咲-saki- 四葉編 episode of side-M 作:ホーラ
私とほのかはバトルボードで二人とも決勝を決め1.2位を独占するかたちになったが、なんとアイスピラーズブレイクも深雪雫エイミィの三人とも準決勝で勝ち、決勝リーグを独占する結果となった。
七草先輩曰く、大会運営の中では決勝戦を省略してみんな1位としようという考えがあったそうだが、上からの圧力で無しになったようだ。たぶん私の出番が少なくなることを嫌ったみなもであろう。
達也がいうにはエイミィはあまり調子が良くないそうなので、エイミィの意見も聞き、決勝リーグは棄権となったので、アイスピラーズブレイクの決勝リーグは決勝戦となり14:00から、バトルボード決勝は16:00からとなった。意図してずらされた感がいなめないが、深雪の試合を観れるということでもちろん文句はなかった。
アイスピラーズブレイク決勝、会場の席は埋まっており立ち見もちらほらいる、関係者席もほとんど埋まっているようだ。やはり九校戦の中でも人気競技なだけある。
深雪と雫が登場すると、私の時のように歓声が巻き起こるのではなく、逆に水を打ったよう静まり返り会場全体が試合開始を待ちわびているようだ。
深雪は緋色の袴
雫は水色の振袖
まるで炎と氷の二つを連想させるようだ。
この静かで対比的な雰囲気はこの決勝戦にふさわしい。
試合開始のランプが点灯すると先制したのは深雪のインフェルノ。雫はそれを情報強化で守っているようだ。雫も共振破壊で深雪の氷柱に攻撃を仕掛けるがこちらも地中で無効化されている。面白い試合だ。
雫はこのままでは不利と考えたのであろう。情報強化では空気の気温は変えられないのでだんだん氷柱が溶けていくからだ。袂から二つ目のCADを取り出すと少し深雪は動揺する。
二つのCADの同時操作は高等技術であるので、私や達也はできるが、サイオンを暴走させ気味の深雪はできない。
その雫のCADから二発フォノンメーザーが発射され深雪の氷柱二本を破壊する。達也が雫に授けた作戦の一つであろう。この九校戦で初めて深雪が氷柱壊された瞬間であった。氷柱が二本破壊されると深雪は防御に回る。
雫はこれは好機とそのまま攻め立てる。共振破壊とフォノンメーザーの二つの魔法で深雪の情報強化を抜いていく。深雪が防御を始めてから10秒、その間に雫は魔法力を攻撃に回しさらに4本破壊していた、残り本数は6vs12だ。その時深雪の新たな魔法が発動した。
「え、これは」
驚きで独り言を発してしまう。そう、深雪が使ったのは淡の魔法「超新星」。なんで深雪がと思ったが、よくよく考えると淡に4年間も負け続けていたのだ。原理は知っているはずなので対策方法を考えるために練習しててもおかしくない。深雪の魔法は雫の陣地の全ての柱を破壊していた。
勝者は深雪
深雪の使った魔法は劣化版超新星であった。まず湿度が高くないと使えない。なのでインフェルノで最初に氷を昇華させ大気中の湿度を高めておいた。それに淡と同じ超新星と同じ効果を及ぼすために3倍以上の時間をかけていた。咲に比べ、そんなに早く空気中の分解ができないからだ。
だが威力は変わらない。
初めて超新星を"生"で見る私は、あれは深雪も勝つのに苦労するはずだと感じながらバトルボードの会場に急ぐのであった。
二人の試合が終わり達也は深雪が着替え終わるのを待っていた。雫は俺たちに会うのは複雑な心境だろうし、そっとしといてあげることにした。エリカたちはもう既にバトルボードの会場に向かっている。早く行かないと席が無くなるそうだ。バトルボードはそこまで人気競技なはずではないがと思ったが、咲を見に来るのかもしれない。達也は控え室で見てもよかったが、エリカたちに観客席に来てと言われたので観客席でみることにしたのだ。
深雪の着替えが終わり二人でバトルボード会場に向かった。
「ほのか、決勝の前に私から3つお願いがあるんだけど大丈夫かしら?」
ほのかは珍しくお願いを言ってくる咲に頷いた。
「大丈夫です、その3つとはなんですか?」
「1つ目は本当に申し訳ないんだけど私の最初のパフォーマンスに呑まれないように。本当はクラウドボールだけにするはずなんだけど観客が思ったよりもノリノリでやめるにやめれなくなったのよ、本当にこれは申し訳ないわ」
頭を下げてお願いする咲にほのかは逆に恐縮してしまった。
「2つ目はどんなに差がついても諦めないでほしいってことね、3つ目は私がクラッシュしても動揺せずにそのままレースを続けてほしいことだわ」
「それってどういう…」
「そのままの意味よ、私はこの競技の未来永劫抜かれない最速のタイムを見せるつもりなのよ、そのためにはだいぶ危険が伴うってだけ」
そう言った咲は見たことのない表情をしている。ほのかはそれを見て場違いだが少し人間味を感じるのであった。
達也と深雪がバトルボードの会場に着くとレース開始1時間前だというのにほとんど満席であった。
「達也君ー!深雪ー!こっちこっち!」
エリカたちを探していると前の方から呼ぶ声がした。
「席を確保してもらってありがとう」
「アタシたちがお願いしたんだしお礼はいいわ、それと深雪優勝おめでとう」
「おめでとうございます」
席を確保してもらった謝辞と深雪の優勝に対する祝辞とその返答が一通り終わった後達也は気になってることを聞いた
「どうしてこんな観客が多いんだ?」
明らかに決勝戦にしても人が多い、レース開始まで1時間弱あるのにすでに立ち見もいる。
それを指摘するとエリカたち四人は顔を見合わせ、納得したような顔になった。
「達也君と深雪って現地で咲の試合見たことないんだっけ?確かにあれは1回見ないと理由わからないけど。まあ見てればわかるよ」
エリカは最後咲がいいそうな言葉で締めた。当然咲が関係するのだろうが言い回しが気になる。
時間が経ち、選手入場となった。咲が入場するといつものコールがかかった
\勝つのは氷帝!/\勝者は四葉!/\勝つのは氷帝!/\勝者は四葉!/
「なんだこれは…」
深雪も絶句しているようだ。完全に新興宗教の有様だ。観客の約8割がこのコールをしている。やっていないのは、たぶん達也達と同じ初めてこの光景を見たのであろう人たちと残り少しの人だけだ。確か氷帝は咲のモノマネのキャラの学校だったはずなので、咲がやり始めたに違いない。その当人を見ると苦笑いをしていた。咲にとってもこんなに広がるのは予想外なのかもしれない。
咲は右手を上げ指を鳴らす。そうすると会場中が一斉に静まりかえった。
「勝つのはこの私」
満面の笑みでウインクする咲を見て会場中が再び盛り上がった。
「あんなお姉様見たら、あのコールを言いたくなるのわかりますね…」
「ああ、俺でも少しクラっときた」
あれを見たらコール言いたくなるのも確かにわかる。深雪も若干最初は引いているようだったがあのウインクを見てから目が咲に釘付けになっている。やはり咲は人を惹きつける何かがあるのだろう。ウインクをし終わった咲は滅多に見せないような集中してる顔に戻り、スタート位置についた。
「達也君は咲の応援?」
先ほど七草先輩から聞かれたような質問だ。
「家族を応援しないほど非情だと思っているのか」
深雪以外の4人は意外そうだ
「達也なら平等に応援するかと思っていたよ」
「競技はみんな平等に対応したがな、逆に咲に関しては俺は何もしていない。あいつが全て1人でやったからな」
なるほどという感想を他の人は抱いていたが深雪は違うことを思っていた。兄は自分と姉しか大切に思えないことを知っている。あの2人はベタベタしたりすることはないがちゃんと心の中ではちゃんと分かりあっているのだということを。それがわかると深雪は少し嬉しくなって笑ってしまった。
ランプが点灯しレースがスタートする。
先行したのは咲だ。咲のボードはあり得ない速さで水上を進んでいく
「硬化、減速、加速、精霊…あともう二つ加速か、流石に化け物だろ…」
「達也君どういうこと?」
「今の咲は常時6つ魔法のマルチキャストを使っているんだ。曲がるときはもう2.3つマルチキャストが増えるがな」
「「は?」」
深雪を含めて全員の感想が訳がわからないであった。優勝候補の摩利ですら3〜4つのマルチキャストであったのだ。達也もドン引きするぐらいの魔法力であったが、一応わかったところまでは解説する。
「まず渡辺先輩と同じくボードと自分の位置を硬化する硬化魔法。これはボードの上から落ちないようにだろう。それに加え自分の走る水面上だけを凍らせる減速魔法。これは水の上より氷の上を走った方が摩擦が少ないからだが、咲は摩擦をなくす魔法でその摩擦すらもなくしている」
「むちゃくちゃでしょ咲…」
もう咲の姿は肉眼では捉えることができず、カメラも追うことができないようだった。
「それとボードを加速する加速魔法。それとさっき作った氷を溶かす分子加速魔法。これは本当はやる必要ないと思うがほのかに氷が当たるのを避けるためだろう。最後は精霊魔法。空気抵抗をなくす魔法だ。幹比古知っているか?」
「あるけど風系精霊魔法の最終魔法だよ。風の刃を飛ばす鎌鼬のように風の少しを操るんじゃなくて、風全てを制御する。最終魔法だけあって家でもできる人は数人しかいないよ。咲さんに精霊魔法を教えた人はできたはずだけど」
なるほど、やはり吉田家で教えてもらった魔法か。さらに達也は説明を続ける
「さっきの6つに加え、カーブに差し掛かる前ではあの速さで曲がるために氷の壁を作る魔法、曲がっている最中はその氷の壁が壊れないように硬化する魔法、ボードが浮き上がらないように氷の壁をxy平面と見て氷と自分のボードのz軸を固定する硬化魔法、あとは遠心力を軽減する魔法だろうな。あとジャンプ台飛んだ後には収束放出系魔法で勢い抑えて氷の上に着地しているな。水に着地したらあの勢いだとバランス崩すだろうし氷の上に着地しても跳ねて危ないだろう。だから収束放出系魔法で勢いを抑えて着地するようにしてるんだな。」
四人は準決勝で見たわからないものを達也に説明してもらい納得した様子だったが深雪は不安そうであった。
「あんなにスピード出して危なくないのでしょうか?」
モニターの各選手の速度の部分を見ると咲は時速140kmオーバーで走っていた。この競技の最高速度が早くても時速50〜60kmぐらいであるから異次元のスピードであろう。
「危ないさ、たくさんの魔法のうち一つでもミスったら事故が起きるからな。でも咲は魔法でミスすることはない。それは俺たちが一番知っていることだろう」
深雪の心配を取り除くために言った言葉だが、あんな速さで魔法を9個もマルチキャストを行なっていたら普通ミスが起こるだろう。いつでも再生の準備ができるようにして達也は身構えていた。
「次のカーブくるでー、この角度の氷の道、次はこの角度、その先はジャンプ台だからこの魔法、咲急いでやー」
「ちょーきついよー」
今回の使ってる神依は姉帯豊音
能力は六曜といい6つある。まず六曜を咲がこの世界に落とし込むとまず普段できるマルチキャスト3に最高マルチキャスト数が+6される。なのでこの状態だと最高マルチキャスト数が9になる。
それに加え今回使っている六曜の中の能力は先勝、原作での能力は前半のツモが良くなるという能力でありこの世界に置き換えると開始5分まで魔法力が向上、特に魔法発生速度が大きく上昇。5分を過ぎると魔法力が大きく下がるという能力になる。なので5分以内に決めなければならない
予選、準決勝にはこれに加え船久保浩子というキャラを使っていた。準決勝でニヤリと笑ったりしたのはこのためだ。このキャラは原作では無能力キャラなのだが研究が得意である。この世界に直すと見たものを分析しデータとして記憶に残す能力になる。私はコースを研究するためにこの2人を神依して予選準決勝を行なっていた。
よって今、予選準決勝で得た記憶内データを枕神怜に送り、枕神怜のナビモードに従って魔法を使用している。
ナビモードは本家枕神怜のどの順番で牌をきるかのように、どの魔法を使えばいいか教えてくれるモードである。併用して予知モードも使い未来のコースの波の状況やほのかの位置などを見てもらっている。
一つでも何かミスをすると最低でも大怪我、最悪死ぬだろう。けど懇親会で私は挑発された。小さい魔法でも大きい魔法に勝てると。
大きい魔法で小さい魔法に勝つことはもうクラウドボールで見せた。
次は小さい魔法のマルチキャストも使えるということを見せてあげなければならない。
ただのんびり走るだけとかカッコ悪すぎでしょ!
「咲ー、もうすぐもう一回ほのか抜かすで、気をつけてな」
「ちょーはやいし、ちょーきついけどがんばるよー」
もう私は三周目終わりかけでゴールするところであったがほのかは1周目であった。ほのかのラップタイムは悪くない。去年の優勝レベルのラップタイムだ。
ゴール前、私はほのかに気をつけながらほのかを抜き去りほのかに二周差つけ、優勝を飾った。
タイムは4:22、平均タイム14分〜15分平均時速40km程度の競技で平均時速約130kmで走りきったのだった。
流石に疲れた。ミスしたら終わり、常時6の魔法をぶっ続けで4分、魔法力もだが神経がすり減った。そして最上位精霊魔法の"風除"はサイオンをあり得ないぐらい持っていく。この空間の風の精霊を全て従わせる必要があるからだ。それにナビモードもデータを送りそれを参照するなどという、初めてのことをやったのでいつもより破格のサイオンを持っていかれた。
まあ目標は達成できたしいいやと思いほのかがゴールするのを待ってゴール付近で待っていると急に視界が暗転し私は意識を失った。
咲さんかわいい病が広がっている模様
荒川病院の建設が求められる
これ咲さんだけやってる競技バトルボードじゃなくてスノーボードやろ…