あの
俺は、少し気になることが出来た。
それは出久だ。
出久はあの事件以来、少しやつれているようにも見え、心配していたのだが、いきなり授業中にブツブツと言い始めて、いったい何が起きているのかさっぱり。
けど、出久に質問しても、誤魔化されて何も答えちゃくれない。
だから、尾行することにした。
…はっきり言おう。
出久、何度も吐血してるそのガリガリ親父は誰だ?
俺は、学校が終わると、すぐに学校から去る出久を追いかけ、尾行していると、何年も放置され、海すら見えなくなったあのゴミだらけの場所で、ごみを一生懸命運ぶ出久の姿を見た。
……もしかして、あいつ、あのおっさんにコーチしてもらってる?…な訳ねえよなぁ
一先ず、出久が何をやらかしているのかはわかったので、早急にその場から離れ、出久が受験に向けて努力していることを知った俺は、すぐさま家に帰った。
「ただいま~。」
「あら、お帰りなさい。」
昔の日本を描くような古い屋敷を足音立てずに上がり、自分の部屋へと向かう。
その途中、じいちゃんに会い、軽く会釈してから、何も話さず部屋に入った。
「……ふう。……俺もまだまだだなぁ。」
いつもは、大はしゃぎでじいちゃんにダイブする俺だが、今はそんな気分にはなれなかった。
「オールマイト…か。」
その理由はただ一つ。
あの事件にの時に見たオールマイトの力に、圧倒的な何かを感じたからだ。
前世では、殺しをやっていて、それなりに強いやつ、化け物級の奴とも戦ったことはあった。
けど、オールマイトはそれを超えていた。
強い。
強すぎる。
今の俺じゃあ、一ひねりだ。
だから……
机の横に飾ってある、人間の顔を模った仮面だ。目の所には、目を閉じたら三日月の文様になるように施された模様が描かれている。
それは、俺が前世に囚われていた原因の一つ。
けど、これはただの仮面ではない。
生前に瘴気とも言ってもいいほどの憎悪、執念、言わば負の感情を持ったまま死んだ霊がこの仮面に閉じ込められている。
つまり、とんでもなく危険な代物。
そして、こいつはその仮面の中でも特に危険な霊が閉じ込められている。
あまり詳しくは聞いていないが、とても腕の立つ剣士だったそうだ。
さらに、俺の一族は妖術を使う。
よって、俺はこの仮面の霊の力を、この仮面を被ることにより、俺は使うことが出来た。
しかし、今はその妖術を使う一族の血も、力も持っていない。
なのに、これは来た。
俺を追って。
一番最初は何も考えずにその仮面をつけた。
その後の記憶はあまり覚えていない。
けど、母さんが入院した。
原因は
母さんは、ちょっと包丁でやっちゃっただけと言っていたが、こっそりと見た母さんの背中の傷は、いつも俺が見ていた死体と同じだった。
俺は仮面の霊に意識を取り込まれていた。
俺は前よりも弱い。
だから、こいつをそれ以来被っていない。
けど、出久は頑張ってる。
それに、こいつを克服しなければ、何時までたっても弱いまま。
オールマイトになんか勝てやしない。
……プロヒーローに勝ってどうすんだよ。
まぁ、だから、これを制御してやろうと思う。