俺の知ってる給糧艦と違う   作:モルスァ1987

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3話にしてやっと着任(ただし本編は次回以降)

ストーリー展開遅い上に書き溜めがないので、私事の都合で簡単に不定期になります。
気長にお待ちください。


着任

 

「ここが柱島泊地か……」

 

目の前の建物を見つめつつ、長旅の疲労で凝り固まった筋肉を伸ばす。

横須賀から山口県へ向かい、岩国港から船に揺られる事1時間弱。

高校時代の修学旅行並みの遠征距離に若干へとへとになりつつもやっと到着した訳だ。

ちなみに地理的には広島湾内にある訳だが、住所的には山口県になる。ここ、テストには出ません。

 

「さて、お出迎えはどこかな~?」

 

一応迎えを寄越すと事前に連絡があったのだが。

ふと何やら複数の視線に気付き振り返る。すると……

 

「おいおい、なんぞこれ……」

 

そこには立派な横断幕が張られ、でかでかとこう書かれていた。

「祝 間宮さん着任 柱島へようこそ!!」と。

そしてその横断幕の下には、軍服姿の女性と艦娘とおぼしき数名が、こちらを見ながら手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艤装の定着儀式後、見事に気を失ってしまった俺。

次に目を覚ました時には見知らぬ天井を見つめていた。

辺りを見回すと、そこは白で統一された清潔そうな部屋。ベッドの他にはテレビなどの必要最低限な家電が設置されている。

どうやら俺が気絶している間に、病院へ搬送されたようだ。とりあえず喉が渇いたのでナースコールを押すと、すぐに看護師がすっ飛んできた。

ちなみにメッチャ可愛かった。

 

「大丈夫ですか?何か体に異常は?」

「いえ……少し身体がだるい位で、他には特に」

「そうですか、よかった……」

 

本当に心配してくれていたようで、心底安心した表情を浮かべる看護師。

男が極端に少ないこの世界で、3日も目を覚まさない男性患者……うん、仕方ないね。

とりあえず喉が渇いたことを伝えると、手ずから吸飲みで水を飲ませてくれた。

こんな可愛い看護師さんに水を飲ませてもらえるというだけで、気絶した甲斐があったかも知れない。

まぁこの世界に居る以上、言えばだいたいの女性がやってくれるとは思うけど。

 

「それで、俺ってどうなったんですか?何か病気とか?」

「あ、その辺り説明しなきゃですよね。今先生呼んできますね」

 

そう言い残して部屋を出ていく看護師。ああ、目の保養が……

そんな事を考えたのもつかの間、今度は白衣を着たクールな感じの女性が入ってきた。

いかにも「仕事がデキる女医」という感じだ。これはこれで。

 

「無事に目が覚めたようでよかった」

「お手数をおかけしました」

「いやいや、それが仕事だからね。それに君の様な男性を診れたのは、ある意味こちらも僥倖だったよ」

 

そんな事を言いつつこちらを見つめてくる女医さん。

ああ、この世界ではスタンダードな「肉食系女子」だ。間違いない。

 

「それで、俺はどうなったんでしょうか?」

「前例が無いので確証はないんだが……」

 

そう前置きしつつ、現状の説明をしてくれた。

どうやらこの女医さんは艦娘の研究にも精通しているようで、詳しく教えてくれた。

俺が何故気絶したか……それは単に身体への負担が許容範囲を超えたから、らしい。

 

通常は、1人の艦娘に適性のある艦は1種類だけなのだが、何故か俺だけは100を超える艦との適性があったらしい。

この辺りは、転生前の知識があるからなのか、もしくはこれが転生特典なのかもしれない。

相変わらず神様も女神様も出てこないので、本当の所は不明ではあるが。

だが、あくまで最も適性のある艦は「給糧艦 間宮」であり、それ以外の艦だと身体への負担が大きいのでは、というのが女医さんの見解である。

 

「じゃあやっぱり、戦艦や空母として戦うのは無理ってことですね……」

「いや、そうとも限らない」

「え?」

「今は負担が大きいが、ある程度身体が慣れれば複数の艤装を使い分けることも可能かもしれない……あくまで可能性があるというレベルだがね」

 

なにそれ、つまり「歌って踊れるアイドル」みたいな感じで、「料理万能かついろんな戦法で戦えるオールラウンダーな給糧艦」になれるかもしれないってこと?

やっぱり俺の知ってる給糧艦と違う……メッチャ憧れるけど。

ちなみにさりげなく自分を「料理万能」とか言っちゃってるけど、別に驕ってるわけでは無くて、定着の儀式の時に自分の知らない料理の技術や知識が入ってきたのが分かって、一気にレパートリーが増えたから。

正直気絶云々の問題が無ければ、すぐにでも料理したい位だった。

 

「ちなみに軍としては、その適性を大いに活かしてほしいみたいだ。隠れた副作用が無いとは言い切れない分、私個人としてはオススメしないがね」

「そうですか……」

 

隠れた副作用とか言われるとちょっと怖いけど、それ以上に好奇心が勝っている。

そんなチートじみた能力を発揮できる才能があるかもしれないのだ。うだつの上がらない平々凡々なサラリーマンだった俺が。

適性が給糧艦と言われて一度はどん底まで落ちたヤル気も、沸々と煮えたぎっているのが自分でも分かる。

 

「その様子だと、頑張ってみる気満々のようだな」

「ええ、せっかくの適性ですから。やれるだけやってみます」

「あまり無理はしないようにな」

「また気絶した時はよろしくお願いしますね」

「……そうならない事を祈るべきか、また君を診れる事を幸運と考えるべきか。後者だと医師失格なんだがな」

 

そんな冗談を言いながら、部屋を後にする女医さん。

去り際までクールな女医さんに軽く惚れそうになったのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから更に半年、またも訓練に明け暮れることになる。

最初こそ気絶しまくりだったが、女医さんの見解通り、半年も過ぎた頃にはだいぶ身体が慣れて来た。

とはいえ長時間艤装を展開するのはまだ難しいし、それぞれの艤装での戦い方を頭に叩き込むのはなかなか骨が折れた。

軍部も前例が無いので最初は手探りな状態だったようだが、複数の艤装を同時に展開できるようになると、色々と注文を付けてくるようになった。

そのおかげもあってか、まだ「俺TUEEEEE!」できる程ではないにしろ、大凡各艦種の代用ができる位までは成長した。

ちなみに料理の腕も順調に上がっており、今では甘味で軍部の女性達を喜ばせる程となった。

やはり間宮としての適性があるからか、特に羊羹やアイスクリームの評価は非常に高かった。

 

そして手探りの訓練課程が終了し、実際に鎮守府へ着任する事になった。

なったのはいいが、今度はどこの鎮守府に着任することにするかという問題が立ち上がった。

それもその筈、日本海軍が指揮している鎮守府全てから着任の嘆願書が届いていたのだから。

「オールラウンダーな戦法」を取れる艦など他に存在しないので、それだけでも喉から手が出る程欲しいようで。

そこへ来て基本軍部の人間も女性で構成されているこの世界、もちろん鎮守府の提督も女性であるから、「男の艦娘」で尚且つ「甘味」という甘いキーワードが付属すればもうたまったものではない。

結果、軍部の厳選なる抽選となり、選ばれたのが一番着任が新しい「柱島泊地」だったのだ。

そして本日、めでたく着任となった訳だが……

 

(まさか横断幕まで用意されてるとは……いきなり期待で押しつぶされそうです)

 

予想以上の歓迎っぷりに若干引きつつも、笑顔で手を振る提督らしき人物の元へ歩んでいく。

給糧艦 間宮、本日着任です!

 

 

 

 

 

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