東方交換録   作:シンP@ナターリア担当

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第3章 天と地と~その鬼は誰がために~

~さとりSide~

 

「まさか幽々子のやつ、いないとはなぁ・・・」

「妖夢も知らなかったし、これは紫も分からないわね・・・」

 

 結論から言えば、今の会話の通り幽々子さんはいらっしゃらなかった。妖夢さん曰く、数日前に紫さんに会いに行くと言って出て行って以来、帰ってきていないそう。もちろん心の声も聞こえるので嘘ではありませんでした。

 

「いきなり手詰まりね・・・とは言ってもまだ当てはあるし、片っ端から行くしか無さそうね。」

「次は天界辺りですかね?」

「そうなるでしょうけど・・・そうなったら私は行けないわね・・・」

「あ、そうか、今は『空を飛ぶ程度の能力』じゃないだったな」

「あんたに持っていかれてるからね」

「べ、別にこれは死ぬまで借りるなんて言わないんだぜ?」

「当たり前でしょ」

 

 お二人とも、一大事だというのに呑気なものですね・・・まぁ、かくいう私も自分自身に被害がまだ無いので少し気は楽ですが・・・。

 

「じゃあ、次の天界へは私と魔理沙さんの二人で・・・」

「その必要は無いわよ!!」

 

 言葉を遮っていきなり現れたのは大きな石に乗った女の子でした。多分この子が・・・

 

「あら、天子じゃないの。そっちから来てくれるとは気が利くわね」

「アンタ達、なんか面白いことになってるらしいわね」

「これでアンタが犯人だったら今度はアンタが面白いことになったでしょうけど、どうやら違うようね」

「流石に前のでもう懲りたわよ・・・」

「おや、これは相当なトラウマですね。」

「ん?アンタ見ない顔ね?ずいぶん辛気臭い顔してるじゃない」

「裏表の無い方ですね。私は古明地さとり。彼方とは真逆の、地底から来てる者です」

「あら、アンタ地下に住んでるのね。道理で」

「見たことないし泥臭いと思った。ですか?」

「よく分かってるじゃないの。頭はいいみたいね」

「心を読まれたのに気付いてないどころか調子に乗ってるぜ」

「こいつに常識を望んだって無駄ってのは前ので分かってるわよ」

 

 ここまで清々しい程に人を見下せるのもある種の才能ですね・・・まぁ、こういう手合いには慣れてますからスルーですね。

 

「で、アンタでも無いとなると今度こそ手詰まりかもね・・・」

「何?アンタ達犯人探ししてんの?」

「見りゃ分かるだろ」

「こないだ変な男が誰かと一緒に地底に入ってくのは見たけど」

「「なんでそれを早く言わないの!!(んだぜ!!!)」」

「どうやら本当のようですね。行きましょう今なら何か情報が掴めるかもしれません」

「なによ~。せっかく情報あげたのに私には何にも無しなわけ~?」

「あぁ!!もう、うっさい!!アンタも来なさい!!どいつか分かんないでしょ!!」

「ちょ、引っ張んないでって・・・ちょっと!聞きなさいよ!!」

 

 天子さんはずっと騒いでましたが、とりあえず地底までは来れましたね。入るときに『なんで天人の私がこんなところに・・・』とか聞こえて来ましたが、まぁ大丈夫でしょう。

 

「さて、謎の男とやらが何の目的で入ったのか分からないけど、とりあえず聞き込みね。一通り見て回りましょうか。」

「っと、その必要も無さそうだぜ?」

 

 向こうから歩いてくるのは・・・勇儀?

 

「よう、奇遇だな、こんなところで・・・って、奇遇で会うような場所でも無いな、なんの用だ?」(ホントは知ってっけどな)

「!!勇儀!!知ってることを全部教えなさい!!」

「ちょ、さとり?どうしたのよ」

「おいおい、ほんとに落ち着いてくれよ、そんなんじゃわかんねぇだろ?」(あの男の言った通りになったな・・・)

「あの男って誰!?ここに何をしに来たの!!??」

「勇儀、知ってるなら全部話して欲しいんだぜ」

「嫌だと言ったら?」(面白くなりそうだ)

「少し痛い目でも見てもらおうかしら?」

「能力もろくに使えない状態のお前らが、アタシに勝とうってのか?面白いじゃねぇか」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!!私ほったらかして話を進めてんじゃないわよ!!」

 

 さっきまで黙ってたと思ったら急に天子さんが叫ぶ。でも、このタイミングで割ってくれたのは助かりましたね。

 

「そうね、勇儀、私たちはあなたと争う気は無いわ。知ってることを教えてちょうだい。」

「チェッ、賭けはアタシの負けか・・・いいぜ、教えてやるよ。全部、隠さずな」

「言っておきますけど」

「わーってるよ、お前の能力なんざどんだけの付き合いだと思ってんだよ。ちゃんと隠さず言うから待ってなって」

 

 よかった・・・こんなところで勇儀と戦うなんて事になったら大変なことになってたわ・・・

 

「ありがとう、天子さん。助かったわ」

「ふん、私のありがたさが分かればいいのよ。地底の妖怪と違ってこっちは天人なんだから、当然なのよ!」

「こいつはほんとに・・・」

「さて、そろそろ話そうか」

「えぇ、お願いするわ」

 

 そして得た情報・・・男の名前は『ミクス』別の世界から来た妖怪らしい。今回の異変に関しても彼が全て画策したもの。他にも何人か協力者がいるが、それはまだ教えられてない。

 目的は・・・

 

「『力を持たぬ者への復讐』・・・?」

「あぁ、アタシはそう聞いた」

「それはどういう・・・」

「さぁな、アタシにだってわからねぇよ・・・さ、てと」

「どこ行くんだぜ?」

「外だよ、外。またあいつが来るのをどっかで待たなきゃだしな」

「勇儀!?向こうに付くっていうの!?」

「あぁ、そのつもりだぜ」

「なんで・・・だってその人は・・・!」

「はいはいストップ。とりあえず、アンタが敵とか絶対めんどくさいから、ここで止めさせてもらうわよ」

「止められるもんなら止めてみな?戦うんじゃなくて、ここから離れるってだけを考えた鬼を止められるならな」

「ま、無理よね。いいわ、行きなさい」

「ちょ!霊夢さん!!」

「話が分かるじゃねぇか、それじゃ、遠慮なく行かせてもらうぜ」

「待ちなさい勇儀!!私は戦ってでも止めるわよ!!」

「止めとけさとり。やるってんなら、その震えてる足止めてから来な」

「!!!」

「なーによ情けない。あんたらそろいもそろってさぁ・・・」

「そうだ、一つ忘れてた」

 

 そう言いながら勇儀はくるりとこちらを向いて歩いて来て、天子さんの前で立ち止まった。

 

「天人サマ、だっけか?アンタもいずれ来る戦いの時に付いて来るってんなら、アタシの前には現れない事だな」

「ふん!何よ、自信が無いわけ?そんなんだから・・・」

「アタシのダチを馬鹿にしたんだ、何も指示が無けりゃ今すぐここで殺してるところだ。次に見たときに加減できる保障は無い」

「「「「!!!!」」」」

 

 な・・・う、動けない・・・な、何この殺気・・・勇儀・・・?

 

「忘れるな・・・お前が馬鹿にしたこのさとりという妖怪は、アタシ達地底の妖怪の拠り所だ・・・次は無い」

「っ!!」

「っと、そういうことだ。次会うときは戦う時かもな。大丈夫だよ、お前らになら少しは加減してやるから。そんじゃな~」

 

 そう言い残して、彼女は去っていった・・・私たちが動けるようになったのは、その後姿が消えてから数分経った後でした。

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