東方交換録   作:シンP@ナターリア担当

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第13章 逆境、困惑、嘲笑~吸血鬼の誇り、主の誇り

~レミリアSide~

 

「さっきまでの威勢はどこに行ったのかしら?」

「卑怯な手を使っておいて、よくもそんな言葉が使えたものね・・・」

「あら?貴女のことだからてっきり『戦いに卑怯なんて無いわ』なんて言うかと思ったのだけど?」

「普段ならね。ここまで露骨だと流石に言うわよ」

「ずいぶんと調子がいいのね?身勝手もここまで来れば長所にでもなりそうだわ」

「私にとっては私の全てが長所よ。今不利な状況を作っている『吸血鬼』という種族だってね」

「お姉様・・・」

「まだまだ元気は有り余ってるみたいね。それでこそ、いたぶり甲斐があるわ」

「やれるもんならやってみなさいな」

 

 とは言ったものの、この状況はかなりまずい・・・。幸いなことに、こいつの花粉による弱体化は『攻撃に使う力だけ』を抑えるものらしく、他の飛ぶ能力や移動での脚力、弾幕は普通に使える。ただ、その弾幕の威力も『力』とみなされるようで、当たっても致命傷どころかかすり傷さえ与えられない。グングニルやレーヴァテインは、普段とはあまりにも振りが遅くなり、コイツ相手に当てられるものじゃない。圧倒的にこちらが不利。フランもずっと困惑してる・・・。どうすれば・・・。

 

「考えてるところ悪いけど、あんまりボーっとしてると、すぐに終わっちゃうわよ?」

「ふん!アンタなんて考え事しながらでも勝てるって余裕の現れよ!」

「そう、もうちょっときついお灸が必要なようね?」

「来るわよフラン!シャキっとしなさい!」

「う、うん」

 

 幽香が傘を横一線に振ると、そこからいくつもの弾幕が撃ち出される。一つひとつのサイズは拳程度だけど、数が多くて避けずらい・・・そして、これの狙いは・・・。

 

「やっぱり・・・!そう来ると思ってたわよ!!」

「よく気付いたわね、でも・・・ガードしてもね!!」

「ぐっ・・・!」

「お姉様!!」

「貴女にはこれよ」

 

 避けきった先に待っていた幽香。その傘の振り下ろしを両腕で受けるも、そのまま一気に地面へと叩き落される。フランもこちらに来ようとしてたけど、幽香の弾幕で来れない。地面に激突した時の砂埃で前が見えないけど、あいつなら確実に追撃に来る・・・そこを・・・

 

「っ!?」

「あら?ビックリしたかしら?隙だらけよ!」

「ガッ!!?」

 

 砂埃が晴れかけたその瞬間、目の前に突然開かれた傘が現れた。突然のことに驚き一瞬硬直してしまい、回し蹴りの直撃を食らってしまった・・・コイツ・・・!!

 

「ずいぶんとトリッキーな戦いをするものね」

「貴女とは生きてる年季が違うもの。これに驚いてるようじゃ、まだまだね」

「お姉様!?大丈夫!?」

「大丈夫よ、フラン」

「あらあら、妹にまで心配させちゃうなんて、悪いお姉さんね?」

「うう~!!能力が使えたらお姉さんだってすぐに壊せるのに~!!!」

「それが出来ないように、能力をバラバラにしてるのよ」

 

 能力・・・もしかしたら・・・!

 

「あら?今度は貴女から向かってくるのかしら?」

「えぇ、そろそろ守って逃げて、そんな戦いには飽きたのよ」

「で、でもお姉様・・・」

「フラン、弾幕で援護なさい。」

「お姉様・・・分かった!!」

「相談は終わったかしら?さぁ、どこからでもいらっしゃい?」

「もちろん、そうさせてもらうわよ!!」

「行くよ!!禁弾『スターボウブレイク』!!」

「貴女の羽みたいに綺麗な弾幕ね。でも、威力は落ちてるわね」

「や、やっぱりスペカもダメなんだ・・・」

 

 そこまでは予想通り。効かない攻撃を避けようともしない・・・。その隙に一気に近づき、正拳の構えを取る。フランにスペカを撃たせたのは・・・

 

「はぁぁぁ!!」

「ふふっ・・・威勢だけは戻ったみたいだけど・・・そんな少女のか細い力で何を・・・ぐっ!?」

 

 この一撃のためよ!!幽香の腹に目掛けて思い切り正拳を打ち込む。効かないとたかを括っていたのもあり、想定外のダメージに幽香が一気に飛びのく。

 

「何故・・・!?まだ花粉の効力は無くなってないはずよ!!」

「えぇ・・・吸血鬼の力は封じられたままよ・・・。でもね、私は紅魔館の主、レミリア・スカーレットなのよ」

「何を今さら・・・まさか!」

「主たるものが、従者の力を把握できていないわけが無いでしょう?何せこの力は、私が唯一認めて門番とした子の力だもの。『吸血鬼の力』では無いわ」

 

 やっぱり、今私の中にある『気を使う程度の能力』。これは元々美鈴の能力だから、吸血鬼の力と認識されないみたいね・・・。それが分かれば・・・。

 

「フラン!!貴女の中には私の親友の力が入ってるはずよ!」

「パチュリーの能力・・・」

「あの子は私が唯一親友だと認めた子よ。その力を持って、負けることは許さないわ。何より・・・」

「?」

「貴女は、この紅魔館の主である私の妹、フランドール・スカーレットよ。いつまでそうしてウジウジしてるのかしら?」

「お姉様・・・!」

「チッ!やってくれたわね・・・!まさかそんな方法があったなんて予想外だったわ・・・」

「あら?さっきまでの余裕が嘘みたいね?まぁ、気を込めた拳はかなり効くものね、分からないでも無いわ」

「えぇ、かなり効いたわ・・・でも、もう食らわないわ。この一回で倒せなかった時点で、貴女の負けよ」

「さぁ・・・それはどうかしら?」

 

 これで状況は3:7程度には持っていけた。まだこちらが不利なことには変わらないけど、勝ちの道が見えた・・・。

 

「お姉様、もう大丈夫だよ」

「そう、流石私の妹ね」

「ずいぶんいい妹を持ったわね」

「あら?さっき言わなかったかしら?私にとっては私の全てが長所なのよ。この『吸血鬼』という生まれも、フランという妹がいることも、全てね」

「お姉様・・・私もお姉様が私のお姉様でよかった!」

「泣かせるじゃない。いいわ、さっきまでみたいなお遊びはここまで、ここからは、本気で潰すわ」

「これもさっき言ったわね・・・」

 

「「やれるもんならやってみなさい!!」」

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