素晴らしいとは決して言えないこの世界に祝福をいやマジで 作:おーり
ああ気にするな、たぁんと読め
ウィズさんの店にいつもの装備を納品し、契約していた売り上げの6割を回収する。
素材採取に製造、術式付与と俺がやっていることと結実した結果とを比較してしまうと「8割を取っても誰に憚られることもない」とまで言われてしまったので、逆に心苦しくなって今の割合だ。
ネギま世界で研鑽した経験からの結果なのか、スキルで造った『工房』内は時間調整も利かせられたので、製作費と比較すると実はもっと安くても問題は無いから、売り込みの経営努力を考慮するとウィズさんも結構売り上げに貢献していると思うのだけどなぁ。
ちなみに、『工房』で製造した巨大蚕蛾の幼虫に吐き出させた糸を人工製造アルケニーの手で編み込んでもらった絹製品が今回の商品。
幼虫のエサは同じく『工房』で
残留思念も読み難いほど希薄な方々だが、ひっ捕まえて飼料に替えると普通に多々ある餌と比較すると総コストが少なく済むし、何よりこの世界特有の法則なのか普通の餌よりもより良く育ってくれるのだ。
魔力の問題か、はたまたまた別の何かが関わっているのか……。
とりあえず『アンデッドはお得』ということが判明した一幕である。
なお、商品に描かれている文字には特に意味もなく、アルケニーの独断で適当な柄を注文したらああなった。俺は悪くねぇ!
とりあえず転生して1週間が経過したわけだが、現在所持金は20万エリスと少々。
普通の商店での値段と比較してそのまま日本円で換算できる程度の価値らしいので、俺は1週間で20万稼いだ計算になる。
古き良きRPGの世界で生産職でこれほど稼げるとは思ってもみなかった。
元ルームメイトの【疾風迅雷のナイトハルトくん】なんかは「MMOで生産職とかワロスwwwゲームの華はスタイリッシュなバトルだろwww」とパソコン相手に口走っていたが、生活することと環境への適応を考慮すれば独り善がりな生き方は結局自分の首を絞めるだけだ。
『ゲームならば』個人の選択肢に口出しはしないが、こうして学生アルバイトと比較しても過剰な収入が得られてしまうと今更ゲームみたいな戦闘職に戻りたくはないなー、と志向してしまう。
妄想だけど、こうやって別口で稼ぐ手段があるからこそ、それこそ『ゲームみたいな』魔王退治に勤しむ転生者も減少して、攻略も滞っているんじゃないかなー、と。
ひょっとしたら普通に魔物退治のクエストの方が時給換算すると高い可能性も無きにしも非ずだが、命の危機を天秤にかければそれでも妥当なのだろうな。
それでも俺は直接戦闘は普通に御免だが。
そもそも元は平和な日本の普通の男子中学生だぜ? そんないきなり命のやり取りを出来るわけないじゃないか。
さぁて。
本日のお仕事も終わったことだし、井之頭さんばりに飯でも食いに行こう。
やはりファンタジー世界なりに、現代日本と比べると娯楽は酷く少ない。
わずかな金額で豪華な昼飯を食える場所を探すのが、この1週間で俺の日課になってしまった。
この街の人たちって主にどういうことでその辺の欲求を満たしてるんだろうなぁ。
▽ ▽ ▽
この世界の存在には悉く魂が宿り、それらを討伐したり捕食したりすることで被疑者は被害者の魂の一部を吸収する、という仕組みがある。
それを専門的な用語で【経験値】【レベルアップ】などと呼び、この世界で暮らす人々にとっては常識的なこととして認識されている。
以上、Wiki●ediaより抜粋。
「おとっつぁん! またあの子が来たよぉっ!」
「……っ、へっ、今日も来やがったか……! お客さん方スマネェ! 今日の営業は此処までだ! 俺ぁ今から【修羅】にならなきゃならねぇ……ッ!」
『炭火焼肉の店・
客の好みの焼き加減で肉を食える、というほかの店ではなかなか見られない調理法を興したことも然ることながら、食したモノが経験として血肉になる事実を踏んだうえで、冒険者専用の特別メニューを用意したことでも名を馳せている。
その名も『大食いチャレンジ』。
食えば食うほど力になることを自覚する者たちにとって、少ない金銭で多大な経験を得られるチャンスは言うまでもなく呼び水になる。
しかし、それに成功する者は此れまで居なかった。
食い切れないほどの量を推し進める店舗の罠に嵌まり、これまでの総ての者が食い残し、それだけの調理費を無駄にしたことの違約金として5,000エリスを落として逝く日々――。
――それも、この1週間で覆された。
「おっ、あの子が来たのか。へへっ、じゃあ俺は成功に賭けるかね」
「ばぁか、そうそう成功するかよ」
「じゃあお前は失敗に賭けるのか?」
「――いいや? 今度も成功さ」
そばかすと三つ編みがチャーミングな看板娘のフランチェスカが店内へ呼びかけたことで、網焼きを楽しんでいた常連たちにも状況は呑みこめた。
決意を込めて重々しく支度へ取り掛かる店主とは裏腹に、口々に『本日の成果』を予想し合う鍛えられしもの達。
此処に日本出身の某カズマさんなどが居たら、間違いなくこう思うことだろう。――こいつら訓練されすぎだろ。
「ごっしゅじーん、大食いチャレンジいっちょうよろしくぅー」
「へいよろこんでぇ!」
戸を開けて元気よく入ってきた色黒の少年烏丸。
チャレンジは冒険者専用メニューだが、烏丸も冒険者登録はしているので問題は無い。
ちなみに、何故冒険者専用なのかと言えば、アクセルの街では冒険者こそが最弱であるがゆえに『強く育てよ』と店主が願いを込めたことが発端である。
その願いを今から踏み荒らすコイツは地獄に落ちるべきだと筆者は思う。
「へいチャレンジ一丁おまちぃ! 制限時間は今から30分だよ! よぉーい、はじめぇっっっ!!!」
「いっただっきまぁーす」
斯くして、世紀の挑戦は始まった……!
用意されたメニューは普段の炭焼き用の生肉とは違い、既に調理済みの『焼肉丼』と呼ばれるランチメニューだ。
但しその量は尋常ではない。
まず肉。その次に肉、そしてキャベツ、また肉、肉、肉、肉、キャベツ、肉、肉、肉、肉、レタス、肉……あと山盛りの米。
終わることのない肉とキャベツ、時たまレタスのワルツは際限なく盛り立てられて、初見の者は「アレ、俺何か悪いことでもしたかな」とよく泣く姿を見るというくらいの積載量。
特に収穫時期でもないので現在希少な野菜類は申し訳程度にしか挟まっておらず、延々と肉を食べ続けることはいくら好物の者であってもある種の拷問に酷似している。
その総重量、器除いて50キロ。
わかりやすく例えるならば、人間ひとり分は軽くあると言っても過言ではない。
特大の
「ごちそうさまっしたー」
………………鎮座、していたのだ……っ!
「じ、10分48、新記録です……」
フランチェスカさんが震える声で肩を落とすのとほぼ同時に、店内に残っていた客が揃って咆哮を上げた。
いわゆるスタンディングオベーション。
膝から崩れ落ちて嗚咽を繰り返す店長はもとより、卓脇に備えられている爪楊枝を咥えてメニューを開いている少年も気に賭けた様子もないが、騒然とするに値する光景をショーのように魅せられて大興奮を隠せない客たちは口々に彼を称賛した。
誰もが達成し得なかった難敵を、ものの片手間で平らげてしまった少年は、賞金の20,000エリスを貰い受けて隣のスイーツ専門店へと足を運んでゆくのであった。
恐らくは口直しだろう。
やっぱりコイツは地獄に落ちるべきだと思う。
鬼灯様ぁー! こいつですこいつ! この色黒白髪をとっととつれてってくださーい!
▽ ▽ ▽
「いやぁボウズ! なかなかやるじゃねぇか!」
かっかっか、と快活に笑う
此処まで彼らを気にも留めない理由として、食事を終えた俺には本日の予定がまるで残っていなかった。
金はあるし、仕事も然程切羽も詰まらず。
何か暇を潰せる娯楽でもあればいいのだろうが、先も言ったようにアクセルの街で俺は未だに食事以外の娯楽を見つけることが出来ていない。
だから冒険者が供給過多なくらい在籍してるのかなー。
ぶっちゃけこの街に限った話ではなく、中世ヨーロッパ系の世界観などと謳われると出来る暇つぶしはモンスターハントくらいなのかもしれない。
で、なければ娼館とかかな。
でも現代日本じゃ高校上がったばかりだし、生物学的には問題は無いのだろうけど、この年で女衒買いなどと風聞が悪すぎるのでは、と思う俺もいる。
「で、だボウズ。あのチャレンジに挑めるってことはおめぇも冒険者だろ? さっき組合の方から連絡があってな、大人数で挑める討伐クエストが発注されたんだよ。参加人数やランクに制限はねえし、おめぇも行ってみねぇか?」
へぇ。
見た目はギルドの入り口でいちゃもん付けて来そうなモブ系のおっさんだが、結構人の良さそうな内心を構えているご様子。
実際暇ではあるし、もし騙されたとしても『どうにかする』という縛りプレイに制限傾けることもできそうだし、どう転んだとしても面白そうだ。
――この余裕が後の悲劇につながるとは、今の俺には思ってもないことだった。
~人工製造アルケニー
工房内で生まれた腕が六本ある少女。意思の疎通は出来るが声帯を意図的に未発達状態にさせられており口が利けない。更に目は複眼になっており、腕と合わせて間違いなく表に出せられる外見を用意されていない不憫な娘。ついでに言うとそれを不満と思わせられないように思考誘導まで施されているので反旗を翻される心配もない烏丸謹製の『縫製用モンスター』
ギリシャ神話にモデルが居るが、ご本人ではもちろんありません
~巨大蚕蛾の幼虫
名前はアカリン。雄
~井之頭さん
最近アベマでついつい見ちゃうんですよね
~鬼灯さまぁー! 二期がはじまるってマジですかぁー!(超楽しみ
じーごーくーじーごーくーたーのーしーいじーごーくー
バリトン混じった大合唱は毎回みていてワクワクしてましたが、次はまた別なのだろうなぁ、と
内容が無いようですが続きます