赤き謡精、白き雷霆   作:エステバリス

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 白き鋼鉄のXの続報まだですか(ドラゴンMFD楽しかったです)




決戦

 

 

 それから時は暫く経過して、ボク達グレモリー眷属とフェニックスの眷属が行うレーティングゲームの当日がやって来た。

 時間帯は11時30分頃。そして試合時間は午前0時丁度から。

 悪魔にとって特に大きな力を得る……とかそういうのよりも。レーティングゲームが娯楽としての側面を持つようになった都合、夜行性である悪魔にとってはゲームを中継したり、子供達に見せる娯楽として、この時間帯に行われることはある意味必然だ。

 

 部室には一誠(シアン)を含めたオカルト研究部の部員が全員、学生服を身に纏った状態で集っている。

 リアス曰く、「私達のユニフォームといったらこれでしょう?」とのこと。まあ、尤もらしい。

 

「悪魔の情勢について教えて貰う時にも色々夜に連れ出されましたけど……やっぱり皆さん、悪魔なんですね」

 

「時々授業を受けるのが大変になるくらいにはね」

 

 一誠と祐斗がそんな風に語り合っている。一誠の方はくぁ、と欠伸をしており、彼女が人間であるのだと教えてくれる。

 ……なにがあってもキミと、キミの想いは守る。ボクは今もそう誓っているけれど。今だけは、強がりをしている女の子(リアス)を優先させてほしい。

 仮令(たとえ)その果てに、キミに過酷な紅き運命を背負わせてしまうことになったとしても。

 

 ボク達が思い思いにくつろいで決戦の時を待っていると、時間の十分前辺りに不意に一つの魔法陣が浮かぶ。

 そこから現れたのはグレイフィアさん。この決闘に対して中立である彼女がここに現れたということは、その理由は二つとない――

 

「皆様、ゲーム開始十分前になります。準備はお済になりましたか?」

 

 誰も言葉を発さない。だけどその表情だけで、全員の意思確認をするには十分と言えるものはあった。

 

「開始時間になりましたら、ここから転送用の魔法陣で自動的にゲーム盤に転送されます。

 そこはレーティングゲーム用に用意された異界。どれだけ暴れられても問題がない空間となっております。どうぞ存分に、力を振るうと良いでしょう」

 

「……あ、そうだ。部長」

 

 グレイフィアさんの言葉が終わると、思い出したように一誠がリアスに話し掛ける。

 

「確か部長にはアーシアちゃんの他にもう一人、僧侶(ビショップ)がいるんですよね? その人は……」

 

 ……ああ、そういえばそんな話をしていた。あの子については色々とあるし、一誠がゲームに参加しないといっても、説明の一つくらいはしないと気がかりになってしまうだろう。

 自分の主の危機だというのにどうして駆けつけてこないのだろうか、と。

 

「……残念だけど、もう一人の僧侶は参加できないわ。それについても……いずれちゃんとした説明をしましょう」

 

 理由があることを匂わせると、彼女は「そうですか」と言ってその話題に触れることはやめた。

 

「今回の『レーティングゲーム』ですが、両家の方々も別室のモニターからご覧になります」

 

 ……両家の行く末を決める大事なゲームだ。これを見届けないというわけには、形式としてもいかないのだろう。

 でも、このゲームを見るのが両家の人間だけで済むなら、それはそれでボクにとっても都合がいいのかもしれない。

 

「そして魔王ルシファー様も今回の一戦をご覧になりますので。どうか皆様、それをお忘れなきよう」

 

 魔王ルシファーがこのゲームを見るという言葉に少しばかりの驚きがリアスに迸る。

 

「お兄様が? ……そう、お兄様が、直接御覧になるのね」

 

「……へ、はい? お兄様?」

 

 あ、これ言ってなかったっけ。言ってなかったかも。一誠(シアン)が信じられないことを聞いたような目で問い返してくる。

 

「そう、部長のお兄様は魔王ルシファー様だよ」

 

 そして祐斗はあっけなく答える。

 

「え、え? えーっと、この試合を見に来てる魔王さまはルシファーなんだよね? で、でもえっと、部長のお家はグレモリーで……?」

 

 他の魔王さまもレヴィアタン、ベルゼブブ、アスモデウスで……? と、目に見えて混乱し出す。

 

「魔王さまはよく話題に挙がる前大戦で致命傷を受けて、もう崩御なさっているよ。

 それでも魔王がいないようじゃ悪魔の政治も成り立たないから、大戦を生き延びた各家から特に優良だった方々を新時代の魔王として名を継いだんだ」

 

ボクが助け船を出す。すると彼女はすぐにああ! と合点がいったように手を合わせる。

 

「つまり職業:ルシファーっていうことですか?」

 

「まあそんな感じ。で、その一人がリアスの兄である、サーゼクス・ルシファー様ということだ」

 

「……グレモリーじゃなくなってしまったんですね。それで部長は繰り上がってグレモリー家の家を継ぐことに」

 

 少し暗く、彼女は落ち込んだ。リアスの問題を正しく受け止めて、咀嚼できているその姿は、彼女が生前様々な事情を孕んでいたとはいえ、歌姫(ディーヴァ)であったこと思わせる。

 

「それでは皆様、お時間です。選手の皆様は魔法陣へ。兵藤様は後程、私どもが別個に用意した観戦用の部屋にご案内致します」

 

「あ、はい」

 

 グレイフィアさんに促され、そこでボク達は部室に用意されている魔法陣に集まる。

 

「なお、一度あちらに転送されますと、ゲームの決着がつくまで魔法陣での転移は不可能となります」

 

 魔法陣がグレモリーのものを示すものから、ゲーム盤への転移用の別のものに変化すると、ボク達の身体は暗い光に包まれた。

 

◆◇◆

 

 ――眼前に広がっていたのは、いつもと変り映えがしないように見えた部室だった。

 アーシアが困惑したように周りを見ている。事前に説明が無ければそんなものだろうという、想像通りの反応をしてくれる。

 

『皆様、この度グレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判役(アーピター)を務めさせていただいております、グレモリー家の使用人、グレイフィアでございます』

 

 まるで校内放送のようにしてグレイフィアさんの声がこの『異界』全体に広がる。

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。

 早速ですが、今回のレーティングゲームの舞台はリアス・グレモリー様、ライザー・フェニックス様両名のご意見を参考に、リアスさまの通う人間界の学び舎、駒王学園を模した作りとなっております』

 

 ……相当な再現だ。壁の作りから窓の様子、壁の染みや傷までどこもかしこも寸分の狂いもない程に再現されている。

 空が白い、という一点を除けば完全に見分けがつかないほどに完璧だ。

 

『両陣営、転移された先が本陣となります。

 リアスさまの陣営は旧校舎、オカルト部部室。ライザーさまの陣営は新校舎、生徒会室となっております。

 兵士(ポーン)の方はプロモーションをする際、敵陣営に行く必要があります』

 

 プロモーションは兵士が別の駒に昇格する、悪魔の駒の元となったチェスにもあるルールだ。

 兵士が他の駒になれば、その駒が持つ特性を弾き継ぐ、強烈な一手。兵士一人が女王(クイーン)になればその戦力は決定的に変化するだろう。

 

「……ボクらには関係ない話だけど」

 

「確かに兵士がいない以上こちらの話としては無関係ね。

 それでもあっちは使える悪魔の駒は全て使っているわ。当然兵士もいて、この部室の守護は一大事というわけよ」

 

「数も質も、普通に考えたらあちらに分がある……そうなるとこちらから攻めるのはあまり得策とは思えないけど」

 

「ええ。その為にも敵側の兵士の全滅(キャプチャー)は必須よ。それと……朱乃」

 

「はい部長。では皆さん、これを」

 

 朱乃がボク達に差し出してきたのはイヤホンマイク。

 

「なるほど、これでミッション中のやり取りをするってことか」

 

「ミッション?」

 

「あ、いや、なんでも」

 

 ポロリと出したそんな言葉を軽く濁していると、タイミングを待っていたようにグレイフィアさんの放送が割って入る。

 

『おまたせ致しました。ゲーム開始の時間となりました。

 なお、ゲームの制限時間は人間界の夜明けまでとなっております』

 

 キンコンカンコン、とまるで授業が始まるかのように、レーティングゲームの始まりを告げるチャイムが鳴る。

 粋と言うのか、無粋というのか。ともかく、ボク達の最初のレーティングゲーム、その狼煙が上がるのだった。

 

 






 GVは第七波動店「蒼き雷霆」って知ってる?
 カレラ殿スレで突如現れた小料理店なんだって

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