オーバーロード 天使の澱 ~100年後の魔導国~   作:空想病

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最終話 -2 ~新たな始まり~

/War is over …vol.06

 

 

 

 

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 カワウソはミカだけを伴い、西の方角のみが眩しく赤い──それ以外は蒼く暗い水平線を見渡しながら、夜の帳がおりつつある波打ち際を、二人で歩く。波の音が心地よく、カワウソの緊張に激しつつある心音を和らげてくれるかのよう──勿論、傍にいるミカの希望のオーラの効力もあるだろう。

 

「いろいろあったな……この異世界に、おまえたちと一緒に転移して……」

「──はい」

「驚くことばかりだったが……いざこうしていると、本当に、……ミカたちには感謝しかないな」

「……っ」

「どうした?」

「な……なんでもありやがりません」

 

 夕刻の終わり。

 拠点内部の夜空には、星と月が輝き出す。

 その光景を見上げると、拠点ごと異世界に転移したこれまでを思い出す。

 

「ヴェルを助けて。魔法都市に行って。飛竜騎兵の事件に巻き込まれて」

「──はい」

「マルコの招待を蹴って。魔導国と敵対して。この世界で、おまえたちと一緒に、あのナザリックを目指して」

「──はい」

 

 相変わらず忠勤に励むミカの首肯。

 これまでは、ミカの本心や本意など読むことはできなかった。

 言い訳になるだろうが、異世界転移という破格の状況に、カワウソの脳髄が追いついてくれなかったのが主な原因だろう。

 そして、アインズ・ウール・ゴウンやナザリックの存在を知った時から、カワウソの意中には、目の前に現れた敵への戦いを求める欲望・復讐を果たす機会を渇望する餓鬼──それしか存在しなかった。

 すぐ傍にいたNPC──ひとりの女天使が、心の内に抱えた苦悩と葛藤に、一人のプレイヤーが思いを致す余裕など、微塵もなかった。

 でも、今は違う。

 戦いは終わり、アインズとの戦いでカワウソは、ようやくミカの真実に辿り着いた。

 

「ミカ」

「──何か?」

 

 見つめてくる天使の双眸に宿るのは、嫌悪の色彩。

 その奥にあるものを見透かすべく、カワウソは女の視線を受け止め続ける。

 

「ミカ、あの命令──『俺を憎め』というのは、もう忘れていい」

「……そうですか」

「それと、あの設定──『嫌っている』というのを、忘れることは?」

「……それは、できません」

 

 わかっていた。

 ミカがそう告げるしかないことを。

 

「私の設定は、私というモノ(NPC)が、ここに存在する理由──動因──絶対の原則。それを、私のごときシモベ風情の、賤しく浅ましい我意と私欲で歪めること──忘却すること──無視すること──それは、我らNPCには、不可能な摂理なのです」

 

 言っている本人が、悔恨とも絶望とも言い難い表情で、瞳を伏せる。

 記憶を操る魔法でも無理がある──それはすでに分かっていたことだ。

 話はそれだけですかと問い質すミカに、カワウソは最後の“手”に訴え出る。

 

「聞いてくれ、ミカ」

 

 アインズから聞かされた──ひとつの手段。

 

「おまえは『堕天使であるカワウソを嫌っている。』──俺がそう設定したよな」

「………………はい」

「だから、おまえは、俺を嫌っている」

「チッ──それが何だというのです?」

 

 憎み切っているかのような眼差し。

 転移直後の自分では見続ける自信がないほど鋭い眼光は、堕天使の視線を受け止めたくなくなったと言わんばかりに逸らされ、背中を向ける形で拒絶される。

 その姿を前に、カワウソは迷いかける。

 それでも、カワウソはミカの背中に向かって、まっすぐに告げる。

 

「ミカ──おまえは知らない──いや、覚えていないだろうが。

 俺の本当の名は、若山(わかやま)宗嗣(そうし)という」

「…………わかやま、──そうし?」

 

 あの玉座の間で告げたはずの名前。

 だが、直後の戦いで死亡し、拠点で復活を果たしたミカは、その時の記憶を完全に失っている。

 ミカの疑念に対し、カワウソは話の核に迫る。

 

「ミカ。おまえの設定は『堕天使のカワウソを嫌っている。』だろ?」

 

 しかし。

 カワウソという名前は、ゲーム内でのただのハンドルネーム──偽名のようなものに過ぎない。

 ──そう。

 つまり。

 

「ああ、つまり、だから、その──ミカが俺を、若山(わかやま)宗嗣(そうし)という名前の存在を、嫌う必要は…………ないと思う」

 

 本当に。

 随分と身勝手な物言いに聞こえるだろう。

 こんな調子のいいことを言っても、カワウソのやったことを帳消しにできるものではないはず。自分勝手にNPCの設定を与えておきながら、それを反故(ほご)にしろなどと。

 

「勿論、おまえが大嫌いな俺の意見なんかを聞きたくないというのなら、それでもいい」

 

 それでも。

 

「それでも俺はミカの本当の気持ち、を──?」

 

 (うつむ)けていた顔をあげた時、ようやくカワウソは気づいた。

 

「……ミカ?」

 

 見つめる女天使の背中が、かすかに、だが明確に、震える。

 

「…………ミカ?」

 

 その異変を、変調を、カワウソは質すように声をかけた。

 主人の疑問符を混ぜた声に対し、ミカは一向に振り返らない。

 ただ彼女の全身は、ありありと女の思いを(あらわ)し始めている。

 

「────ミカ?」

 

 三度目の声に、ミカは応えるように、震えっぱなしの身体で、振り返った。

 

 

 

「………………………………いい、の、です、か?」

 

 

 

 振り返った女天使の頬を、ひとしずくの光が伝う。

 

「私が──、私ごときが──、私なんかが。

 あ、あ──あなたを、あなたさまを──

 お、お慕いしても、いいのでしょうか?」

 

 泣き濡れる様は、強力な力を持つNPCとしての面影など微塵も感じない。

 ただ純粋に、男の申し出に感極まっている一人の女性が、そこにはいた。

 切なさが込み上がった。

 刹那、目の前の天使を、カワウソは意識しないまま胸の中に抱き寄せる。

 彼女からの抵抗はなかった。

 拒絶も、なかった。

 

「ごめん──ごめん──」

 

 ひたすらに、カワウソは謝った。

 縋りつくように、ミカの両手が男の肩に回された。

 そのぬくもりが切なかった。切なすぎた。嫌っている者になどするわけもない抱擁を、ミカは返してくれた。

 そうして、ミカもまた、創造してくれた主人に対し、男の肩を濡らしながら、謝り始める。

 

「ごめんなさい──ごめんなさい──ほんとうは、今まで、ずっと、ずっと──うそ、ついて、あなたに、わたし──ごめんな、さい……」

 

 あふれる言葉と想い。

 

「あなた、に、捨てられたく、なくて、見捨てられたくなくて、怖くて、恐くて、ずっと、……嘘を……」

「うん」

「ごめん、なさい──ごめんな、さい──わたし、こ、んな、嘘つき、で……ぅ、……ごめんなさいッ……」

「──それは違う」

 

 嘘つきなどというのは間違っている。

 ミカの述懐は、そうあることを強要されたが故のこと。

 カワウソの、若山(わかやま)宗嗣(そうし)の紡いだ設定の悪辣さによるもの。

 だから、責任はカワウソのみにある。

 カワウソは、自分の責を認め、謝罪を繰り返す。

 

「ミカ。謝るのは俺の方だ……だから」

「でも、私、あなた、の、決めたこと、なのに、全然、その通り、できなくて、……ご、ごめんなさい」

「もう──いい」

 

 もういいんだと、儚く震える天使に言い含める。

 これほどまでに思ってくれる──想い続けてくれていた天使を、カワウソは真実、(いと)おしく思う。

 

「ミカ……ごめん……」

 

 ごめんな。

 そう告げると、ミカは謝罪を紡ぐ主を見つめ、何でもないことのように首を振ってみせた。

 カワウソは、ミカから体を離した。

 そうして、彼女をまっすぐに見る。

 黄昏(たそがれ)よりも明るく輝く、金糸の髪と天使の()。純白の六翼は嬉しさを体現するように羽ばたきを繰り返しながら、堕天使の総身を躊躇いがちに包んでくる。涙で潤んだ二つの碧眼は美しく、まるで、見上げればそこにある青空(そら)のように、男の感情を──悲しみも寂しさも、あらゆる苦痛と慟哭を受け入れ、そして、癒し尽くしてくれる。

 ああ、本当に綺麗だ。

 両目からこぼれるもので濡れるミカ。

 ──彼女がいたから、カワウソは孤独(ひとり)にはならなかった。

 子どものごとく震え続ける肩を慰めるように、けっして彼女が壊れてしまうことがないように、もう二度と失いはしないと誓うかのように、カワウソは慣れない調子で──そこにいてくれる愛しいものを抱きよせる。

 抱擁を受け入れる女の謝辞は、夜の浜辺に落ちきった。

 代わりに、ミカは自分の本当の思いを、紡ぐ。

 

「あなたに……私──ずっと……ずっと、言いたかったことが」

「うん。なんだ?」

 

 泣き濡れた美貌を覗き込む。

 そこにある微笑みを、堕天使の掌は包む込む。

 涙を拭う女天使は、創造主の手の甲を、自分の掌で包み返し、額と額を合わせ、安らかな面持ちのまま、すべてを受け入れた。

 主の提案を。

 彼の言葉を。

 男の温度(ぬくもり)を。

 想いも、すべて──

 

「私は、あなたを……」

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 うれしい。

 うれしい。

 うれしい。

 

 こんなにも、幸福なことがあるのだろうか。

 こんなにも、幸運なことなどあるものだろうか。

 

 私は、彼を、“愛してもいい”──“愛することができる”という。

 

 その可能性について、つい先日、ナザリックの元守護者統括──アルベドという女悪魔──アインズ・ウール・ゴウン魔導王の最王妃から、聞かされていた。

 

(──「彼を『嫌っている。』貴女が、彼を愛する方法が、ひとつ、ある」──)

 

 その詳細を聞かされても無論、半信半疑だった。

 もともとは敵であった──玉座の間での戦いで、ミカと相対し、戦闘を続けたらしい悪魔の言うことなど、信じるべき要素など少なかった。そもそも天使や女神が、悪魔の言動を信じる道理すら、ない。

 

 ……けれど。

 (ミカ)の設定は『カワウソを嫌っている。』……

 

 だが、──否、だから、「プレイヤーの若山(わかやま)宗嗣(そうし)という存在」を、嫌う理由には、“なりえない”。

 

 それを理解した瞬間、悪魔の讒言(ざんげん)弄弁(ろうべん)だと断じるべきという思いは、崩れた。当然ながら、疑いは残った。本当に、そんなことがありえるのか──ありえていいことなのか──自分は敵の掌で踊らされているだけで、何か、女悪魔の悪辣な罠という可能性や、ナザリックの謀略と奸計の坩堝(るつぼ)に突き落とされている懸念も十分ありえた。

 なのに。

 彼を、カワウソを、自分の創造主たる男を──“愛してもいいかもしれない”という妄想は、否定しきれなかった。

 否定したくなかったのだ。

 

 この話は、私の中で数日間、重々しく渦巻き続けた。

 彼に、この可能性を提言してみようかという欲求が芽生える端で、彼にそれを否定され、拒絶され、罵倒され侮蔑され失望され──「すてられる」ことになったらと思うと、恐くて怖くてたまらなくて、何もできないまま、ミカの一日は終わるばかりだった。

 

 けれど、今日。

 いま、この時。

 

 他の誰でもない──誰よりも何よりも信頼に値する男の口から──創造主たるカワウソから──最も欲しかった言葉をいただいた。

 

 だから──ああ、だから。

 どうか言わせてほしい。

 

 ずっと、ずっとずっと、生まれた時から言いたかったこと。

 

 私はあなたを……

 

 

 

 

「──愛しています」

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 月と星の明かりに照らされる浜辺に、二人の影が重なり合った。

 その様を、ウッドデッキの端で見届ける者たち。

 天使の澱のガブやラファ、涙ぐむ十人のメイド隊。

 そして、その最前には、カワウソの盟友となったプレイヤーの姿が。

 アインズは、すぐ隣に侍る王妃アルベドに、満足そうな首肯を落としてみせる。

 

「成功だな」

「ええ……先日、私が彼女と話をした際、もうすでに種は蒔いておりましたから」

 

 あの夕暮れ時に。

 アルベドとミカの間で交わされた会話……その内容こそが、今回アインズがカワウソに提供した、ひとつの試案だった。

 アインズは懸念していた不安要素を口にする。

 

「プレイヤーの“偽名(ハンドルネーム)”と、プレイヤーの“本名”──あるいはプレイヤー“そのもの”に対する認識の差異──下手をすれば、彼女の意識に悪影響を及ぼすやもと懸念していたが」

「ご心配には及びません。彼女は……熾天使のミカは、私のあの設定とは正反対のもの──むしろ、彼女にとっては、これ以外の救済はあり得ないものかと」

「……ああ。そうだな──」

 

 ミカにとっては、これ以外の救済はなかった。

 逆に、『愛している。』という設定の方こそが、酷な状況を作り上げたやもしれない。

 そう。

 それこそ。

 100年前に、アインズがアルベドに対して行った──残酷な仕打ちのように──

 

 

 

 

 …

 

 

 

 

 100年前。

 あの『事件』において。

 

「何故、“裏切った”……アルベド?」

 

 アインズは涼しい声で問い質した。

 アインズ・ウール・ゴウンの名を貶め、裏切りと愛情に満ちた笑みを浮かべる、美貌の女悪魔に。

 敵の──スレイン法国最強にして最凶の存在・番外席次“絶死絶命”の手に落ちたナザリックの守護者統括は、恍惚とした瞳の色で、相対する至高の主人に、整然と告げる。

 

「何故? ──簡単なことでございます。

 私の愛すべき主人は、“モモンガ様”ただ御一人だけ!

 はッ! アインズ・ウール・ゴウンなど、くだらない(・・・・・)

 私が愛すべき方に比べれば! あなた様の本当の名と比するなら! アインズ・ウール・ゴウンなどという名に──そのような称号(モノ)に、いかほどの価値があるというのでございましょう!」

 

 だから。

 アルベドは“捨てた”。

 アインズ・ウール・ゴウンを。それを信奉する同胞たちを。

 自分の創造主、タブラ・スマラグディナより託された世界級(ワールド)アイテム“真なる虚(ギンヌンガガップ)”までをも捨て去り、あの番外席次“絶死絶命”──彼女の能力によって起動した世界級(ワールド)アイテム“傾城傾国(けいせいけいこく)”の支配に、堕ちた。

 それこそが、アインズを、モモンガという愛すべき存在に回帰させる手段に成り得ると確信できた。

 そんな、精神を半ば支配されている守護者統括に対し、アインズは──否──モモンガは揚々と告げる。

 

「ふむ。そうか。

 ──だがな、アルベド。“間違っているぞ”」

 

 何を間違っているというのか理解しかねる女に対し、男ははっきりと告げてみせる。

 

 

 

「私は──俺は、──“モモンガではない”」

「……………………………………、えっ?」

 

 

 

 言われた内容を、アルベドの耳はとらえ損ねた──わけではない。

 

 

 

「ふむ、聞こえなかったのか? ならば、もう一度、断言しよう」

 

 

 

 モモンガは、アルベドの設定に組み込まれた陥穽(かんせい)……悪辣な落とし穴の蓋を開いた。

 裏切者に対する罰を下した。

 

 

 

「俺は──モモンガという名の存在では、断じてない」

 

 

 

 告げられた言葉の重みを、アルベドは受け止めることができずにいた。

 できるわけがなかった。

 

「な、にを──え、……どういう?」

「そのままの意味だが?」

「あ、あ、あア、ありえません! あなた様は間違いなく! 私の愛するモモンガ様です! 声も姿も御力も! 御身より溢れるオーラに至るまですべてが! モモンガ様のそれでしかない! ア、アインズ・ウール・ゴウンなどという穢れた名を名乗っておられようとも! この私が! あ、あなたを愛する私が! あなた様のことを間違えるなど!!」

「──ああ、確かに。モモンガという名を、私は使ってきた。アインズ・ウール・ゴウンという名を、この世界で名乗り始めはした。──だが、“アインズ・ウール・ゴウン”が俺の本当の名ではないように、“モモンガ”もまた、俺の『偽りの名』のひとつでしかない」

 

 女悪魔の全身が、心が、魂が引き()った。

 告げられた言の葉の意味を、アルベドは悟り始める。

 それでも、その事実を受け入れることは──不可能だった。

 

「う……そ?」

「何度も言わせるな。事実として、私の本当の名は、モモンガという名では、ない」

「ウソ……う、う、嘘、ですよね? モモンガ様は、モモンガ、さま、ですよね?」

「知らないのであれば教えよう。私の本当の名は────────“鈴木悟(すずきさとる)”という」

 

 彼が明言する本名を──スズキサトルという音色を告げられて尚、恐怖と絶望に震撼する女悪魔は、目の前の出来事を拒絶するしか、ない。

 アルベドが知りようのない、真実。

 ゲームのマナーとして、リアルの名前をゲームで呼称することは、ほぼありえない。

 モモンガの仲間たち・NPCたちの創造主たるギルメンたち全員が、鈴木悟に対し、モモンガという名で、死の支配者(オーバーロード)のプレイヤーとして接していた事実。しかし、モモンガという存在は、ただの幻の名称──ゲームプレイヤーの、至極あたりまえに用いられる嘘の名前(ハンドルネーム)のひとつに過ぎない。

 だが、アルベドの改変された設定は『“モモンガ”を愛している。』……つまり。

 

「さぁ。答えろ。アルベド。

 おまえは一体、誰を愛している?

 偽の名前“モモンガ”という虚構か?

 それとも、この俺“鈴木悟”だと、そう言えるのか?

 ……なぁ、どっちなんだ?『モモンガを愛している。』アルベド──」

 

 女は戦斧を取り落とした。

 武器を落とした両手で顔と頭を覆い尽くし、黒髪を振り乱して首を横に振りまくる。

 

「そ、ん、な──そんな、こ、と──ッ!」

 

 あまりの真実を前に、悪魔の頭脳が混沌化の極致に昇る。

 

「あ──あなたは、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガ様、モモンガさま、モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガ様モモンガサマ──モモンガ様ァア˝!!」

 

 零れ落ちる涙の濁流。彼女の両手は、身内から溢れる悲嘆の洪水を受け止めきれない。

 狂乱する女を前にして、男はどこまでも冷酷に告げる。

 

「物わかりの悪い──違うと言っているだろう? 私は────」

「あ……言わないで、……も、もう、い、言わないで!」

 

「────“俺はモモンガではないッ”!!!」

 

 悪魔の脳髄が、漆黒の闇にとざされる。

 アルベドは、『モモンガを愛している。』

 ──だが、モモンガは、“モ モ ン ガ で は な い”。

 では、モモンガではない──目の前の、愛する御方は、────いったい誰だ?

 誰だ誰だ誰だ、ダレだ──彼は、あれは、アレは、アノ方は、一体なんだ?

 自分は、アルベドは、誰を、──何を、愛して──ナニヲ、アイシテ?

 

「ワ、わた、し、私、は、モモンガ様、ヲ、あイし──愛して?」

「俺はモモンガではないと言っているだろう?」

「あ、ああ、あああ、アアアアア˝……ッ!」

 

 モモンガだと「信じてきた者」から浴びせられる、防御不可能の、言の葉の一撃。

 モモンガではない──だが、「モモンガ以外の何者でもないと信じてきた者」から送られる、最悪にして災厄の事実。

 あのとき、あの玉座の間で改変された設定……

 

『モモンガを愛している。』……

 

 主人から与えられた設定は、NPCの根源に刻印されしもの。

 それは、喜ばしき祝福であり、何にも変えがたい恩寵であり、自分というNPCが生存する絶対動因にして存在理由……そのはずだった。

 

 だが────

 

「う──うそ、うそウソ、ウソウソウソウソウソォ!!」

 

 まんまと騙されていた──かわいそうなNPC(アルベド)は、前後不覚に陥るほどの狂態を見せ始める。女悪魔の心は惨状の極みに達した。漆黒の全身鎧(ヘルメス・トリスメギストス)が着用者の変身能力によって膨張し始め、彼女の生来の能力が解放されていく──“しかし”。

 ナザリック最高と謳われた智者でありながら、あまりにも愚かしい。アインズ・ウール・ゴウンを『モモンガ』という名に戻そうと、すべてを準備してきた。仲間たちを裏切り、アインズ・ウール・ゴウンを貶め、逆に協力してくれる力強い(コマ)も揃えた──“なのに”。

 

 

 その『モモンガ』は、最初から、この世界のどこにも存在しないという、現実。

 

 

ッ、嘘˝よ˝ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

 

 醜い本性に変身した姿を露わにしながら、滂沱の涙に濡れていく女悪魔。

『モモンガを愛している。』怪物の巨拳が、悲鳴のごとき咆哮を奏でながら、モモンガ……否……アインズ・ウール・ゴウン──否──鈴木悟に対し振り上げられ──

 そして……

 

 

 

 

 …

 

 

 

 

「あれから100年か」

「はい……」

 

 アインズの──モモンガの──鈴木悟という男の言葉に、しっかりと頷くアルベド。

 

 あの時のことを、アルベドは“覚えている”。

 あの『事件』のすべてを、記憶の中にとどめている。

 忘れることはできないし、忘れてはならないと厳命されている……他でもない、100年前から隣に寄り添い続けている、寄り添うことを許してくれている男の──いっそ酷薄なまでの、──願い。

 

「アインズ様────私は」

「わかっている…………ああ、わかっているとも、アルベド」

 

 アインズを見上げる純白の女悪魔は、微笑みを強くした。

 アルベドの想い──彼女の愛情は、今や「モモンガのみ」には留まらない。

 アルベドは、モモンガだけでなく、アインズ・ウール・ゴウンを──鈴木悟という男のすべてを、今では完全に愛し抜いている。

 そう。

 アルベドは『モモンガを愛している。』──だが、“モモンガ以外を愛してはいけない”という道理には、ならない。

 それを、あの『事件』……最悪の障害……世界の盟約に反するモノ……世界の敵の「後継」たる者との戦いの中で、(さと)された。アルベドは主人を裏切り、最強最悪の番外席次の手に落ちてまで、アインズや周辺諸国に災厄をなした。『事件』後、アルベドは自刃することすら許されず、その責を負うべく、愛する御方からの断罪を受け入れた。その果てに、アルベドはナザリック地下大墳墓の守護者統括という地位を追われ、“元”守護者統括となり(おお)せた。

 付け加えて、魔導国の「宰相」から「大宰相」という新たな地位に落ち着いた。

 そうして、魔導国による世界征服完了より数年後。

 ツアレの懐妊から始まった『術師』の復活……そして、あの婚姻騒動の末に、シャルティアやアウラやマーレ──そしてニニャたちと(くらい)を同じくする「最王妃」として、愛する男の寵愛を受けとり、念願であったアインズ……モモンガ……鈴木悟の御嫡子を賜ることまで、叶った。

 

「……ミカくんの設定を聞いた時は、まさかと思ったが」

「はい。私も、あの戦いのさなかに聞いて、驚きを隠せませんでした……ですが、そのおかげで……」

「ああ。そうだな」

 

 アルベドは明言こそしないが、ミカという敵を「救いたい」と思った。

 勿論、自分の敵である状態を継続した、玉座の間での戦闘中、一片の慈悲も情けもかけずに、女悪魔は女天使と戦い続けた。

 だが、カワウソが蘇生し、ミカが復活を果たした後は、できる限りにおいて、彼女たちを救済する側に立ち続けた。

 ミカは、アルベドと真逆の設定を与えられた存在。──だからこそ、アルベドはそんな彼女の思いを、苦悶を、苦痛を、……自らの愛を否定し拒絶しなければならない不幸を、完全に理解できたのだ。

 

「ありがとう、アルベド……我々も、この異世界での先達として、後輩たちを導くことができた」

「ありがとうございます。アインズ様」

 

 大華のように微笑む妃を抱き寄せ、魔導王は慣れたように王妃の額へと口づけを落とす。

 そうして、こちらに気付いたカワウソとミカに応じるように、アインズはアルベドを連れて、二人のもとへ。

 ミカと寄り添ったまま、堕天使のプレイヤーはあらゆる重荷から解放されたような安堵感を面にする。

 彼はそのまま、柔らかく微笑んだ。

 

「ありがとう、アインズ・ウール・ゴウン魔導王……モモンガ……鈴木悟さん」

 

 堕天使の復讐者──カワウソ──若山(わかやま)宗嗣(そうし)は、頷いた。

 そうして、彼はアインズに対し、畏敬の念を込めて、頭を垂れた。

 長い首肯から顔をあげた。

 彼の唇が、嘘偽りのない思いを、宣誓を紡ぐ。

 

「決めた」

「うん? ──何を?」

「俺はアンタの、アインズ・ウール・ゴウンの、モモンガの、鈴木悟の夢を“支持する”」

 

 アインズ・ウール・ゴウンの至上目的。

 ひとりの男が突き進む道を、彼に救われたカワウソは、憧れと尊び……敬服と感謝の念を込めて、認めた。

 

 

「アンタの夢が叶う日まで、俺はアンタに協力する。

 ──あなたが、あなたの仲間たちに会えるところを、どうか俺に見せてくれ」

 

 

 カワウソは告げた。

 同じ夢を、見させてほしい。

 それに対する魔導王の返答は、ただひとつのみ。

 

 

「──ああ、見せよう。見せてやるとも」

 

 

 アインズは誇らしげに頷いた。

 それは王としての首肯──自らの意志に揺るぎない想いを──真誓を懐く男の、決定であった。

 この時、アインズとカワウソは、同じ夢を目指して進む同志となった。

 道のりはなお遠く、見果てぬ夢──叶わぬ妄言に堕するかもしれない。

 だとしても、夢見る価値があると、二人のプレイヤーは、信じぬいた。

 彼らが目指すのは彼方の果て……艱難辛苦の頂きの、さらに上を行く最難事となるやもしれない。他の者から見れば、馬鹿げた夢だと嘲弄され、叶わぬ願望に縋りつくさまを滑稽と、そう嗤われて終わるやもしれない。

 だが、それが何だというのだ。

 たとえ夢の覚める時が来ようとも、叶うはずのない野望になり果てても、二人の思いは今や完全にひとつとなった。

 敵として刃を交わし、互いの言葉、信念と理想、約束と誓いをぶつけ合った男たち。

 だからこそ、彼らは互いにとっての理解者となり、道行きを共にする盟友となった。

 アインズ・ウール・ゴウンの『仲間との再会』という夢を、二人は共有の(たから)とした。

 

 こうして。

 100年後の魔導国において。

 堕天使のユグドラシルプレイヤー・カワウソは、アインズ・ウール・ゴウンの夢の賛同者となり、協力者となった。

 

 自分では敵わない敵に。

 自分では夢見れない夢に。

 カワウソは自分のすべてを託した。託すことを決めたのだ。

 

 二人は夜の浜辺で、互いの手を差し出し合い、堂々たる思いと共に握り合った。

 彼らは、もはや、孤独(ひとり)ではない。

 

 彼らの戦いは、今ここで、新たな始まりを迎えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【 終 】

 

 

 

 

 




『オーバーロード 天使の澱 ~100年後の魔導国~』をご覧いただき、誠にありがとうございます。

 偉大なる原作『オーバーロード』と、
 偉大なる原作者・丸山くがね様(むちむちぷりりん様)に、心からの感謝を。

 この場を借りて、ハーメルンという創作の場(サイト)を提供してくれる運営様にも、心からの感謝を。

 そして、ここまで読んでくれたあなたにも、感謝を。

 思い返せば実に長く、そして長い道のりでした。
 連載開始が2017年2月、連載終了が2019年1月……およそ2年間。
 ナザリック敵対ルートという完全に「自分の趣味」というか「読みたい話」──ナザリックの第八階層攻略戦や玉座の間での最終戦、「敗者の烙印」を押されたプレイヤー、創造主を『嫌っている』設定のNPCを形にしたくて筆を執った『天使の澱』──原作キャラとの敵対によるシリアス展開に苦言や酷評を頂くこともあって当然の二次創作作品でしたが、オリジナルギルドがアインズ・ウール・ゴウンに敗れ、そして和解するエンディングを迎えることで終戦という結末に相成りました。
 いやぁ、何度筆をへし折ってシュレッダーで粉々に砕いてゴミ箱に投げ入れてTNTで爆散してやろうと思ったことか。正直、連載は当初一年程度で終わらせようと思っていたのですが、結局2年近くかかったのも、そういうのが影響していると言えなくもないかもしれません。モチベ管理は難しい。
 ですが、「はじめてしまった物語は、できる限り終わらせること」が信条方針ですので、予定していたお話の中で余分なところは極力省いて、すっきり100話前後での完結といたしました。
 魔導国100年の歴史や冒険都市編で登場する予定だった原作キャラ……アンデッドになった古田さんとかクレマンとかシズの友達の目つきが悪い女の子とかは……さて。ただでさえオリ要素の強い作品ですから、原作キャラが出ない(出ても100年の時間経過でそのまんまとは絶対に言えない)から、いろいろと難があるのですよね。ごめんなさいです。

 最後のあとがきなので、拙作について少し語らせていただきます。
 興味のない方は読み飛ばしてください。



 この二次創作『天使の澱』を作る上でのテーマは、

 ──「モモンガVS“もうひとりのモモンガ”」──です。

 アインズ・ウール・ゴウン魔導王として大成した100年後の原作主人公・アインズ・ウール・ゴウン魔導王ことモモンガに対し、モモンガと似て非なる主人公──もういない仲間のために戦う100年後のユグドラシルプレイヤーとして創り上げられたのが、拙作の主人公・復讐者の堕天使・カワウソとなります。
 もしも原作のアインズ……モモンガがナザリックを失い、アインズ・ウール・ゴウンの仲間たちから「捨てられ尽くした」というIF設定。
 ですが、そんな最悪の状況でも仲間たちを、友達を信じてしまうだろう……そんな悲哀に満ちた主人公像を、この二次創作の形で映し出した存在が、拙作のオリジナル主人公・カワウソ。
 そして……「そんな二人が出会うことになったら」……それが、この『天使の澱』の物語の主軸だったわけです。
 カワウソはモモンガのダメな部分や悪いところを煮固めて作り上げた──仲間たちへの思いに縋って泣き喚き、足掻き続けることでしか生きていけない人間であるため、ご不快に思われる方もいたことでしょう。
 我々のような現代人が忘れ去って当然の子供時代。仲の良かった友達に裏切られ罵られ、あるいは逆に友達を裏切って罵って、そうして互いに見捨てあい忘れあうという、ごくごくあたりまえに起こり得る辛い経験を伴って、私たちは今を生きる普通の人間として成長していきます。
 けれど、そういう「普通」を、オバロ世界のディストピアに生きるモモンガやカワウソは経験することが出来なかった。“生まれてはじめての友達”との良き思い出に固執し執着する様は、なんとも言えない寂寥を感じざるを得ません。仲間や友達への思いや過去を引きずる姿というのは実に子供らしい、けれど、誰もが通るべき道のりでもあるのです。読者の誰もが過去の幼少期の経験として記憶の宝箱にしまいこんだり、あるいはチリクズ同然にゴミ箱の底へ忘れ去っていった姿が、オーバーロードの主人公・モモンガの根底にあるもの。だから彼に対する読者の共感性を高めているものと、個人的に愚考しております。本当に、このような共感しやすいキャラをよくぞ創り上げられるものだと、原作者の丸山先生には感心してなりません。
 そんな原作主人公との比較対象として生まれた、ダメダメで弱っちい二次創作主人公・カワウソの、愚かしいながらも奇跡のような行動選択によって、彼はナザリックと真っ向から敵対し、アインズ=モモンガ=鈴木悟と戦いを通じて真の理解を深め合うことで、最終的には友誼を結ぶ……その過程が、この『天使の澱』で描きたかったことのほとんどすべてであります。
 もしも、カワウソがひとつでも別の判断を下していたり、作中のキャラクターが別の行動をとっていたらば、二人のプレイヤーが理解し合う機会など完全にありえず、カワウソ達のギルドは死よりも恐ろしい結末を強いられていたことでしょう。
 もしも、最終日にカワウソがナザリックへと向かっていたら。
 もしも、ミカの設定が『カワウソを愛している。』だったら。
 もしも、アインズがモモンとしてカワウソに接近しなければ。
 もしも、カワウソが飛竜騎兵ヴェルの心を受け入れていたら。
 どの可能性も、ギルド:天使の澱がハッピーエンドで終わることはありえないことばかりとなります。そして、ナザリック……モモンガにとっても、これから待ち受ける困難や不安を取り除くために、カワウソたちのような存在は必要不可欠となることでしょう。ただ敵対する者を見つけ滅ぼし、殺し尽くして利用するだけでは解決しない問題も、あの世界には大いにあり得ることなのですから。



 さて。
 長話はこれにて終わり。
 最後に、この二次創作『天使の澱』を執筆するにあたり、大変お世話になった方々のご紹介を。


 空想病初の「推薦」を書いてくださった【飴玉鉛】さんに、感謝の極み。

 空想病初の「支援絵」を描いてくださった【鬼豆腐】さんに、感謝の極み。


 そして

 拙作を「お気に入り登録」してくれた1100人以上の方々。
「評価や評価コメント」、「誤字報告」をしてくれた読者の方々。

 さらに、天使の澱の100話までに「感想」を残してくれた──

【たぬえもんⅡさん yakuさん 西園弖虎さん オバロ好きさん ぴけ!さん zzzさん mkmkさん 名無屋さん 謎の人物MORさん 大正義こしあんさん ディザスター◆0OEYGVrXeUさん 117711さん 炬燵猫鍋氏さん N瓦さん 名無しさん(名無しさんさん/めんつゆさん) なかたまんさん 亞シムさん ヴァルさん アインズ・ウール・ゴウン魔導王さん YueAruさん あかささん にょんギツネさん 通りすがりさん NHK(ID:0Ah9RvyE)さん よーぎさん はしばさん かっちぇさん L田深愚さん ルギエルさん 山本今日嗣郎さん あぼん!?さん トッポ51さん 遠野さん namaZさん 21の目さん 花月喜さん siratakiさん メロンクリームソーダ魔導王さん(初めて登場する単語にはルビ頼むさん/ルビ振ってくれてありがとうさん) 伊豆魔さん シャルロット(ID:mkn6CBso)さん tooriさん ジャイルさん HIROMIYAさん ウキヨライフさん GNC伯爵さん ケッティーさん 鈍兵さん シャルロット(ID:ZTwz2pcg)さん ニバンさん トマトのヘタさん 通りすがりのスコッパーさん 二軍さん takeshimanさん どこにでもいる輩さん 堕天使さん NHK(ID:pN2QaBo6)さん 通りすがりの読者さん てんからっとさん 胡桃割り兵長さん かなさん じゅんぼさん 腐腐腐さん goidaさん are0210さん 55555さん トリアージさん あららさん mazyさん ぷぅ汰さん 川見垣亜さん シャルロット(ID:ddetdhRE)さん アマゾンさん szanさん くまたろう2号さん 三日月?さん たまご◆7w76kxZ/Ncさん ますかわさん slayerさん くまのすけさん benson778さん ポテトンさん めろさん アイエエさん ダッフィさん チロルチョコ10円世代さん prayerさん テニスンさん TOWさん 鬼豆腐さん 横っちょさん けい~さん むっちゃん!!さん 対艦ヘリ骸龍さん スガシカさん 逆真さん ジント・Hさん 皇帝wkmtさん 魄鴉さん [] さん takame234さん 00さん 団栗啄木鳥さん KAITO364さん zelkovaさん ていとくンさん 飴玉鉛さん 北卿さん マリオネーターさん kob15495さん オーレオールオメガさん 星の王子様☆彡さん まぼ725さん 九十欠さん ahさん(あああさん/ahoahoさん) ヒキコウモリさん ワッカさん ソリューさん 兎山万歳さん とまってぃさん いのさん せりんさん ボルドガングさん 先行者(小)さん 赤覇さん】以上、120名以上の皆さま──

 本当に、ありがとうございました。

 これにて、この作品は幕引きとなります。
 ですが、少しばかり後日談を投稿するかも。
 いまだに謎が多いですからね……すべてが明らかになる日は来るのかどうか。
 そこは次回作に期待しましょう。

 カワウソとモモンガ、二人のプレイヤーの行末(ゆくすえ)は、いかに?

 それでは、また次回。     By空想病





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