少し長くなっちゃいましたけど、どうぞ!
次の日、俺はいつものように剣術の朝トレをしてから、学校に向かった。
この日は俺達が三年になって初めての授業ということで、HRだった。
三年になったから、本格的に将来を考える時期だと先生は言うも、大体ヒーロー科志望だよねぇとか言いながら、進路の紙を投げた。
確かにこのクラスはほとんどがヒーロー科志望なのは認めるが、俺の場合はまだ何も決まってない。
しかも、俺の中ではヒーローは人を助けるのが本来の職業。
爆豪の高額納税者ランキングに名を刻むといっているドアホはマジで馬鹿だ。
まぁ、ここまではいっつも通りだ。ここまでは。
次に先生が言った一言までは。
「そういや、緑谷も雄英志望だったなぁ。」
ビクッ
そうか。出久は雄英か。……ん?個性がないのに志望するのか。すごいなぁ
生徒の皆が出久を笑っているのに少々苛つきながら、出久の夢への執念に勧賞した。
そんな出久は、ビクビクしながらも、何かを言っている。皆の笑い声で聞こえないけど。
けれど、それを許さないのが一人。
バーーーン!
出久の机を叩き、驚いた出久は後ろの方へ後退。
「こらデク!ボツ個性どころか無個性のお前がぁ!なんで俺と同じ土俵に立てるんだぁ!?」
爆豪はシュウゥゥゥと音を立てながら、出久を睨みつけた。
出久はさらに弁解するかの如くに慌てながらも話している。
けれど、小さくだが、聞こえた。
「ただ、小さい頃からの目標なんだ。それにその……やってみないとわかんないし。」
その言葉に、小さい頃の記憶が刺激されるも、すぐにそれは取り消された。
「てめえに何ができるんだぁ!?無個性の癖によぉ!?」
爆豪のその言葉を聞いて、出久は顔を下にした。
だけど、俺は何もしなかった。
俺は、誰かを助けるという概念が未だわからず、ただ見ているだけの傍観者。
前世でも、人を助けるどころか殺す側。
血まみれた刀を懐に、友人すら助けようともしない。
昔も今も何一つとして変わってはいない。
だから、俺は何もしない。
何も出来ないから。
「……進路か。」
帰りのHRも終わり、先生にもらった進路の紙を教室に行く途中、ずっと見ていた。
「まったく…なんでうちの担任は俺までヒーロー科に進めるんだか。」
“ん?なんだ、刀はまだ決めてなかったか。ん~……よし!お前も爆豪と同じ雄英にしなさい!それでいい!”
親指をぐっと立てて、サムズアップ?というのだろうか。それをやって帰された。
やれやれとため息をつきながら、教室に戻り、鞄を肩に掛けた。
すると、目の端っこに、見慣れた縮れ毛が見えた。
「……出久?」
その近くには水がたまっていて、出久がいつもメモしていたノートが浮いていた。
たぶん、爆豪にやられたんだろう。
所々に焼けた跡があった。
俺はあの後、出久に何も声をかけず、学校を出た。
学校から出てから、俺は何かもやもやしたものを感じ、家に帰らず、ぶらぶらと商店街を歩いていた。
本当は何も考えたくなくて、騒がしくてうるさい所に来ただけなのだが、やはり、そのもやもやは消えなかった。
そんな時、遠くから爆発音が聞こえた。
ちょっとしたこの世界の敵に対しての好奇心と、さっきより強く感じるもやもやの正体を確かめに、その場所まで走った。
けど、そのもやもやは直にわかった。
爆豪が人質にされていた。
泥水のような、掴むことの出来ないそれに捕まって。
けれど、俺はまた何もせず、ただ見ていた。
だって、俺に何が出来るという?
人殺ししかやっていないこの俺が、この血まれた剣で、命を助ける事が出来るのか?
否、それは出来ない。
「つーか、あの
……?オール…マイト…?
「オールマイト?嘘!?来てんの!?」
「なんか、ちょっと前に見たよ。」
野次馬か群衆か、どっちだかわからんが、オールマイトについて話してる。
しかし、彼はまだ、この場には現れてはいない。
逃げた訳ではないにしろ、彼に何かあったには間違いはない。
そして、さっきからプロヒーロー達は棒立ち状態。
はっきり言って……
情けねぇえな
冷淡に、かつ他人事のように爆豪を見つめ、ため息をつく。
その瞬間、風が勢いよく舞った。
「……え?出久?」
風の正体は出久だった。
顔は見れなかったが、その走り方は必死で、けど、それは、俺の心を揺らす。
「ば、馬鹿野郎!止まれっ!止まれぇ!」
プロヒーローの声が耳に響く。
けれど、出久は止まらない。
何故だ?
「ん?あんのガキ!」
「デク…」
けれど、出久は鞄を投げ、散らばったノートの一冊が目に命中、爆豪が一時的に解放された。
それを狙って、出久は爆豪を助けようとする。
その時、出久と爆轟は何かを話していた。
いくつかは聞こえなかった。
けど、これだけは聞こえた。
「君が、助けを求める顔をしてた」
その一言が、俺の中の何かを引き裂いた。
「あの馬鹿っ!」
群衆の中を高速で抜け、そのまま今まで鍛えた身体能力に物を言わせ、高く、商店街にあった建物を軽く超し、個性を発動させた。
「まずは…水!」
イメージした剣を素早く出し、速攻で振り、火があった場所を急いで鎮火。
そして、次は風の剣をイメージ。着地時のスピードを遅めた。
着地をする時、少し遅かったのか、地面にクレーターが出来た。
「え?……刀…君?」
「出久!これの弱点は!?」
「え!?じゃ、弱点!?え、えと、…………あ!」
間髪入れず、出久に
「…風圧!刀君!風だ!」
「了…解っ!」
俺は、ついさっきの急場しのぎの剣ではなく、竜巻を起こせるぐらいの剣を出す。
「ああ!?聞いていなかったのかい?この体は流動体!斬れないよ?」
「斬るつもり、一切なし。……っは!」
少し間を溜め、思いっ切り、剣を振る。
その瞬間、その剣の軌道に沿って、爆風が発生、
「やった!」
「出久!気を抜くな!それと、爆豪を安全な場所に!」
「う、うん!」
出久が無事に爆豪を運んでいるのを見て、俺は安心しつつも、あの
つもりだった。
「後ろがガラ空きだぜぇ!!」
「っ!!しまっ!」
ドゴオォォォォォ!!
肌色の、素早いパンチが俺の前で繰り出された。
「少年!もう大丈夫だ!なぜかって!私が来たからさ!」
うさ耳なのか、ヴィクトリーのVを表しているのかわからない髪型、誰が見てもマッチョと言わざるを得ない、盛り上がった筋肉、そして、いつも笑顔を絶やさないヒーロー、オールマイト。
彼が、目の前に立っていた。
「情けない。君らに任せて、何も出来ないとは、実に情けない!」
「オールマイト!」
小声で、何かを呟きながら、攻撃してこようとする
「デトロイトスマッシュ!」
とんでもないくらいの爆風とともに、
「…………すげぇ。」
ふと、心で思った事が口に出ていた。
しかし、それもつかの間、雨が降り出した。
オールマイトは空に手を上げ、群衆は一斉に歓声を上げる。
俺は、すごいなぁと感心しつつも、出久の方へ寄る。
出久はオールマイトのあの一撃の風圧で気絶していたが、それに気にせず、その頭をなでる。
「……お疲れ様、出久。」
そのあと、散った泥水みたいなのはヒーロー達により回収され、警察に。
そして、出久は説教、俺と爆豪は賞賛された。
けれど、俺はヒーロー達の話は聞かず、ずっと出久を見ていた。
心の中で、出久が俺の過去を引き裂いてくれた事に感謝して。
俺は、昔は人を殺す裏の者。
だけど、それは昔の事。
出久は無個性なのに、それを気にせず爆轟を助けた。
ならば、力も関係無いならば、俺の過去も関係ない。
今の俺は、過去の俺ではない。
力を闇にするのではなく、光にする。
それで、いいはずだ。
「俺も、雄英受けるか……」
「ああ!?なんでてめえまで受けるんだよ!」
ぼそっと呟いたのが聞こえたらしい。
爆豪がものすごい顔で怒っていた。
どうでしたか?
言葉とか、話とか、かみ合っていなかったら、教えてください。
また、誤字脱字の報告もあったらお願いします。