【リーンボックス:ゼーガ森林】
ベールと共に、リーンボックスの街から北西に位置する森林地帯“ゼーガ森林”へと到着する。こうして改めて見ると、何処となくリーンボックスにも関わらず構造がバーチャフォレストに似ているように見える。憩いの場とも言えるスペースや通路ともいえるアーチもあれば、モンスターに妨害されないよう、木々に防御装置が付いている等と、技術では超次元に追いついてはいないが、向かっている先は同じだと分かる。憩いの場ともいえるアーチを過ぎた先は、整備がされてないのか、女神の加護が弱いのか、(見た目は可愛い)凶暴そうなモンスターが多数存在している。
「恐らく、他の人の目に付きそうな場所を避ける事を踏まえ、逃げるとしたらこの先だと思いますわ。」
「…この先からは、隠れるには絶好だ。」
モンスターがワラワラいる=一般的に入るのは
「ふふっ、なんとなく女王様になった気分ですわ。わたくしの出番は本番まで無さそうで…。」
「女王はプルルートの方が似合いそうだが…?」
冗談を交えてはいるが、周りで戦っている音はなく銃声を放った場合、目的のモンスターが逃げてしまう可能性も考え、ベールの体力温存を踏まえて抜手や打撃による気絶狙いをして、先へと進んでいく。
「きゅいい…。」
『…ん?』
「今、声が聞こえましたわね。」
「…あっちからだ。」
かなり奥へと進んだところで、例のモンスターと思われる声が聞こえた。若干の傾斜の先にある平地小山…そこに例のモンスターが三匹、そして見覚えのある小太りの男がいる。
「おお、そうかそうか。女神にやられてしまったか…よしよし、可哀そうにのぅ…。」
「きゅい、きゅいいい…。」
「何、サングラスを掛けた男にも負けた?まさか、あの男もここに来ている…?むむむ、これは少しばかり厄介じゃ…。」
「きゅいいいい…?」
「おお、心配するでない。寧ろ、お前の方が傷だらけじゃ。ほれ、妹達も心配しておる。だから泣き止むんじゃ。な?」
モンスターをなだめている人物。それはルウィーで大臣を務め、そしてルウィーを我が物にせんとクーデターを起こした人物、七賢人の一人“アクダイジーン”がそこにいた。そして、またしても右手が無意識にピクピクと動いている。
「案の定と言うべきか、七賢人絡みのようだ。」
「ええ…ようやく、真相がわかりましたわ。」
ベールがそう言うと、俺の制止を無視するようにアクダイジーンの前へと出る。
「そこのあなた、そこまでですわ!!」
「ぬぅ、女神ぃ!!」
「よくもわたくしの国でやってくれましたわね…。」
…が、追い詰めて何を仕出かすか分からないアクダイジーンだったが、斜め上を行くような状況へとなる。
「このような事をして―――――」
「貴様、よくもやってくれおったなっ!!」
「―――――タダですむ…えぇ!?な、なんですの!?」
「…どう言う事だ。」
逃げるか、又はモンスターを使え反撃をするのかと考えていたが、第一声がベール…女神に対しての罵倒だった。
「やはり、貴様もいたか…。よくもわしの可愛い娘を泣かせたな!!」
「む、娘ぇ!?そ、そんな、泣かせたこと何で…。」
「何、白を切る心算か!!現に今泣いておるでないかっ!!」
「え?ど、どこですの?」
アクダイジーンが言うには、今現在その娘というのが泣いているそうだ。だが、
「きゅい…きゅいい…。」
『………。』
「さぁ、早く謝らんか!!」
「…えーっと…、つかぬことをお伺いしますけど、その…あなたの奥様は、人間ですの?」
「若しくは、愛情を込めて作ったか、自分の腹から生んだか…。」
「わし自身で産んだら、それは驚くわ!!」
どうやら、現在進行で泣いているのがアクダイジーンの周りに取り巻きとしている、モンスターであることが断定する。若干の沈黙の後咳払いをし、アクダイジーンが口を開く。
「…わしの言い方も悪かった。この子達はわしの実の娘ではないが、実の娘のように可愛がっておるという意味じゃ。そして、この子達もわしを父親として、よう慕ってくれておる。」
「きゅいきゅい!!」
「おお、よしよし…もう少し待っておれ。」
「そ、そうですわよね。ふぅ…色々と深いところまで想像してしまいましたわ…。」
一体、何を想像していたのやら…。人間×モンスターは空想世界でのみで十分だろう。確かに、愛でているのが、大黒柱の父のようであり、それを慕う子どものようにも見えなくはない。
「ペットの領域を超えた、掛け替えのない存在というのか。」
「…流石のわたくしは、あのような見た目に難のあるペットは…。」
「なんじゃと…ペット…気持ち悪い…だと…!?」
何やら(一部偏見はあるが)気でも触れたような言動を言いかけている。
「貴様等…よりにもよって、しかも女神であろう者が、この子らを気持ち悪いと言うのだな!?恥を知れ!!」
「な、何を仰っているのですか!?って言うか、気持ち悪いなど言っておりませんわよ!!」
「ほれ見ろ!今、気持ち悪いと言ったな…!!やはりそう思っていたのだろう!!」
「り、理不尽にも程がありましてよ!!」
「(何て当てつけだ…。)」
とんでもなく偏見塗れだが、アクダイジーンの怒りがどういう訳か有頂天へと達してしまったらしく、指を鳴らすと、空から全開破壊したはずのバトルアーマーが出現する。ルウィーで暴れた際のマシンとは形状が大分違う。…と言うより、マシンの腹部分の前あたりにコックピットがあるのが気になる。
「許さん、絶対に許さんぞ!!じわじわと嬲り殺し、成敗してくれる!!」
『きゅいきゅい!!』
「おおそうか、お前達も共に戦ってくれるのか。では、共に異端者を討ち滅ぼしてやろうぞ!!」
「あ、あら…?可笑しいですわね…。何時の間にか、わたくしが倒される側に…?わたくしの国が被害を受けている側ですのに…。」
「そんな事はどうでもいい。…おっさん、お前と戦う気は無いぞ。武器を仕舞え。」
「ど、どうでもいい…!?今、どうでもいいと仰いましたわよね!!」
「問答無用じゃ!!わしの可愛い子達を虐めた貴様に対し“はい、そうですか”と言えるとでも思ったか!!」
アクダイジーンとモンスター三匹は、完全に戦闘態勢に入っており、そんな状況をあっ気取られているのかボケーッと立っているベールがいる。
「…あいつの代わりに言うが、何を言ってるか訳分からねー…と思ってるだろうが、構えないとサンドバックになるぞ。」
「あいつと言うのは分かりませんけど、まぁ…元より、こちらから倒す予定ではありますものね。」
そう言いつつ、ベールは槍を呼び出しながら扇風機のように回し、構えつつ槍先をアクダイジーンに向ける。
「さぁ、返り討ちにしてやりますわよ!!」
「ほざけぇ!此方も三年間、ただ単に居座っていただけではないことを、思い知らせてくれるわ!!」
「面白い事を言いますわね。こっちも三年間、ただ単にいろんなゲームをして、暇を持て余していた訳ではないことを、思い知らせてあげますわ!さぁ、行きますわよ、エースさん!!」
「(ゲームしていたのを主張するのか…)ああ。」
「さぁ、お喋りはそこまでじゃ。行くぞぉ!!」
完全に流れに乗る形となるが、アクダイジーンとモンスター三匹が同時に攻撃を仕掛けてきた為に、不本意ながら戦う構えを取らざるを得なくなった。
『きゅいきゅいいい!!』
「なっ!!」
予想外な事にモンスター三匹は、俺の事は眼中にないのか、ベールの方へと飛びつつ体当たりを仕掛けて行く。
「何処を見ておる、貴様の相手はわしじゃあああ!!」
「…!!ぐっ!!」
目線のみだが、余所見は余所見だ。正面を見た時には既に、アクダイジーンの操っているマシンの拳が飛んできている。今からオーバードライブを発動しても、距離的に避けるのは困難、ブロックで防ぐしかない。右手が使えないと思い込み、左手のみでガードするも、流石に改良しているのか、ガード越しでも衝撃を抑えられなかった為に、ガードした腕が自分を殴るように衝撃が伝わってくる。倒れはしないが、その衝撃で土を削りながら後方へと飛ばされてしまう。しかし、片手で防いだ代償は大きい―――――
「はっ!!エースさん!!」
「ちっ…大丈夫だ…(口を切った。おまけに、左腕の骨にヒビが入ったか…)。」
「ほう、今のを防ぐのか。並の人間であれば、腕は吹き飛び、頭蓋骨は粉々であるはずじゃがのぉ。」
「…そんなのを、女神相手に導入するのか。」
「なぁに…女神だったら、この攻撃でも耐えてしまうと想定していたがなぁ。それに、貴様こそが我々にとって一番の危険分子でもあるからのぉ。今ここで潰してしまうのが得策じゃ。」
「言ってくれる…。」
右腕で口から流れる血を拭いつつ、右腕が動いている事にも気づく。どうやら、あのモンスターだけこの現象が起きるようだ。であれば、右腕も使えば…と言っても過ぎたことは仕方がない。左手は動くが、酷使すれば複雑骨折は免れない。これは、俺の勝手な思い込みも含んだ油断。この三年で七賢人も力を蓄えていたが、それを見余っていた余裕…。
「…これでは、元の世界のイストワールに怒られるな…ネプテューヌ程じゃないが、違う意味であいつみたいになっていたか…。」
「何を呟いている。気でも狂ったか?―――――っとぉっ!」
呟きつつ、服の左袖を破り包帯代わりとして巻き付ける。そして、アクダイジーンが喋っている間に、リボルバーで速射を仕掛ける。装甲は頑丈そうだが、関節部の隙間を狙えば、ある程度は破壊できると睨んでの射撃だが、A.T.フィールドのような装甲壁によって防がれてしまう。
「ぐふふふふ…関節部を狙っても無駄じゃよ。遠距離も想定し、あらゆる物理、魔法攻撃は愚か、至近距離の戦車砲をも防ぐシールドを開発済みよ。貴様の豆鉄砲では、この壁を破壊する事など不可能だ。」
「らしいな。」
そう言いつつ、シリンダーの弾を全て排出する。六発全部一瞬で撃ったことに、流石のアクダイジーンも“何、三発ではなかったのか!!”と驚いていた。ベールも女神化して戦っている…銃をしまい込み、右腕に印を書き開放、そこから更に右腕を掲げ変身をする。
「ほほう、前の時とは比べ物にならない威圧感じゃ。だが、これには通用するかな?」
「…試してみるか?」
「やはりと言うべきか、度胸も据わっておる。奴の言っていたことも分かる…叩きのめすには惜しい存在だ。」
「奴…?」
「おっと…口が滑ったわい。まぁ、貴様は可愛いわしの子を虐めた罪を、償って貰わなくてはなぁ!!」
そう言いつつ、前倣えの構えを取ると、マシンの指先が銃の先端のように変形する。その先端から、まるでバルカン砲のように火を噴き、強力な弾丸が飛んでくる。
「(一つでの連射力は遅めだが、それぞれの指がそれを補っている…。回避は難しい、ならば。)」
「…あの構えは…!」
砲撃に対して右手を前に出し、女神がシェアエナジーを正面に貼る盾のような、エネルギーシールドを作り出す。神次元のベールも使えるのか、その光景に若干の驚きを見せている。
「っ!!」
だが、真正面の弾丸は防げているが、頬や足の外側は何発か素通りして掠めていく。掠っているとは言え、喰らい続ければ何れ体力が無くなってしまう。しかし、弾丸から何か異質なエネルギーをも感じる。
「ぐふふ、やはり貴様も女神と似た力を持っているようじゃのお!!ならば、このまま押し切るまで!!」
奴の言葉も含め、確信ではないが“アンチエナジー”に似た何かを含んだ弾丸を飛ばしているようだ。こっちの世界ではアンチクリスタルのようなものはまだ確認も、報告も受けていない。だが、アンチエナジーは人の負の心から出る感情を蓄えて発生する代物…出来る、出来ないではなく、奴らの手にアンチエナジーか、それ相応のものがあると思ってもいい。実際、犯罪組織内で暗躍していた際に、武器や銃弾にアンチエナジーを組み込むという案は出ていた。が、この攻撃を防げていないのは、俺の力がニグーラよりも、シェアエナジーの方が勝っているからかもしれない。流石にあんなのを脳天に受けたら、Z指定のようなシーンになってしまう。ならば、肉を砕き骨を断つっ!!
「馬鹿め、血迷ったか!!」
「っ!?エースさん!!」
アクダイジーンの言う通り、数発の弾丸がバリアを透き通り、何時頭部を貫くか分からない中、そのバリアを張ったままアクダイジーンに向かって特攻を仕掛ける。
「喰らいやがれっ…!!」
魔人のような右手を灼熱ともいえる炎で包み、左手には衝撃と切り裂きを備えた風を纏いつつ右ストレートを放つ。アクダイジーンはそれに合わせるように、マシンによる左ストレートを放つ。互いの拳がぶつかり合う中、更に俺は左ストレートを放ち、アクダイジーンはマシンによる右ストレートを放ち、これも互いにぶつかり合う。
「ぬぅ…!!」
「ぐふふ、此奴と力比べとは浅はかな…。貴様は防ぐ間、体力を消耗するが、わしは痛くも痒くもないし、疲れもしない。このまま押し切ってくれるわ!!」
そう言い終えると、奴が操るマシンの拳から、ロケットパンチのようにジェットが噴出し、拳で押しつぶすかのように押されていく。奴の言う通り、今は互いの力が均衡状態であり防いではいる。しかし、僅かずつだが地面に足がめり込んでいくのを感じる。このままでは体制が崩れて、潰れたトマトのようにぺしゃんこになるのも時間の問題。しかし、この距離では奴もバリアを張る隙は無いようだ。おまけに、この数年はボクシングスタイルを集中的にやってきた。俺の戦闘スタイルは“拳”だと思う程焼き付けてきた。本来であればこんなところで使う気は無かったが、状況が状況なだけに使わざるを得ない。
「な、にぃっ!!」
拳と拳がぶつかり合っている中、俺は突然とビーカブースタイルの如く丸く構え、左足を重心に回転を掛け、マシンの足に向かって鎌鼬を纏った回し蹴りを放つ。同時に、体を回転させて両腕の付け根にも鎌鼬を放ち、マシンの手足を切断、コードの切断に成功する。マシンの片足が捥げた為、アクダイジーンのマシンは支える事が出来なくなり倒れ込む。
「ぐおおおおあああ!!ば、馬鹿なぁ!!」
「命を取る気は無い。知っている情報を吐け。」
そこから少々乱暴だが、マシンの安全装置を無理やり破壊し、アクダイジーンを引っ張り出し、変身を解きつつ抵抗できない様に銃を突きつける。…が、この行動が余計にやり難い状況へとなる。ベールが戦っていたモンスターが、アクダイジーンの方へと向かい、まるで庇うかのように三匹が並び、ぴょんぴょんと撥ねながら抵抗してくる。そして、右手がまたしても無意識に嫌がるかのようにポケットへと突っ込む。
「っ…!!また…。」
「きゅい、きゅいいい!!」
「なっ!!あれだけの攻撃をして、あの速度…本当、タフですわ。」
「ぐぬぬぬ…。だが、新たに情報とこの子達の実践も経験できたのはデカい。女神よ、そしてそこの傭兵よ、よく覚えておくのじゃ!!次に会う時は覚悟しておく事じゃ!!必ずや、貴様等をこの手で葬ってくれるっ!!」
「あら、次はないと思いまして?そう易々と逃がすと―――――」
そう言いつつ構えを取るベールだったが、例のモンスターが妨害行為のように立ちはだかってきた。
「なっ!!そ、そこを退いてくだs…ひゃんっ!!へ、変な所を…!!」
「おお、お前達…わしを守ってくれるとは、出来た娘たちじゃ。お前達も無事に逃げるんじゃぞ!!」
「くっ…何故だ、何故邪魔をする…!!」
ベールは彼方此方を弄られ、俺は二匹に手足を噛まれている。その隙にアクダイジーンは逃げていき、遂には目視できなくなる。
「わ、分かりました、追いませんから、早くおどきになって!!」
「ベール…。分かった。俺も追わない。だから噛むのをやめてくれ。」
「きゅいー…。」
ベールが降参するような事を言い、嫌がるベールを読者に届けるのも、サービスになるだろうが、俺が心苦しい。追いかけない事を言うと、納得したかのようにモンスターは妨害を止め、アクダイジーンが逃げた方向へと逃げていく。
「はぁ…結局取り逃がしてしまいましたわ…。」
「女神としては厄介な相手が増えた。今後、奴はあのモンスターを更に呼び寄せて、仕掛けてくることも考えられる。」
「…うぅ、か、考えただけで嫌ですわ…。」
嫌々言っているが何かしら対策をしなければ、あのモンスターの壁によって攻撃しにくくなり、一方的に体力を持っていかれる戦法を取ってくる可能性もある。
「だが、対抗しようにも、情報が少なすぎる。」
「そうですわね。わたくしは一旦戻って、後処理とかしますわ。」
「イストワールに、報告したほうがよさそうだ。…が、あのマシンを調べてみるのも悪くない。」
「………。分かりましたわ。何かありましたら、教会に来て報告を下さいまし。」
そう言ってベールは一旦街の方へと戻る。俺はアクダイジーンが乗っていたマシンを調べる事にする。どうやら、危機的状態になりつつ乗車員が居なくなると、自動的に機能を停止するようになっているらしく、壊れた場所から火花が飛び散らなくなっている。調べてみるも、マシンの中身は見る事が出来ないが、代わりにこのマシンが使っていた弾薬を調べる事は出来た。
「(やはり、弾薬はアンチエネルギーか何かで作られたのを使っているようだ。これを女神が受けてしまったらどうなるか…ん?)」
ふと、マシンの下を見ると壊れかけの何かを見つける。欠けている為に、通常通りの使い方は不可能だろうが、見覚えのある品であることは間違いない。
「(女神メモリー。一つだけじゃない…。)」
何万分の一という品を複数持っている。…仮説を立てるなら、一つは七賢人の国を作る為に、女神を潰し、絶望の中“希望の光”的なネーミングで自分達が王になる為の温存品。若しくは、金儲け用の資金源。もう一つは、手当たり次第に使って女神を作り出し、自らの国を作る。前者は兎も角、後者の場合はこの世界で起きている誘拐事件と紐づけは出来なくはない。もしあのモンスター達が誘拐されて女神メモリーを使った成れの果てと考えると、女神が悪寒を感じるのも強ち間違いではないのかもしれない。そして、俺の右腕も女神の力が流れている。あいつ等と意思疎通は出来ないが、嫌がるような素振りを見せるあたりを考えれば納得はいく。だが、現段階では情報が少ない為、決めつける訳にはいかないが、報告はしといた方がいいだろう。
【リーンボックス:教会】
「…となりますと、前者も考えられるとしまして、後者は相当えげつない事をしてらっしゃる事にはなりますわね。あなたの言う通り、まだまだ断片的な為に決めつける訳にはいきませんわね。」
「それで、どうする心算だ。」
「それはこちらの台詞ですわ。あなたこそ、これからどうする心算でして?こっちはこっちで、先程逃げたモンスターの行方を追ったりしますし、対策も考えないといけませんわ。」
「俺は、一度プラネテューヌに戻って体制を立て直す。何かあったら連絡してくれ。俺は一人でもなんとかなる。」
「随分と自信満々に言いますわね。まぁ、あの実力では納得は行きますけど、足元救われない様に気を付けて下さいまし。」
壊れた女神メモリーであることを確認し、ベールに報告しつつそんな会話をする。俺からしたら、預けられた装備を回収する意味もあり、ルウィーの一件と同様に一度戻り報告をする。具体的な報告は戻ってからにしておき、今は電話で連絡を入れるとしよう。俺は電話を取り、プラネテューヌ教会に連絡を取る。
「…エースだ。」
≪あ、エースさんですか。其方の件は解決したのですか?(∩・∀・∩)≫
「一応。モンスターは逃してしまったが、七賢人が絡んでいる事は間違いない。」
≪成程…兎も角お疲れ様です。それで、エースさんはこれからどうする心算ですか?(-ω- )o≫
「一度其方に戻る。それから具体的に報告をする。」
≪分かりました。(★`・ω・)ゞ≫
…と、そんな事を連絡していると、何やら電話越しにチャイムの音がした。
≪おや、昨日から珍しい事ばかり…すみません、誰か来たみたいですので、続きは戻ってからお願いしますね。ヽ(・ω・` )ノ=з=з=з≫
そう言い、イストワールは電話を切る。どうやら来客らしい。プラネテューヌ行の本数は少ないが、船自体は動いている。…だが、何故だろう。電話が終わってからか、何やら不吉な予感がする。一刻も早く戻りたい気もするが、船は暫く出向はしない。
「…仕方ない。休める時に休もう。」
そう小声で言いながら、客席の椅子で仮眠を取る事にした――――――