東方交換録   作:シンP@ナターリア担当

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第14章 戦いの鉄則~心配と信頼、行動と共闘~

~早苗Side~

 

 呆然とする私たちを前に、萃香さんが魔理沙さんを安全な位置に寝かせる。まさかあの一瞬で魔理沙さんがやられるなんて・・・やっぱりこの人は本当に強い・・・。

 

「さてと、今のを見て言うのもなんだけど、本気で来なよ?じゃない、アンタ達もすぐああなっちゃうよ?」

「えぇ、分かってますとも・・・貴女相手に手加減だなんて、冗談でも言えませんからね」

「あ、文様・・・やっぱり無理なんじゃ・・・」

「椛、それ以上言うのはあの人の機嫌を損ねますよ。それに、何よりもそんな泣き言、私が許しません」

「天狗のガキは分かってるじゃないか。どうだい?今なら尻尾巻いて山に帰れば見逃してやるよ?犬は犬らしく、自分の家の番でもしてたらどうだい?」

「わ!私は誇り高き妖怪の山の警備役、白狼天狗です!!」

「じゃあその誇りとやらがどんなもんか、アタシに見せてみな!さっきみたいな泣き言言ったら、幻想卿中に広めてやるよ!」

「あややや、それはいいですねぇ。椛の泣き顔が目に浮かびそうです」

「文様まで~!!早苗さんもなんか言ってくださいよ~!」

「ここで私に振るんですか!?」

 

 もう・・・三人ともこれから戦うというのに・・・緊張感がまるで無いんですから・・・。と、思った矢先、付近の空気が一気にピリピリと張り詰めた。

 

「さて・・・世間話はこの辺でいいかい?」

「えぇ、もう十分ですよ。さぁ、椛、早苗さん、気を引き締めてくださいね」

「分かってます。もう大丈夫です!」

「は、はい!!」

「よし、いい返事だ・・・さ、行くよ!」

 

 その言葉を言い終えると同時に、萃香さんはこちらに走ってくる。手加減してるのか、動きは普通に目視出来るくらいの速さ。それを迎え撃つべく、3人掛かりで弾幕を放つ。

 

「そんなんでアタシを止めようなんて、甘いよ!!」

「止まるなんて思ってませんからご安心を!」

「へぇ・・・天狗のガキが、ずいぶん速くなったもんだね」

「お褒めの言葉と受け取っておきますよ。椛!!」

「はい!!せぇい!!!」

「相手にわざわざ攻撃が来るのを教えるなんて、優しいねぇ?」

「くっ!!」

「まだですよ!!風符『風神一扇』!」

 

 弾幕をかわしながらもこちらに迫る萃香さんに対し、文さんが一気に詰め寄り蹴りを放つ。萃香さんはそれを悠々と受けきり、横から追撃に来た椛さんの剣を、またも手首の枷で受ける。ですが、ここで文さんがゼロ距離でスペカを発動。手に持つ団扇を横に薙ぎ、その軌道に弾幕が出る。そして、間髪入れずに萃香さんに向けて飛んでいく。萃香さんは反応出来なかったのか、そのまま動かずに弾幕で付近が煙に包まれる。そして、一瞬の後、文さんと椛さんが煙から出てくる。

 

「お二人とも!大丈夫ですか!?」

「私は大丈夫です。それより早苗さん、スペカの準備を」

「え?ですが・・・」

「何を呑気なことを言ってるんですか!!相手はあの萃香さんです!!早く!!」

「は、はい!!」

「椛!風を使って煙を飛ばしなさい!!あの中で何かしてるかもしれません!!」

「はい!文様!!ええ~い!!!」

 

 文さんに言われスペカを構える。確かに、あの距離で受けたとしても相手は鬼。しかも、弾幕ごっこと違って当たったら負けなんてルールじゃないんでしたね。椛さんが『風を操る程度の能力』を使って一気に煙を飛ばすと、そこには・・・。

 

「誰も・・・いない?」

「っ!!二人とも!すぐに背中合わせで警戒を!!私は空から見ます!!」

「その必要は無いよ」

「ぐっ!さ、早苗さん!!今です!!」

「文様!!」

「で、でも!!」

「あぁもう!!岐符『サルタクロス』!」

「おっ!今のから反撃とはやるね!そう来なくちゃな」

 

 突如文さんの後ろに現れた萃香さんが、さっきのお返しとばかりに蹴りを放つ。声で一瞬だけ反応した文さんは、不完全ながらもそれをガードするも、その威力に苦悶の表情を浮かべる。しかも、そのままスペカを撃てとまで・・・そんな状態で撃ったら危険だと言おうとしたけど、そのまま文さんがスペカを発動。萃香さんは驚きながらもそれを後ろに飛んで避ける。

 

「文様!」

「文さん!大丈夫ですか!!」

「・・・たちは・・・」

「え?」

「貴女たちは・・・何をやってるんですか!!!??」

「「!!」」

「敵の姿が見えなければ警戒する!!攻撃の隙があれば攻撃をする!!驚くのや味方の心配なんて二の次なんですよ!!相手はあの萃香さんです!!そのくらいじゃないと勝てないんですよ!」

「で、ですが・・・」

「あの時!早苗さんがスペカを発動していれば、確かに私にも危険はあったかもしれません。ですが!!逆に言えば萃香さんにもダメージを与えるチャンスでした!!それに、私が避けられればさらに追撃のチャンスにもなった!!そんなチャンスを貴女は潰したんですよ!!」

「あ、文様・・・」

「椛!!貴女も何をボサッとしてるんです!!私が指示を出さなければ動けませんか!?それともまだ怖いですか!?どちらにしろ、そんな犬みたいな仲間は必要ありません!すぐに山に帰りなさい!!!」

「あ・・・」

「お待たせしてすみませんね、萃香さん」

「あぁ、構わないよ。で、続きはアンタ一人でやるのかい?」

「えぇ、このお二人はどうやら戦いたくないようなので」

「それで、アタシに勝てるのかい?」

「勝ってみせますよ」

 

 私たち二人に捲くし立てるように言葉を告げた後、文さんと萃香さんはまた向き合う・・・。そうだ・・・私は何を勘違いしてたんでしょうか・・・そう、相手はあの萃香さんなんです・・・さっきそう考えたところじゃないですか・・・!心配することだけが仲間じゃない・・・信頼し合うからこそ、躊躇うことなく攻撃が出来る。そんなことに気付きもしないなんて・・・。ふと横を見ると、椛さんもこちらを見た。多分、気付いたんでしょう。二人で頷き合う。もう、迷いません!!

 

「ずいぶん速くなったようだけど、まだまだだねぇ」

「いつもはもっと速いんですがね!貴女のところの大将さんが、私の能力を持って行ってしまいましたから・・・ね!」

「おっと、でも、それを言い訳にするのは良くないんじゃないかい?」

「それもそうですね。要は地力で貴女に負けてるってことですからね・・・もっと鍛錬しないとです・・・ね!!」

「捕まえた!」

「な!?」

「鬼相手に接近戦を挑もうなんてのが間違いだよ。何回も受けてれば次がどこから来るかくらい分かるもんさ」

「ここまで・・・ですね・・・」

「あぁ、アンタはよく頑張ったよ、ゆっくり休んでな」

「秘術『グレイソーマタージ』!!」

「「っ!??」」

 

 凄まじい速さで一撃離脱を繰り返していた文さんの放った拳が、ついに萃香さんに捕まる。チャンスはここ・・・!

 

「早苗さん!!」

「ちっ!ここで奇襲とはね!!」

「逃がしませんよ!!」

「椛!?」

「やってくれるねぇ・・・!」

 

 3人が一塊になってる場所へ私の弾幕が飛ぶ。もしかしたら、お二人も危ないかもしれない。ですが・・・

 

「二人とも、分かってくれたみたいですね」

「えぇ、もう、大丈夫です」

「文様、今度は貴女が足を引っ張らないでくださいね」

「言ってくれますね・・・」

 

 煙の中からお二人が出てくる、少し掠めたのか、無傷とは言えませんが、どうやら無事みたいです。ですが、そうなれば萃香さんも・・・

 

「アッハッハッハ!!やるじゃないかアンタ達!!!」

「全く・・・今のでびくともしてないんですか・・・」

「鬼の頑丈さを舐めんじゃないよ。それに、ようやく面白くなりそうなんだ。おちおち寝てらんないね!」

「あややや、私では物足りなかったですか」

「アタシからしたらただのガキのお守りだよ」

「いい加減、そのガキって呼ばれ方も気に食わなくなってきましたね・・・」

「そうかい?だったらアタシに認めさせてみな?そしたら今度からちゃんと呼んでやるよ。おいで、天狗のガキ」

「今度のお相手は、文さん一人じゃないですけどね」

「私たちもフォローしますよ、文様」

「この人たちはほんとに・・・早苗さん!椛!!しっかり付いてきてくださいね!!この幻想卿最速の私に!!」

 

「「はい!!」」

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