なぁ、本当にこれがあの“一番危険な仮面”の霊なのか?
“なあなあ!刀よぉ!ひっさしぶりに話しかけてくれるのはありがてぇが、どうした?”
勘弁してくれ…
俺は、この仮面の霊に打ち勝つ為に、まずは誰にも邪魔されないよに人がこない場所に仮面を持って行った。
そして、人がいないのを確認しつつ、この仮面に付けていた紺色の宝石がついたイヤリングを外す。
このイヤリングは、仮面に封じ込められた霊を完全に閉じ込める作用がある。しかし、そのイヤリングを外しても、霊は仮面から出ることは出来ず、ただ、念で話してくるだけなのだ。
「さて、昔は怖くて会えなかったが、どんな奴なんだか。」
“へえ!やっぱり昔は怖かったのかよ!笑えるねぇ!”
うん。ついさっき、念で話しかけてくるとは言ったが、こんなにフレンドリーって……正直に言って、もっと怖いの想像してたんだけどなぁ……
「へぇへぇ。笑えますかい。」
“ああ!笑えるなぁ!この世界もだが!”
「……わ、笑えるのか?こんな所でも…」
ずっとケラケラと笑う霊に少しばかり引きながらも、この世界を恐ろしいではなく、笑えると言ったその言葉に惹かれていた。
“ん?ああ!こんなに強い奴が沢山いてよ!戦うことになったら、どんだけうれしいか!”
ピクッ
霊のその一言に、俺はある事を思いついた。
「……もしかしたら、出来ると思う。」
“ああ?”
「もし、俺にその力をくれるなら、出来ると思う。だから…」
こいつが今一番したいことを、取引で成立させればいいのだ。
“へ~。そんなに力が欲しいんなら、被ればいいじゃねぇか!俺も強い奴と戦えるなら本望だしな!”
しめたと思い、仮面を顔の近くまで持ってくる。
「じゃあ、これからよろしくな。俺は知っての通り、刀。お前は?」
“俺はカシャリア!カーリアでいいぜ!”
俺は、躊躇なくカシャリアを宿す仮面を被った。
“にっ”
瞬間、目の前が真っ暗になりかけた。
「っな!?」
とっさに仮面を外し、地面に叩きのめす。
カシャリアはカラカラと笑い、自力で空中に浮かぶ。
「……カーリア、どういうことだ。力をくれるんじゃ…」
“俺は被ればいいとしか言ってねぇえよ?”
冷たいような、殺気を感じさせる声を俺にぶつけるカシャリア。
仮面は表情を変えずにいるも、奴の声から感じる何かは、その仮面に宿るに相応しい、大罪人の者。
それに圧倒されつつ、息を飲んだ。
「は、話が違う!」
“甘ったれるな!”
「は?」
カシャリアから意外な一言が出て、頭が真っ白になった。
甘ったれるな…?どういう意味だ?
“俺はこれでも強者として生きていたつもりだ。それを、覚悟もない、ましてや俺より劣るてめえに、力を貸すつもりはねぇ。”
「……」
“が、それでも力が欲しいのなら、俺に認められて見ろ!でなきゃ俺の力はいつまで経っても使えねぇぜ?”
こいつは、俺が思っていたよりも、どうやら面倒くさい奴だったのを、この時悟った。
だけど、もっと強くなる為には、こいつを使いこなさなきゃならない。
やるしかないな。