咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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入学編オーラスです


第11局[終幕]

そして土曜日、臨時の公開討論会を迎えた。

 

今日咲は本家の仕事があるとのことで欠席だ。咲の未来視で今日あることは既に聞いている。深雪の怪我はないそうだが咲自身未来視は絶対でないと言っていた。咲の未来視は達也の知る限りでは外れたことはないが咲はずらされると未来視と違うことが起きる可能性があると言っていた。何がずらされるのかはよくわからなかったが。

 

 

「達也くん、今日咲は欠席か?」

 

「ええ、家の用事があるとかで。先輩に対しての預かり物ですよ、緊急事態が起きたら読んでくださいだそうです」

 

「何が書いてあるんだ?」

 

「さあ、読んだらわかるんじゃないですか?」

 

達也は昨日咲から預かった厚い封筒を渡した。摩利は不思議そうに見ていたが折りたたんでポケットにしまった。

 

講堂には数百の生徒が集まっていた。風紀委員も万が一暴力手段を取った場合に備え咲以外全員この講堂についている。

 

討論会自体は緊迫した雰囲気であったが感情的になることなく進んでいる。やはり寄せ集め集団にすぎない同盟側は七草先輩に論破されていた。

 

七草先輩は一科生二科生の溝の改善として二科生は生徒会に所属できないという規則を退任時に行い意識の克服も行いたいと最後締めた。咲も意識の克服が必要と常々家でぶつくさ言っていたので咲も聞いたら喜ぶだろう。まあ知っているだろうが。

 

時計を見ると予測時間1分前になっていた。達也も目を使って周囲を見ると進行してくるテロリストが見えた。なるほど相変わらず咲の未来視に狂いはないようだ。

 

「きますよ」

「何!?」

 

爆発音が聞こえて講堂が揺れると同時にガスグレネードのようなものが投げ込まれ明らかに生徒ではないガスマスクをつけ武装している侵入者が突入してきた。

 

ガスグレネードは着地しガスを巻き散らそうとした瞬間に服部先輩が収束させガスごと外に追い出し、ガスマスク部隊は渡辺先輩が全て無力化した。

 

 

「渡辺先輩、敵の狙いは図書室で閲覧できる秘匿技術の資料です、俺と深雪はそこに向かいます」

「わかった」

 

なぜ達也が敵の狙いがわかったのかは疑問だったが有無を言わせぬ迫力だったので摩利は許可した。そこで討論会前に貰った封筒を思い出した。

 

「咲はこれを予測していたのか…」

 

封筒を開けると出だしはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

この封筒を開けているということは私が見た未来通りにことが進んでいます。私は未来が見えます。証拠はこの手紙を読む前渡辺先輩がガスマスク集団を無効化し服部先輩がガスグレネードに対応しました。達也と深雪は図書室に向かったと思います。信じてもらえたでしょうか。

幸いこの襲撃に高校側に死者は出ません、しかし怪我人が出ます。それは数的不利や不意打ちを食らった場所がほとんどです。その箇所の時刻と場所、敵構成などをこれから下に書いていきます。

 

 

 

 

摩利はこの手紙は単なるいたずらとしか思えなかったがここにいない咲が詳しい事実を知っている以上咲の未来視は事実なのであろう。摩利はこの手紙を鈴音に見せ人員の手配を始めた。

 

 

 

 

 

達也は図書室につき精霊の目を使うと特別閲覧室に人がいるのが見えた。どうやらここも咲の未来視通りだ。階段下にも何人か伏兵がいる。

そのことを深雪に伝え達也と深雪は堂々と正面から入っていった。

バレている伏兵などただの案山子と同じだ。達也と深雪は瞬きする間に伏兵を無力化した。

特別閲覧室の扉を分解し中に入るといたのは壬生先輩を含めて5人

 

「産業スパイというやつか?残念だがお前たちの野望はここで終わりだ」

「四葉君…」

 

達也は記録用キューブに分解を発動すると男たちは驚いたようだった。

 

「クソ見られたからには容しゃ…ぐわあああああ」

 

見れば拳銃を抜こうとした男たちは深雪によって手が凍らされていた。

 

「壬生先輩。これが現実です」

「え…?」

「誰もが同じように優遇されるそんな世界。そんな世界はあり得ません。本当に平等な世界を作るなら誰もが優遇される世界ではなく冷遇される世界。壬生先輩は平等という甘美な言葉に騙されたにすぎないのですよ」

「差別をなくすのが間違いだったとでもいうの?でも実際に差別はこの学校にもあるじゃない!四葉君だって四葉家の人であんなに動けるのにそこにいる出来のいい妹たちと比べられ二科生ってだけでみんなから侮辱を受けたはずよ!」

 

達也はやばいと思ってチラッと横を見ると深雪がやはり怒っていた。

 

「みんなからですか?私やお姉様は少なくともお兄様を蔑んだりはしません」

 

深雪は咲がキレた時に似ている冷たい声で言った。

 

「たとえ私以外の全人類が、たとえお姉様までもがお兄様を侮辱したとしても私は蔑むことはありません。貴女にはそのような人はいませんでしたか?いいえ、そんなことはないですよね、お兄様は貴女を認めていらっしゃいました。誰よりも貴女のことを劣等生と呼び、雑草と蔑んでいたのは貴女自身なのです!」

「私自身が…」

 

「それにお姉様は言っていました、一科生二科生の問題の大元は一科生の驕りの意識と二科生の自身を卑下する意識の問題だと。なぜ二科生の貴方自身が気づかないのですか!」

 

達也が砕いて深雪がさらに砂にするような追い打ちをかけるような言葉に壬生先輩は棒立ちになっていた。

 

「何をしている、壬生!早く指輪を使え!」

 

壬生先輩が反射的にアンティナイトを使い男たちはスモークグレネードを使い体当たりして来たが鳩尾に1人一発合計4発殴りこむことにより沈黙させた。

壬生先輩はまだ棒立ちであった。

 

「壬生先輩すみません、少し寝てて下さい」

 

そう謝り達也は壬生先輩を気絶させた。

 

 

 

 

 

 

 

保健室で壬生先輩が起きるのを待ち起きてから話を聞くとやはり壬生先輩はマインドコントロールを受けていたようだ。しかしこのままでは壬生先輩は強盗罪で家裁送りになってしまう。

 

「さてと、あとは本隊を叩き潰すだけですか」

「危険だ、高校生にしては相手が大きすぎる」

「壬生先輩が家裁送りになれば学校の管理責任も問われると思いますが?」

 

達也の意見に渡辺先輩は反対だが学校に迷惑をかけるのも嫌なようだ。

 

「確かに警察の介入は良くないだろう」

 

真由美と摩利は十文字がこんな危ない提案に乗るとは思っておらず驚いた。

 

「だがな四葉、お前たちがいかに裏の仕事に長けてるかといって相手はテロリストだ。俺はお前に命をかけろと言わない」

「そうでしょうね…初めから力は借りようとは思っていません」

「1人で殲滅するつもりか?」

「本当ならそうしたいのがやまやまなのですが」

「お兄様、私もお供します」

「もちろんアタシも行くわ」

「俺もだ」

 

深雪エリカレオが同行を言い出し苦笑いを浮かべながら克人を見た。

 

「そうか、それなら俺も行こう」

 

「その必要はありません」

 

克人がそう提案したすぐ後に保健室入り口から声がした。その声の主は今日欠席のはずの咲だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の未来視で私は手紙を送らない最初の未来は重傷者が出るのが見えた。手紙を送る未来に変えた場合も見るとそちらの方が重傷者は出ず負傷者が少なかったのでこの理由により渡辺先輩に手紙を送ることにした。戦闘開始前に見せなかったのは未来が変わって襲撃がなくなった場合も考えたのと前に見ても後に見ても結果は変わらなかったからである。この分岐する二つの未来を見る能力は5決で怜が身につけた能力である。この能力を使えば未来が曇ることは少なくなる。しかしこの能力は二巡先のようにぶっ倒れることはないが一巡先見るよりも体力を使うので昨日は達也に話した後は本を読むことなく寝ることとなった。

 

今私が学校を休んでやっていることは学校を襲うブランシュ以外のメンバーの処理だ。

 

なぜ学校を襲うメンバーを排除しないかというと一種のガス抜きだ。同盟側は二科生差別などでストレスや不満などが溜まっている。もしブランシュのメンバーを排除しテロがなかったとする。そうした場合発散できずまた不満がたまっていき同じような事態を起こすかもしれない。しかし襲わせある程度ガス抜きをし少し痛い目に合わせることで反省し二度とこんなことを起こさせないようにするという算段だ。

 

今回の作戦は私1人ではいろんな場所を回るのは無理なので四葉本家に協力して貰っている。協力の要請をお母様にしたところ珍しく仕事のやる気がある(いつもはない)ということで増援をよこしてくれた。

午前中にあらかた支部は潰し終わりあとは本隊だけとなっていた。

 

「咲様、最後の場所は?」

 

「お母様から送られて来た情報によると町外れの廃化学工場ね、学校の目と鼻の先にあったなんて」

 

そう言って十数人の配下と共に廃工場に向かった。

 

 

 

 

廃工場の敷地に入り精霊を使って中の人数を調べてみると50人ほどであった。

 

 

「ちょっと人数が多いから私だけでいってくるわね、逃さないつもりだけど貴方たちは脱走兵を処理して」

 

「咲様だけじゃ危険です。私たちもついて…」

 

「これは命令よ、二度目はないから」

 

冷たい声で言い放ち中に入って行く。

あれは咲なりの優しさだと配下たちはわかっていた。自分たちを殺させないために自分1人で行ったのだ。

四葉は配下を使い捨てにすることが多い。それを配下たちもわかっている。しかし咲は絶対にそうしない。母親に配下は道具だと言われているはずなのだが咲なりの信念があるのだろう。

配下たちからみると咲は異端で特別な存在であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ鳥は空を飛ぶのか

翼を持つ鳥は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひらけた倉庫のような場所に出て咲を出迎えたのは50人近くの配下を従えたリーダーとおもわしき男だった。

 

「君が四葉のプリンセス、四葉咲さんか」

 

「貴方がブランシュのリーダー?」

 

「おっと、そうだね自己紹介をするとしよう。私がブランシュのリーダー、司一だ」

 

なんか小説で出て来そうな黒幕をイメージしていたので少し残念な気分だった。中年の男性とか一番面白くない。

 

「一応投降勧告しとくわ、武器捨てて頭に手を置きなさい」

 

私は腕を組みながら言う。だがリーダーは面白そうなものを見る目でこっちを見ていた。

 

 

「銃くらい持ってきてると思ってたが、銃はおろかCADも持って来ていないなんて。魔法師だって撃たれれば死ぬんだよ」

 

撃たれても死なない人を知っているが余計なことは口に出さない。

 

「私は魔法師じゃないもの」

 

「おっと、そうだったね。君はまだ学生だったね。今回の計画にはそれなりにコストと時間をつぎ込んでいるんだ。ここで引くわけにはいかない。だが君のアンティナイトを必要としないキャスト・ジャミングはとても興味深い。なおかつ素晴らしい魔法力。もし君が我々の仲間になると言うのなら、今回の件は水に流してあげよう」

 

あの試合を見た生徒から聞いたのだろうか?私しか使えないだろうし意味ないだろうになあ。

 

「言いたいことはそれだけ?」

 

「四葉咲、今から我々の同士だ!」

 

そう叫ぶと同時に目の前にピカピカと光が点滅した。そろそろ茶番に飽きて来たので一つ背伸びをした。

 

「な、なんだと…」

 

「その魔法って意識干渉型無系統か光波振動系魔法のイービルアイでしたっけ?それに似たような魔法にポリゴンショックってのを知っていまして。でもひどいのですよ。ポリゴン何にも悪くないのにメインキャラの圧力に負け出禁にされたのですよ?知っている人はなんでやポリゴン関係ないやろ!と言ったぐらいですわ」

 

この世界では知り得ない知識とともに相手の種を明かしてあげる。

 

「なぜ効かないんだ」

「そういえば貴方の魔法師発言を訂正してあげます」

「どういうことだ…」

「確かに私は魔法師ではありませんわ、神ですわ」

 

私はまるで天使のような大きい金色の翼を背中から出して宙に浮いた。ブランシュ達はその光景に衝撃を受けているようだ

 

「ひ、ひ、人が神なわけないだろ!」

「じゃあ撃ったらいいじゃない、CADを持たない魔法師なんて撃たれれば死ぬんでしょう?」

「お、お前ら撃てぇえぇえええええ」

 

配下の50人が一斉に私にめがけて銃弾を発射した。しかし私に弾が届くことはなかった。弾が私とブランシュ達のちょうど中間あたりで全て宙で止まっていた。まるで私とブランシュ達の間の空間が「塞」がれているようだった。

 

「ほら、死なないでしょ」

 

飽きて来たのでブランシュ達の行動を「塞」いだ。配下達はついでに呼吸まで「塞」いだ。

 

「ねえ、なぜ鳥は飛ぶのだと思う?」

 

リーダーだけは呼吸を塞いでいないので喋ることはできるが私の姿と魔法を見て圧倒的恐怖が襲っているようだった。返答がない

 

「ねえ答えてよ、正解したら許してあげるわ」

 

「と、鳥は餌を探すために飛ぶんだ」

 

「あら、残念」

 

私は全員の意識を塞いだ。

 

 

 

 

事後処理は家のものに任せ学校にステルスモモを併用しながら羽を使って飛んでいき学校の裏手に降りた。ところどころ学校が壊れているところがあるがまだ許容範囲だろう。みるとテロリストは完全に制圧されたようだ。達也達はどこだろうと思い精霊を使い探すと保健室にいるようだった。

 

保健室からテロリストを潰しに行くような単語が聞こえたので急いだ。

 

「それなら俺も行こう」

 

「その必要はありません、私が残り全て排除しました」

 

達也と深雪はなるほどという顔を浮かべたが他の人たちは驚いたようだ

 

「残り全てって…咲1人でか?」

 

「まあ移動や準備などは家のものに手伝ってもらいましたけど、支部5個本部1個せいぜい合わせて200人ちょいだったので簡単な任務でしたよ?」

 

2人を除いた全員私の言葉に絶句しているようだ。テロリストの処理など日常茶飯事でやることではないのか。絶句してない達也が質問してくる。

 

「咲、残党はどうしたんだ?」

 

「流石に殺すのはまずいので気絶だけに抑えたわよ、新しい神の実験ができて楽しかったわ」

 

テロリストすらも実験台とする、やはり咲は四葉であり天使ではなく悪魔だと一同は思うのであった。

 

 

 

 

 

 

後日談

 

事後処理は本部や支部は家のものが、学校の方は十文字先輩が引き受けてくださった。私はあの後エリカとレオにせっかく暴れられる機会だったのにと愚痴を言われた。

 

壬生先輩をはじめ他の生徒もマインドコントロールを受けていたこともありお咎めなしですんだ。

しかしマインドコントロールを受けていた生徒達は洗脳の影響が判明するまで入院することになったらしい。これは仕方がないことであろう。

 

その間壬生先輩の元に桐原先輩が毎日見舞いに通っていたとエリカから聞いた。

まるで壬生先輩小野小町ねと言ったけれど言ってから会ってるしちょっと違うかと思ったがツッコミ来なかったのでセーフだろう。

 

エリカは壬生先輩と剣で話が合うところがあったのだろう、仲良くなりサーヤと呼ぶ仲にまでなったと聞いた。

 

そして退院の日私たち3人は病院までお見舞いにむかった。

すでに桐原先輩とエリカは到着しており、エリカが桐原先輩をからかいながら談笑していた。

 

「退院おめでとうございます」

「おめでとうございます」

「ありがとう」

 

私と深雪で花束を壬生先輩に渡した。壬生先輩は前見た時よりも顔がイキイキしていてよかった。

 

達也は壬生先輩の父に話があると言われ席を外した。

 

少し達也抜きでしゃべっていると思ったよりすぐに達也が帰って来た。

 

達也が言うには壬生先輩のお父上が知り合いから達也の話を聞いていたと言うことだった。

 

ということは壬生先輩のお父上は軍の人か、けど達也の所属部隊は特殊だしと思考にはまっているとエリカが桐原先輩をからかっていた。

 

こんな平和な時をまた過ごせるのも悪くない、そう思いエリカを止めに入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真由美は珍しく父.弘一の部屋に来ていた。聞きたいことがあったからだ。

 

「真由美です、入ってもよろしいでしょうか?」

 

「入りなさい」

 

「少し聞きたいことがあるのですが」

 

「お前にしては珍しい、なんだ?」

 

「四葉家当主真夜様の長女、四葉咲についてご存知でしょうか?」

 

真由美が気になっていたのは咲がこぼした一言"新しい神の実験"だ。咲が多重人格なのはもう学校中に知られているが咲の口から神という言葉は初めて聞いた。新しい→神の実験の可能性もあったが神の実験の意味がわからないのでその説は切り捨てる。なので新しい神→の実験の方が繋がりがいいだろう。

 

「そうか真由美、あの力を見たか、どうにかしてうちの家に引き入れたいものだ」

 

「あの力とは多重人格のことでしょうか?」

 

父親の咲が長男か次男に嫁いでもらいたいという願望を聞くのは初めてだったがそんなことはどうでもよかった。

 

「四葉咲の能力は多重人格なんかではない、四葉咲は神の憑代、能力名は「神依」、四葉咲の魔法は神の力だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




片方はわかりやすいが片方はわかりにくいキャラになってしまった。

わかりにくい金色の羽の方は九校戦編2局目ぐらいで説明出すと思います。わかる人いるかな?

明日から一話ずつに戻してオリジナル展開の続き、次の次の話から九校戦です
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