東方交換録   作:シンP@ナターリア担当

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第19章 今までの総てを乗せて~1000年の孤独、500年の絆~

~レミリアSide~

 

「さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」

「それは有利な側が使う言葉よ。貴女が使う言葉では無いわ」

「その割には余裕無さそうだね」

「お嬢ちゃん。そういうのは攻撃を当ててから言うのね」

 

 こいつの花粉への対応策が見つかってから数分。弾幕を織り交ぜながら隙あらば能力での攻撃を狙うものの、やはり警戒が強いから中々決まらない。フランも弾幕と同じようにパチェの魔法を使ってはいるものの、慣れない魔法だからか速度が出せず、思うように当てれない。でも、それは相手も同じ事で、こちらに攻撃の手段が出来たことにより、慎重になったのか、さっきよりもかなり攻撃が減っている・・・このまま時間が過ぎれば花粉の効力も切れるでしょうし、時間の問題ね・・・。

 

「全く・・・少し勝機が見えたからって・・・調子に乗らないことね!」

「あぁんもう!!蔦が邪魔!!!」

「チッ!花からも弾幕が!!」

「あら?私のことを忘れてないかしら?」

「きゃっ!?」

「フラン!!」

「貴女もね!!」

「くっ!舐めるんじゃないわよ!」

「舐めてないわよ・・・だからこそ、こうするのよ!」

「がっ!!」

 

 地面から一斉に植物が現れ、蔦が絡め取るように動き、花からは大量の弾幕が飛んで来る。二人でこれを避けてたものの、目を離した隙にフランが幽香に吹き飛ばされる。助けに行く間もなく今度はこちらに追撃が来る。幽香の傘の一撃を腕で受け止め、逆の手に気を込めて殴るも、腕を握られて止められる。そして、間髪いれずに後ろから蔦で殴られ一気に叩き落される。コイツ・・・やっぱり強い・・・。

 

「分かったかしら?これが貴女たちと私の実力の差よ。借り物の力でしか戦えない今の貴女たちに、勝ち目なんて無いわ。今謝ってこの場を去れば、これ以上痛めつけないけど・・・どうするかしら?」

「ケホッ!何を言うかと思えば・・・そんな分かりきったことを聞くなんて、ずいぶん甘いのね?」

「弱いものいじめは趣味じゃないのよ。それとも、妹さんも含めてボロボロにされたいの?」

「それこそいらない心配ね。あの子はこの私・・・紅魔館の主、レミリア・スカーレットのただ一人の妹、フランドール・スカーレットなのよ?この程度で音を上げる程やわな子じゃないわ」

「私はまだまだ行けるよ!お姉様!!」

「それでこそよ。フラン!まずは周りの邪魔な花や蔦をどけなさい!」

「分かってる!見よう見真似だけど、ロイヤルフレア!!」

 

 フランが声を上げると、パチェのものに比べると劣るものの、ロイヤルフレアが現れ、周りの草木を焼き払っていく。数秒後には、周り一帯は元の草木の無い地面に戻る。

 

「さぁ、これでまた振り出しね」

「何回出したって一緒なんだから!」

「そう・・・せっかくチャンスをあげたのに、あくまでそれを無視して戦うって言うのね」

「同じ事を何度も言うのは趣味じゃないのよ。それとも、お年だからさっき言ったことももう忘れたかしら?」

「言うじゃないの・・・いいわ。最後までやってあげる。後悔しないことね」

「へへーん!後悔するのはそっちだよ!!」

 

 そこからはまた攻防が始まる。フランが弾幕に上手く紛れさせながら魔法を放ち、隙を作ったところに私が攻撃をする。幽香もそれを上手くいなし、隙あらば植物を使い、弾幕を放ち、近接攻撃もしてくる。植物はフランがすぐに魔法で焼ききるものの、出てくる瞬間は気をつけないとやられてしまう。それに、やはり力を使えない反動は大きく、どうしても攻撃の際に競り負けてしまう。このままじゃジリ貧に・・・。

 

「ふぅ・・・埒が明かないわね」

「そう思うんなら、さっさと諦めてくれないかしら?」

「冗談。面倒だからさっさと倒してあげるって言ってるのよ」

「そう簡単に負けないんだから!!」

「そうね、もちろん簡単じゃないのは分かってるわ・・・だからこそ、きつい一撃をお見舞いしてあげようって思うの」

「お得意のマスタースパークかしら?生憎と、あの白黒のお陰でそれには慣れてるの」

「見てからでも避けられるよ!」

「そうね、普通のマスタースパークならそうだと思うわ・・・でも、一度にいくつ避けられるかしら?」

「どういう意味かしら?」

「簡単なことよ・・・」

 

 その幽香の言葉に従うかのように、幽香の横に背が高いもの、低いもの、様々な花が一斉に現れ、その花をこちらに向ける。ちょっと待ちなさい・・・さっきの言葉にこの光景って・・・まさか!

 

「フラン!!上に!!」

「分かって・・・え?足に力が・・・!」

「なっ!?まさかまた花粉を!」

「言ったでしょ?さっさと倒してあげるって。大丈夫、当たっても死にはしない程度に調整してあげるわ」

「き、貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ふふっ、最後にいい悲鳴をありがとう。それじゃあおやすみなさい。光華『フラワースパーク』」

 

 幽香のスペカの宣言と共に、こちらを向いた花が一度に光り始める。幽香本人もこちらに傘を向け、その先に光が集まっていく。動こうにも足に力が入らないし、翼で飛ぼうとしてもそれも何故か出来ない・・・これは・・・どうしようも無いかもね・・・せめて、フランだけでも助けてあげられたら・・・。

 

「・・・き・・・お・・・あ・・・ど」

「フラン?」

 

 小さくフランの声が聞こえた気がしたけど、それを確認する間もなく眼前に光が溢れる・・・ここまでみたいね・・・。そして、なすすべも無く、光の奔流に飲み込まれる・・・。ごめんなさい皆、こんな頼りない主で・・・。

 

「・・・?」

 

 数秒後、目を開けると意識のある自分にまず驚いた。身体こそボロボロなものの、あの一撃を受けて意識があった・・・。どういうこと・・・?幽香も心底驚いたような顔をしている。

 

「いったい・・・何が・・・?」

「驚いたわね・・・まさか自分よりも姉を優先するだなんて・・・」

「ど、どういうこと!?フランが何かしたの!?」

「えぇ、あの子が最後に使ったスペカで、あの子の分身が現れたのよ・・・自分の盾にでも出来たでしょうに、あの子はあろうことかその分身を貴女の前に出してたみたいね」

「な、なんで・・・」

「美しい姉妹愛じゃない・・・お陰で貴女はこうして起きてる。あの子だってさっき言ったとおり殺したりして無いから安心なさい」

「フラン・・・どうしてそんな無茶を・・・」

 

 あの子が使ったスペカは、禁忌『フォーオブアカインド』。自分の分身を作り出すスペカで、本来は攻撃に使うスペカ・・・なのにあの子は・・・私のために・・・?

 

「まぁ、あの子が頑張ったところで、残念だけど貴女に次の攻撃をかわすことは出来ないでしょうけどね」

「くっ・・・やっぱり足に力が・・・!」

「残念ねぇ・・・せっかく妹に託されたのに、何も出来ずにやられちゃうだなんて・・・」

 

 どうして・・・!どうして動かないの!!あの子が作ってくれた!最初で最後のチャンスなのに!!

 

「それじゃ、今度こそ・・・おやすみなさい」

 

 そして幽香の手から弾幕が一つ放たれる・・・。動けない私に向けて、一直線に向かって来る。今度こそ本当に・・・。

 

「え?」

 

 今・・・何が起きたの・・・?

 

「貴女・・・その傷でまだ動けたのかしら・・・?しかも、そんなに早く・・・」

 

 違う・・・私は全く動いてない・・・動いてないはずなのに、さっき私がいたところから少しずれている・・・弾幕も当たってない・・・。

 

「今度は何なの・・・?」

「まぁいいわ・・・まだ動けるっていうのなら、もっと多くの弾幕で囲ってしまえばいいだけよ!!」

「っ!!」

 

 今度は逃がさないと言わんばかりに、幽香から大量の弾幕が迫り来る。避けられない・・・!

 

「また・・・!!どういうこと!?貴女はもうろくに動けないはずなのに!!」

 

 さっきと同じように、私は何も動いてない・・・なのに、弾幕には何一つ当たってない・・・これは・・・。

 

「そうか・・・そういうことか・・・」

「?」

「くっ・・・ふふっ・・・あっはははははは!!!」

「急に笑い出したりして、どうしたのかしら?」

「これが笑わないでいられるもんですか!!」

 

 それはとても簡単な答えだった。どうして気付かなかったのかと思うくらいに。

 

「残念だけど、この勝負は私の勝ちのようね」

「そんな満身創痍な状態で、よくそんな言葉を言えたわね」

「そう、私はもうボロボロよ・・・でも、勝てるのよ」

「何を根拠にそんなことを・・・」

「任せるわよ・・・」

 

 その言葉の後、目を瞑って集中する。右手に気を集中させ、この一撃で確実に倒せるように・・・。

 

「その動けない身体でよくそこまで集中できたとほめてあげる。でもね、当たらなければ意味は無いのよ」

「そうね。でも安心なさい。当ててあげるから」

「やれるもんならやってみなさい!!」

「ええ、もちろんね・・・はぁぁぁぁぁ!!」

 

 気を溜めた拳を思いっきり引き、その場で思いっきり突き出す。何にも心配はいらない。だって、必ず分かってくれるもの。私の『親友』なら・・・。そうでしょ、パチェ?

 

「ああああああああ!!」

「なっ!!!!!??ごふっ・・・!!」

 

 私の突き出した拳は見事に幽香に直撃した。全力の気を込めた拳は幽香を貫き、幽香はその場に崩れ落ちる。

 

「な、なんで・・・動きが全く見えなかったなんて・・・」

「当たり前よ・・・私は全く動いてないんだもの」

「どういう・・・」

「私が唯一親友だと認めた子・・・」

「急に何を・・・」

「そんな子が、たったあれだけでやられるとでも・・・?」

「まさか・・・!」

「えぇ、そのまさかよ。よく気付いてくれたわね、レミィ」

 

 突如声が聞こえたかと思うと、気付けば私の隣には、私の愛すべき親友の姿があった。全く・・・途中まで私まで騙してるだなんてね・・・。

 

「貴女はあの時確実に・・・」

「当たる直前に一歩引いたのよ。それだけで少し動けなかったものの、気絶にまでは至らなかったわ」

「でも!貴女が手伝ったところであの状況は!」

「今の私の能力は、何かご存知?」

「っ!!そうだったわね・・・私としたことが・・・そんな大事なことを忘れてたなんてね・・・」

「そう、私が唯一全幅の信頼を寄せる従者・・・あの子の能力である『時を止める程度の能力』よ」

「貴女がとどめにと放った弾幕。一度目は少し横にずらして、二度目はあの弾幕をかいくぐった。時を止めれば簡単だったわ」

「そして最後の一撃・・・この子が腕を突き出した瞬間に止めて、貴女が私の前まで運んだ・・・そういうことね・・・」

 

 そう、パチェの協力があってこそ成功した。やっぱり長年私の親友をやってるだけあるわね・・・。

 

「まさか・・・こんな裏をかかれるだなんてね・・・」

「あぁ、そうだったわ。もっと大事なことを忘れてた」

「まだ、何かあるのかしら?」

「何よりも大事なことよ。考えたら、私が負けるわけが無かったんだもの」

「ずいぶんな自信だけど・・・?それに、私たち、じゃないのね」

「ええ、そうよ。だって、私の一番信頼する従者が、私の『運命を操る程度の能力』を、私に対して使ってるんだもの・・・絶対に負けるわけが無いのよ」

「なるほどね・・・それは勝てないわけね・・・」

 

 そう言って幽香は意識を失った。それと同時に、足や身体の力が戻ったのを感じる。どうやら花粉の効果も切れたらしい。

 

「さて、それじゃあソロソロ本番かしらね」

「それだけボロボロになっててよく言うわね」

「あら?誰かが寝たフリなんてしてなければもっとマシだったかもしれないわよ?」

「はいはい、ごめんなさいね」

「ふふっ、冗談よ。ありがとね、パチェ」

「どういたしまして。さ、行くんでしょ?」

「えぇ、あのいけ好かない奴をぶっ飛ばしにね!」

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