咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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昨日1日でお気に入り100件以上増えました。とても嬉しいことなんですがまじで何が起きたんだ…
お気に入りしてくれた皆様、読んでくれている皆様ありがとうございます。



今回から九校戦です。オリジナル展開オリキャラ多めです。今回いつもより長いです


九校戦編
第13局[始動]


どの世界の学生でも逃れられないもの、それは試験である。

私は前世高3であったので一般科目数学や国語や物理、高1程度であればそれらは問題ない。当然魔法実技の方も問題はない。問題は魔法理論であった。

私にとって魔法とはイメージできたらできるもの、イメージできないならばイメージを鍛えるだけ、というものなので魔法を使いながら理論を考えたこともない。できるものはできるのだ。

 

私が入学試験の理論の結果で深雪に続き3位だったのは本家の機械に頼ったからである。そういう訳で今達也に教えを請いている。

 

「〜というわけでこの魔法式に重ねがけした魔法式は発動ができない、この説明でわからないか?」

「まったくもって!あとこの魔法式の重ねがけも圧倒的強度で押したり一度魔法式吹っ飛ばしたら再展開できるのでしょ?それだったら私は魔法式の上から魔法式上書きできるわよ、教科書は嘘つきね」

 

筋肉論破する私に達也は頭を抱えていた。

 

「やっぱり精霊使って達也さんのテストをカンニングするか、未来視使って先に問題を知るしかないわね…」

 

「それは不正行為だぞ、未来視の方はわからないから文句は言えないだろうが」

 

「それなら終わりね、閉廷!」

 

「俺が密告するからな、その時は覚悟しとけよ」

 

やはり達也は悪魔だ。

 

「咲はCADのソフトウェアやハードウェアの方はできるのだし基礎的魔法理論だけ勉強すればいいんだ、他の人より楽なんだぞ」

 

「CADは勉強しないとイメージできないから仕方がないのよ、確かに今回は理論でも深雪に勝ちたいし頑張るわ」

 

そういってやる気を取り戻し再び勉強に戻るのであった。

 

 

 

 

 

一学期定期テストの結果は次の通りとなった

 

総合順位

一位 四葉咲 二位 四葉深雪 三位 光井ほのか 四位 北山雫

 

今年はどうやら女子が上位を独占しているようだ。前世も中学の時は女子、高校の時は男子が上位を独占していたのでよくあることだろう。Aクラスに3人固まってるのは流石にクラス分けミスだと思うが。

 

魔法理論の結果は私にとって嬉しいものであった。

 

一位 四葉達也 二位 四葉咲 三位 四葉深雪 四位 吉田幹比古

 

不正はしていない。基礎魔法理論は相変わらず足を引っ張っていたが他の理論でカバーしたという感じだ。

基礎魔法理論でなぜこの魔法は発動しないのかという問題に私は試してみて発動したのでそんなオカルトありえませんと書いたら不正解にされた。やはり教科書は嘘つきだ

 

 

実技は

 

一位四葉咲 二位四葉深雪 三位光井ほのか 四位森崎俊 五位 北山雫 という結果になった。

 

 

 

「達也さん、理論四位の吉田君ってあの吉田家の人かしら?」

「たぶんそうだろう。体は動くし視野も広い。昔から続く荒業などをしていれば納得できる」

「同じクラスなのね、今度挨拶に向かおうかしら」

 

実は私が精霊魔法を習った家が吉田家であった。その時神童と言われていた吉田家の次男が同級生だったはずだ。たぶん事故か自信喪失など何かで魔法力を減らしているのだろう。

 

 

 

地獄はまだ続く。魔法科高校の最大イベント、九校戦が近づいていた。

 

咲は前世からイベント類にはあまり積極的に参加してこなかった。数人の仲がいい人だけのイベントなら参加していたが夏は暑いので家や図書館で本を読むのが一番と思っている。秋の論文コンペと逆にしてくれたらいいのにと思っていた。

 

私も深雪も当然選手に選ばれ深雪は生徒会として準備するのに大忙しであった。

 

選手は既に本線新人戦を含め全員決まっているそうだが技術エンジニアが足りないらしい。

 

技術エンジニアとは九校戦魔法競技であるのでいろいろな制約がある。一つにCADのスペックだ。ハードはほとんど変わらないのでソフトウェアでどれぐらい他校と差をつけるのか、それが技術エンジニアとしての腕の見せ所であった。

 

 

 

いつものように生徒会室で昼食を取っていると自然と近づいている九校戦のことになる。

 

七草先輩は机に突っ伏していた。七草先輩が言うにはまだ技術エンジニアが足りないらしい。二年生には中条先輩や百家の五十里先輩など優秀な人材はいるが三年生は魔法師希望に例年より多く偏っているらしく絶対数が足りないらしい。

 

私はイメージで調整できるし、七草先輩や十文字先輩は自分で調整できるそうだが私たちの方が少数派だ。現に渡辺先輩はCADの調整が苦手らしい。

 

達也は話の流れが悪い方に向かっていると感じ取ったのであろう。私たちに目配せしてきた。逃げるつもりだ。

 

「では俺はこれで」

 

「技術エンジニアは達也さんにやって貰えばいいと思います。深雪のCADは達也さんが調整していますので」

 

達也に引導を渡してあげた。死ぬなら共々である。1人だけ逃げるのは許さない。

 

「え?」

 

「盲点だったわ」

 

達也は恨みがましい目でこちらをみているが気づいていない風を装った。

 

「そういえば風紀委員のCADも達也君が調整していたな…」

 

完全に七草先輩と渡辺先輩は獲物を見つけた肉食獣のようになっていた。ターゲットになった達也はいろいろつけて言い訳しているようだ。

 

「私は九校戦でもお兄様にCADを調整していただきたいですのが…ダメでしょうか?」

 

達也はがっくり肩を落とした。トドメを刺しにくるのが妹とは思わなかったのであろう。

 

「そうよね。深雪さん達も信頼できるエンジニアがいてくれたら嬉しいわよね」

 

「はい、お兄様がエンジニアならば光井さんや北山さん、明智さんも安心して全力を出すことができるでしょう」

 

エイミィと深雪は私つながりで既に知り合いとなっている。

深雪にここまで言われれば達也は断ることはできない。

 

「チェックメイトね」

 

「後で覚えとけよ」

 

今夜も部屋に引きこもっておこう。

 

 

 

 

食事を終え本を読んでいると珍しい光景が起こった。達也がシルバーホーンを取り出すとそれに吸い付くように中条先輩が達也の方へ寄って行ったのだ。なるほど、前世にもたくさんいたデバイスオタクというやつだろう。

普段は達也に怖がって近づかないのに尻尾を振る犬のように近づいているのは珍しい光景であった。

 

「それじゃあトーラスシルバーってどんな人なんだと思います?」

 

話しているうちにトーラスシルバーの話になったらしい。達也は少し困った様子で答えた。

 

「そうですね…案外、日本人の青少年かもしれませんね」

 

その答えを聞き深雪はビープ音を鳴らし私は飲んでいたお茶でむせた。

 

 

 

「そういえばあーちゃん課題があるとか言ってなかった?」

「会長〜」

 

涙目になりながら七草先輩を呼んでいるのだが何に苦戦しているのだろう、中条先輩は二年生で理論二位だったはずだ。

 

「汎用型飛行魔法がどうして実現できないのか説明できなくて」

 

魔法は連続で発動し続けると魔法式に対して上書きを行うためより大きい干渉力が必要となる。それを続けていくと干渉力の問題で魔法を発動できなくなるので汎用型飛行魔法は確立されていない。古式魔法には飛行魔法を使える使い手がいるがいわゆるBS魔法として扱われている。

 

「試したことはありませんし力づくですが短い時間ならある人格で空を飛べると思います」

 

「本当ですか?」

 

「ええ、飛行魔法は干渉力の問題で途中で魔法を使えなくなるのが問題ですが私の人格の一つに魔法を使うとだんだん尻上がりに魔法力が上がる人格がありましてそれを上手く使えば飛べると思います」

 

達也と深雪にとっても初めて聞く神の力だったが前半に強い神もいるんだからスロースタートな神もいてもおかしくないと思っていた。そして七草先輩はなぜか納得したようだった。

 

「汎用もないほとんど力任せのBS魔法に近いですが私なんかを凌駕するとてつもなく魔法力の強い人であれば一応飛行はできると思います、汎用性はないので今回の課題には不適切ですが…」

 

「いえいえ、とても勉強になりました」

 

私がこの飛行を試していないのはもう既に他の人格で飛ぶことができるからである。

 

 

 

達也が私の脳筋理論と違い理論的に説明してくれた。

まず魔法式は魔法式に作用できないという大前提がある。

魔法が終わる前に新たな魔法を発動するとそれだけの干渉力が必要となりそれは領域干渉でも同じである。つまりイギリスの実験は魔法→魔法ではなく魔法→魔法(領域干渉)→魔法となったのでより大きい干渉力が必要となり失敗したのだと説明してくれた。

 

 

 

 

 

 

放課後の準備会議、内定しているもの一同が部活連本部で集まる中、やはり達也に向けられる敵対する目があった。風紀委員会での活躍がありなおかつ四葉であっても二科生というところに突っかかってくる輩がいるのだろう。本当は私達也深雪と座っているので羨ましいという目の方が多かったのだが。

 

会議が始まるとやはり達也のスタッフ入りを支持しない生徒もいた。1/4が達也を支持、半分が達也が四葉ということもあるのだろうが中立、残り1/4が反対となっていた。

反対している人たちは最もな理由を並べているが兎に角二科生が選出されているのが嫌なのだろう。

 

「要するに四葉の腕前が分かれば良いんだな」

 

 揉めている人たちに克人が声を掛ける。その重圧な声に、揉めていた人たちは一斉に黙った。そこで達也はCAD調整の腕前を披露することになった。

 

実際の調整役として七草先輩や十文字先輩が立候補する中、その役を買って出たのは桐原先輩であった。

 

達也の調整は相変わらずよくわからなかったが中条先輩が驚いてるのを見るとよほど高度なことをやっているのだろう。私はCADのハードとソフトウェアのことは勉強しているがCADの調整や設定は魔法でやってしまうのでわからないのだ。

 

「終わりました」

 

達也に渡されたCADを起動し感触を桐原先輩は確かめる。

 

「どうだ桐原」

 

「違和感ありません。いつも自分の使ってるCADと比べても全く問題ありません」

 

その後もいろいろ難癖をつけてくる輩がいて面倒くさくなってきたのでそろそろ小物を一蹴するためにニワカ先輩の出番かと思い頭の中でニワカ先輩のテーマが流れていたがその必要はなくなった。達也を援護したのは意外にも服部先輩だった。

 

「私は四葉のメンバー入りを支援します。技術エンジニアの選考が難航している今、一科生二科生などといった肩書きにこだわるのではなく能力的にベストなメンバーを選ぶべきです」

 

「俺もそう思う、四葉はエンジニアとして選ばれるだけの技術を見せてくれた」

 

こう十文字先輩が締めくくり達也のエンジニア入りが確定した。

 

 

 

 

その後内定メンバーで競技決めが行われた。

 

私はアイスピラーズブレイクには自信があったのだが深雪は振動系魔法が得意でこの競技に向いているのと七草先輩に他の競技をオススメされたのでバトルボードとクラウドボールとなった。

正直バトルボードは麻雀と連想するイメージがほとんどないので少し困るがまあ仕方がないだろう。

 

深雪はアイスピラーズブレイクとミラージバットの二種目、達也はスピードシューティングとアイスピラーズブレイクとミラージバットの三種目の担当になった。

 

ミラージバットでも本気を出せばまず負けないだろうが服装が可愛らしすぎて恥ずかしいのもあり私は遠慮しておいた。

 

達也と深雪と別々の競技になった理由は二つある。

 

一つ目は戦力の分散だ。深雪は私の神依無し状態よりも魔法力が高く同年代にはほとんど負けないだろう。私も神依後は深雪を上回る魔法力を持つ。一種目で一位二位取るより二種目で一位取った方が点数効率としてはいい。今年は三連覇もかかっているので新人戦の点数は半分とはいえ重要なのだ。

 

 

二つ目はCADの調整だ。

私はCADの調整は自分でできる。同じ競技の他の人には申し訳ないが達也は別の競技を見てもらった方がいいだろうと先輩に進言したところこのような担当になったのだ。

 

一応私のCADの担当もつくそうで担当は中条先輩であった。

 

深雪は私と魔法戦を九校戦でしたいと思っていたらしく少し残念そうだったが練習の時にしてあげると約束すると表情は嬉しそうだったがまだ少し暗さが残っていた。やはり九校戦で戦いたかったのであろう。

 

 

 

「お姉様、お願いがあるのですが」

 

家に帰ると深雪が珍しくお願いをしてきた。

 

「何かしら?」

 

「お姉様が神儀でお使いになってる衣装を貸して貰えないでしょうか?」

 

アイスピラーズブレイクで着るのであろう。

 

私は毎年年始に本家で神儀という名の儀式を行っている。4歳の頃一度だけ分家当主や深雪達にまで見せたことはあるが今その内容を知っているのは私とお母様と葉山さん他数人の執事だけだ。私のこの薄い金髪と巫女装束は合わないと思っているのだが毎年一応巫女服を着ている。

 

「私のでいいのかしら?」

 

「はい、お姉様のがいいです!」

 

「わかった、お母様にお願いしとくわ」

 

お母様は深雪にも甘い、仲が良かった死んだ姉の娘というのもあるのだろうし私やみなもとも年齢が近いのもあるだろう。

 

深雪より私の方が少し背が高いがこれぐらいの差なら誤差であろう。私のでも大丈夫なはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深雪は日付が変わる頃まで勉強していた、ふとお茶を飲もうと思った深雪は姉と兄の喜ぶ顔が見たいと思い3人分入れることにした。

兄は地下の研究室で研究しているだろうし、姉は新しい神依の練習か本を読んでいるだろう。姉の神依はイメージすれば基本できるらしいが効果のほどは使って見ないとわからないらしいので練習が必要と言っていた。

 

紅茶を入れるためにキッチンに向かおうと考えたが姿見の前で少し考える。そして咲がいたずらをする時のような笑みを浮かべ衣装棚に向かった。

 

 

 

 

 

まず姉の部屋に行ったが電気がついておらず寝ていることもなかった。ということは実験室か研究室かと思い地下に降りていくと姉と兄の喋り声が聞こえた、どうやら2人ともここにいたようだ。

 

 

「お兄様、お姉様、深雪です。入ってもよろしいでしょうか?」

 

「ちょうど良かった。入って」

 

 

 この時間に深雪がお茶やコーヒーを持ってくるのは、日課である。兄や姉としてはこの時間に深雪が部屋を訪ねてきても全く不思議だとは思わないだろう。

だが何時もと違ったのは、兄が普段ならすまなさそうに礼をいい招き入れるのに対して、今日は待ってたというような口ぶりだったのが深雪には少し気になった。

しかしそんな些細な事で兄や姉を待たせるなんて深雪には出来ない。

 

 

「失礼します」

 

部屋に入ると机の前で座っている兄と大きな金色の翼を背中から生やし宙に浮きながら本を読んでいる姉がいた。

 




次の回からキャラ解説書いていこうと思います。能力説明がある回のあとがきに能力を説明したキャラの解説を書いていこうと思います。
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