咲-saki- 四葉編 episode of side-M 作:ホーラ
バカンス4日目、ようやく昨日から平穏を取り戻し、南国の休日を満喫できるようになった。
昨日は兄と共に、軍の基地に行ってきた。1日目にあった大男、檜垣ジョセフ上等兵はそんなに悪い人ではないことがわかったり、兄の戦闘シーンが観れたり少し収穫はあった。
今日わたしは、部屋で読書中。魔法書をぼんやりと眺めている。
わざわざ紙の書籍にする魔法の解説書は専門性の高いものばかりであり、高校生でも手に負えないことが多い。中学1年のわたしが一度読むだけで理解できるなんて自惚れるにも程がある。
まああの人たちにはできるのかもしれないけど。
その人の1人、兄は昨日の基地で真田さんという中尉の人にもらったCADを、自分の部屋に持ち込んだワークステーションに繋ぎ、キーボードを叩いていると思われる。
お土産という名の先行投資であろうがこのお土産が兄は気に入ったらしい。
昨日今日とずっとCADを弄っている。
CADを弄ることってそんなに面白いのかしら?
気がつけば、兄の部屋の前に立っている。
ノックをするために手を持ち上げ、それを下ろすのを繰り返している。
わたしは何がしたいのだろうか
溜息をつきもう部屋に帰ろうとしたが、時すでに遅しであった。
ドアがわたしに当たらないように丁寧に開けられて兄が顔を見せたのだ。
「何か御用でしょうか?」
部屋の外にわたしがずっといたのをわかっていたかのような口ぶりでわたしに聞く
「え、ええっと…」
兄は当惑しているわたしの回答をいつものポーカーフェイスで待ってくれている。
「お、お邪魔してもいいですか!?」
パニックになっていたわたしはもう勢いで押し切ることにした。入ってどうするかとかは何も考えていなかったが、それはもう後の祭りだ。
兄は目を丸くしていたが動揺は見せず、わたしを自分の部屋に招き入れた。
部屋に入ったわたしは度肝を抜かれた。ものがない部屋にはワークステーションの存在が強調されており、数字やアルファベットがディスプレイに並んでいるその様子はまるでCADの開発ラボのようであったからだ。
「どのようなご用でしょうか?」
この問いかけに度肝を抜かれていたわたしは答えることはできなかった。しかし次の一言で意識は引き戻される。
「お嬢様?」
「お嬢様呼びはやめてくださいっ!」
兄は絶句していた。しかし無理もない。
わたし自身もびっくりしていたから。
今のわたしの声は悲鳴のようであった。
今にも泣き出しそうな声でもあった。
「あ…」
「………………」
「あ…ええっと…お姉様には様をつけなくてわたしに様をつけたらおかしいでしょう?」
突拍子も無いわたしの言葉に、兄の視線が不審感を持つようになるが、もう下手な言い訳をしないようにゴリ押した。
「だから、お姉様と同じように、わたしのことを深雪と呼んでください」
それがわたしの限界だった。それだけを言ってギュッと目を瞑る。何か得体の知れないものに怯えるように。
「……わかったよ、深雪。これでいいかい?」
いつもの堅苦しい喋り方ではなく、友達同士のような砕けた言葉遣い。兄とお姉様が話す時はいつもこの言葉遣いであった。
兄は優しい目でわたしを見ている。
「……それで結構です、すみません、部屋に戻ります」
泣きそうなのを懸命に我慢して、兄の前から逃走した。部屋を出て自分の部屋に戻ろうとするところで不審人物に遭遇する。
「深雪どうしたの?」
それは夏なのに手袋とマフラーをして、サングラスにマスクをしている明らかに職質を受けるだろう格好をしたお姉様であった。ツッコミどころしかなかったのだが、今のわたしにそんな余裕はない。お姉様の胸に飛び込み、泣いてしまう。
「達也さんが何かしたの?」
わたしはその言葉に対して首を振る。
この涙は兄のせいではない。
わたし自身によるものだ。
だってわたしはわかってしまったから。
あの兄の優しさは演技でしかない。
あの短いセリフでさえも冷たい計算によるアウトプットされたものであり、お姉様とわたしに対しての喋り方は全く違うものだということも。
どうしてお姉様はあの人に笑顔を向けてもらえるの?
どうしてお姉様はあの人に本当の優しさを貰えるの?
どうして…どうして…
その言葉は口から出ることはない。抱きしめて頭を撫でてくれてる、大好きな優しいお姉様に少しでも嫌われたくない。
わたしの心にもう余裕はまったくなかった。
ここでお姉様に嫌われてしまったら、もう耐えられない。
「大丈夫深雪?マフラー使う?」
しばらく泣いてから、泣き疲れて泣き止んだわたしにお姉様は聞いてくる。
「いえ大丈夫です……申し訳ありません…服をくちゃくちゃにしてしまって」
明らかに出かける様子であったのに、私がくちゃくちゃにしてしまったせいで、もう一度着替えなければいけなくなってしまった。
「いいのよ、別に。だって私はお姉ちゃんなんだもん」
今のお姉様はどこかほんわかしている。格好は明らかにドン引きするレベルなのだが。
そんなお姉様と別れ部屋に戻るときに振り返ると、真剣な表情をしているようなオーラを放ちながら(マスクとサングラスのせいで本当の表情は見えない)、兄の部屋に入って行くお姉様が見えた。
その後の二日間、兄に優しくなろうと思ったが染み付いた習慣は中々矯正されるものではないと思い知らされるだけであった。あと7日間も同じようなことを繰り返すのだろうかと悩んでいたが、そんなことで悩んでる余裕はなくなった。朝食を終えた時、全ての情報端末から緊急警報が流れたのだ。
警報の元は国防軍。どうやら外国の奇襲による侵略らしい。
さすがに桜井さんも焦っており、お母様も緊張気味であった。テレビのキャスターもものすごく動揺している。私は現実逃避することにより自分を保っているのだと思う。
でもこの人たちは?
「神儀による未来予告は確定した未来ぽいわね…ていうことは今回の天宇受売命の力の対象は誰…」
お姉様は真剣な顔をしているが、それは焦りや緊張ではなく、何か違うことを考えているようで、独り言を口に出しながら考えをまとめているようだった。
兄は何も人間的な情緒を持っていない顔で情報端末をみている。わたしと同じく実感が持てないのであろうか。
その兄に対して通信があり、それによると風間大尉より基地のシェルターに避難してはどうかという提案があったらしい。
その話を兄がし終わると同時に、新たな電話がお母様のところにかかってくる。相手は叔母様だ。叔母様とお母様の仲はいい。
「もしもし、真夜?……そう、貴女が手を回してくれたのね……でも、かえって危険ではないかしら?……うんうん、伝えとくわ…ありがとう」
通話を終え、受話器を桜井さんに渡す。
「奥様。真夜様はなんと?」
お母様が言うには、叔母様が国防軍のシェルターに匿ってもらえるよう、話を通してくれたそうだ。さっきの兄にかかってきた電話もそういうことだろう。
「咲さん、いざとなったら淡の攻撃モードを使っていいらしいわ」
「本当ですか、お母様も珍しく使えるわね」
自分の親のことをいつもは使えない呼ばわりしているのは置いとくが、攻撃モードとはなんだろう。淡の能力は自分の魔法以外の魔法発動を防ぐ絶対安全圏ではないのか。
そんなことを考えていると、兄が迎えの手配を全てやってくれた。そして基地から迎えにきてくれたのは予想していた通り、檜垣ジョセフ上等兵であった。
私たちは国防軍の連絡車輌に乗り、検問に止められることも敵襲も受けることなく基地に着く。
驚くことに、軍のシェルターには100人近くの民間人が逃げ込んでいた。この部屋にもわたしたち以外に5人の民間人が地下シェルターへの避難の案内を待っている。
もしかしたら、わたしたちもーーわたしも戦わなければいけないかもしれない。
お母様は本調子ではないし、桜井さんにはそんなお母様を守ってもらわなければいけない。
わたしは今まで実践と呼べる経験をしたことがないけれど、戦闘魔法の技能は並大抵の人には負けないと桜井さんからお墨付きをもらっている。神依しているお姉様と何度も戦っているのでそれは当然だと思う。
それでも不安を消し切ることはできずわたしはそっと隣の席を窺い見る。
隣には兄、その隣にはお姉様が腰を下ろしている。
その2人はわたしと違い落ち着き払っていた。お姉様に至ってはいつも通り本を読んでいる。
兄も実践と呼べるものは経験していないが、お姉様はもう既にテロリストの排除の部隊に従事している。人を殺した数も5回や10回どころでは済まないだろう。兄も何度も殺し合いの経験をしているはずだ。
その経験があるから2人は落ち着いていられるのだろう。
そんな2人を見ていると、少しだけ不安が和らいだ気がする。もう一度と思いチラッと見るとバッチリ兄と目があってしまう。
「大丈夫だよ、深雪」
三日前の約束通りにわたしのことを深雪と呼んでくれる。しかも、今回は優しいふりではない。小さいけれどもお姉様と話す時と同じような優しい声で。
「俺がついている」
……それ反則……!
どんな顔をしていいかわからない。自分がどんな顔をしているのかもわからない。
こんな時に、実の妹を口説こうとするなんて不謹慎すぎる。本人にそんな気が全くないというのが余計に癪に触る。お姉様に至ってはこんな状況なのに兄の言葉を聞いて笑っている。
わたしは兄を睨みつけた。
すると兄はいきなり椅子から立ち上がり、お姉様も顔を引き締めた。そして一拍遅れて桜井さんも椅子を蹴る。
「達也くん、咲さんこれは」
「桜井さんも咲にも聞こえましたか」
「じゃあ、やっぱりあれは銃声……」
「フルオートの銃声だったからSMGかアサルトライフルのたぶんどちらかだわ。アサルトライフルの可能性が高いと思うけど」
じゃあ敵が攻めてきたってこと?ここは国防軍の基地の中じゃないの?
「状況はわかる?」
「さっぱりです。精霊たちが騒いでるのは見えますが、使役できないのであまり意味がないです」
「自分もここからでは…この部屋の壁には、魔法を阻害する魔法がかかっているようです」
「そうね…どうやらこの部屋だけではなく、建物全体が魔法的な探査を阻害する術式に覆われているみたいね」
わたしにはわからなかったのに……
「強引に吹き飛ばす?」
「やめとけ、敵から見えないのも一緒だからな」
相変わらず面倒な時はごり押しをお姉様は好む。それはお姉様の魔法力があるからできることなのだが。
「おい、君たちは魔法師なのか」
突然、少し離れて座っていた男性が話しかけてくる。格好から見るに社会的地位のありそうな人だ。
「そうですが?」
いきなり話しかけられたことによる訝しさ満載の声で桜井さんが返答する。
「だったら、外で何が起こっているのか確認してきてくれ」
何それ…まるっきり使用人扱いじゃない。
「私たちは基地関係者ではありません」
「それがどうした。君たちは魔法師なのだろう」
「ですから私た」
「ならば人間に奉仕するのは当然ではないか」
あ、これはやばい。
「有象無象の中によくいるプロ市民というやつかしら。三流にふさわしいおめでたい脳みそを持った人ね、片腹大激痛」
お姉様は差別をとても嫌う。お姉様自身が差別されるのは別にどうでもいいと思っているのだが、身の回り、特にわたしが差別されると特に怒る。
相手は完全にお姉様の圧力に押されている。
「魔法師は人類社会の公益と秩序に奉仕する存在であるので、あなたのような一個人から奉仕を求められるいわれはないです」
兄も続け様に少し小馬鹿にしたように返す。このフレーズは魔法師以外にもよく知られたもので、当然この男性も知っていたのであろう。
「子供のくせに生意気な!」
「本当にあなたダメな大人の典型ね。子供に論破されると子供のくせにと言って返す。三流じゃなくて百流ぐらいのおめでたい脳みそね」
完全に馬鹿にしている。相手が魔法師だと、この挑発で魔法を使わせて正当防衛と言う名の蹂躙をするのがお姉様なのだが、相手は民間人であるのでそこまではしていない。相手はワナワナ震えていたが。
「達也」
この場を収めたのはなんとお母様。兄が呼ばれたことにより、お姉様は煽るのをやめる。
「なんでしょうか」
「外の様子を見てきて」
いつも通りにお母様は命令を出す。しかし兄は珍しく反論する
「状況がわからぬ以上、この場に危害が及ぶ可能性も無視できません。今の自分では、離れた場所から深雪を護ることは」
「深雪?」
兄の反論を冷たい眼差しと冷たい声で遮る。
「達也、咲さんは例外よ。身分を弁えなさい」
口調は優しいが背筋が凍るような声。兄がわたしのことを深雪と呼ぶのはわたしがそう頼んだから。しかしお母様の声にわたしは兄を弁護する意思すら持てなかった。
「失礼しました」
兄は何かを遮るかのようにすぐに謝罪をする。
「達也くん、この場は私が引き受けます」
桜井さんがギスギスした雰囲気をとりなすように横から口を挿む。
「私も様子を見てきます。達也さんと逆方向に向かえばこの部屋も安心かと」
「咲さん、あなたは一族の中で特に大事な人物なのよ。そんなに無理しなくていいわ」
「叔母様、わたしがやりたいことですので。桜井さんこの部屋のことはよろしくお願いします」
お姉様は一礼して兄と共に部屋から出て行く。2人とも怯えているさっきの男性に目をくれることはなかった。
銃声の音はわたしの耳でも聞き取れるようになっている。魔法が使われている気配がするのはお姉様か国防軍のどちらかが使ってるからであろう。
「失礼します。空挺中隊の金城一等兵であります。皆様を地下シェルターへご案内します。ついてきてください」
どうやら基地の兵隊さんが向かえにきてくれた。しかしもう既にそのタイミングを逃している。
「すみません、連れの2人が様子を見に外に出ていまして」
桜井さんがそう告げてくれる。ここを出てしまったら兄とお姉様とはぐれてしまう。
しかし案の定、軍人さんは難色を示す。
「既に敵の一部が基地の深くまで侵入しており、ここにいるのは危険かと」
予想通りの答え
「では、あちらの方々だけ先にお連れなさいな。息子と姪を見捨てるわけにはいきませんので」
わたしは桜井さんと目を合わせる。考えてみれば当然であるしお姉様を見捨てることはお母様もないだろう。しかし兄までを含めるのは違和感しかない。
お母様の提案を聞いたさっきの男性は兵隊さんたちに詰め寄り、兵隊さんたち4人は険しい表情で顔を見合わせ小声で相談し始める。
「咲さんと達也くんでしたら、合流するのは難しくないと思いますが」
その隙を見て桜井さんがお母様に訊ねる。
「咲さんは心配しているけど、達也のことを心配しているのではないわ、あれは建前よ」
お母様の冷淡さに膝が震えだす。
どうして実の息子にここまでできるのだろう……?
「では?」
「勘よ」
「勘ですか?」
「この人たちを信用すべきではないという直感ね。たぶん咲さんもそういうと思うわ」
お母様の言葉を聞き、桜井さんは最高度の緊張を取り戻す。
精神干渉系の魔法の使い手は高い直感的洞察力を有している傾向がある。お母様は世界で唯一、精神構造を弄れる魔法師である。そのお母様が言う直感は、お姉様の予知能力に近い意味を持つ。わたしのよう精神干渉系魔法を使えるが、直感を持ち合わせていない例外もいるけれど。
「申し訳ございませんが、みなさんを残しておくわけにはいきません。お連れの方々は我々が責任を持ってご案内させていただくので、一緒についてきてください」
言葉遣いはさっきと変わらないがちょっと脅しているような態度になっているように感じる。
「ディック!!」
突然の乱入者、声の主の檜垣上等兵が急展開をもたらした。
金城一等兵が檜垣上等兵に向けて発砲したのだ。そして金城一等兵の仲間は私たちに向けて銃を向ける。
桜井さんが起動式を展開したが、頭の中でガラスを引っかいたような騒音が魔法式の展開を邪魔する。
キャストジャミング!?
目を向けると1人がアンティナイトをつけた指輪をはめている。そしてこちらはお母様が蹲っている。
お母様は鋭敏すぎるサイオン感受性を持っている。キャストジャミングのサイオン波が体にまで影響を与えているのだ。
キャストジャミングを止めないと!
これぐらいのキャストジャミングならお姉様が作り出すキャストジャミングの方が強い。
どうやらキャストジャミングを使っているのは非魔法師のようだ。
わたしはこの1年間、絶対安全圏とキャストジャミングの両方を相手にしてきたのだ。このわたしをキャストジャミング程度で止めれると思ったら大間違いよ!
CADは使わない。時間が勿体無い。それなら使う魔法はあれしかない。お母様から受け継いだ精神干渉魔法。アンティナイトをはめたあの人だけを狙ってわたしは魔法を発動する。
精神凍結魔法「コキュートス」
キャストジャミングがやむ。相手の精神が完全に凍りついたのだ。凍らせた相手はこれが3人目。もう動きだすことはないのでこれは死と同じ。
わたしは罪悪感に耐えるため奥歯を噛みしめる。
これはわたしの甘さ。当然の報い。相手は1人ではなかったのに。銃口は私たちに向けられていたのに。お姉様に多人数と戦う時は全員殲滅してから別の行動をしろと言われていたのに。
桜井さんの魔法が編み上げられ効果を現す前に、マシンガンの掃射がわたしとお母様、桜井さんの体に穴を穿つ。
撃たれたところが痛いよりも熱い。身体が寒い。血とともに命が流れ出すのがわかる。
兄に謝りたかった。お姉様の神のごときあの姿をもう一度見るためにお姉様に勝つという約束を果たしたかった。
ごめんなさい、お姉様兄さん。
本当にごめんなさい、お姉様お兄さ……
「「深雪っ!」」
空耳のようだと思った。
兄がむき出しの感情で、泣いたことなど見たことないお姉様が涙声でわたしを呼ぶはずがない。
苦労して開いた目の先にはわたしを抱きかかえる2人がいた。
お姉様から放たれるほんの小さな魔法が兄に吸収されると、それと比較にならないぐらいの圧倒的何かが兄の左手から放たれる。
兄の魔法がわたしの体を読み取り全てを作りかえる。それは魔法というにはあまりに強大で、精緻で、大胆で。
わたしは似たような魔法を知っている。それはお姉様の神依。2人の魔法こそが本当に真に、魔法の名に値するもの。
血が口にせり上がってくることは全くなかった。
「深雪、大丈夫か!?」
明瞭になった視界一杯に心配そうな兄の顔。
この人のこんな生の表情を見るのは初めてだ。
「お兄様…」
その言葉はすんなりわたしの口を通過した。
「よかった……!」
わたしはもっと慌ててもよかった。だってあの人がわたしの体をしっかりと抱きしめているのだから。
お兄様が抱擁を解いた後、私をお姉様に預け、私と同じように桜井さんとお母様を治していく。何か才能が開花したかのように見える。
お姉様もその光景を見てどこか嬉しそうだ。
部屋は花なんてどこにもないのに、なぜか花の香りが漂っていた。