咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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今冷静に考えると35日で55話投稿してるってすごい数投稿してるな…


第52局[古式]

深雪の練習相手が咲であるならば達也の練習相手は九重八雲であった。八雲は僧でもあるが忍者でもあるので、八雲の寺は一種の道場となっている。

今日もいつもと変わらず八雲と組手を行う。

両者の技量は互角、しかし駆け引きは未だ遠く及ばない。それなら手数で勝負ということで暇を与えず攻め続けていたが、距離を取られ詰めて攻撃した手は空を切り、替わりに達也の体が宙を舞った。

 

「いやあ、焦った焦った。まさか"纏いの逃げ水"が破られるとは思わなかったよ」

 

八雲は冷や汗を拭く動作をする。パントマイムであろう。

 

「あの術は"纏いの逃げ水"というんですか…いつもの幻術ではありませんね」

「やれやれ、やはり君の目は厄介だね、だけどその目を逆手に取る方法だってある。本来これはこの世のものではないものの目を欺く術なんだけどね」

「師匠、この世のものではない目とおっしゃいましたが」

「ああなるほど、僕たちが相手にするのはこの世のものだけじゃないよ、君の従姉妹を見たらわかるはずさ」

 

咲のことだろう。咲が人間ではないと言われたように感じ、少し達也は苛立ちが貯まる

 

「そう怒るな、達也君。君は妹と咲さんのことになるとすぐ感情的になる。君の従姉妹の神依じゃなくて精霊魔法のことだよ。精霊だってこの世のものじゃないものだ」

 

感情的になったことと教えてくれたことの二つの意味を込め頭を下げる。久しぶりに達也は古式魔法の名門は伊達ではないとそう思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

吸血鬼事件に対して組織的な対応をとってる勢力は3つ

1つは通称日本版FBIと呼ばれる警察省のチームと公安が加わった警察当局

2つ目は七草家と十文字家を中心とした十師族チーム

3つ目が吉田家の協力を得て千葉家が組織した私的報復部隊

この3つであった。エリカはエリカの弟子(??)であるレオがやられたということで黙って見てることは出来なかったらしい。

 

達也はエリカと吉田君と一緒に吸血鬼探しに外に出ている。私と深雪はお留守番だ。

私が部屋で本を読んでいると部屋がノックされる。

 

「深雪です、入ってもよろしいでしょうか?」

「いいわよ」

 

深雪が私の部屋に入ってきた。見ると深雪は顔を赤くしている。

 

「あの…お姉様。深雪にも膝枕をして頂けませんか?」

「いいわよ、おいで」

 

太ももをポンポンと叩くと、深雪は嬉しそうに笑い、私の太ももに頭を置いた。

 

「本当に気持ちいいです…まさにこれは桃源郷ですね…」

「言い過ぎよ深雪」

 

深雪はそのまま気持ちように寝てしまい、私もその寝顔を見て睡魔が移り、同じように寝てしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

達也がエリカたちとの捜索から帰ってくると、咲たちは気持ちよさそうに寝ていた。本当は咲に頼みたかったのだが、寝ているとなっては仕方ないので叔母、つまり咲の母に達也自身が電話をかける。

 

 

「夜分遅く、申し訳ございません」

「あら達也さんだけとは珍しいわね、咲さんは?」

「咲と深雪は寝てしまいましたので。叔母上、一つお聞きしたいことがあるのですが」

 

咲がいないと聞いて真夜の機嫌が下がっていくのがわかったが引くわけにはいかない。

 

「遠慮はいりませんよ」

 

機嫌が悪くなったことは見せず、真夜は頷く。

 

「では、九藤家のパレードがどのような仕組みの魔法なのか、お教え願えませんか」

 

葉山の眉がピクリと上がる。真夜が堪え切れない、という顔で笑い声を漏らす。

 

「そんなこと私に聞かなくても、咲さんに聞けばわかりますよ。あの子、パレード使えたはずですもの」

 

八雲に朝怒ってしまったが、咲はもう人ではないのかもしれない。咲に使えない魔法はあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「咲はパレードを使えるのか?」

 

朝一番、達也にそう聞かれた。私はパレードを使えることを話していないはずだが、確認する様子であった。

 

「一応使えるけどどうして?あ、リーナね」

「シリウスだがな、霧散霧消の照準を外された」

 

霧散霧消は物質を元素レベルに分解する殺傷ランクA魔法だ。

逆にパレードは偽の情報体を作り出しそれに照準を向けさせることによって、魔法を躱すことができる。この前リーナに襲われた時、パレードと口走っていた。やはりリーナはシリウスであろう。

 

「パレードって精霊の目も誤魔化せるのね」

「ああ、咲の目は誤魔化せないのか?」

「私は見えなくしているものも見えるから、偽の情報体なんて作っても無駄よ」

 

事実、私はパレードを使われても相手を見失うことはない。全国二回戦部長のように、メンタルがやられてたりしたらわからないが。

 

「見せることは可能か?」

「見せることはできるけど…本家パレードとはたぶん術式違うわよ、私がイメージでパレードを模倣しただけ。それでも構わないかしら?」

「ああ、頼む」

 

私はパレードを使うことがほとんどない。暗殺などであればステルスモモを使えばいいし、相手の攻撃躱すなら囮精霊を使えばいい。パレードは姿形を変えられるという点があるが、任務の時は二度と相手に顔を見せないので問題ない。

 

「ついでに神依の実験台になってもらえる?」

「死なない程度なら」

 

 

 

 

 

 

地下の実験室で試合をすることになった。普通なら遅刻確定だが、あいにく今日は日曜日だ。

 

「達也さんとの対戦は初めてかしら」

「確かにそうだな」

 

深雪との対戦はたくさんしていたが達也との1vs1の対戦は初めてであった。

ルールは武器も武術も魔法もありのコミコミルール。私は戦闘不能にされたら負け、達也は再生を発動したら負け。ただし即死させる魔法は無しであった。完全に達也の再生を見越したルールである。

 

「いいか?」

「いいわよ」

 

 

別部屋の深雪に合図をしてもらい、初めての達也との戦いの火蓋がきられる。

 

 

 

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