素晴らしいとは決して言えないこの世界に祝福をいやマジで   作:おーり

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本日更新三話目です
ご注意ください



一か月も更新せずにスマホゲームばかりやっていた豚は何処のどいつだぁい? ……アタシだよっ!

 

「カズマー! いまこそ私の真の能力を見せてやります! ひっさつのぉー……!」

「おいまてバカやめろ! こんなところでぶっ放しても被害しか残らねぇよ!? あとナチュラルに能力と書いてチカラって読むのは止めようね」

 

 

 大魔法使い(アークウィザード)の証明として最も相応しき爆裂魔法で華麗に決めてやろうかと思っていたところで、パーティリーダーであるカズマに羽交い絞めに止められました。

 確かに一発撃てば全魔力を使うので非効率かもしれませんが、スキルレベルを上げるにはどんどんブッパしないと上達はしません。

 目指すのは、一日十回爆裂魔法!

 まあ、キャベツの群れに撃つのは確かに大人げないとは思ってはいましたけど。

 でも此処で撃たなければいつ撃つ機会が本日中に!? とも思うわけです。

 あと後半の静止の文言が変に優しい口調だった理由を伺わせてもらおうか。

 

 

「というか、収穫でもあるのだし痛めてしまっては元も子もないだろう。もう少し威力を落とすとか、そういう方面で修練を積むことはできないのか?」

「ダクネス、爆発を何だと思ってるんですか。爆発で齎される被害というモノは対象が『なんだか焦げて呻くだけ』で済ませられるはずがないんですよ? 空気を振動させるので強風などが弱点ですが、熱を伴った衝撃はやや離れていても肺や内臓や鼓膜を破壊しますし、飛び散った小石や土砂でも浴びれば被害は甚大ですし、至近距離で受ければ隠れていたって気圧の変化だけで死にます。使いどころが難しいがゆえに大魔法使いのみに扱うことが許された極大魔法、それが爆裂魔法です」

「「「そんな恐ろしいモノを猶更至近距離で放とうとするなァッッッ!!!」」」

 

 

 あれ、おかしいですね。少し訂正しただけなのに何故更に批難が集中?

 

 新パーティ結成の記念に伴って、ギルドからキャベツ大量出荷のクエストが発注されました。

 要するに今年も大収穫祭の季節がやってきました、というギルドからの御下知です。

 此処で大量に経験値を稼いで、街の発展に貢献しなさいよという初心者育成チャンスが発令されているわけですね。

 冒険者に優しい街アクセル。

 まあだからこそ、私のような大魔法使い(初心者(ビギナー))でもこうして生活できているのですから、文句などあるはずもないのですが。

 

 それにしたってこのパーティは禄でもない人材の宝庫です。

 前衛のダクネスは防御は極振りですが攻撃が当たらず、パーティリーダーのカズマは今のところ出来ることと言えば私のぱんつを盗むことくらいです。20歳だと自己申告してきた男性が14そこそこの美少女の下着を剥ぎ取る。事案ですね。

 金髪美女(でも変態)というダクネスをパーティに加盟する条件(代わり)として盗賊の少年からスキルを教えてもらったそうですが、もう少し使えるスキルは無かったものか。……アレ? 少女でしたっけ? 胸が私より無かったので勘違いしてましたかね。

 そして唯一と言ってもよい『普通の攻撃手段』を持っているのが、大神官(アークプリースト)のアクアというノーパン娘です。一応未確認ですけどアレは穿いてません。女性すらも目を無意識に誘うくらいの激短スカートを幾度となく翻し、見えてもいいはずのアングルでも布の欠片すら確認できない肌色が覗くのですから断言できます。間違いなくこの人も痴女です。時たま唐突にバニーガールへ変貌を遂げたりもしますし。……というか、この人()ダクネス()を呼び寄せたのでは、とも思われますね……。痴女が痴女を呼ぶ連鎖……恐ろしい話です。やっぱり子供に頭のおかしい女神の名前を付ける教団の関係者なだけあってそう育ってしまったのでしょうね。悲しいことです。

 いやーつらいわー、パーティ唯一の常識人が14歳の小娘だけなんて大変だわー。

 まあ仕方がありません。此処は唯一の常識人である私が、ひとつ大人になって彼女たちをきっちりと真っ当な道へ戻すためにも付き合ってあげるしかなさそうですね。

 ……使えるスキルが爆裂魔法だけだから他のパーティからはもう一切声がかからないことが理由にもあるだろって……? まさかー、そんなわけないじゃないですかー。

 

 

「しかしカズマ、キャベツへの攻撃手段が神職だけって普通におかしくないですか? あなたももうちょっと剣技なりなんなり使えばよろしいのに」

「使えないことを知ったうえでそういうこと言うなよ……。というか、カエルに比べてこっちは言うほど強くもないし、アクアだけでも余裕だろ」

 

 

 そう口にするカズマさんの視線の先では、「ゴッドブロー!ゴッドブロー!」と幾度となく(コブシ)を打ち出すアクアの姿がありました。

 とても神職に就いている婦女子の姿とは思えず、『まっ●のうち! まっ●のうち!』と喧騒が脳内で囃し立てます。幻聴ですね。

 

 

「そうなると、カズマのレベルも上がらないのでは……?」

「…………」

 

 

 無言で視線を合わせようとしない良い年越えた冒険者(初心者)が其処に居ました。

 コイツ……附抜けてやがる。

 

 

「まあそんな情けないカズマさんはさておいて、私は勝手にレベリングをさせてもらいますが。おや、あんなところに都合のよいキャベツの群れが」

「おいバカやめろ。さっきの遣り取りもう忘れたのか」

 

 

 そうして再び羽交い絞めにされる私。

 ええい放しなさい! 何かに群がっている彼奴等を一網打尽にして大幅レベルアップを計るには今がチャンスなんですよ! そしてどさくさに紛れて何処を掴んでいますかっ!

 

 

「掴むほどねえじゃん……ってアレ?」

「今の科白の意味を問い質させてもらおうか……どうしました?」

「いや、あの群れ……下に何かあるよな?」

 

 

 心の声に不本意な言葉を漏らしたカズマへいっそ爆裂を、と思考しかけたところにかかる胡乱気な声。

 カズマが見つめる一点は私が見つけたキャベツの群れで、……確かに、その下には『何か』がうずもれているようにも見えます。

 実際かなり不審に思えたのでレッツ爆裂、ではなく一緒に近づいて手にした杖でキャベツらを突いてみました。

 押し退けられてぴぃぴぃと逃げ惑うキャベツらが零れて、その下にあったのは――、

 

 

「…………」

「…………これ、死体じゃないですよね……?」

 

 

 キャベツに埋もれて倒れ伏す、白髪に特徴的な衣服の男性の姿が――、

 

 

「かっ、烏丸ァァァァ!?」

 

 

 え゛、知合いですか?

 

 むしろ二度見して絶叫するカズマさんにこそドン引きしたパーティ結成当日の出来事。

 私、めぐみんにとってある意味運命的な出会いがあった日でもありました。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

「いやー、『また勝てなかった』」

「嘘つけよお前」

 

 

 いや、実際少し目を離していた隙に負けていたという姿は現実だったのだから、こいつの自己申告通り『勝てなかった』のは正確だろうが。

 それにしたって台詞回しがひたすら不穏だ。球磨川禊かお前は。

 

 

「やべぇっすねキャベツ。挑んだはいいけど収穫スキルがねぇから手の打ちようがなくって」

「それでも普通は負けないって聞いたぞ……」

 

 

 奇特な全滅(未満)を体験した顔見知りの転生者、烏丸イソラと連れ立ってギルドまで。

 二メートルを超す化け蟹を退治できるのに、なんでコイツ浮遊するくらいの植物に負けてるんだろう。しかも碌な攻撃手段も持ってない、草食動物にすら捕食されるタイプの食物連鎖ピラミッド底辺に。

 

 先ほど結成したばかりの新パーティとのお披露目も終えて、負け越した烏丸の胸倉を掴むアクア(女神)を袖の下で執成す姿を垣間見て、後で徴収することを忘れないことを心のメモに決心しつつキャベツ査定の待機中が俺たちの現状だ。

 受付でアクアは倒したキャベツにレタスが混じっていたとかで報酬を減らされていることに抗議を醸しているのだが、そんなことは今はどうでもいい。

 大事なのは、この禄でもない世界へ転生してきたという他の者ではなかなか理解し合えない事実を共有できる誰かが、こうして目の前に現れてくれたという事実だ。

 

 

「というわけで烏丸、いっしょにパーティを組まないか?」

「「ちょぉぉぉっとまったぁぁぁぁっっっ!!」」

 

 

 途端に沸き立つちょっと待ったコール……懐かしいな。めぐみんとダクネスであった。

 

 

「異議ありで反対です! カズマは私とパーティを組んでいるのですから、戦力にならない者を組み込むことの必要性と天秤にかけても不適切であると上告します!」

「よ、よくわからないがめぐみんに同意で以下同文だ!」

「おいダクネスの語彙が追い付いてないぞ」

 

 

 かなり混乱気味の異議を申し立てためぐみんの言葉で容易く掻き乱されたのか、ダクネスは言いたかったことを先に云われたかのように慌てていた。

 実際、それが正解なのかもしれない。

 

 

「大体カズマさんの勧誘の文言は上級職限定だったじゃないですか! しかも可愛い子ばかりのハーレムパーティを切り崩してまで男子を入れようとかどういう腹積もりですか! ホモですかこのホモ野郎!」

「推測だけで風評被害まき散らすのはヤメロォ!? 烏丸も! 言葉を発しないまま距離を取るな! そういうことじゃねえよ!」

 

 

 閑話休題。

 

 

「――はぁ、つまり、上級職限定でメンバーを募ったところ、変態と一芸特化と言う扱いに困る人材ばかりが集まったので、もうちょっとなんとかしたい、と」

「ああ、要約してくれて助かったよ……」

 

 

 烏丸のまとめ力に頭が上がらなかった。

 これを伝えるためだけに、うちの子たちはなんでああも異議ばかり申し立てたかな……!(憤怒。

 

 

「別に無為に現状のパーティから外して俺を迎えよう、ってわけじゃねぇんですよね? 何故に俺は此処まで彼女らに拒否られてるのでしょう……」

「お、おう。そういうつもりじゃなかったぜ?」

「何故、顔を反らしますか」

 

 

 う、うん。別にゲームとかだと4人か3人で一組のパーティだから誰か外さなくちゃなー、候補は今のところ新規参入のふたりのうち、めぐみんの方が聊か株が上がるよな、大魔法使いなのに爆裂魔法オンリーだし。とか思ってないよ?ホントダヨ?」

「心の声が漏れてますっていうかやっぱりそういう腹積もりだったんじゃないですか! しかも真っ先に捨てられる候補が私ってどういうことですか!? いいじゃないですか爆裂魔法! 使える人は本当にごく少数なんですからね!?」

「いや、でもそれって使えないスキルだから誰も取ろうとしないって小耳に挟んでるし、既に……」

「やっぱり捨てる気なんだー! 幼気(いたいけ)な少女、美少女にあんなことまでしておいて役立たずって捨てる気なんだー! カズマさんの鬼畜ー! 悪魔ー! オーガー! ボブゴブリンー! ロリペド野郎ー!」

「泣き声で人聞きの悪い風評をまき散らすなって何度言えばわかるんだ!? だから烏丸も! 無言で距離を取ろうとするなーっ!」

 

 

 あと自分のこと美少女って言い直すのはどうかとも思うよ!?

 

 閑話休題。

 

 

「まあまあ、いいじゃないっすか。俺は基本的に支援職ですし、皆さんの見せ場を奪ったりしませんって。まあお仲間に加えられたら、っていう前提があってですけれども」

「む、珍しいな。冒険者なのに支援職とは」

「え、そうなのか?」

 

 

 なんとか諫めることに成功し、同卓でぶちぶちと文句を垂れつつジョッキを傾ける美少女(自称。いや確かに美少女かもしれないけどアクアレベルで残念さが際立つと呼び難い得も言われぬ抵抗感が云々)をいったん放置し、烏丸の自己アピールタイムに耳を傾ける俺とダクネス。

 なお、アクアはまだカウンターで言い合っていた。もう諦めろよ。

 

 

「商人とか盗賊とかだろ、要するに。俺の中ではどっちもそれほど珍しいとは思えないけど……」

「確かに、クリスもシーフであったのだからそう思われるかもしれないがな、実際のところ、冒険者とは基本的に戦闘職だ。何でも屋の認識が強いのでギルド発注のクエストには様々な種類が挙げられてそれらを解決するのだが、専門に長けた人間が居るのならそちらに任せてしまえば事は済む。そして、そういう別口の技術(スキル)職業(ジョブ)を得ている者は冒険者ではなくて普通にそちらへと就職できる」

「あー……」

 

 

 前世でも資格持ちが優位に立てる、ってのは常識だったしなぁ……。

 ていうか、やっぱり世知辛いな。此処はファンタジー世界なのに、何故にこういうリアルに耳が痛い話を今になっても聴かされなくてはならぬのか。

 

 

「まあ、実際アイテム造って納品した方がずっと儲けは出ますしねぇ」

「ああ、既に稼いでんのか……。……あれ? ってことは、もう冒険者じゃないんだよな? ……なんでキャベツ討伐で死にかけてたんだ?」

「いえ、まだ資格は破棄してませんけど?」

 

 

 なんで? 就職してるんなら冒険者でいる必要ねぇじゃん。

 

 

これ(冒険者資格)持ってると、とある定食屋で大盛りチャレンジに挑戦できるんですよ」

「そんな理由で!?」

「いやぁ、自分エンゲル係数が膨大なので。あって得することは在れど損でもないので」

「いや、そこは詐欺だろう……。実際に就職してると言うなら過重登録で罪に問われかねないし、キミを雇っている者にも責任が及ぶ」

「ですから、就職はしてねぇんです。仕事はしてますけども。内職(在宅パート)みたいなものですかねぇ」

 

 

 副音声でわかりやすいようなわかりにくいような説明が耳に届いた。確かに前世とこの世界とで同時に説明できそうな言葉だが、それどうやって発音してんの?

 そんな俺たちの会話に、ダァン!とジョッキを卓に着ける音が割り込む。

 音の主を自然と見ると、めぐみんが据わった目でこちらを睨んでいた。おおぅ……。

 

 

「……戦闘はお粗末、定職にも就かずにふらふらと、小金を稼いで無為に時間を食いつぶす典型的な冒険者ですか。私はそういう底辺であることを自覚しようとしない、底辺から這い上がることすらも努力しようとする気配すらない、そんな屑が大っ嫌いです」

 

 

 うん。それ俺にもけっこうぐっさぐさくるから止めてね?

 というか、めぐみんさん意識高くね? 今時の14歳って半端ねー……。あ、そういえば、

 

 

「烏丸もめぐみんと同じくらいじゃなかったか?」

「は?」

「はい?」

「いや、確か15だよな? めぐみんは14だから……」

「はあ、いえ、確かに歳はそうですが、何故いまそれを口にする必要が?」

「14……14。へぇ、……へぇー」

「おい若白髪、いま何処を見て何を納得した」

 

 

 烏丸の心なしか憐れむ様な視線にいきり立つめぐみんが其処に居た。

 実際、今の恰好はネタ系Tシャツで固められた装備なので、ダクネスやアクアと並ばれると胸部の起伏がとってもわかりやすい。盛り上がってるお二方や受付のお姉さんと比べて、めぐみんやクリスの実にスレンダーなこと……。

 あとさっきから『めぐみん』と脳裏で彼女の名前を口遊むたびに『えぐみん』となるのは恐らく偶然。別に抉れてるとまでは言ってません。

 

 とうとうブチ切れたのか、めぐみんはそのままテーブルの上へと立ち上がり、烏丸のことを指さした。私、堪忍袋の緒が切れました!と思わず脳内でアテレコしてしまうのは仕方がないことだと思われる。

 

 

「ええいごちゃごちゃと鬱陶しい! とにかく! 私たちのパーティに加入したいと宣うのならば! 実力を示せって言ってるんですよ! 何のコネかは知りませんが、貴方みたいな不愉快な男子は根本的にお断りです!」

 

 

 いや、なんでお前が決めてるんだよ。

 リーダーは俺のはずなのに、めぐみんの一存で決定づけられる烏丸の行く末……。

 というか、それを言ったらかなりのブーメランだなぁと思うのは俺だけだろうか。

 

 そしてそんなめぐみんに対して、烏丸はふつーに言い返していた。

 

 

「いや、俺そもそもカズマさんのパーティに入る気ありませんけど……」

「えっ」

 

 

 ――其処は加入の方向で検討してくれよォ!?

 





wikiを頼りに書きつつ、恐らくは原作と比べて時系列が色々変更されています
それでもカズマさんパーティがそろい踏みなのは類が友を呼んだ結果ですかね
そう、変人は変人を呼び寄せる。さながらスタンド使いが引き合うように…
あと冒頭のめぐみんの科白はドヤ顔でご想像ください
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