超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene75 欲望に溺れしオカマハッカー~DejaVu~

 

 

【ラステイション:教会・ベランダ】

 

「全く、どういう経緯よ。私の所へ綺麗に落下して来るなんて…」

「ごめんごめん。急にピー子が暴れちゃって、その時に気を緩めちゃったら…ね?」

「ね?…じゃないわよ、もう…非常識にも程があるわよ。怖かったわよね?」

「うぅん、ぜんぜん!もいっかいやりたい!!」

「………」

 

ラステイションに落下してきたのはネプテューヌであり、奇跡的にノワールの上へと落下し間一髪だったそうだ。とは言え、ボロボロなノワールは治療をし終えたところで合流することとなる。半身にテーピングや絆創膏をしているあたり、怪我自体は大した事はないのだろう。そこは、流石女神と言うべきか。肝心なピーシェは、楽しかったのかもう一度紐無しバンジーをやりたいと言っている。

 

「あ、そうだ。ピー子、皆にご挨拶は?」

「うん!ぴぃだよ!!」

「…こんな大きな子がいたのね、ネプテューヌ」

「そうそう!初めてお腹を痛めた子だから、可愛くて…ってちがーう!!」

「知ってるわ。にわかには信じがたいけど、別次元から来た預かってる子とはね」

「ぶ、ブランがまさかのボケに…」

 

合流早々、こんな展開になってしまうのは、超次元ではご愛敬。神次元ではムードメーカー的存在がなかった分、こっちが騒がしく感じるくらいだ。が、本質は忘れてないようで、ブランの提案によりピーシェはここで遊んで貰う事となる。一緒に来ていたロムとラムの誘いもあり、ユニが最近飼い始めた耳長バンディクートの“クラタン”を追いかける遊びを始める。ブランが話を再開しようと口を開くが、クラタンを追いかけて遊んでいる三人が気になるのか、ノワールはソワソワしている。

 

「はぁ…ここじゃ集中して離せそうにないわね。場所を変えましょ。永守、どうせ暇でしょ?あなたにも協力して貰うわよ」

「まぁ、そうなるよな」

 

ノワールは、この場をユニに任せるように言い、ネプギア、ロム、ラム、スミレ、ピーシェ、はその場に残る事になり、残りの全員が場所を変える為にエレベーターへ乗り込む。

 

「それで、結局なんで集まったの?」

「…ブランから話聞いてなかったのね」

 

エレベーターに乗り込んだ後、ネプテューヌが口を開くも何をしに来たのだと言いたくなるような事を言う。まぁ、話す事が諸事情で後回しになってしまったのだから、仕方ないといえば仕方ない。それは兎も角、移動しながら今回のブツと本題を放す事となる。

まず、ラステイションの新しいサーバーは、基本的には何処にでもある多数のサーバー用コンピュータを携え、国内のデータ等を管理している至って普通と言えば普通だ。万が一メイン電源が落ちても、一か月は持つ予備電源を備えていると言う。今回、そのサーバーに対して盛り込んだのが、自慢していたというセキュリティプロテクトだ。ラステイションが誇る最高のプログラマーを寄せ集め、これでもかと言う程投資した上で完成させた、正にラステイションの粋を集めて作ったセキュリティという訳だ。

 

「ああ、“どうだ、凄いでしょ?”って言ってた奴だね。で、それがどうしたの?」

「なんでも、最近そのセキュリティを破られてハッキングされた跡があった…とブランが見つけたそうだ」

「…ほぇ?」

 

事実だが、それを言った瞬間ノワールの表情がムッと険しくなるも、ネプテューヌは読み込み中かのように目を丸くしている。ポクッポクッポクッ…と効果音が聞こえてくるような気がする。そして、閃いたかのように何かの糸が切れ―――――

 

「…ぷっ!!あはははは!あははは、はははは!!」

 

分かっていたが、ネプテューヌは大爆笑である。

 

「…何が可笑しいのよ」

「だってだってぇ、ノワールそれ出来てから毎日のように言ってたじゃん。“ラステイションのセキュリティは、世界一ぃ!!”って!!それを破られちゃったんだから、もう…ぷっあははは!!」

 

案の定、自慢していたのがいとも容易く破られた事がツボったのか、ネプテューヌは爆笑している。失礼な事だろうが、自信満々に言っていた城壁が崩されたのだから、人によってはツボる話なのだろう。

 

「…過ぎた事を考えても仕方ない」

「そうね。最も今すべき事は、再発防止。そして…」

「…こんな事をした不届き者を、締め上げる事よね」

「の、ノワールが本気モードだ…!!」

 

意気揚々としているが、雰囲気的には今から調べようという感じが伝わる。とは言え、ベールが既にプログラマーに依頼しているあたりは、分担作業が出来ていると言っても過言ではない。

 

「ベール、例のプログラマーはどうした」

「そうですわね。場所は伝えてますし、頃合いかと…」

「ベール様、ご報告に参りましたビル」

『…ビル?』

 

何とも、都合の良いタイミングで入ってくる。犯人を突き止めるとしては値千金なのだが、やはりその語尾は不思議というか―――――

 

「オリジナルキャラキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!…って思ったのに、何その語尾!!このキャラ、絶対流行らないし失敗する予感しかしないーーーーー!!」

「ご心配なく。前回と、この場面のみの使い捨てキャラですビル。…申し遅れました、わたくし、ツイーゲと申しますビル」

 

何とも悲しいかな、それを自分で言うか…。まぁ、出番はなくなるだけで、裏方での活躍をしてくれる…かもしれないとだけ言っておこう。

 

「あれ?何でえい君は、わたし達と同じ反応しないの?乗ってくれそうな感じはしたのに」

「前回で少しばかり会ってる」

 

そんなネプテューヌと小声での会話と若干の沈黙の後、ノワールが咳払いして口を開く。

 

「…ま、まぁそれは置いといて。報告って言ったわよね?ベール、もしかして先に調べておいたの?」

「ええ、自信満々でしたので、恐らく調べてないだろうと思いまして、此方で先手を取っておきましたわ」

「(有難いけど、さりげなくディスられている気が…)…それで、報告ってことは犯人を突き止めたという事よね?」

 

ノワールの質問に対し、ツイーゲちゃんは持っていたノートPCを取り出し解説を始める。

 

「では、1から説明しますビル。発信源はブラン様、ベール様の報告通りラステイションから発信され、ラステイションのサーバーへハッキングをしていましたビル」

「それは、報告通り。それで、ハッキングの相手は何をしたのかしら」

「ラステイションの機密情報とか、そういうのを盗み見たとか…?」

 

ノワールが恐る恐る聞く。国の機密情報…シークレットな部分が盗まれ、それが兵器系であれば闇サイトなどで転売される恐れもある。が、意外にも答えは予想外なものだった。

 

「いえ、サーバーへハッキング後は、その殆んどが、監視カメラへのハッキングですビル」

「…盗撮と来たか」

「国民の生活を監視して、盗みを働く心算なのかしら…だったら、今すぐにでも叩かないと不味いわね。発信源は何処なの?」

「発信源の場所は特定済みビル。此方をご覧下さいビル」

 

そう言って、ツイーゲは持っていたノートPCを此方に見せる。場所は、ラステイションの市街地から離れた工場地帯。その工場地帯に小さく寂れた工場跡地のような所が移されている。外見は寂れているが、アンテナや衛星レーダーのようなものが備わっているが、それらも汚れが目立っている。

 

「そういう事ね。ここは売地として取り壊されていない工場よ。設備の老朽化もあって、次の売手が居れば支援金も出して建て替える予定だったけど、機材自体はまだまだ健在だったわ…隠れて行うには都合がいい訳だわ」

「おぉ、ノワールが急に名探偵見たいになってる」

「ここまで分かっているなら、警察でも十分だろう」

 

女神が出る幕ではないと思ったが、ノワール本人は不服といった表情をしている。

 

「それで、私の気持ちが収まると思ってるの?」

「うぇ?ノワール、まさか敵の本拠地に乗り込むの?」

「当たり前よ。私の国に対してこんなことをすることが、どれ程重いか思い知らせるのよ。ここまで知ったのだから、あなた達もついてくるわよね?」

 

まさかの国のトップである女神が直々に出向く事となる。おまけに、四女神全員で行く作戦のようだ。忘れてはないが、友好条約という名目上で協力を申請することも出来るだろうが、これ程の凄腕ハッカーを野放しにしていたら、ラステイションだけでなく他国にも被害がでる可能性がある。それを未然に防ぐという考えも含めれば、ノワールの言う事も分からなくもない。

 

「…となると、女神化して全員で行く事になる。当然、目立つが大丈夫か?」

「そうしている間にも、その魔の手が伸びようとしているかもしれないのよ?それに、私にこんな屈辱を与えた事を後悔させてやるんだから!!」

「後半は鬱憤晴らしにも聞こえなくないけど、ルウィーにもハッキングされるのは困るわね」

「そうですわね。わたくし達含めた五人でしたら、まず取り逃がす事はないですわ」

「予想はしていたが、俺も行くのか…まぁ、構わないが」

「この様子じゃ、断れないよね?でもなぁ…あ、そうだ!ノワール、ラステイション製のプリン1ケースで手を打つよ!!」

「…しょうがないわね。分かったわ。これが解決したら、ラステイションの国民全員が舌を唸らせたプリンを用意しとくわ」

 

その言葉を聞いて“おお、太っ腹ぁ!!”と大喜びするネプテューヌ。何でもって訳ではないが、本当プリンに弱いな…。

 

「じゃあ、決まりね。モタモタしてないで、直ぐ行くわよ」

「あれ、ちょっと待って。ところでえい君は飛べるっけ?わたしの記憶が正しかったら、飛ぶ能力がないような?」

「飛行能力はないが、飛ぼうと思えば方法はある。…ところでノワール。ユニ達に少し席を外すと伝えておかなくていいのか?」

「いいわよ、そんなの。ここから3分もしないのよ?見積もっても30分程度で帰れるはず。内装は私の頭に入ってるのだから、問題ないでしょ?」

 

出るのであれば、上に居るネプギアやユニ達に外出するという事を伝えた方がいいと思ったが、すぐ終わるからと伝える必要はないとノワールが言う。すぐ終わればいいのだが、ハッカーがどんな相手か分からない状態で、戦闘力も未知数と考えれば、下調べした方がいいと思う所もあるが、向こう(神次元)の方も考えて見れば、出たとこ勝負だった。破天荒という訳ではないが、特攻していくのも悪くはない。そう考えつつ、女神達についていくことにした。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

【ラステイション:教会ベランダ―数分前】

 

ベール姉さん達がエレベーターに乗って場所移動をすることとなった。永守さんと一緒に来ちゃったと言うピーシェちゃんは、ロムちゃん、ラムちゃんと一緒にバンディクートの“クラタン”を追いかけて遊んでいる。年齢的には違うと思うけど、似たもの同士だからかな、すっごく仲が良さそうに見える。

 

「そういえば、ジンさんは来てないみたいですけど、どうしてるの?」

「あー…今忙しいんだよ」

 

と言うのも、犯罪組織の件からリーンボックスの特命課にメンバーとして所属。メンバーが不足しがちな所、情報部門を補うべく情報処理技術を磨いているのだけど、これが上手くいってないようでここ最近は本とPC画面とにらめっこしている。そういう関係で、日本一さんと一緒に出向こうとしたけど()()()()()()として同行をパスされてしまった。今のところ仕事熱心なのはいいけど、燃え尽きないかちょっと心配。

 

「ねぇ…二人共、ちょっといいかな?」

『ん?』

「ちょっと、相談があるんだけど…」

 

すると、ソワソワしていたユニが話しかけてきた。相談と言うのは何だろうと考えつつ、話を聞く事にした。

 

「実はね、最近お姉ちゃんの様子が可笑しいの」

「ノワールさんの様子が、可笑しい?」

 

何でも、ここ数日の夜は部屋に籠って何かしているとの事。見たことがないから、その何かは分からないけど、笑い声とか聞こえるらしい。ネプギアが“仕事では?”と言うも、“仕事だったら鍵を掛けたりしない”と断言する。

 

「プライベートを満喫しているとか?」

「だといいけど、ちょっとそんな感じの笑い方じゃない気がして…あたし、ちょっと心配で…」

「つまり、ユニちゃんはノワールさんが、夜に何をしているか気になるってことだよね?」

「うぇ?…ま、まぁ…そう、かな」

 

気になり過ぎて、仕事に支障が出ちゃうのなら大変だけど、身内とは言え人のプライベートに首を突っ込むのはどうなのかな…と考えてしまう。そんな時、ネプギアが斜め上方向への解決策を出すのだった。

 

「あ、そうだ!偶々持ち物に入ってたんだけど、丁度いいのがあるよ。えっと…ほらっ!!」

『…カメラ?』

 

ネプギアがポケットから取り出したのは、手のひらサイズのカメラ。如何にも隠しカメラですよと分かる見た目をしている。

 

「…えっと、ネプギアさん?これをどうしようと…?」

「何って、この小ささなのにHD画像で、殆んど誤差なくリアルタイムで映像が見れるだよ!」

「要するに、隠しカメラ…よね?」

「使うって事は設置するってこと…だよね…バレたらどうするの?」

「大丈夫だよ、その為のこの小ささなんだよ!一度セットアップして、ちゃんと動くか試したかったんだぁ!そうと決まれば、早速付けちゃおうっと!!」

 

話を進めていくうちに、ネプギアのテンションが徐々に上がっている。その高ぶりからか、有無を聞かずに設置に取り掛かろうとする。

 

「ちょちょちょちょ!!ネプギアさん!!」

「…諦めなさい、スミレ。ここまで来ちゃったら、もうネプギアは止まらないわ」

「あぁ…」

「~~~♪」

 

此方の状況はお構いなしに、ネプギアはカメラを何処に置こうかで楽しんでいる。ロムちゃん、ラムちゃん、ピーシェちゃんは、クラタンにまだまだ夢中な様子。

 

「…よし、ばっちり!二人共、これからどう映るか見るから、一緒に見ようよ!」

『う、うん…』

 

気乗りはしないけど、楽しそうなのもあるしここでやめようって言うのも申し訳ないから、仕方なくネプギアの所によって、ネプギアが持っていた端末の画面を見る。アプリを選んで、“NowLoading…”という画面から数秒後、ネプギアが設置したカメラから映る画像が表示される。

 

「わぁ、ちゃんと映ったぁ!!」

「こ、こんなはっきり映っちゃうんだ…」

「す、すごい…」

 

クラタンを追いかけるから鬼ごっこに代わっていた3人を、カメラがしっかり捉えていたのが映像でわかる。過剰な言い方になっちゃうけど、画面と言うよりは肉眼で見ている状態が映し出されている感じ。

 

「綺麗でしょ!NepPeg(ネプペグ)4っていう最新の圧縮方法を利用してるの。だから、HDの精細感を失わずに、映し出してくれるんだよ!!」

『………』

 

どういう技術を使っているかは、この際聞かないこととして、確かに映し出される映像は綺麗の一言…なんだけど―――――

 

「…ねぇ。やっぱ、やめよ?」

「あ、あれ?どうして?」

「何か、すっごく悪い事をしてる気がしてちゃった…」

 

当然と言えば、当然の反応だと思う。これ、どう考えたって()()になっちゃうもんね。罪悪感もあるけど、最悪の場合犯罪扱いになっちゃう可能性も…。

 

「うん、ユニの言う通りだよ。これじゃあ、盗撮になっちゃうよ。見つかった場合、ノワールさんが困惑する可能性だってあるし」

「う、うん…そうだね。…あ」

「おーにさん、こっちっ!!」

「見てなさい!!わたしの足ははやいんだから!!」

「あ、待って!!そっち行っちゃダメっ!!」

 

鬼ごっこをしている3人が執務席がある方へ走っていく。騒いでも大丈夫とは言え、流石にノワールさんが普段使っている仕事場を荒らしてしまうのは不味い。3人の元へ駆け寄ろうとした所、ネプギアの持っている端末から、画面が切り替わるような雑音が聞こえる。

 

「え…?」

「な、何これ…どういう事?」

「混線してる…?あれ、でも設置したのは一つだけだし、混線してるってことは…」

「つまり…隠しカメラが既に仕掛けらてる?」

「うん」

「え…ええええええええ!?」

 

ちょっとした事が、なんだか一大事へと発展してしまった。ノワールさんは自分の為に誰かに見られているプレッシャーを、普段から実行するような人には見れないし、どんなMッ気があるようにも見えない。そうなると、何時から、誰がやったかは分からないけど、この執務室を盗撮していた誰かが居る事になる。…もしかして、ベール姉さんが行ってたハッキングの件と何か関係が…?

 

「…ネプギア、スミレ、その映像と照らし合わせて探すわよ!!」

「さ、探すって、隠しカメラを?」

「他に何があるってのよ。こんなバカな事するような奴は許せないけど、まずはもう覗けない様に、徹底的に隠しカメラを排除しなきゃ!!」

「ま、まぁ、いいけど…」

 

流石に怒り声で話してたユニの声に、遊んでいた3人も気になってこっちへ来る。

 

「なになに、どうしたの?」

「ユニちゃん、こわいよ…?」

「怒って当然よ!お姉ちゃんの許可なしに、隠しカメラを仕掛けるなんて、許しがたい行為よ!!」

『かくしカメラ…?』

 

うん、まぁどう説明すればいいかは置いといて、とりあえず()()()ということで、3人にも協力して探す事となる。流石に6人で探すからか、数十分でカメラ自体は直ぐ見つかり、混線する映像は無くなる。隠しカメラの数はなんと19個!!ただ、スカートの中を覗くというアングルではなく、まるでモデル雑誌にでも載せるのかなと思うような角度と設置の仕方だった。とは言え、これでユニの機嫌がよくなる…事はなかった。

 

「こんなに…ぜっっったい、許せない!!行くよ!!」

 

寧ろその仕掛けられていた数に、驚きと怒りが増したという感じなのだが―――――

 

「いくって?」

「どこに?」

「うっ…そ、それは…」

 

ロムちゃんとラムちゃんに言われ、ハッと気づく。幾ら隠しカメラを見つけたとはいえ、犯人が誰なのか何処にいるかも分からない状態では、何処に行けばいいのか分からない。

 

「ネプギアっ!!なんかないの!!」

「え!?あ、はい!!え、ええっと、ちょっと待って…確か…あった!!」

 

さっきの機械のように、何かあるんじゃないかと踏んだユニは、ネプギア頼りに言ってみると、ポケットから再び何か取り出した。見た目は普通の無線機だけど。

 

「それは?」

「電波逆探知機だよ。これで隠しカメラの電波を辿っていけば、大まかにだけど、何処から通信されてたか分かるよ」

「なら、行くしかないわね。ほら、みんな行くわよ!!」

 

何か、本当にちょっとした事が、探偵モノのような展開になってしまった。犯人を特定できるかもしれない道具を持っていたネプギアにも驚きだけど、連絡なしに出てしまって大丈夫なのだろうか。とはいっても、執務室を後にしてしまったのだから、時既に遅し…かな…。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

【???】

 

「ふ~ん…まさかあの男が帰ってきてるなんて、ちょっと予想外。まぁ、ノワールちゃんには手を出さないから大丈夫とは言え、あの男…勘が鋭い所もあるから、マークしとかなきゃね」

 

周りの壁は古ぼけ薄暗い施設だが、備えてある機械は非常に優れている一室。そこに、大量の画面とにらめっこしている一人の人物がいる。その画面は、ラステイションに備え付けられているありとあらゆる場所の監視カメラの映像だ。映し出されている内の7割は、ラステイションの教会を占めている。そして、予想外だったのか、永守が犯罪組織の後に行方不明になっていたのは知っていたが、こうも早くラステイションにも入ってくる事は予測の範囲を超えていた様子だ。

 

「しかし、憎たらしくも、女性が惚れそうな顔してるわね。おまけに実力もある…人気者になる要素が多いわね。…って、あら?カメラが…仕掛けていたのがバレちゃったかしら?」

 

ラステイションのサーバールームを映しながら、獲物を見定めるように永守を見ている。執務室の映像も映しているが、その幾つかが映らなくなり、残っている分を見ていると回収されている映像が流れている。

 

「何れバレるとは思っていたけど、結構早かったわね。あの妹達の中に、機械に精通してる子が居るって訳ね。もしかしたら、今日ここにノワールちゃんが来るかもしれないわね。…ふふ、それはそれで楽しみだわ」

 

追い詰められている事を自覚しつつも、好きなものが此方に来るかもしれないという、スリルと興奮を楽しんでいる様子である。

 

 

 

 

 

 


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