか…。」

「落ち着いて下さい。一体何が…?」

「魔剣ゲハバーン…唯一犯罪神に対抗し得る剣というのがありまして、今、彼はそれを所持しているそうです。」

『魔剣…?』

 

魔剣という言葉、その時点で嫌な予感がした。…ジン君は“そうなってしまうのか…”とボヤいたように聞こえた。

 

「犯罪神に対抗出来る剣…。」

「という事は、犯罪神を倒せるってことよね…。」

「そうとなれば、早く持ってきてくださらないと!」

「待ってください!あ、あの、魔剣ゲハバーンって…。」

「わたくしも、初耳ですわ。その魔剣ゲハバーンとは、どういうものでして?」

「………。救世の悲愴とも言われている、歴史の裏に隠されなければならない、悲劇の産物とも言える聖なる剣…のはずだった剣…と言ってました。」

「聖なる剣になるはずだった…?」

「…話は聞いたことあるけど、それは噂程度で存在は確認されてないはずよ。」

 

話からすると、犯罪神を倒す為に作られた剣と言える。でも、聖剣のはずなのに魔剣と呼ばれる剣…。アイエフさんは噂でしかないと言うも、そうすると、ジン君も語り始めた。

 

「その剣は、ある条件下によって力を発揮するんだ。その条件が、余りにも重すぎるんだ。」

「待ちなさいよ、アンタ。噂話の剣が存在するとでもいうの?」

「実際、俺達は既に見てんだよ。問題は、その剣が俺の知っている剣かどうか…。」

 

その瞬間、全員が緊張感を漂わせる。

 

「俺が知っている範囲であれば、女神の命を殺す事。女神を食えば食うほど、魔剣ゲハバーンは強くなる…。差し詰め、女神食い(ハードイーター)と言ったところか。」

『女神の…命を…?』

「そして、永守が持っていた…ネプテューヌさん、ネプギアと対峙していた時に持っていた、あの禍々しく紫色に輝いていた剣。あれが、魔剣ゲハバーンだ。」

『な、なんですって!』

 

その言葉に、全員が青ざめる。女神の魂を捧げることで強くなる。それは、女神を消す事になる。つまり、ベール姉さん、女神の力を持つ僕も対象になる。

 

「冗談じゃないわ!そんな物騒な剣、使える訳…てことは、アイツはネプ子とネプギアの命を取ろうとしてたってことじゃない!何考えてるのよアイツは…。」

「永守は、そんな事の為に使っていた訳じゃない。…奴は、その混沌と繰り返される魔剣の歴史を抹消することも念頭に動いている。具体案は知らないがな。…で、イストワール様、奴の提案したのは?」

 

ジン君が聞こうとしたが、その内容は驚くべきとも言える内容だった。

 

「古の4武器と…彼の命を生贄に禁断の秘術を行う…。」

「禁断の、秘術…。」

「はい…私も方からも前々から頼まれて調べていました。膨大なる魔の魂と引き換えに、その力を剣に宿す…。あの人は今、体内に膨大な魂を持っているそうです。」

「膨大な魂が必要なのに、永守さん一人というのは、どういう事ですの?」

「今のあの人は、深紅の石の力を体内に宿しているそうです。それは、数多くの人々の魂があるそうです。壊したはずが、自らの体内に入ってしまった…そう話しています。そうなれば、魔剣は別物になるだけでなく、犯罪神の器だけでなく存在自体を切り裂けると…。」

「つまり、女神は命を落とさず、彼一人で膨大な魂を魔剣に宿せると…。」

「はい…。」

 

ケイさんが、イストワール様に理解したことを伝えると、イストワール様はその通りだと伝える。決断の時なのだけれど、全員それを拒むような表情をしているのが分かる。

 

「そんな、わたくし達は助かっても、永守さんは助からないってことですわ。そんなの…受け入れられませんわ…!」

「そんな…ここまで来て…それしか道はないの…?」

「アイツは…馬鹿なの…?皆が助かれば、自分は死んでもいいと思ってるの…?」

 

ベール姉さんやネプギアちゃん、ユニちゃんの言う通り、犯罪神を倒せる力を手に入れたとしても、永守さんの言う通りであれば、永守さんを信頼している人達、あの人に何度も救われた女神様…僕もその一人だから、とても受け入れるには…。

 

「流石の俺も、そいつは聞き捨てられねぇし受け入れねぇ。あの野郎に一言突っ込まねぇと気が済まねぇ。あの馬鹿野郎に会ってくる。」

「私も行くわ。流石にこればかりは黙ってられないわね。」

 

ジン君がそういうと、アイエフさんも釣られる様に立ち上がる。

 

「確かに…ネプテューヌや、ネプギアちゃんには、一番長く付き合いが長い分重いですわね…。わたくしも止めるように言わざるを得ませんわ。」

「ベール姉さんと同じく、僕も助けてもらった恩がある…。他に手があるはず…。」

「私も、永守さんに伝えなくてはいけません。…くれぐれも、ネプテューヌさんには話さないほうが…。」

「…イストワール様…もう、手遅れのようだ…。」

「…え?」

「お、おねえ…ちゃん…!?」

「ッ!?ネプ子…。」

 

扉の前に、ネプテューヌさんがいた。問題は、その表情は明らかに青ざめている。さっきの話を全て聞いてしまったのだろうか、まるで嘘であってほしいという表情をしていた。そのまま勢いよく部屋に入らず出て行ってしまう。

 

『お、お姉ちゃん(ネプテューヌ)(ね、ネプ子)!!』

「まさか、墓地に向かう気か?」

「だと、思います…。申し訳ありませんが、ネプテューヌさんを、お願いします。」

 

そう言って、僕達も追いかけるようにプラネテューヌを飛び出す。その追いかけている最中に、ノワールさんや、ブランさん、ロムちゃん、ラムちゃんにも出会い、合流する形でプラネテューヌの墓地へ向かう事となる。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

プラネテューヌの墓地。そこに数人の人と魔法陣のようなものが描かれている。着々と儀式のようなものが準備されており、その中心に魔剣ゲハバーンが突き刺さっている。ギョウカイ墓場から脱出したメンバーと、一人は魔法使いのような恰好をした少女、ライダースーツのような恰好をした少女、小さいながらも大きなものを持つ少女、錬金術士の小さな少女。そして、獨斗永守…彼は魔法陣の中心に座り、左手を短剣で切りつけ、魔法陣に向けて血を垂らす。その瞬間、魔法陣の光が、最初に比べ強くなる。

 

「うん、準備は万全ですの。」

「よし…。」

「ねーねー、これから何が始まるっていうの?」

「聞いてなかったの…?」

「しかし獨斗よ…これでいいのか?私とて、女神とは友達のような存在なのだぞ。貴様自身の寿命がどうあれ、そんな人物がいなくなれば、当然悲しくなる。私とて、1年程の付き合いだが、貴様のような存在が居なくなるのも悲しいぞ。」

「世界が救うということが叶うなら、俺は他の全てを犠牲にする。」

「それが、私達を利用した奴の最後か…。ガスト、日本一、RED、マーベラスAQLよ、どう思う。」

「…ガストは、頂いた分のお金で動いてるだけですの。」

「わたしは難しい事はあれだけど…でも、わたしも永守とは関わってるし、ここまで一緒に戦ってきた仲間なんだから、悲しいといえば悲しいよ…。」

「アタシ?あんまり気にはならないけど、きっとヨメは悲しい思いをしちゃうんじゃないかな?」

「わたしもやっぱり、関りは少ないけど、仲間を失うのは…嫌だな…。」

「これでも考えは変わらないか?」

「ああ…。」

「そうか…。」

 

結果的に二人は、永守と繋がりがあった。女神が捕まり、永守が犯罪組織加入までの1年間に出会っていたのだ。そして、女神サイドがどうして上手く動けていたか。どうして、プラネテューヌ及びルウィーにて、REDとブロッコリーがタイミングよくネプギア達に出会ったのか…。そこには、永守だけでなく、REDとガストだけでなく、マーベラスAQL、MAGES.とも関わっていたからだった。合流はしないものの、陰ながら支援を行っていたのだ。

 

「………。おいおいおい…さっきから黙って聞いてれば、アタイ達は端から掌で踊らされてたっていうのか?」

「アククク…吾輩達はそういう事だったようだな。」

「そう思うのなら、そう思えばいいっちゅ…。」

 

端の方で、ただ茫然と見ているワレチュー、リンダ、トリックがいる。最初からとはいかないものの、やはりこういう結末になってしまった事に若干の不服と感じている…のはリンダだけであり、残りの二人は仕方ないという感じだった。ワレチューにとっては、治療中の為にこの場にはいないものの、おばはんこと、マジェコンヌが無事であることで十分な対価だと言う。

 

「えい君!!」

『永守(さん)…。』

 

丁度その時、永守を見つけたネプテューヌが駆けつけてくる。その後ろをネプギア達が追いかけてくる。

 

「おお、ヨメが一気に来たーーー!!」

「REDさん、なんでここに?それに、日本一さんに、ガストさん。…あと、貴女は?」

「私か?私はMAGES.。狂気の魔術師だ。…おお、ジン。貴様もいたのか。」

「…やっぱり、関わっていたのかよ。」

 

やはりというか、仲間だった日本一やREDがプラネテューヌに居なかったことを若干違和感を感じていた女神候補生達。その悩みは納得いくかどうかは置いておいて、解決することとなる。そして、始めこそリンダやワレチューが居ることに女神達は敵意を出したが、永守がそれを制止する。ネプテューヌはゆっくりと、永守の元へ歩いて行く。

 

「えい君…嘘だよね…?最後まで、わたし達と、犯罪神を倒すんだよね?」

「………。気持ちだけ受け取っておこう。」

 

その言葉を聞いた瞬間、ネプテューヌは目を見開き、涙が零れそうになる。

 

「永守…!どうしてこんなことをするの!!」

「…俺には、もう時間がない。」

「時間が…ない?」

「どういう事ですの。わたくし達では解決できないとでも?」

「その通りだ…。俺は、あと数時間で、大量殺戮兵器になる。」

 

ノワール、ブラン、ベールが永守に問うが、時間がないと言う。そして、その問いに対して、自らが大量殺戮兵器になると言う。

 

『大量殺戮兵器…!?』

「獨斗…何言ってんだ…そんな話、聞いてねぇぞ。」

「出鱈目言ってる心算…?」

「見た目はかわってないじゃない!」

「なんで、ダメ、なの?」

 

ジンだけでなく、女神候補生も永守に問う。少なからず、3年前まで共闘しただけでなく、数多くの問題を解決し、ゲイムギョウ界に貢献した男が、今まさに死を選ぶ道を進んでいる。何故、その道を選んでしまうのか。そして、永守は口を開く。

 

「感じるんだ。俺の心が、徐々に汚染されていくのを…。」

「感じる…?」

「心臓の鼓動が少しずつ弱まり、血液が冷たくなっていく感覚。湧き続けていく殺意…。俺と言う存在が消えていくのを…。」

「で、でも…。」

 

ネプテューヌは必死に止めようと試みるも、永守の目から伝わる決意は強固だと感じ取れる程に、一線を見据えている。

 

「ならば、こんな魂で多くの人々を救えるのなら、同じ苦しみを与えるのを防げるのなら、この魂…幾らでも捧げられる。」

『そんな…。』

「…やだよ、えい君…わたしは…。」

「ネプちゃん…(ネプテューヌさん)。」

「…女神よ、彼がどんな気持ちで…。」

「分かってる…分かってはいるけど…。」

 

女神だけでなく、全員が頑なに永守が死ぬことを拒む。

 

「獨斗…何故だ、死ぬことが怖くないのか…。」

「死ぬことは誰でも怖いさ。だが、それで救われる命が多ければ、俺は実行する。」

「何でよ、なんてアンタは、そうやって一人で抱え込むのよ。」

「…そうでなければ、お前達は止めに入るだろう。だが、俺はこのゲイムギョウ界を破滅へと導いた一人。そして、ニグーラを連れてきたのも俺…。少なからず1を2にしたのは事実だ。そして、ゲイムギョウ界でその2を更に増長したのも事実。全てを断ち切るには、1ではなく0にしなければならない。」

 

ジンやノワールに向かって淡々と答えていく。ネプテューヌは涙を堪えるのに必死であった。叶くしても、ネプギアの前では強くありたいとも見える。そんなネプテューヌに、永守はネプテューヌの肩に手を置く。

 

「済まない。俺一人で全てを解決しようと思ったが、出来なかった。補佐だけでなく戦士として失格だ。」

「えい…君…。」

 

ネプテューヌは驚いている。少なからず弱音を吐かなかった永守が、それっぽい事を言ったのだ。

 

「俺の、最後の我が儘を、どうか許してくれ。そして願わくば、最後は女神の力を、奴らに見せつけ、解決してくれ。ジン、スミレ…お前達にも、迷惑を掛けた。」

「な、何言ってんだよ…。」

「そんな…僕は僕で、貴方に迷惑を掛けた…。」

「だが、俺が居なければ、少なからずお前達も平穏な暮らしを迎えれたはず。」

「永守…。貴方は、何も悪くはありませんよ。わたくしだけでなく、5pb.ちゃんも感謝しておりますのよ。」

「わたしも、貴方には迷惑を掛けたわ。それでも、わたしの妹達を助けてくれた。」

「私も、貴方には助けられたわね。出来ればラステイションでの活躍を期待していたのだけれど…。」

「えい君…。わたし、これから、もっと頑張るから、ゲームばかりしないから…仕事ちゃんとするから…だから…逝っちゃ、やだよ…。」

「ネプテューヌ、ネプギア、皆…。これから俺は…俺は消える。だが、お前達はそれを後世に伝える事が出来る。…受け売りなのだが、覚えてくれ。別れを嫌がるのではない。その間に過ごせた時を大切にするんだ。そして、救うんだ、ゲイムギョウ界を…俺を…。」

 

それを聞き、全員が俯いてしまう。犯罪神を倒す手段が目の前にあるが、一人の命を代償とする重み。それも、自らの手でやらなければならいという雰囲気の為に、躊躇してしまう。だが、ネプテューヌは服で目元を擦り、決意する。

 

「ねぇ、MAGES…だよね。」

「MAGESではない。MAGES.だ。…決意したか?」

「うん…。」

「ネプテューヌ…本当にいいの…?」

「…わたしは女神。そう、ゲイムギョウ界の人々の願いを叶える存在。なら、わたしはえい君の最後の願いを、叶えなきゃ。…何をすればいいの…?」

「決心したか。女神候補生達よ、まずは、古の武器を四隅の4点に刺してくれ。ああ、杖は二つで一つだ。二つをそこに刺してくれ。」

 

MAGES.の指示通り、女神候補生達は、四隅にそれぞれの武器を刺していく。

 

「では次に…ゲイムキャラ達はいるのだな?」

≪ええ、常に彼女達と共に…。≫

≪その反応、我々の力も使う、と言うことだな?≫

「その通りだ。ゲイムキャラの魔力、少しばかり注いでくれ。」

≪この儀式、知っていたとはいえ、かなり大規模になりますね。≫

≪だが、私達はゲイムギョウ界の平和を望む…。この犠牲は仕方ないとはいえ、やらなければなりませんね。≫

 

そうして、ネプギア達から一時的に出てきたゲイムキャラ達の魔力も注がれる。そんな時、ジンの持っていたアミュレットから声が聞こえる。その声は、永守にも聞こえていたらしく、ジンが持っていたアミュレットの方へ視線を向ける。

 

≪…ジンさん、聞こえますか。私の力も、使ってください。≫

「(…!?アミュレットからか。)力を使うって、アンタも生贄にという事か?」

≪今回の事件、元の根源は私にもあります。あの人だけに背負わせる訳にはいきません。≫

「…分かった。」

 

ジンは、永守の方へ向かいアミュレットを受け渡す。

 

「ほらよ、元々はアンタのもんだろ。」

「………。いいんだな。」

≪はい…。私も、貴方の体に眠るゼロさんと共に…。≫

「ほう、そのアミュレット…凄い力だ…。うむ、準備は出来た…最後の儀式だ。」

 

そうしていると、ネプテューヌの後ろには、ネプギアだけでなく、女神全員が集まっていた。

 

「ね、ネプギア…それに、皆…。」

「お姉ちゃん…。一人で抱える必要はないんだよ。」

「そうよ。アンタ一人でやったらどうなることやら。」

「ネプギアやお姉ちゃんがやるのなら、あたしも力になります!」

「わたし達だって、受け入れなくてはならない。」

「ネプテューヌちゃんだけいいところ見せるのはずるいもんね!」

「うん…ずるい。」

「そうですわ。何も一人でやる必要はありませんもんね。」

「僕も女神候補生…。なら、僕もお力になれるはずです。」

「みんな…。」

 

全員が行き成りの衝撃的な儀式に最初こそ躊躇したものの、永守の願いを叶える為に全員が頷く。いや、そうするしかないのだと言う状況になってしまったのだろう。

 

「そうか、全員でやるのだな。では女神よ、あの男に精神を集中するのだ。それと、ジンよ。貴様の魔力も少し借りたいが。」

「あ、ああ…俺のでよければ。」

「よし…では、ガストよ、始めるぞ。」

「はいですの!」

 

全員が、目を閉じ永守に集中する。ゲイムギョウ界を救う為、永守の願いを叶える為に、精神を集中させる。

 

『全ては無限から始まり1とする。望まれぬ汚れし魂は汝と調べとなる。その憎しみは家の心が受けん。人の世に非ざる力よ。今ここに、無限となり生まれ、一つとなれ…。』

 

MAGES.とガストが呪文を唱えていく。その言葉が唱えられていくにつれ、膨大な魔力に共鳴するかのように、魔法陣が急激に光始めると同時に、ゲハバーンも光り輝いていく。。

 

「今だ、女神よ!その剣でその男を刺すんだ!!」

「約束するよ、えい君。えい君と同じ悲しみは増やさないから…!!」

「わたしも、これ以上、悲しみを増やさせません…!」

 

そうしてネプテューヌとネプギアが女神達に背中を押される形で、二人で剣を取り永守の胸元に深々とゲハバーンが刺さり、体を貫通する。

 

「………。ありがとな…ネプテューヌ…ネプギア…。」

 

刺し口から血は出ているが、まるで痛みはないとも言える形で、二人に永守は答える。魔法陣の光が、全てゲハバーンに集まっていき、薄紫色を基準に虹色に輝く魔剣となった。そして、永守は力が無くなったかのように、剣が刺さったまま仰向けに倒れる。

 

「ッ!?えい君(永守さん)!!」

『永守(獨斗)(お兄ちゃん…)(永兄)!!』

 

全員が永守に向かい駆け寄っていく。ネプテューヌはいち早く永守を抱きかかえる。流石にその様子は尋常ではないと、ワレチューやリンダも向かってくる。

 

「えい…君…。」

「いいんだ…これで…。ここから、新しい…1が始まる…。所詮、俺も、自らの意志とは言え…戦士として生きてきた…に…過ぎない…。」

「獨斗…。アンタは、戦士じゃない。俺達に勇気と希望を与えてくれた、一人の…人間だ。」

「もっと、早く、お前達に…会えてたらな…。これを…受け取ってくれ…。」

 

永守は、最後の力を振り絞って、ネプテューヌとネプギアに、ある物を渡す。それは、永守にプレゼントしたネッグ。そして、永守が持っていた銃と、胸元に付けていたドックタグが変化したネックレスだった。

 

「これが…俺の…最後の意思だ…。受け取ってくれ…。」

 

そして、永守が“さらばだ”と言い終えると。力なく手が落ち、永守の体が光だし消えていくのだった。その光は、魔剣に吸収されるように流れ込んでいく。

 

「えい…くん…。わたしが…えい君を…。」

 

ネプテューヌだけでなく、女神全員がその場に崩れ泣き叫んでしまう。ジンもスミレも、ワレチューもリンダも女神に掛ける言葉が見つからず茫然と立ち竦んでしまうのだった。

 

 

 

 

 

 


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