モンスターハンター ~憧れを追いかけて~   作:朔紗奈

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今回例のお方出なかった(


出会い。

「無理ムリむりMU☆RI!!無理に決まってるでしょ村長ぉ!!」

 

 思わぬ数を聞き、5体以上のランポスに同時に囲まれる絵面を思い浮かべながら、フィリスは思わず跳ね上がるように立ち上がり、村長に指を突きつけながら叫ぶ。

 

「ゼクスも居るんじゃ、このくらいは何とかなるじゃろうて。囲まれなければ、各個撃破は出来るんじゃろ?」

「そりゃそうだけどさぁ・・・・・・」

 

 どうしても直前に行っていたクエストで3体に囲まれた事を思い出してしまい、尻込みしてしまう。こんな所で怯えていたら飛竜を倒すなんて夢のまた夢なのも、立ち回りを何とかすればああも綺麗に囲まれないのも、一応分かってはいる、のだが。

 

・・・・・・20体、かぁ・・・・・・

 

「ま、いざとなれば俺がまた助けてやるから心配は要らないニャ」

 

 ゼクスがミルクを飲みながら乗り気に言うのを見て、フィリスは溜め息をつきながら軽くうなだれて椅子に座り直した。

 

・・・・・・まぁ、ドスランポス戦の予行練習と思っておこうかな

 

 ドスランポスというリーダーが居ないなら、ある程度は今までのランポス狩りの延長として出来るだろうし、多数のランポスを相手する練習にもなる。何も、飛竜が出る訳では無いのだ。もしピンチになったりイレギュラーが起こっても、師匠のゼクスが居れば生きて帰って来れるはずと思えば、少しは気が楽になる。

 

「・・・・・・分かった、けど、一つだけ言わせて師匠」

「なんニャ?」

「今日はもう休み!!やるのは明日!!」

 

 

 

 

 

「やっぱ行きたくない」

 

構わんニャ、という有り難いお言葉を師匠から頂いた後、お腹いっぱい食べてぐっすり眠り、やって来た翌日。ベッドの上でのっそりと体を起こし、しぱしぱとまばたきをしたフィリスはカクン、と頭を垂らしながらそう小さく呟き、顔を上げて、

 

「だってランポスだよ!?人の肉も食べるんだよ!?しかも20体!! 師匠はどうせ大して助けてくれないから全部私の仕事になるし!! そりゃ昨日のは下手に突っ込んだから囲まれたのは分かるけど、今回は純粋に数で囲まれるに決まってるし!! ハンターとして狩りに慣れていくのはもう少しゆっくりだって――――っ!!」

 

一人でそこまでまくしたてた所で、軽くうなだれながら溜め息をつく。

 

「・・・・・・準備しよ」

 

 実際、ランポス相手に怖がっているようでは、私を庇いながらにも拘らずディアブロスを狩っていたあの人のようにはなれないのは分かっている。飛ぶでも無く、地面に潜るでもなく、バインドボイスと呼ばれるような咆哮もしなければ、炎も毒も吐かない。体高も人の身長に届くかどうか、肉食で気性も荒いが、飛竜には数体がかりでも及ばず、狩りも群れで行う事が多いモンスターだ。ハンター以外にも、正面きって戦うのは難しいが、アイテムを使えば撃退、討伐が可能なモンスターなのだ。

 

 討伐経験のあるハンターとして、いい加減に怖がってはいられない。

 

「回復薬、砥石、薬草、あっちで焼くための生肉・・・・・・」

 

 アイテムボックスの中とアイテムポーチに目をやりながら、持って行くものがちゃんとあるか確認していく。閃光玉があれば少しはゆとりが出来るのだろうけど、以前に師匠から貰った一つ以外は無いので持って行くか悩む。

 

「・・・・・・一応、お守りに持って行こうかな」

 

 いざと言う時、これさえあればモンスターに隙を作り、逃げる事が出来る。命中させれば、耳が鋭いイャンクックですら、目がくらんでいる間は優れた聴覚を利用せずに暴れ回るという。ランポスが相手でも、囲まれた時に多大な効果が得られるはずだ。

 

「うん、これでよし」

 

ポーチに入るものが入り切り、生肉は入っている樽があるのを確認して、次はボックスに入った防具を取り出し――

 

「フィリス、今大丈夫かニャ?大丈夫なら、開けてくれると助かるニャ」

「師匠?」

 

入り口のドアの向こうから聞こえてきた声に手を止め、声に従ってドアに向かう。そこにいたのは声の主であるゼクス。そして、

 

「どうしたの、そのツインダガ―?」

 

ゼクスが抱えているツインダガ―を見てフィリスが思わず訊ねると、ゼクスはそのツインダガ―をフィリスに押し付けるように渡して答える。

 

「前に、貰ったツインダガ―は気持ち的に強化し辛いって言ってたことがあったニャ?」

「あー、うん、まぁ。お守りだから、って言った気がする」

 

 そう、フィリスが使っているツインダガ―は貰った時のまま、普通のツインダガ―を素材があってもずっと強化せずに使ってきたのだ。お守りとして、そして、いつか彼女の様になりたい、という気持ちを込めて。故に、強化を出来ずにいた。

 

「だから、強化して使って行く為の新しいツインダガーニャ。お守りとして大事にするのは悪くないんニャが、何時までもツインダガ―を使ってるようじゃハンターとしてやっていけなくなるしニャ」

「あ、ありが――」

「それと」

 

 感謝しようとした所でゼクスに遮られ、出鼻をくじかれたフィリスは思わずキョトンとした顔になる。遮った当人であるゼクスはと言うと、ドアの脇に置いていたらしい何かを取る為に開けたドアから脇にずれて大きな袋を引っ張り上げ、中に入っている物のものらしい金属質な音を立てながら置き直した。

 

「これもついでにプレゼントニャ」

「・・・・・・へ?」

 

 プレゼント。新しいツインダガ―もくれたのに、それ以外にも。

 

「・・・・・・師匠何かあったの?変なものでも食べた?」

「気持ちは分かるが失礼な事いうニャァお前は。まぁ、気の迷いだと思って、有り難く受け取っておけばいいニャ」

「えー、っと・・・・・・ありがとう?」

 

 よく分からないけどまぁくれるって言うなら、と呟きながら、先に貰ったツインダガ―を一度横に置き、袋の口を止めていた紐を解く。そこにあったのは、腕の防具だった。何時も着けているレザーライトシリーズの様に革では無く、チェインシリーズの様に鉄の銀一色でも無い。手首や肘の関節部分に、昨日も見た色と同色の鱗があしらわれているその防具は、

 

「ランポスアーム・・・・・・?」

「そうだニャ」

 

 着けてみるニャ、というゼクスの声に従い、腕に着けてみる。サイズ感はピッタリ、新品特有の慣れてない故の違和感はあるが、少し動かしていれば慣れる範囲内だ。

 

「大丈夫そうだニャ」

「うん、大丈夫そう。でもこれ、素材は?」

「俺に今更、ランポスの素材の心配をするのニャ?」

 

 それを聞いて、フィリスは思わずあー・・・・・・と漏らす。

 

・・・・・・そういえばこの人、猫?は私と違って上級ハンターだったんだ。

 

「でも、なんでアーム?いや、一式欲しいとかって意味じゃなくてさ」

「まぁ、一式くれてやってもいいんだがニャ。防具を変えて、変わる事は何だと思うニャ?」

「そりゃ、防御力?」

「まぁ、それは当然だニャ。でも、それ以外が問題ニャ」

「それ以外?」

 

 さも不思議そうに聞き返すフィリスにあきれ顔になったゼクスは、ランポスアームを着けたままのフィリスの腕を指さす。

 

「さっき、それを着けて何を感じたニャ?」

「ピッタリっていうのと・・・・・・あ、違和感。あと、少し重い感じ?」

「その通りニャ」

 

 答えを得たり、とゼクスは続ける。

 

「新しい装備は、使い慣れていない故に些細な動きに誤差が出る事があるニャ。単純な関節の動かしやすさから装備の形、重さ。頭の防具だと、視界にも影響が出る物もあるニャ。その辺のズレが、怪我や死を招く事があるんニャ。だから、その辺のズレが一番少なくて、体を咄嗟に庇うのに使う腕の装備にしてみたニャ。だからと言って、ズレが出ない訳では無いニャ。狩場に着くまで、指や肘を何度か動かしておく事を勧めるニャ」

「分かった。ありがと、師匠」

 

 今度こそゼクスに礼を言い、軽く手を閉じたり開いたりしながらランポスアームを見つめる。新人が付ける防具は、レザーライトの後は大体はチェーンと相場が決まっている。その後はまちまちだが、大体はチェーンを着けてから他の防具へと変えていくのだ。金属製の割に比較的軽く、感覚のズレが少ない事もあるが、それ以上に、作る際に必要な鉄鉱石やケルビの皮など素材が易しい事が理由として大きい。

 

・・・・・・ありがたいなぁ

 

 正直、所持金的にも装備に気を回す余裕があまり無かったのだ。狩りの後の軽い宴会は何なんだとか言ってはいけない。自分をねぎらうのも大事。うん。

 

「んじゃ、準備が終わったら広場に来るニャ」

「了解―」

 

 ゼクスが家を出て行ったのを確認したフィリスは、寝間着兼普段着からレザーライトシリーズと今貰ったばかりのランポスアームと新しいツインダガ―を装備し、アイテムポーチを再確認してから家を出る。

 

 今日はアプトノスサンドでも食べてから行こうか、と考えながらドアを開けてまず視界に入ったのはいつもの村の風景では無く、

 

赤いトサカ

ギョロリとした眼

大きく開いた顎

青い鱗

白い腹

赤い爪

 

「ど、ドスランポ――――ス?」

 

 ドスランポスのような、人型の何かが居た。

 通常ならば顔が出るであろう開いた顎の部分には、更にランポス風の仮面を着けているようで、素顔は見えない。胸が膨らんでいるところを見るに、女性らしい事は分かる。彼女の頭の後ろにはランポスの頭の上半分のような物が見えるので、恐らくそれが武器なのだろう。

 

「どうも初めまして」

「は、初めまして・・・・・・」

 

 見た目の割に意外と真面らしいドスランポス(仮)。

声はこもっているものの、思ったよりも綺麗な声で普通に挨拶をされたので、軽く引きながらも挨拶を返したフィリスに、ドスランポス(仮)は満足そうに頷く。

 

「私は休暇がてらにこの村にやって来たハンターの・・・・・・そうですね、らんらんと呼んでください。好きな物はランポスとドスランポスです」

 

・・・・・・見たまんま過ぎる。

 

 とは流石に口に出せず、

 

「どうもご丁寧に、私はフィリスです」

「フィリスさんですか、可愛らしいお名前ですね。ハンターのようですが、これから狩りですか?」

「まだまだ駆け出しですけどね・・・・・・これから、師匠と一緒にランポス狩りに行くところです」

 

 ランポス、と聞いた瞬間、らんらんと名乗った女性の目が、仮面越しにそれはもうらんらんと光ったのが目に留まり、フィリスは思わずしまった、と内心呟く。

 

「ランポス!? 素晴らしい!もしよろしければ、私もご一緒してよろしいでしょうか!!」

「え”?」

「是非! 邪魔は決していたしませんから!」

 

 ランポスが好きと言い、全身ランポスの――というより、ドスランポスの素材を使っているらしい装備をしているところを見ると、間違いなくランポス狩りは得意なのだろう。だけど。

 

・・・・・・どう考えても怪しい・・・・・・っ!!

 

 怪しい。でも、少なくとも一定の実力は期待できると思われる。邪魔はしないと言っているけれど、もしかしたら私が邪魔をするかもしれない。

 

 色々と考えた結果、出した結論はと言うと。

 

「し、師匠が良いって言ったらお願いします」

 

 ゼクスに丸投げだった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・なんでお前がここに居るニャ、ランポスキチ」

 

 判断をなg・・・・・・任せるべく二人で広場に向かい、いつも通りミルクを飲んでいたゼクスに声を掛けてらんらんを紹介した直後。

 こちらを向いたゼクスが何とも言えない顔をして発した第一声だった。

 

「いやいやいやいや、貴方こそなんでここに居るんですかせ――――」

「おっと何の事かニャ?俺はただのさすらいのハードボイルドなニャンター、ゼクスだニャ。分かったらとっとと帰れランポスキチ」

「私だってランポスキチなんかじゃ無いですぅーー!! ランポスが好きで仕方ないだけですぅーー!! ゼクスさんだって、何時もカッコつけてる癖に微妙に締まらないの何とかならないんですかぁーー!? やーいこのハードマイルドーー!!」

「うるっさいニャ!! 黙ってろニャこのランポスキチ!! んな事は知ってるニャこん畜生め!! だからフリーの時は今みたいにマッカォ装備を着けたりして少しでもいい感じにしようとしてるニャ、黙ってろニャ!!」

「・・・・・・」

 

・・・・・・うわぁ。確かに自称ハードボイルド、と思ってはいたけれどこれは。

 

 ランポスキチと自称ハードボイルド(可愛い)が並んで口汚くケンカをしている絵面。知り合いらしい事も含め、思っていたよりもはるかにアレな状況になり、思わず唖然としてしまった。

 

「えーと、師匠?」

「何ニャ!!」

「ヒェッ・・・・・・済みません、何でも無いデス」

「あー・・・・・・済まない、少し熱くなってたニャ。一緒に行くんだったかニャ?このランポスキチはまぁ、腕は一応信用できるから構わないニャ一応。一応。」

「一応一応うるさいですよMr.ハードマイルド」

「何だニャ、やるかニャ!?」

「いいでしょう!ランポス狩りでどっちが多く狩れるか勝負です!!」

「いぃーい度胸ニャ! この俺に勝てると思わない事ニャ!!」

 

ゼクスが手に持っていたランポス20体狩りの依頼書を持ってらんらんとにらみ合いながら村長の所にノシノシと歩いていき、気圧されているように見える村長に突き出して村の外にそのまま歩き出していくのを見て、慌ててフィリスもその後を追う様に駆け出す。

 

これから、らんらんという一時的とは言え新しい仲間が加わり、20体ものランポス狩りが始まる。人間のハンターと一緒に狩りをするのは初めてだ、と少し緊張する反面、フィリスはこうも思う。

 

 

 

・・・・・・私の練習って発言はどこに行ったの?

 




次こそあのお方が乱入のご予定。
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