俺の知ってる給糧艦と違う   作:モルスァ1987

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気付いたらお気に入りが100超えてたでござるの巻……なにこれ怖い。
正直な所、10話で2~30のお気に入りがもらえればいいなと思っていたので、割とビビってます。
でもとりあえず、ありがとうございます。

また、いろいろご指摘やご叱責を頂いておりますが、全て自分の糧にできればと思っております。
もちろん自分の信念上曲げられない部分も多々ありますが、これからも大いに学ばせていただきたいので、ご指摘などは随時募集中です。


梅まつりと初出撃

 

「…………」

 

調理場の隅。

俺は無言で、そしてひたすら無心に目の前の作業に没頭する。

右手には竹串、そして左手には立派に育った梅。

その梅のヘタと身の隙間に竹串を差し込み、グルンと捩じってヘタを取る。

人によっては見ているだけでブチ切れるであろう作業を、特に苦とも感じずに行うのには理由がある。

これから人生初の梅干し&梅シロップを作るからだ。

 

転生前から興味はあったものの、なかなかいい梅を手に入れることが出来なかった為半分諦めていたのだが、先日鎮守府の近所に住むおばあちゃんから大量の梅を頂いたので、早速こうして下準備に取り掛かった訳だ。

……どうやら俺の事がだいぶ話題になっているようで「料理がべらぼうに上手なあんちゃんが来た」的な噂で持ちきりらしい。

流石にべらぼうは言い過ぎだと思うのだが、俺が来る前までの不健康な食事も知れ渡っていたみたいで、「鎮守府の皆においしい料理食べさせてやんな!」といろいろ食材を持ってきてくれるのだ。

 

とりあえず上手く出来たら、梅をくれたおばあちゃんにおすそ分けしに行こうとは思う。

まぁ今日作り始めたところで、出来上がるのは梅干しなら1ヶ月以上、梅シロップでも半月以上も先の話ではあるが。

こういう時間のかかる料理も嫌いではない。昔は漬物とかも作ってたし。

こらそこ、ジジくさいとか言わない!

 

「よし、あらかた取り終わったかな?」

 

ヘタを取り除いた梅を、2つの煮沸消毒済みのビン容器にぶち込む。

そして片方にはあら塩、もう片方には砂糖をこれまた大量にぶち込んでいく。

言わずもがな、あら塩の方が梅干しで砂糖の方が梅シロップになるのだ。

あとは梅干しの方だけ上から重しを乗っけて、しばらく冷暗所に置いておけばいい。

梅シロップの方はちょこちょこかき混ぜないといけないので、忘れないようにしなければ。

 

「ふぅ……さて、どうするかなぁ」

 

時計を見るとまだ15時前。

そろそろ夕飯の下ごしらえをし始めてもいいけど、まだ人数も多くないしそこまで焦る時間じゃない。

 

「暇だなぁ……こんな筈じゃなかったんだけど」

 

そんな独り言を呟いてしまうのも、全ては1週間前の初出撃のせいである。

そう、先見の明が無い俺は盛大にやらかしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好評のまま終わった歓迎会の翌日、早速提督から出撃の話がもたらされた。

内容は鎮守府近海のパトロール、つまりゲームで言う所の1-1である。

 

「間宮さんの実力については大本営から聞いてるけど、流石に信じられないというか……あっ、間宮さんの事を信じてない訳じゃなくて、どの位の戦力なのかなぁって」

「大丈夫大丈夫、気持ちは分かるから」

 

そう言って慌てふためく提督を宥める。

そりゃあ「戦える給糧艦」なんて言われてもピンと来ないだろうし、俺自身そもそも実戦経験は0なのだ。

100の訓練より1の実戦。

提督は俺の戦力がどの位か図る事ができるし、俺自身も貴重な体験ができるWIN-WINの関係なのだから、拒む理由はない。

 

「とりあえず今回は、全員で出撃してもらおうかなって。私は無線でしか戦況が分からないし、一度皆に見てもらった方が後々戦術も立てやすいし」

「了解。どっちにしろ案内役がいないと、どこをどのルートでパトロールすればいいか分からんし」

「あ……そ、そうそう!」

「気付いてなかったんかい……」

 

若干提督の落ち度を垣間見た気もしたが、何はともあれ全員での出撃と相成ったわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな~、準備できたか~?」

「はい!」

「大丈夫、です」

「由良も大丈夫」

「いつでもいけるクマー」

「こっちもOKだ」

「よ~し、ほんなら行ってくるで~」

 

皆の準備が出来ている事を確認した龍驤が、提督に手を振りながら先頭を進んでいく。

後ろの方から「夕飯までには帰ってきてね~」というのんきな声が聞こえてくる。

なんとも緩い空気だが、和気藹々としていて嫌いじゃない。

 

警備自体は単純なもので、決められたルートを見回って、深海棲艦がいたら撃退する。

その深海棲艦もこの辺りにはあまり出現しないようで、むしろ何も無い時の方が多いらしい。

……本当にこの泊地は必要なのだろうかという気もするが、今は深海棲艦がどんどん幅を利かせてきているので、そのうちこの辺りも激戦区になる可能性は否めない。

 

そんな縁起でもない未来を予想しながらパトロールを進める一行。

天気は快晴、波も穏やか。

今回は何も起こらず終了かなぁなどと思いながら海上を進んでいると、不意に真面目なトーンで龍驤が呟いた。

 

「珍しい、今日はお客さんが来てるみたいやな」

 

偵察用に飛ばしていた二式艦上偵察機(彩雲はまだ無いらしい)を戻しながら遠くを見る龍驤。

その方向へと視線を向けると、はるか遠くに黒いゴマの様なものが浮いている。

それらはこちらへ向かって真っすぐに向かってきている様で、すぐに「深海棲艦」だと分かる位置まで接近してきた。

敵影は5、軽巡を旗艦とした水雷戦隊のようだ。

あれ?1-1の割には随分と大所帯だなぁ。

 

「久しぶりに団体さんの登場やな。皆気張りや!」

「はいっ!」

「が、頑張りますっ!」

「春雨ちゃん、リラックスしてね、ね?」

「固くなってたら敵の思う壺クマよ?」

 

俺を抜いたメンバーだと春雨が一番着任が新しいらしく、団体さんのお相手は初めてらしい。

そりゃあさすがに緊張するわな。頑張れ春雨!

 

「せや、間宮さんも艦載機飛ばせるんよね?」

「ああ、一応は。提督からの指示で九七艦攻と九九艦爆は積んできた」

「ほんなら開幕爆撃と行こうや!」

「了解!」

 

そう答えると、空母用の艤装を展開して手早く発艦準備を行う。

積んでるのが旧式の艦載機ばかりだが、余ってたのがこれ位しかないので仕方ない。

 

この世界では、空母の艤装には艦載機の「型」と呼ばれるものを装備させる。

その型というのが、九七艦攻や九九艦爆と言われるものであり、各空母はその型を元に自分の最大搭載数分を「コピー」して飛ばすことになる。

そして撃墜された分空母の搭載数も減り、鎮守府で補給することによって回復する。

最初教わったときには「なるほどな」と思ったものである。

そして今回、龍驤は九九艦爆と彗星、そして二式艦上偵察機という装備で、俺の方は余っていた九七艦攻と九九艦爆という装備なわけだ。

 

龍驤は敵に向かって九九艦爆9機、彗星24機を発艦させた。

なるほど、やはり搭載数はゲーム準拠っぽいな……と思いつつ、俺もありったけの艦載機を発艦させた。

……させてしまったのだ。

 

「なっ!?」

「ふえっ!?」

「凄い数……」

 

今回は2種類の型しか渡されなかったので、ゲームで言うスロット1と2の搭載数が多い空母―――瑞鶴改二甲の艤装に装備してしまっていた。

艤装から九七艦攻34機、九九艦爆24機という大量の艦載機が敵を襲う。

いくら旧式とは言えこの搭載数である。

瞬く間に深海棲艦達を蹂躙し、気付けば戦闘は終了していた。

ちなみに余談だが、瑞鶴の艤装を展開しても、彼女が使うような弓までは出てこなかった。

一度射ってみたかったのだが、こればかりは仕方ない。

 

「……」

「……えーと」

 

何とも居たたまれない空気になってしまった。

龍驤に至っては口をあんぐり開けて固まっている。

まずいな、これはやらかしたか?

 

「お、おわった……な?」

「もう、間宮さんだけでええんちゃうか……?」

「!?」

 

明らかに意気消沈とした龍驤が、そんな事を呟きながらノロノロと鎮守府方面へと戻っていく。

そんな龍驤を、他の艦娘達が慌てて後を追う。

唯一その場に残っていた球磨が、何とも言えない表情で呟いた。

 

「間宮さん、大型の主砲や魚雷も使えるって本当クマ?」

「あ、ああ。一応全艦種の艤装は扱えるけど……」

「……球磨たちがお払い箱になる日も近いクマね……」

「ちょっ!?」

 

慌てて呼び止めようとするも、聞く耳持たずという様子で皆の元へ行ってしまった。

 

(どうすりゃいいんだ……これ?)

 

まさか着任2日目で仲が拗れると思っていなかった俺は、皆とは別の意味でしょんぼりしながら鎮守府へと戻るのだった。

 

尚、鎮守府に戻った俺たちの様子を見て提督が詰め寄り、理由を聞いた提督が「皆の練度が上がるまで、間宮さんは給糧艦の仕事に専念!」というお触れが出されたのは言うまでもない。

これが歴戦の兵たちが揃う最前線の鎮守府であれば、もしかしたら立派な戦力として歓迎されたかもしれない。

だが今回俺のやった行動は、言うなればキラキラが付いている皆のCond値を一気に下げた事に他ならないのだ。

とりあえず給糧艦としてせめておいしい料理を振る舞って、徐々に拗れた仲を戻すしかあるまい。

そう心に決めた俺は、今以上に料理に精を出すことを心に決めたのだった。

 





いろいろと無茶な設定が蔓延っていますが、元々トンデモ世界のお話ですのでご了承下さい。
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