某年の12月24日。世間一般ではクリスマスイブとも言われる行事で、街は本来ならば賑わいを見せている筈の日。
人の歴史が焼却されちゃったりしてる世界では、必死に全国のマスターが素材をかき集めるために異形のモノを狩ってたりするのだが、それは一先ず置いておこう。
このカルデアの48人目のマスター候補(過去形)は、マイルームで大量の虹色に輝く石と不思議な文様の札を揃えて笑っていた。
「さてと、そろそろ本気出すか」
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───ここカルデアの一室で、ゆるふわな髪の白衣姿の男性が頭を抱えていた。彼はこの施設の現状において、実質的にトップの立場にいる。
「どーすんの!?今年あと1週間だよ!?!?無理じゃん!!!!人類救うの無理じゃん!!!」
普段の優しげな口調などどこえやら、涙目で叫んでいた。というかもう泣いていた。
「済まない、マリー。僕には彼を動かすことは出来なかったよ………。」
医療部門の責任者でもある男性、周りからはDr.ロマンという愛称で親しまれている彼、ロマニ・アーキマンは、失意と不安、様々な負の感情により顔を落としてしまう。
たった一人のマスターを動かすことすら出来ない自分を責め、自己嫌悪する。
(あぁ…どうしてこうなったんだろう)
恐らく今日も48人目のマスターは動かないのだろう。そして、それを他の職員達に伝え、失望されるのだろう。指にハマる形状の金属の輪を見ながらロマニは重い腰を上げる。
──覚悟など、既に出来ているのだから。
震えてなどいない、例え震えていようとも自分が止まることなど許されない。彼は優秀ではあるが、もう一人の変人のような天才ではない。
普通であれば既に何度倒れているのかも分からないほど頑張って、それに見合った報酬など無く、心から信頼できる味方などどこにいるのか、そもそもそんな人物が居るのかすら分からない。
そんな中でいつ起きるかも分からない心配事の為に学び続ける。言葉にするのは簡単でも、一体どれほどの人がそれを実行できるだろうか。
もう、十分過ぎるほど戦ってきた。恐らくここで全て投げ捨てても彼を責められる者など居ないだろう。
だがしかし、それでも彼は、ロマニ・アーキマンは立ち上がる。
聖杯を巡る物語が始まって以来、自室から出てこない48人目のマスターを動かす為に。
むつかしい……