狂女戦記 作:ホワイトブリム
瞬く間に部下が一人、二人と地面に叩き落されていく。
回収することが出来るのか中隊長は迷った。
捕虜になれば自国が不利になる。だから、出来るだけ回収に努めて敵を牽制するしかない。
いざとなれば味方を殺して撤退する事もありえる。
「化け物め!」
縦横無尽に駆け巡る小さな襲撃者。それに驚く暇は無かった。
標的が小さくて素早いのも苦戦する原因だ。
「逃がすと思うか!」
「スー大隊長っ!」
大隊長を守ろうとした者の腹に自動小銃が突き刺さった。発砲ではなく、銃そのものを武器としたようだ。
そして、油断しているだろう背後に向けている者に発砲。投擲と様々な攻撃で次々と味方が叩き落されていく。
たった一人の敵に翻弄されていた。それはとても信じられない。
一人だからこそ出来る戦法かもしれない。
「くたばれっ!」
相手が何かを投擲しようとした時を狙って味方が発砲。その銃弾で
「回収出来る者は拾っていけ! 撤退だ!」
「了解っ!」
牽制しつつ敵中隊は散り散りに飛び去っていく。
「敵の増援が近づいている模様です!」
と、報告した味方がさっき吹き飛ばした腕をぶつけられて失速していく。
「……なんて奴だ……。これ以上は危険だ。牽制して下がれ!」
背中を見せてはいけない相手だと認識する。
更に味方の銃弾で飛行ユニットごと足を吹き飛ばすことに成功する。だが、それでも尚、襲ってきそうな気配を感じるので牽制は怠らず距離を離していく。
まだ相手の手には自動小銃が残っている。
地面に落ち行く
「な、なんだあれはっ!」
「第四位階……、〈
それは空中を駆けて来る。
エステルの手から現れたのは水で出来た大きな人食い鮫だった。それが味方に向かって襲い掛かる。
「うわぁぁ!」
「水蒸気爆発って知ってる? あれって凄い爆発力になるんだよ……ねっ!」
さっき放った魔法の鮫に向かって少し強めの爆裂式が封入された銃弾を投げつける。
二つのありえざる力の融合により、大爆発を引き起こす。
それは充分な合図となり、